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株式投資で長期的に勝ちたい初心者のための財務諸表の分析法

zaimusyohyou ,mikata

「1ドルのものを40セントで買う哲学を学んだ。」

これは投資の神様ウォーレン・バフェットの有名な言葉です。

これは単に安いものを買えという意味ではありません。本当に良いものが安い価格で放置されていることに気づくことの重要性を説いているのです。

そのバフェットの投資スタイルはファンダメンタル投資と言われるものです。

ファンダメンタル投資とは、主に財務分析を行い、本来あるべき価値(株価)よりも低い評価をされている企業を見つけ、価値(株価)が適正に評価される時まで長期目線で株を保有することで確実に利益を得るという投資手法です。

まずは、項目を目次形式でご紹介します。

【財務諸表】

1 貸借対照表(←企業の安全性を判断)

  1. 会社の安全性を判断する 流動比率とは
  2. 安全性をさらに厳しくチェック 当座比率とは
  3. 企業の中期的安定性を判断する 自己資本比率とは
  4. もっとも重要な数字 手元流動性とは
  5. 負債からの財務健全性チェック 有利子負債依存度とは

2 損益計算書(←企業の収益性・効率性を判断)

  1. シンプルに利益率を測定 売上高利益率とは
  2. 資産を有効に活用しているか判断する 資産回転率とは
  3. 資産の居場所を要チェック
  4. 儲けのからくりを知る 売上原価率とは
  5. 意外と重要 販管費率とは

3 キャッシュフロー計算書(←企業の将来性を判断)

  1. 営業キャッシュフローとは
  2. 投資キャッシュフローとは
  3. 財務キャッシュフローとは
  4. フリーキャッシュフローとは

株式指標

  1. 収益面から見て株価は割安か PER~
  2. 資産面から見て株価は割安か PBR~
  3. キャッシュフロー面からみて資産は割安か PCFR~
  4. 配当に対する企業の姿勢を確認する 配当性向~
  5. 1株あたりの収益を判断する EPS~
  6. 投下した資本でどれだけの利益を生み出したかを判断する ROE~
  7. 企業の買収価値を探るための EV/EVITDA倍率~

株式投資への応用編

1 割安・安定株を見つける際のポイント

  1. 割安指標を使う際の注意点
  2. 収益指標を使う際の注意点

2 実践 トヨタの財務指標を見る

3 財務諸表分析の注意点:粉飾決算

4 株価が大きく伸びる株式を選ぶには

補足しておくと、割安な株を見つけるだけではなく、本当に応援したいと思えるような優良な企業を見つけ価格相応で株を買うことでも、長期的に見た時には利益を出すことができます。

そこでファンダメンタル投資の第一歩である財務諸表の分析方法をご紹介します。難解な財務諸表もポイントをおさえながら見ていくことで、伸びる会社、安定した会社、実は黒い会社など企業の本来の姿が見えてきます。

そして将来の収益性も考慮して、現在の価格の割安度を判定することができます。そうした株式を選別する際に重要なポイントも説明していきたいと思います。

この記事を読んで、ファンダメンタル投資に少しでも興味を持って頂ければと思います。

財務諸表とは

財務諸表とは、企業が株主や銀行など利害の関係する相手に対して開示するための、ある一定期間の財務状態や経営状態を記した書類のことです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書

の3種類の書類を総称して財務諸表と言います。

サラリーマンでも健康診断を受けると一見健康そうに見える人でも、病気が見つかったりしますよね。それと同じで、財務を眺めることで、うまくいっていそうな会社・株価が上がっている会社でもじつはお金の流れが滞っていたり、返すための借金がたくさんあったりするかもしれません。

四季報を見て投資をしている人はたくさんいても、財務諸表を実際に見て投資をしている人はそれほど多くありません。つまり、財務諸表が分かれば、多くの一般投資家よりも優良銘柄を見つけることができるようになります。

また、あなたが今株を持っているとしたら、その会社の安全性や将来性も判断することもできるのです。

1.貸借対照表 (←企業の安全性を判断)

