FXでナンピンしてしまう理由とは?仕組みと心理を理解して活用する

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「ナンピン」という言葉をご存知ですか?

FXを含め、投資の世界では、ナンピンはしないほうがいいと言われることのほうが多いです。

しかし、この記事をお読みいただくと、ルールを決めて行うナンピンは悪いことばかりではないことがおわかりいただけます。

具体的には、次のことが学べます。

  • ナンピンのリスクを知り、大損を無くす方法
  • ナンピンの適切なタイミングと計画的なナンピンの有効性

実際のチャートやシミュレーション表を使って、初心者にもわかりやすいように解説しています。ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

はじめに:ナンピンとは

ナンピンは、ポジションが含み損になった時に、損切りせずにポジション(建玉)を追加することです。

ナンピンした後に値が戻れば、すぐに利益になります。しかし、値が戻ることなくさらに逆行してしまうと、あっという間に損失が拡大して大損します。

私が初心者の頃、ポジションが逆行する度にナンピンしたことがありました。結局、値は戻らず1,000万円の損失を出した経験があります(詳しくは、『FXで失敗して1000万円以上の大損をした事例と重要な教訓』をお読み下さい)。

私に限った話ではなく、初心者がナンピンした挙句、損切りできずに大損する例は後を絶ちません。なぜなら、ナンピンをすると損失を先延ばしにすることができるので、ナンピンのことをまだよくわかっていない初心者がやりたくなってしまう手法だからです。

また、ナンピンは、味を占めてしまうとリスクを省みずに行うようになってしまう恐れもある、極めて依存性が高いやり方です。

では、ナンピンが絶対的にリスクしか無いかというと、そんなことはありません。リスクを知らないまま使うから悪いのです。理解を深めれば、ナンピンで大損することは無くなります。実際に、私はナンピンで大損を経験してから今日に至るまで、同じような失敗はしていません。

次の項で、まずはナンピンのメリットやデメリットをよく理解して下さい。そして、あなたがどうやってナンピンを活用するのか決めて下さい。

3つの選択肢からナンピンをする具体例を挙げ、リスクと対処法について、私の経験を踏まえて説明させていただきます。シミュレーションもありますので、ポジションの建て方の参考にして下さい。

1.ナンピンしたらどうなるかを理解する

繰り返しになりますが、ナンピンは、含み損が出たらポジションを追加することです。それをすることで、トレードでどんなことが起こるのか、可能性を考える必要があります。

ここでは、ナンピンのメリットやデメリットなど、基本について理解を深めて下さい。

1.1. ナンピンとは、損失を無くすこと

ナンピンは、漢字で「難平」と書きます。「難」とは損失のことで、「平」は、たいらにする、平均化することを意味します。良く言うと、含み損を無くそうとすることです。難平は、相場以外でも使われますが、あまりいい意味ではありません。コトバンクで難平を調べると、次のように書かれています。

【難平】

  1. 取引で、損失を平均化すること。買ったあとに相場が下落しても買い増して買値の平均を下げておき、逆に売ったあとに相場が騰貴したら売り増して売値の平均を上げておくことによって、損失を回復しようとすること。「難平買い」
  2. 《見通しもなく難平をして大損をする意から》愚かなこと。また、その人。

このように、ナンピン自体に良い意味はないですね。

1.2. ナンピンすると、平均価格が有利になる

「価格を平均化する」とは、含み損を抱えた時に、ナンピンすることで平均価格を良くすることです。良くするとは、買いの場合と売りの場合では次のようになります。

  • 買いの場合:平均価格を下げること
  • 売りの場合:平均価格を上げること

例えば、ドル円の価格が105.00円で1枚(1万通貨)の買いポジションを持ったとします。100pips下げて104.00円になると、含み損は1万円になりますね(pipsについては、「FXの単位pips(ピップス)とは?」をお読み下さい)。

この時、104.00円で1枚(1万通貨)ナンピンしたとします。そうすると、ポジションは合計2枚(2万通貨)になり、それぞれのポジション損益は次のようになります。

①105.00円 1枚 損益 -1万円
②104.00円 1枚 損益 ±0円

2枚の平均価格は、104.50円になります。平均価格とは、全てのポジションを合わせて損益が±0円になる価格だとお考え下さい。ナンピンしたことで、損益が±0円になる価格が104.50円だということです。

105.00円から104.00円に下落し、104.50円に戻した時、105.00円で最初に建てたポジションは-5,000円、104.00円でナンピンしたポジションは+5,000円になります。合計すると、±0円ですね。平均価格が、105.00円から104.50円に下がったということです。

