【失敗から学ぶ】アパートの土地活用で失敗した2つの事例とポイント~一括見積もりの罠、サブリース~

いま、日本では空前の賃貸アパートやマンションの建築ブームです。

一方で多くのオーナーが悪い業者に騙されたり、建築トラブルで泣き寝入りしている現状があります。そこで「土地活用で失敗した」というたくさんの声を通して、アパートの土地活用で成功するために最低限抑えておくべき知識を纏めました。

執筆者
横山篤司

横山篤司

一般社団法人不動産オーナー経営学院の代表理事/学長。宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。 これまで日本で10,000人以上のオーナーと話し、事例や成功体験を研究。創業80年名古屋の三代目地主の家系に生まれる。ニューヨークでの大学院留学、東京で外資系投資銀行のモルガンスタンレーに勤め、プロの不動産投資を学び、家業再生に活かしたことで事業再生、借金を数年で完済することに成功。現在はビルやマンション、商業施設、駐車場等を経営。 中小企業庁主催「事業承継セミナー2017」モデル企業登壇/不動産オーナー後継者の会/JFMA「不動産MBA」研究員/週刊ビル経営「建替え経営学」連載/全国賃貸住宅新聞/住宅新報/月刊不動産流通(宅建協会)ほか。

1.私の体験「なぜ建築での失敗を伝えたいのか?」

  • いよいよ賃貸アパートを建てる!
  • 夢の賃貸オーナー生活がはじまる!

とはいえ、はじめての新築アパートづくりということもあり、「建物を建てること」に不安を抱えている人も多いはずです。

実は筆者の私も、新築アパートづくりを経験した一人です。

私は不動産オーナー学校を通じて何万人というオーナーとお会いしてオーナーの失敗談を聞くなかで、知っておけば成功する秘訣はたくさんあることが分かりました。

しかし残念ながら、失敗したり、トラブルを抱えた後に相談に来られる方が圧倒的に多いのです。

 

この写真は、新築アパートの竣工前なのにすでに水漏れしている本当の写真です・・。

実際に新築アパートを建てた経験を持つオーナーの声から分かる通り、

  • 業者はほんとうに大丈夫なのか?
  • 建築ミスが起こったらどうしよう?
  • 相見積もりって何を比較するの?

といったように、様々な不安がつきものです。

これは実際にアパートを建てた当事者でなければ分からないかもしれませんが、今も目の前で起こっているのです!

失敗から学ぶケース①

大阪に住むA氏(40歳)妻と3人の子供を持つ脱サラリーマンの方

不動産投資を学んで10年。念願の脱サラをして2018年に土地を取得。これからはじめての新築アパートを建てるということでコンサルタントから紹介された施工会社に建築を依頼。憧れであったアパートオーナーとなるために、銀行からお金を借りて建築がスタートしました。

当初は、建築の契約を進めていく過程で、アパート業者から一方的に説明を受けて、契約書への捺印や、誓約書に同意をしていく日々でした。「これが当たり前なんだ」としか思わなかったとA氏は言います。

契約締結から数か月後、想定外のトラブルや補修工事で数千万円が追加で必要となりました。

交渉のなかで、『追加工事の代金を払わなければすべての工事を止める』と工事会社から言われました。その結果、泣く泣くお金を支払わざるを得ない状況なのです。(次号に続く)

このケースでは、オーナーは不動産投資の勉強はたくさんしてきたものの、建築に関しては知識不足でした。業者の言われるとおり契約書への捺印をし、現在は法的にも立場が弱い状況です。

その後に弁護士へ相談をしましたが、オーナーは「事業主」ですから、法律で守られることにも限りがあり、業者に対してすぐに契約解除や損害賠償をすることもできません。

この問題やトラブルの背景には、業者だけでなく、オーナーも学ぶべき点がたくさんあります。

そこで、私が皆さんにまずお伝えしたいのが、「絶対に抑えておきたい建築までの流れ」です。まずはアパートやマンションの「建築までの流れ」を一緒に理解していきましょう。

1.1.【失敗から学んだ!1部】建築前に気を付けておくこと

まずはじめに、建築をする前に気をつけておくべきことをご紹介します。

建築をするときには、

  1. アパート会社(企画、営業、メーカー)
  2. 工事会社(設計会社、施工会社)
  3. 金融機関

という3者が登場します。

そこで彼らと対等に話を進めていくうえで、オーナーの失敗の声を合わせて、        気を付けるべき点をご紹介します。

1.1.1利回りがよい

みなさんは「利回り(りまわり)」と聞いてどんな基準があると思いますか?