貸借対照表とは会社の財産や借金が今どうなっているのかという財政状況を把握するための表です。これを読み解けるようになると、その企業が財政的に健全な経営を行っているかどうかがわかります。

貸借対照表は、資産部門と負債+純資産の部門でできています。

貸借

それでは、具体的に見るべきポイントを提示していきましょう。

1−1 会社の安全性を判断する流動比率とは

流動比率は、1年以内に現金化できる資産・1年以内に返済する必要のある負債の比率です。短期間の会社の安全性を図ることができます。つまり、短期的な資金繰りがしっかりできているかどうかを判断するために使用できるということですね。

流動比率(%) = 流動資産 /流動負債 × 100

一般には200%以上あると安全とされています。

1−2 安全性をさらに厳しくチェック 当座比率とは

企業の安全性を判断する比率として流動比率がありましたが、それよりさらに厳しく企業の安全性をチェックするための指標が当座比率です。

この比率を計算するためには、流動資産ではなく当座資産を利用して計算を行います。当座資産とは、現金、預金、売掛金、有価証券などを指し、流動資産よりさらに現金化しやすい資産のことです。こちらも企業の短期的な支払い能力の高さを判断するための指標です。

当座比率(%) =当座資産/流動資産 × 100

一般には120%以上あれば安全とされます。

1−3 企業の中期的安定性を判断する自己資本比率とは

自己資本比率とは、安定性分析の一指標で総資産に占める自己資本の割合を判断するための指標。

一般に、自己資本比率は高いほど経営の安定性が高いとされています。

返済を必要とする銀行借り入れといった他人資本が少なく、返済不要な株式などの自己資本が多いほど、経営を安定的に回せることが判断できます。

将来的に収益を出すための会社の土台の大きさを測る比率と思っていただけるとわかりやすいかと思います。

自己資本比率(%) = 自己資本(純資産) /総資産(負債+純資産) × 100

平均は35%。 40%以上あると優良企業とされています。

1ー4 もっとも重要な数字 手元流動性とは

すぐに支払いに充てることのできる資産、当面の資金繰りを知るのに必要な比率。

月商(月の売上)の何か月分のキャッシュを持っているかがわかるので、企業の安定性を図るのにはもっとも適した比率。

ただし、この比率が高すぎても資金をむやみに寝かせていることになってしまい、資金効率が悪い経営を行っていると判断されます。

手元流動性 =(現預金+短期有価証券)/月商(年間総売上高/12)

基準として、1か月分くらいのキャッシュが残っていると良いとされています。

1−5 負債からの財務健全性チェック 有利子負債依存度とは

新たな設備投資に対して株主からの出資金で賄えない場合、銀行から借入れたり社債を発行したりしますが、これが有利子負債となります。

有利子負債とは、その名のとおり利子の支払いの義務が生じるいわば会社の借金で、社債、短期借入金などがこれにあたります。

有利子負債は、当然その割合が高いほど企業の安全面が脅かされる事となります。

今回、ご紹介する有利子負債依存度とは、企業の有利子負債が総資産に対してどれくらいの割合かを判断する比率です。

高ければ高いほど利払い負担が増え、収益圧迫の原因となります。

有利子負債依存度 = 有利子負債/総資産 ×100

2.損益計算書 (←企業の収益性・効率性を判断)

損益計算書とは、企業活動を1年で区切り、利益を段階ごとに表示させたいわば企業の成績表である。

企業の収益性や効率性などを判断する重要指標が目白押しなので、ここで一気に把握してしまってください。

損益計算書は、全体の売上高から原価・費用・税金などを引きながら、または収入などを足しながら売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前当期純利益、当期純利益の順番で算出していくものです。

損益

見るべきポイントの中には貸借対照表と絡む部分も出てきます。

後でもご説明しますが、この貸借対照表と絡む部分が重要なのです。損益計算書単体で見てしまうと、わからない部分がありますので、その点もご紹介いたします。

それでは、具体的に見るべきポイントを提示していきましょう。

2−1 シンプルに利益率を測定 売上高利益率

収益性を判断する損益計算書上の判断材料として、売上高利益率というものが存在します。

この比率は売上高に対し、それぞれの利益である売上総利益(粗利)、営業利益(本業の利益)、経常利益(税・配当考慮済み利益)がどれくらいの割合なのかを判断するものです。

計算式は以下、

売上総利益率=売上総利益 /売上高 ×100
売上高営業利益率=営業利益 /売上高 ×100
売上高経常利益率=経常利益率 /売上高 ×100

となります。重要な割に覚えやすいと思いますので、ここでまとめて一気に覚えてしまいましょう。収益率を計るので数値は当然高いほうが良いです。また株式投資をする際は、この比率の期末ごとの伸び率が大変重要になってきます。

予想されている伸び率よりも実際の伸び率が大きかった場合その後株価が上昇していくことになります。

2−2 資産を有効に活用しているか判断する資産回転率とは

事業に投資した総資産がどれだけ有効に活用されたかを示す指標で、会社で保有する全ての資産によってどれだけの売り上げを産み出したか、売上高が総資産の何倍あるかによって企業が調達したすべての資本の有効活用度合いを判断するものが資産回転率です。

この数字が大きければ大きいほど良いとされています。

資産回転率= 売上高(損益計算書)/総資産(貸借対照表)

ちなみにこの資産回転率にポイント1の売上高利益率をかけると、総資産利益率(ROA)という指標になります。このROAは後ほど、株式指標の中のROEとの絡みでご説明します。

2−3 資産の居場所を要チェック

売上総利益の算出に関して注意しなければならないことが、1点あります。

それは売上総利益を算出するに際して、売上から差し引かれる売上原価は売れた分だけの原価であり、売れ残りつまり棚卸資産の分は入っていないということです。

これが何を意味するかというと、売上原価を差し引いたあとの損益計算書上の売上総利益が多く残っていたとしても貸借対照表上に棚卸資産として在庫が多く計上されている可能性があるということです。

そうなると当然、売上総利益だけでなく営業利益から純利益までストレートで在庫分が含まれていないことになりますね。

利益が多くても全く動かない在庫を多く抱えているような状態ではある意味で隠れ損失があるようなものです

そしてこの考え方ができるようになると、企業の帳簿上の操作を見抜くことができるようになります。記事の後半で粉飾決算を見抜く方法でもこの考え方は出てきますので要チェックです。損益計算書を見る際には、このように貸借対照表とセットで見るといろいろなことがわかってきますね。

2−4 儲けのからくりを知る売上原価率

売上高に対する売上原価の比率を示す比率。

売上原価とは、企業が商品を製造したり、サービスを提供するために仕入れる際にかかった費用のことです。

例えば、企業が100円で仕入れた魚を1000円で売ったとすると、900円の利益。原価が300円で仕入れ1000円で売ったとすると700円の利益。前社の原価率は、10%、後社の原価率は30%です。

この場合は当然売上原価の低い100円で仕入れた場合の方が、売上原価率が低くなり収益性は高くなりますよね。売上原価率は、企業の収益力を示し、この比率が低いほど収益性が高い状態であることを示しています。

売上原価率 = 売上原価 / 売上高 × 100

2−5 意外と重要 販管費率

売上高に対する販売費・一般管理費の割合を把握するための比率です。販売費・一般管理費とは、販売に要した費用・人件費・家賃などのことです。

この数値が低いほど効率が良く会社運営ができていることを示しています。この比率を見る時は、販管費のどの部分(人件費?宣伝費?賃料?)が多くなっているかを把握すればより企業がどこを重視してコストをかけているかが明確になりますね。

販管費率=販売費および一般管理費/売上高×100

3.キャッシュフロー計算書(←企業の将来性を判断)

キャッシュフロー計算書とは、一定期間のなかで、営業・投資・財務の3つの活動に分けたキャッシュの増減を利害関係者に報告するために作成した書類です。実はこのキャッシュフロー計算書は財務三表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の中でも一番重要だといわれています。