不動産の投資をするうえでは、「利回り」という収益をはかる指標があります。

たとえば、「毎年の家賃に対して、何年で投資回収できるか?」というのが基準です。

とはいえ、実は「利回り」にはいくつか種類があるのを知っていますか?

利回りの種類  
建築利回り 毎年の収益に対して、建物代金が何年で返済できるかの指標
表面利回り 毎年の賃料売上(経費のぞく)に対して、投資したお金が何年で返済できるかの指標
ネット利回り 毎年の不動産収益に対して、投資したお金が何年で返済できるかの指標

私が実際に見た見積もりの中には、

  • 賃料が30年間下がらない想定をしている
  • 利回りが8%となるように誤魔化されている 
  • 修繕積立や経費が少なく見積もられている 

といった「アパート建築会社独自の利回り基準」を使うのが実態なのです。

実際にアパート経営がスタートすると、空室が発生したり、入退去時の費用が大きくかかったりして「全く想定した利回りにはならなかった」という意見が、多くのオーナーの回答です。

でもはじめて新築を作る人には何もわからないので、「シミュレーション通りにいくものだ」と信じてしまいがちです。

ですから、計算するうえでは、シミュレーションの徹底攻略をしてください。

1.1.2.工事会社の契約書が薄い

工事会社からもらった契約書がペラペラの状態!

「おかしいなと思っていたのだけど、やっぱりトラブルになってしまった」         というオーナーの失敗談がとても多いのです。

そこで建築をするうえで確認をしておくべき契約書について説明をします。

まずは、この2つの契約書はもらいましたか?

(1) 設計監理委託契約書(設計会社と契約)
  →設計図をつくり、設計図通りに建物が作られたか?

(2) 建築工事請負契約書(施工会社と契約)
  →見積書通りの金額で工事が行われたか?
  →実施設計図と実施見積書の2つを添付

この契約書を確認しておかないと、後でトラブルとなることが多いです。

さらに、この契約書がないままアパートが建ち、何十年と経った時に瑕疵担保責任の請求ができない、契約内容に問題がある、紛失している等が多い事例です。

この契約書と契約内容を端的に説明しますと、

(1)設計監理委託契約書とは?
一級建築士が建物を設計して、その設計図の通りに工事ができているのかを確認することを、監理(かんり)といいます。施工会社との請負契約がしっかりと行われているかをチェックする大切な契約です。
(2)工事請負契約書とは?
工事会社である請負人(受託者)が建設工事を完成させること約束し、建築注文者(委託者)が、その建設工事の施工の対価として、報酬を支払うことを約束する契約です。建設工事は建設業法第2条第1項・別表第一に規定する29種類の建設工事は、この契約書がなければ業法違反で捕まります。

ですから、この2つの契約書があるかどうか?この内容が守られるかどうか?を施工会社にしっかりと確認しましょう。

1.1.3.見積もりに「一式」が多い

見積もりに「一式(いっしき)」と書かれた項目を見たことはありませんか?

このように数量が分からない「一式」だけの表記の見積もりは注意してください。

必ず、どの工事でどのくらいの費用がかかっているのかが詳細に書かれている実施見積を確認してください。※特に信用を謡って詳細の費用を隠す工事業者がまだまだおります。

1.1.4.設計会社と施工会社が一緒

アパート業者が紹介する、設計士と施工会社が同一の工事会社の場合は十分注意をしましょう。

昔からよく言われていることのひとつに、「談合(だんごう)」があります。

建設工事の談合では、営業マン、設計士、施工会社が一緒になって裏で会議をおこない、施主であるオーナーが見ていないところで手抜き工事をしたり、発注の見返りとして金銭の授受を行ったりすることです。

そこで、私は新築工事には「一級建築士」を雇うことをお勧めします。一級建築士の仕事は、設計をすることが大切な仕事の一つですが、もう一つは、その設計通りに監理(かんり)をしているかということが重要な仕事だからです。

たとえば野球に例えると監督とコーチがしっかりと選手を導いているかどうかということです。

この監理が行われないということは、

  • 設計図通りに工事をしない
  • 建築偽装が行われる(梁や柱を抜いても立証できない)
  • 設計時に選定された材料よりも安いもので仕上げる

などの可能性があり、これらはオーナーにとって大きなリスクとなります。

ですから、たとえアパート業者から設計施工が同時に行える会社を紹介されて「安い」と言われても、自分が信頼できる一級建築士に工事の監理を依頼することをお勧めします。

1.1.5.どんな契約書をチェックする?

工事の際に契約書はどうやってチェックすればよいのか?

その質問に対する回答として、「建設業法で定められた基準があるので、そこまで契約書を深く読まなくてもよい」です。その代わりに2つの書類を必ず確認して欲しいのです。

建築をする際の契約書には、一般的に2つの書類が添付されています。

一つは、①実施設計図(じっしせっけいず)です。

実施設計図とは?
基本設計に基づいて、施工業者に工事の内容や方法を指示するためにつくられる設計図書のことです。 材料の太さから質まで、厳密に書き込まれており、実際の工事ではこの図面をもとに施工します。
<設計の流れ>
設計契約 → 基本設計(デザイン起こし) → 内訳詳細の変更 → 実施設計図

もう一つは、②実施見積書(じっしみつもりしょ)です。

実施見積書とは?
概算見積書に基づいて、内訳明細書付きの実施見積書をつくります。
<見積の流れ>
想定見積完成 → 3社以上工事相見積もり → 1社工事会社選定 → 実施設計図完成 → 実施設計に基づいて見積 → 実施見積書

この2つが工事請負契約書に添付されていないとどんなことが起こるのかといいますと、

・追加工事が発生する(元々何に対する追加なのかを立証できない)
・建物が建った後で図面を作成する(見積当初よりも安く仕上げる)

などのリスクがあります。

ですから、建築をする際には、工事請負契約書とともに実施設計図と実施見積書をしっかりと確認しましょう。

1.1.6.工程表を出さない

工程表とは、工事がいつまでに、何を行うのかを表したスケジュールです。

建築工事前に工程表を出さない工事会社には注意してください。

一般的に、建築工事は万が一のことを考えて期間を長めに設定します。とはいえ、不慮のトラブルや、中途の設計変更などで工事が長引いてしまうことはよくあることです。

工事会社の中には、竣工が遅延した際の「遅延賠償」や「損害賠償」を恐れて工程表を出さないこともあります。

ですから、必ず建築工事前に工程表を必ず入手しましょう。

1.1.7.構造計算書がない

構造計算書(こうぞうけいさんしょ)は、実施設計をする際に一緒に作ります。

構造計算とは?
構造計算では、建築構造物が積載のほか、地震・台風・積雪などの天災に際して荷重に耐えるのに必要な鉄筋・鉄骨の量などが満たされているかを基準に従って計算します。建物の柱の太さや、梁の量、土台の強さなどによって数値が変わるため、工事を行うなかで梁が数センチでもずれていたり、柱の位置が変わっている場合は再計算をする必要があります。

近年では耐震偽装の問題が取りだたされています。

実際に地震が起きた際に倒壊する恐れのあるアパートやマンションについては、社会の目も厳しくなっていますが、そもそも建築偽装を行う工事会社がいるのです。

つまり、実際の建物が、設計図とは違う位置に柱や梁があることです。

ですから、構造計算上は問題なくとも、基礎の柱や耐力壁などの位置が違っていれば、もう一度、構造計算をし直さなければなりません。

ちなみに、行政より建築確認申請が受理されたり、建築の確認済証があったとしても、役所は書類のチェック程度しかしないので、建築会社が誤魔化すことができてしまうのです。

実際に、建築の実施設計図と竣工時で、基礎の柱や壁の位置が違っている場合は注意してください。そのためにも、一級建築士による監理を徹底してください。

1.1.8.工事会社(営業マン)の返事が遅い

営業マンの返事が遅い!