というのも企業が倒産するときというのは経営が赤字であるときより、資金が枯渇して、つまりキャッシュがなくなって倒産する時の方が多いのです。黒字なのに倒産する場合もあるくらいです。

キャッシュの流れを把握することは企業の順調な経営や倒産リスクなどをストレートに判断するのに役立ちますので、株主など利害関係者にとって必要な書類となるのです。

以下、キャッシュフロー計算書の模式図となります。

キャッシュフロー

本業がうまくいっている企業は営業キャッシュフローがプラスとなり、現金が余っているため、投資(設備投資等)財務(借金返済等)にお金を回せることになります。そのため、投資・財務キャッシュフローはマイナスとなります。

ポイントを項目ごとにご説明していきたいと思います。

3−1 営業キャッシュフローとは

商品販売などによる企業の営業活動によってどれだけのキャッシュを稼いだかの判断材料となります。

この数値がプラスだと、本業が順調でキャッシュ優良企業であり投資・財務キャッシュフローへと資金を回すことができ将来的に利益が増加する可能性が高いですしかし、マイナスだった場合、有利子での借り入れを多くして何とかやりくりをする、いわゆる資金繰りの悪い状態となっているため、将来的な収益性も悪くなると予想されます。

ちなみに営業キャッシュフローが-で損益計算書上の営業利益が+の時があるのですが、そのようなときは注意が必要です(後述)

3−2 投資キャッシュフローとは

企業の営業行為が順調でキャッシュが余った場合、当然企業は投資を行います。それは新規事業や設備投資であったり、現在行っている業務の保善であったりします。本業が順調であればあるほど投資にお金をまわせることとなり、お金が外へ出ていくため投資キャッシュフローはマイナスとなります。

3−3 財務キャッシュフローとは

企業活動が順調にいっていると借り入れは行わず、借り入れたお金を返済していくことができますよね。逆に、企業活動が滞り資金繰りが悪くなると、銀行から借り入れを行います。そのため、経営が順調な企業はこのフローがマイナスに、不調な企業はプラスになります。

ただし、本業が順調で財務キャッシュフローがプラスのケースでは、その企業は営業活動で得たキャッシュ以外の新たな借り入れをして、積極的に本業を進めていこうとしていることになります。

3−4 フリーキャッシュフローとは

フリーキャッシュフローとは、企業が本業で稼いだ営業キャッシュフローから投資に回した投資キャッシュフローを差し引いたもので、企業が自由に使えるキャッシュです。

このフリーキャッシュフローが多い程、企業にとっては自由に使えるお金が多く、借金の返済にあてたり株主へ配当を支払ったりすることができます。そのため、株を選ぶ際もこのフリーキャッシュフローの多いか少ないかはキャッシュフロー計算書の中でも見るべき重要なポイントとなります。

割安かどうかを判断する株式指標

ここまでの財務指標における重要項目では、主に企業の経営状態の安全性・収益性・効率性の判定に重きを置いていました。

そこでいまからは、その企業が現在割安かどうか、これから成長する素地もっているかどうかを判断するのに役立つ7つの株式指標を取り上げてみたいと思います。実際、株式投資をする際にチャート分析などのテクニカル指標と並んでよく使われるファンダメンタル指標のうちの7つです。

普段何気なく見ることのできる株式指標も、財務分析の知識というメガネを通してみると、また見え方が変わってきます。ちなみに著名な投資家であるウォーレン・バフェットは、財務分析を行った上でファンダメンタル投資に基づき割安株を買う投資で億万長者になりました。

1 収益面から見て株価は割安か PER~

PERとは株価収益率のことで、会社の割安度を収益面から見て判断するための指標です。

このPER、株価収益率とは“現在の株価が、現在の1株あたり利益の何倍まで買われているか”を判断しています。PERが12倍だった場合、投資した資金を回収するまでに12年を要するということなります。

一般的には低いほど良いとされています。計算式は以下のとおりです。

PER(株価収益率)=株価 / 1株あたりの利益(EPSのこと 純利益÷株式総数)