もちろん、大きなお金が動く契約を前にオーナーとしても気が短くなり、必要以上に営業マンに質問したくなることもあるでしょう。

オーナーと営業マンの相性・信頼係数は一番大切なポイントです。

実は連絡に気付いているのにメールを返信しない、連絡しても3日以上連絡がない、といった不信感がその後のトラブルに繋がることが多いのです。

相性が合わない・信頼できないならば担当者を変えるか、工事会社を変えましょう。なぜならば、どんなに工事会社がよくても「誤解」があっては物事が進まないからです。厳しいことをいえば、私たちオーナーも勉強不足の状態なので、焦らず時間をおいてもう一度考え直す機会となります。

2.数字がわからない賃貸オーナーの現状

「利回りはいい方です」

そう言われて賃貸アパートを建てることを決断した60代のAさん。

しかし、アパート収入の想定数字が無茶苦茶。。。。その事実が分かった時には、すでにアパートを建ててしまったあとでした。

このような話は、ほぼすべてのアパートの新築時に起こり得ることです。大手だから安心、一括保証だから大丈夫、営業マンが信頼できる、という表向きの情報はまったく役に立ちません。

実際に私に相談をしたAさんの場合は、すでに深刻な状況でした。

私からの相談を受けたときには、すでに大手アパート建築会社の勧めで新築3棟を建てており、その賃貸経営の収支に苦しんでいるという。そこでアパートを建てたときの事業計画書を見ると、とてもこの数字(収支)ではアパート経営が成り立たないことがすぐにわかったのです。

具体的には、「相続対策のために建てた」というアパートが、10年も経たずに空室を多く抱えていたり、当初の想定よりも賃料が下がり、日々の経営収支がマイナスとなっていたのです。

そこで、多くの賃貸オーナーがなぜ不動産投資や土地活用において、「数字」を気にしないのかに疑問を持った筆者は、その原因をひとつずつ紐解いてみました。

失敗から学ぶケース②東京都に住む60代賃貸オーナーA氏

アパート賃貸セミナーに15年前から通っていたというA氏。

すでに親の跡を継いで賃貸経営をしており、日課は、毎朝の花壇の清掃である。そんなA氏がコンサルタントのM氏と出会ったのは10年前でした。その人柄の優しさに惹かれて、M氏が企画した賃貸アパートを建てるべく、M氏の紹介で知り合ったアパート建築会社で建築をすることを決めました。

M氏からは、「私の賃貸住宅は個性的でファンも多いので、オーナーのAさんも必ず気に入ってくださる」と話したいたそうです。A氏には、M氏の心の豊かさや心強さに惹かれて、彼ならば困った時に必ず助けてくれるから建てようと決意したと言います。ただし、A氏が所有する土地は、郊外でしたので賃貸需要が少ないことは分かっていたが、M氏のデザインが好きで決めたと言います。

現在、アパートが建ってより8年、入居状況が芳しくないために賃貸収入が少なくなり、さらに毎年の仲介費やコンサルタント費が高いために、銀行のローン返済に苦しんでいる。

このケースでは、オーナーはコンサルタントの賃貸住宅セミナーに通っていくうちに、だんだんと人を信じていくようになるというきっかけがありました。そしてコンサルタントの「自分の建築企画はファンが多い。利回りがよい」という言葉を信じてアパート経営をはじめました。

また、オーナーは以前から賃貸経営をしている経験もあるため、今後も大丈夫だと思い、家賃の相場や人口動向を詳しく調べなかった結果、アパート経営に苦しんでいます。

これはなにも特別なケースではなく、最近問題となっているスルガ銀行の融資改ざん問題、シェアハウス問題、サブリーストラブルといった、数字の偽装によるトラブルの一例です。

現在は、A氏とその息子さんで何とか賃貸経営を盛り立てようと、デザインのリフォームや、さらなる追加投資を考えていたので、一度、事業収支を見直してみることになりました。

そこで私が今回みなさんにお伝えしたいのが、「事業シミュレーション」です。まずはアパートやマンションを建てる建築までの流れを一緒に理解していきましょう。

2.1.事業シミュレーション時に気を付けておくこと

新築の事業シミュレーションをする際に気を付けておくべきことを紹介します。

事業シミュレーションをするときは、

・収支計算の公式をしっかり理解する
・費用想定をしっかりする
・賃貸需要を調査する

そこで彼らと対等に話を進めていくうえで、オーナーの失敗の声を合わせて、気を付けるべき点をご紹介します。

2.1.1.投資利回りがよい?

これは1億2600万のアパート建築の実例です。

こちらがアパート建築の見積もりになります。

そしてこちらが賃貸収入の想定と利回り計算になります。

この想定表をみていくと、年間の想定収入は7,800,000円とあります。1Kのお部屋8戸と、自宅のお部屋1戸の全9戸の賃料収入です。その年間の想定収入に対して、建築費の96,033,600円?を割った8.12%というのが単純利回り?という利回りを表しています。

まず、プロの目からすれば、「単純利回り」が何を指しているのか分かりません。

この単純利回りを計算したところ、

年間の想定収入÷工事関係費(建築費の一部)が、業者が算出した利回りは8.12%です。

いちおう、「利回り8%あるからだいじょうぶだ?」という議論があったそうです。

そこでこの数字の中身を見ていきましょう。まず、この表より、「工事関係費」というのは、建物の躯体部分にかかる費用のようです。その建物の躯体の金額から年間の想定収入を割り戻して利回り計算をした結果、「利回り8.12%」となりました。

これは実はいまも続く、大手不動産メーカーの収支シミュレーションの実態です。

つぎに私が計算したところ、

土地代5000万円+建物代1.17億円=1.67億円(投資総額)
1.67億円÷780万円=4.67%

私が実際に算出した利回りは4.67%となります。

このように、業者が提案した「利回り8.12%」と、私が計算した「利回り4.67%」が、同じ条件での不動産投資をした利回りの実態です。まずは利回りの考え方をしっかりと理解していきましょう。

2.1.2.30年が経っても収入が一定(収入)

次に家賃収入を見ていきましょう。

このとおり、家賃収入は常に満室の状態で、一日も空室がない予測数字です。

毎年の家賃収入780万円を30年間、1円も家賃が下がることがない収支想定です。

これまで業者は、「サブリース(建築会社が代わりに家賃収入を保証する)なので30年間一定の家賃が入る」と回答をしていたのです。しかし、このサブリース問題が社会で大きく取りださされるようになってからは、「家賃は一定期間で見直しがあります」という回答になりました。

結論、家賃収入が30年間、同じ金額が入り続けることはありません。

とはいえ、プロでもわからないのが、このアパート業界のサービスの定義です。

それが、この一括借り上げ、家賃保証、サブリースの違いです。

一括借り上げ 建物管理や入居者募集をすべて管理委託するサービス
家賃保証 入居者とトラブルとなったり家賃未納となった場合の損失を保証するサービス
サブリース 満室時想定賃料の70~80%をオーナーに必ず支払うサービス

そこで、「サブリース」がどんな特徴を持っていて、どんなクレームになるかをお伝えします。

サブリースは、入居者が入っていない期間も、サブリースを提案する建売会社などが一定額の家賃支払いを約束することです。具体的には、満室時想定賃料の70~80%をオーナーに必ず支払うサービスというものです。

とはいえ、こんな相談が多いのです。

「親の代はそれでいいけど、子どもの代の私たちは困っているのです」

一言で、この、サブリースの特徴を申せば、「新築のうち(親世代)は不満が少なく、15年ほど経つ(子供世代)と不満が噴出する」という傾向があります。

つまり、新築時は家賃も下がりにくく、修繕費も発生しないので、お金が多少なりとも残ります。これが親世代に得られるメリットです。

その後、新築から15年を超えたくらい賃料の見直しが大きく入ります。そこで修繕費をどれだけ支払うかで、次のサブリース賃料の額が決まります。この交渉が子世代に発生します。

つまるところ、アパート経営は建ててから15年目が分かれ道です。

簡単にいえば、この図のような仕組みです。

※不動産オーナー経営学院 賃貸経営学科テキストより

とはいえ、ここは未だにオーナーの皆さんの誤解が解けないところです。なぜならば、業者自身がこの「一括借り上げ」「家賃保証」「サブリース」の違いをしっかり理解をして説明ができないからです。

よく大手不動産会社やアパート会社が提案する「サブリース」では、会社がしっかりしているから、「サブリースで30年間の家賃収入が必ず入ってきます」という話もあります。

「家賃が入るか、入らないか?」という点でいえば、このサービスを保証する親会社が倒産すれば、そもそも保証がなくなってしまうので、大手であれば倒産確率は低くなるというメリットはあります。ただし、デメリットとして、大手不動産会社がオーナーに対して求めるアパートの品質基準や修繕費用がとても高いので利益が残りにくい点は注意しましょう。

ですから、一括借り上げのサービスを利用する際の注意事項として、最初に想定シミュレーションを行い、しっかりと交渉をしましょう。

必ずしも大手がよいとは限りません。家賃収入も多く入るが、建物維持や修繕にかかる管理支出も多いため、利益が残りにくいからです。ですから、大手不動産会社にアパート建築を頼むときは、場所や条件をしっかり選ばなければ、むしろ赤字が広がってしまう場合があることに注意しましょう。