株価3000円の会社があったとして、1株あたりの純利益が250円だった場合 「3000/250=12」でPER12倍となります。20倍以下が割安だと言われていますが、それも一概には言い切れないところがあります。

その点に関しては後ほどご説明させていただきます。

2 資産面から見て株価は割安か PBR~

PBRとは株価純資産倍率のことで、会社の割安度を資産面(株主資本)から判断するための指標です。一般にPBRは1を下回ると割安だと言われます。

PBRが1を下回るということは、株価に対して純資産の方が多いということです。理論上は企業が解散した時に、残った資産分の配分を株主が受けることができるため、株主にとってトクであるということになります。PERが収益ベースでの数値であるのに比べ、PBRは資産ベースであるため、数値的なブレが少ないです。割安度合いでの投資判断に基づき長期投資を行う場合、PERよりこちらのPBRを重視する投資家が多いです。

ちなみにウォーレン・バフェットはこのPBRが1倍を割る銘柄を好んで買っていたようです。

計算式は以下のとおりです。

株価純資産倍率(PBR)=株価/1株あたり純資産

株価が500円の会社があったとして、1株あたりの純資産が400円だったなら「500/400=1.25」でPBRは1.25となります。この例の場合、理論上は会社が精算した場合、株主が損をしてしまうということになります。

3 キャッシュフロー面からみて資産は割安か PCFR~

PCFRは株価キャッシュフロー倍率のことで、会社の割安度をキャッシュフローから判断するための指標です。

営業キャッシュフローを算出するための減価償却費や支払い配当などを考慮しているため、PERやPBRに比べ、より実質的に割安度を判定できます。PERは減価償却費を考慮する前の利益で判断されるため、先行投資分が考慮されていません。減価償却費とは、企業が設備投資をする際、その投資にかかった費用を一気に計上するのではなく、設備の経年劣化に合わせて費用を計上していくことをいいます。

つまり、PERで比較すると数値が同じ2社があったとしても、どちらか一方が設備投資を積極的に行っている場合、設備投資をしている方がPCFR的には数値が低くなり割安と判断できるのです。

PCFR(株価キャッシュフロー倍率)=株価/1株あたりキャッシュフロー
1株あたりキャッシュフロー=(純利益+減価償却費)/株式総数

そのためPERが高かったとしても、PCFRが低いということが起こりえます。そのような企業は将来的に、前もって行った設備投資の努力が実って収益が上がりPERが下がると予想することも可能な為、投資対象候補になるのです。

4 配当に対する企業の姿勢を確認する 配当性向~

配当性向は、企業が株主に対してどれだけ配当を行っているかを利益から判断するための指標です。配当性向は低ければ良いとか高ければ良いなどといった基準はなく、高くても低くても一長一短があります。

配当性向(%)=1株あたり配当/1株あたり純利益 ×100

たとえば配当が年間50円 純利益が2000円の企業の配当性向は、「50/2000×100=25で25%」です。ちなみに配当性向は20%から30%が平均数値となります。

成熟企業は、株主還元に重きを置き、成長企業は利益を次の事業へと傾ける傾向があり、どちらが良いということは一概には言えません。ただし、同業種で同じ程度の成熟している会社であれば配当性向を比べることでその企業の株主に対する配当姿勢がわかると思います。

5 1株あたりの収益を判断する EPS~

EPSとは1株あたり利益のことで、PER算出にあたっても使用される株式指標の中でも重要な指標です。基本的には、EPSを算出し投資尺度とする場合は前年度との比較によってその企業の成長性を判断します。

EPS(1株あたり利益)=純利益/発行済み株式総数

当然のことながら、EPSが高いということは投下された資本に対して利益が多く生み出されているということです。1000円で株式を買い、EPSが250円だった場合、4年で投下した資本を回収できることとなります。

このEPSが安定的に伸びている会社は投資するのに非常に適した会社だと言えます。

6 投下した資本でどれだけの利益を生み出したかを判断する ROE~

ROEとは株主資本利益のことで、株主資本を使ってどれだけ利益を上げたかを判断する指標です。貸借対照表では、株主資本とは純資産の一部ですね。ある意味、投資家にとっては最も重視すべき指標といっても過言ではないかもしれません。

私たちは、お金を運用するとき利回りを重視しますが、このROEは企業実績の利回りを意味しているようなものです。

ROE(株主資本利益率)=当期純利益/株主資本(自己資本)×100

目安は15%前後で、高いほど良いです。ただし、株主資本が少なく、負債が多い会社の場合、相対的にROEが高くなる傾向がありますのでその点は注意したほうが良いです。ちなみに損益計算書の総資産回転率の項目で出てきたROAという指標は、このROEと大変似た指標であり、総資産に対してどれだけ収益を上げたかというものです。

ROEが自己資本を使って、ROAは総資産を使って。と覚えると楽かもしれません。

どちらの指標を使えばいいとは言い切れませんが、負債を引いたあとの自己資本を使った収益率であるROEの方がより実質的に企業の収益性を判断しているとされ重視される傾向があります。

後の『高収益企業を探す際の注意点』で必要な重要指標ですので、ここで一気に覚えましょう!

7 企業の買収価値を探るための EV/EVITDA倍率~(若干 上級者向け)

EV/EVITDA倍率とは、企業の市場価値とキャッシュを生み出す能力を判断する指標です。若干上級者向けかもしれません。

この倍率は低いほど、株価は割安となります。

EV=株式時価総額+有利子負債-現預金 (企業の市場価値)
EVITDA=営業利益+減価償却費 (事業で得たキャッシュフローに近い)
EV/EVITDA倍率=EV(企業の市場価値)/EVITDA(キャッシュフロー)

減価償却費を考慮したり、積極的に投資をしていることを考慮したりと、より実質的に企業の市場価値を算定できることが利点です。

実際に株式指標を使う場合のポイント

1 割安指標を使う際の注意点

ここまでご説明したとおり、ある企業の株価が割安かどうかを図るためにはPER、PBR、PCFRは重要な指標です。これらの指標の数値が低いほど割安であるという考え方はファンダメンタル投資をする際の基本となります。

しかし、注意しなければならない点もあります。

それは、株価が売られたことにより割安を判断する数値が下がってきた銘柄は、買う前に要検討しなければならないということです。というのも、これらの指標は一株あたり純利益(PER)、一株あたり純資産(PBR)、一株あたり営業キャッシュフロー(PCFR)に対して今現在株価がどれくらいの割合かを表すものです。これらの数値が低くなるということは、利益、純資産、キャッシュフローはある程度豊富にあるのに株価が売られてきているということなりますね。

こういった場合は、何か理由があって売られていると判断できるのです。

例えばある会社の株価が2000円、PER20倍、1株利益100円だったとしましょう。株価が売られ始め、見る見るうちに1500円となりました。そうなると暫定でのPERは15倍となり割安になったことになりますね。しかし、この1連の株価の売りはもしかすると来季の業績の悪化を織り込んでの売りかもしれません。業績悪化(一般に下方修正といいますが)により、1株利益が50円になった場合、株価が1500円だったとしても、PERは30倍となり以前より割高になっています。

株価は企業業績を前もって織り込みながら変動するという習性を持っているため、この点は注意が必要です。ここから売られたことが原因で割安になった株は要注意ということですね。逆に、株が買われて値段が高くなっても業績が上がれば、割安指標は低くなることもあります。

実際、2012年に2795円と安値をつけたトヨタ自動車の株は、2014年5月13日現在で約2倍の5650円ですが、PERは10倍です。 2012年当時の1株利益、株価で計算すると20倍は超えていると思われます。

割安指標のみによる判断は危険なことがわかると思います。

2 収益指標を使う際の注意点

高収益企業だと、どのように判断するべきでしょうか。

一つの方法として、財務諸表上の利益の金額を見て判断する方法があります。つまり、損益計算書における売上高から純利益、そしてキャッシュフロー計算書における営業キャッシュフローなどといった収益の過去の伸びから判断することができます。いわゆる売上高利益率から収益の伸びを判断する方法ですね。そしてもう一つの方法が、株式指標のROEもしくはROAで判断する方法です。