2.1.3.20年間の修繕費が入っていない(支出)

次に修繕費を見ていきましょう。

これは15年目までの修繕積立金が想定されています。

毎年の修繕積立は23.4万円です。10年間で234万円、20年間で468万円です。

そこで、私が計算をしてみましょう。

私が計算した結果、20年目目の大規模修繕は、建築費の約20%と想定するならば2400万円はかかるでしょう。具体的には、防水工事300万円、外壁改修700万円、専有部修繕800万円、設備600万円といったところです。

ですが、修繕は一度に発生しません。

大規模修繕が行われるのはアパートを建ててから15年から20年後ですから、急に修繕費用がかかるのです。

もし、この修繕費が払えなければ今後の維持管理ができないとして、大手不動産会社のサブリース保証を解除させられるという事態も実際に起こっています。

そうなってしまうと、「失敗から学ぶ①」でお話したように、オーナーが一人で不満の声を上げてもなかなか私たちの元に声は届きません。その結果、15~20年目にサブリース物件の売却というのが全国で多発しています。

残念ながら、相続対策は失敗です。

つまり、親の代ではアパート経営で相続対策が成功したと見せかけて、子どもの代では修繕費がないために物件売却せざるを得ないというシナリオです。

20年間の長期修繕費は、建築費総額の最低20%以上と理解していきましょう。

2.1.4.管理費が安すぎる(支出)

次に管理費です。

管理費は毎年39万円となっています。月で割ると、管理費は月額3万円です。

この収支想定を作った営業マンに一生清掃員として働いてもらいましょうw

さて、私の方で再計算したところ、年間ベースで、管理費は78万円、火災保険料10万円、水道光熱費60万円、決算等諸経費を加えて841万となりました。

毎年の収入が780万円で、支出が841万円なので、毎年61万円の赤字が30年間続きます。

なかには、オーナーが自分で清掃や修繕をするから管理費用を入れないという、良心的なオーナーさんもいらっしゃいますが、そもそも運営赤字の状態です。

この収支状況で、将来子どもが物件を引き継ぐにしても、彼らの貯金を取り崩して賃貸経営をしなければならないので、貯金がなければ相続時に売却せざるを得ないでしょう。

つまり、新築時はギリギリの収入が確保できていたとしても、将来、物件が老朽化した際に、管理を続けることは到底難しいといえます。

ですから、新築アパートを建てる時点で将来の収支は決まっているという意識を持ちましょう。

2.1.5.金融機関にも問題がある

今回の件ではオーナーが貯金の中から400万円を出し、土地も担保に入れて1.25億円の融資を得ました。

新築アパートを長期で保有する上での指標をお伝えすると、

土地代と建物代をあわせて利回り6%以上でなければそもそも新築赤字という指標があります。

返済年数 元金返済分 金利返済分 修繕返済分 手残り
25年返済 -4% -1% -1% 0%
30年返済 -3.3% -1% -1% 0.7%
40年返済 -2.5% -1% -1% 1.5%

この表を解説しますと、

返済年数 建物の耐用年数が30~40年ですから、返済年数は比較的長期となります。
元金返済 借入金額を何年で返していくかという金額(利回りの●%)
金利返済 借入金額の元本に対して毎年かかる金利の金額(利回りの●%)
修繕返済 20年に一度の修繕費が1%ほどかかります。

たとえば新築アパートを30年返済で計画した場合、不動産から得られる利回り6%に対して、ローン返済(元金+金利)と修繕返済1%を差し引いた0.7%が手残り利益となります。不動産投資額が1.5億円だとしても、毎年100万円しか手元に収入が残らないという計算です。

ですから、業界では8%以上の投資利回りが大切だという根拠ができました。

この数字の根拠は、なかなか知っている人はすくないと思います。

さて、今回のケースに戻りましょう。

今回の土地建物を査定した結果、土地代が4000万円、建物代1.25億円だとしますと、不動産評価総額は1.65億円です。

実際の借入金額は1.25億円ですが、ここから分かることは、不動産の担保は実際には評価額の50%~60%といわれていますから、1.65億のうち8000万円程度しか融資はつきません。