このような指標を併用して使うことで、利益の伸びだけで高収益企業を判断してしまうことで生じる欠点を補うことができます。というのも、例えば営業利益や当期純利益といったものは、利益そのものなのでどのようにその利益がうみ出されるにいたったかまでは考慮されていないのです。

ROAは総資産でどれだけ利益をあげたか、ROEは自己資本でどれだけ利益をあげたかという指標なので、実質的な収益判断をすることができます。その点、損益計算書上の収益のみの計算にくらべ、ごまかしがきかないのです。損益計算書の項目でも話はしましたが、本質的な企業の収益を図るためには、その企業の在庫の行方など一見収益に関係なさそうなところまでを含めて判断しなければなりません。

ファンダメンタルズ投資をする際には、このROE、ROAの数値が適正数値(それぞれ15%、5%より上なら優良)をキープし続けている企業をまずは選び出すことが重要なのです。

実践 トヨタの財務指標を見る

ここで具体的にトヨタの過去七年分の一部財務データを見てみましょう。

トヨタ財務指標

取り上げる財務データは、売上高営業利益率、ROA、ROE、自己資本利益率です。e売上高営業率では収益の推移を、ROA、ROEで資産に対する収益を、自己資本比率で安全性を判断することにします。

この財務指標に対応する期間の過去七年分のチャートを見てみましょう。

トヨタ長期

まずは株価全体の概況をご説明したいと思います。

2007年は円安による自動車の輸出好調なども相まって7000円から8000円の間と非常に高い株価位置を示しています。ちなみに、この時期のトヨタのROEやROAはそれぞれ15%前後、5%前後良好な数値を示しています。しかし、その後サブプライムローンに端を発するリーマンショックによって世界的な恐慌が起きました。

財務指標を見ても、2009年から2012年までは業績も芳しくないですね。その期間においては、リーマンショック後の不況にくわえて、東日本大震災、ギリシャに端を発する欧州危機が追い打ちをかけました。この頃はトヨタ以外の株式も軒並み値を下げています。

2012年後半からのアベノミクスにより円安効果が発揮され、ようやくトヨタなど優良な財務を持った輸出企業の株価が2008年水準まで値を戻すことになりました(ちなみに優良な財務を持っていない輸出企業は半値まですら戻していません。)財務指標の推移を見てみると、トヨタの場合自己資本比率が一貫して30代半ばを維持していますね。それほど高い数字ではないにしても、安定度を図るための数字である自己資本比率が不況下でも好況下でも一定であることは大変魅力的です。

2014年5月8日に発表された最新の決算では上記の財務指標はそれぞれ営業利益率 8.9% ROA 4.74 ROE 13.7 自己資本比率 34.9 となります。ここに来て財務上ようやくリーマンショック前の水準を回復したようです。

ただし、2013年5月に高値をつけたトヨタの株価はその後若干下がり、上にも下にも行かず、どっちつかずの状態での推移になっています。やはり株価は業績を先取りして動くことがわかりますね。

また各種証券会社のアナリスト予想・企業の予想などに対して実際の決算内容がどうかという問題もあります。財務を分析しながら株価を見ていると、企業が具体的にどういう点を重視しながら経営対策を行っているのかを想像することができますね。短期投資だと軽視してしまいがちな企業の安定性や収益性は、長期投資で株を買う際には非常に重要だと思いませんか?

財務諸表分析の注意点:粉飾決算

株を購入する際の心配事として投資した企業が粉飾決算をしてしまわないかどうかということがあります。粉飾決算が明らかになると株価は連日のストップ安、最悪の場合上場廃止で株の価値はゼロにということにもなりかねません。

そこで、この粉飾決算...

完璧に見抜くことは難しくとも財務諸表を眺めることである程度検討づけることもできるのです。その方法をこれからお伝えしたいと思います。

チェックポイントは、営業利益、営業キャッシュフロー、貸借対照表の棚卸資産の確認で、帳簿上のおかしな操作がないかどうかをチェックします。まずは営業利益に比べ、営業キャッシュフローが大きく落ち込んでいないかを確認します。というのも、営業利益というものは意図的に増やすことができるからです。

もう一度、損益計算書の計算方法を見てみましょう。売上高から売上原価と販管費を引くと営業利益でしたよね。ここで損益計算書のポイント3である「資産の居場所を要チェック」を確認してみると、売上原価には棚卸資産の分が入っていないので注意が必要という話でした。つまり、棚卸資産を意図的に増やすことができれば営業利益の数字の水増しをすることが可能になるのです。

しかし、それは帳簿上の数字が変わるのみなので実質的なお金のフローである営業キャッシュフローまでは変わりません。営業キャッシュフロー計算においては、売掛金や棚卸資産などを計上しなければならないからです。

そこから、営業利益はかなり出ているのに、営業キャッシュフローはマイナスという事態が生じることになるのです。これが、キャッシュフロー計算書が重要だと言われる所以です。

どうでしょうか?

長期で株を保有する場合、その企業が悪いことをしていないかどうか決算短信をちょっと見るだけでわかれば(もちろん完全にはわかりませんが)投資もしやすくなるのではありませんか?

株価が大きく伸びる株式を選ぶには

それでは、最後に、株価の大きく伸びる株を発見するためにはどうしたら良いのでしょうか。

一つ目は、時価総額に注目するという選択肢があります。時価総額の大きい巨大企業というのは、すでに成長しきってしまっていて、なかなか株価の伸びを得ることができません。いわゆる、中小型株と言われる時価総額の低い銘柄であれば、収益率の高まりに伴い、株価が10倍化(テンバガー)する可能性が高いです。

また、時価総額が膨れ上がっているような企業は株価の伸びに限界がある場合が多いので、時価総額が経常利益の5から7倍くらいの企業が良い投資対象となると思われます。

二つ目は、これまで低迷していた会社がある新製品を出したことにより復権するような場合に注目するという選択肢があります。長らく低迷していた会社が、爆発的にヒットを予感させるような新製品を出したことがきっかけで収益拡大が見込まれ、株価がそれに伴って大きく盛り返すということがおきます。

たとえば、2013年株価が大きく上伸したガンホーオンライン・エンターテイメントなどは、もともと時価総額がそれほど大きくはない企業だったのですが、株価上昇に伴って数々の有名企業の時価総額を一気に抜き去りました。株価も一時的に安値から百倍近く上昇し、2013年の話題の株式ナンバーワンだったといっても過言ではなかったと思われます。ガンホーオンライン・エンターテイメントは当時の大ヒットコンテンツ「パズル&ドラゴン」の爆発的な大ヒットにより、業績の大きな伸びに対する期待が高まっていたようです。

また、その後、似たような企業でコロプラという企業の株が話題となりましたが、この企業もヒットコンテンツの「黒猫のウィズ」を出したことで、ガンホー同様株価を大きく伸ばしています。

このように株式相互の連動性に着目するのも株価がおおきく伸びる企業を探すのにも役立つと言えますね。

まとめ 

財務諸表は一見難しそうで、とっつきにくいと思われがちです。

しかし、財務という字面だけで毛嫌いしてしまうのは、本当にもったいないことです。一度コツをおさえれば翻訳機を通すように見えてくるのが財務です。また、学べば学ぶほど面白くわかりやすくなってくるのが財務です。

また株式指標も財務を学んだあとで見てみると、実際に株式投資をするときにその指標の使い方・考え方もだいぶ変わってくるのではないかと思います。株式指標によって割安な株を探し、財務指標によってその株が安定しているか・優れた経営能力を持っているかどうかを確認する。

どうですか?闇雲に株を買うより成功しそうじゃないですか?

株式市場という荒波の中で、財務分析・株式指標という羅針盤を手に入れて、見事あなたの資産運用を成功させてください

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