なぜ不動産向けの融資が出るかといえば、オーナーのその他の土地や財産を担保としていることが多いからです。

結果として私がいえることは、

今回のケースでは新築時点での利回りが4.67%ですから、40年以上収入がプラスにならないという結果です。これではもはや不動産投資というよりも、オーナーの家族のために財産を残したいという想いには注意をしましょう。

2.1.6.コンサルタントがいる

今回のケースでは、コンサルタントがおりました。

コンサルタントのなかには、賃貸経営のプロではなく、話しが上手なプロ、開発をするのがプロな方まで様々です。

アパート経営は、「みんなもやっているから安心です」「35年一括保証」「入居率96%」という様々なキャッチフレーズがあります。

アパートはどこでも建てられます。(建築基準法や用途地域の基準によりますが)
誰でも賃貸オーナーになれます。

ですが、あなたの土地で賃貸アパートが成功するとは限りません。

コンサルタントにもセカンドオピニオン、サードオピニオンを入れていきましょう。

2.1.7.アパートを建てると相続税は上がる

アパートを建てれば相続税はあがります。

その仕組みを知らずに、アパートやマンションの土地活用をしなければ損をするという誤解が広く出回っているのです。

そこで、多くの人が間違った解釈をしているので、改めて解説します。

まず、1億円の現金あるいは1億円(評価)の土地を持っていたとします。この現金や土地を何も運用しなければ、もちろん1億円に対して相続税がかかります。そこで、建物を建てることで8割の評価減になるから「アパートやマンションを建てよう!?」という話まで一足飛びに結論を出さないでください。

あくまでこの話は自宅(自分が住む)のことです。

では事業用不動産であるアパートやマンションはどうかというと、実は相続評価額はあがります。こちらのサイトで詳しい解説をしておりますので参考にしてください。

結論から先にいうとアパートの土地活用をすることで、

土地の評価額は下がる=土地を更地にしておくよりも相続評価が下がる

建物の評価額は上がる=新たな建築物に対する相続評価があがる

=結果、新築アパートを建てることで土地の評価減少にはなるが、建物の評価上昇がより高いので相続評価額はあがります。

ですから、相続税の支払い額も多くなります。ですからこの不動産から収入を生み出していき、そのお金を相続税に充てる場合は立派な相続対策といえるでしょう。

今回のケースでは、建物を運営すればするほどお金がなくなっていく赤字不動産ですから、いうならば、相続税を支払うお金が徐々になくなってしまう「負動産」に投資をしてしまいました。つまり、負け組不動産を作ってしまうと、次の日からどんどんお金がなくなってしまい、気が付いたら自宅や資産を切り売りしながらアパートを維持していた・・なんて状態にもなり兼ねません。

ではどんな不動産がよいかというと、お金が毎年溜まっていく「富動産」に投資をすることです。そのためには、お金がしっかりと毎年増える不動産をつくることを意識するべきです。アパートを新築にするときは、特に毎年の収支がプラスであることが大切です。

2.1.8.家族信託には注意が必要

最近では、家族信託にするとよいという話が専門家のなかで横行しています。

子どものためには多少マイナスでも資産を残したい。儲からないのは分かるのだけど、資産を任せられる人に預けたい。そんな気持ちが理由となり、相続対策の一つとしてアパートを建ててしまう人が急増しています。

その手法として、たとえば将来の2人の子供に収入を残したいと1棟のアパートを建てるのです。家賃収入が毎年必ず得られるからだいじょうぶだと親は考えてしまいがいです。

しかし、実際には2人の子供がその不動産収入をあてにして相続争いが起こってしまうのです。

そこで、家族信託にして財産を専門家に預けることで均等に収入を分割するという手法があります。とはいえ、この専門家には不動産の賃貸経営を行った経験を持つ方は少ないので、手放しで賃貸経営が成功するはずもない現在、ここでトラブルが起こってしまうのです。

たとえば、賃貸経営のなかで突発的な修繕費や、空室が増えてしまうと、当初計画していた収入が入らない事が分かります。しかし子供たちは専門家に対して「この収入をくれるから家族信託を決めた」としてクレームが起こるのです。

近年は、高齢化に伴い、認知症や病気などでオーナーの判断能力が低下しても、物件だけは維持存続しなければならないという事態になっています。後見人がついてしまうと、売るに売れないという状況になるため、この家族信託を受託できる専門家には十分な吟味が必要です。

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