数字だけ考えても、実際のトレードでどうなるのかイメージが沸かないと思いますので、実際にチャートを見てみましょう。

次のチャートは、2008年のリーマン・ショックの時のドル円の日足チャートです。

ナンピンAの価格帯がサポートラインになっています。このサポートラインで反発して上昇トレンドに回帰すると予測し、買いポジションを持ったとします。

その後、サポートラインを下抜けて、Bまで急落してしまいました。つまり、Aで買ったポジションは含み損となってしまいました。

この時、あなたは、3つの選択肢があります。

  1. 損切りする
  2. 何もせず様子見する
  3. ナンピンする

このチャートの場合、サポートラインで反発すると予測していたのに、サポートラインを下抜けて違う値動きになってしまいましたね。そのため、後付けになりますが、「損切り」をするのが適切でした。想定と違う相場展開になったからです。

もし、サポートラインを下抜けることまで想定の範囲内として損切り幅を決めていたならば問題ありません。しかし、今回は、サポートラインを下抜けない、というのが当初の想定でした。

では、Bまで下落した時に1.の損切りでもなく、2.の様子見でもなく、3.のナンピンを選択したとします。この時、次のことをよく理解しているかどうかが重要です。

「ナンピンは、損切りとは真逆の行動である」

どのようなことか、これについて次から説明します。

1.3. ナンピンは、本来とは真逆の行動になる

FXの注文には、「買い」と「売り」の2種類しかありません。

「買い」ポジションを損切りする(決済する)場合、マーケットに出す注文は「売り」です。決済ボタンをクリックするだけなので、売り注文を出している感覚がない方もいるかもしれません。しかし、買いを決済する注文は、売りになります。

新規で売りポジションを建てる時の「売り」と、買いポジションを決済する時の「売り」は、どちらも同じ「売り」です。しかし、意味は全然違いますので、混同しないようにして下さい。

あなたが、Bで損切りする場合、マーケットへ出すのは決済するほうの売り注文になります。ただ、今回は、損切りせずにナンピンをします。ナンピンするということは、買い注文ですね。新たに買いポジションを持つわけです。

本来、損切りするために「(決済の)売り」注文を出すタイミングで、その逆の「(新規の)買い」注文を出すということです。つまり、適切な行動とは正反対のことをしているわけです。

実は、このBのポイントは、大きな分かれ道に差し掛かっているということを認識しなければなりません。なぜなら、損切りするかナンピンするかで注文が逆になり、勝敗がはっきりするポイントだからです。

このような時に、負けを認めたくない、戻るかもしれない、という安易な気持ちでナンピンという判断を下していいのかどうか、もう一度よく考えてみて下さい。ほとんどの方は、重大なポイントである認識をあまり持っていないのではないでしょうか?

ここで、あなたが道に迷った時をイメージしてみて下さい。その時、次の3つの選択肢があるとします。

  1. そのまま進む
  2. そこに留まる
  3. 反対方向へ戻る

損切りするかナンピンするかは、1.そのまま進む、3.反対方向へ戻るのどちらかを選択するようなものです。正しいかどうかは別として、この時の選択が、目的地へ辿り着けるかどうかの分かれ道になります。反対の道を選ぶのですから、吉と出るか凶と出るかしかありません。

さて、もう一度先ほどのチャートをご覧下さい。

ナンピン

Bでナンピンし、さらにCまで下落しました。Bの後、少し反発したタイミングで決済していれば、損失は少なくなったかもしれません。しかし、それは時間が経ってみないとわからないことで、いい所で決済するのは至難の業です。

損切りせずにCまで下落してしまった場合、ここで損切りするかナンピンするか、再度分かれ道になります。Bでナンピンしたにも関わらず、今さらCで損切りすることは、損失額も増えているのでメンタル的に難しいのではないでしょうか。

また、急落してCではローソク足の下ヒゲを形成し、一番安いところでナンピンできた想定です。しかし、実際に大底でポジションを取ることはまず不可能です。計画的なナンピンなら、底近辺で冷静にポジションは取れるでしょうが、ここではそうではありません(計画的なナンピンについは、「ナンピンとは?」をご覧下さい)。

そもそも、CではAとBで買ったポジションの含み損が最大になり、冷静でいられないはずです。

たとえCでナンピンしたとしても、B付近まで戻した時に売って全決済していなければ、再度下げて本当の大底のDでロスカットして大損ということになりかねません。

AとBで2回ナンピンをしてさらに安値を下抜けると、ものすごい焦りとプレッシャーになります。少ない枚数でエントリーしていればいいですが、ナンピンすると枚数が必然的に増えていくので、気付いた時には想定よりも大きな枚数に膨らんでいることが多いです。

以上のことは、ある例えに過ぎません。

自分はそんな風にはならないと思うかもしれませんが、実際にナンピンすると、本当にこのような悪い流れになります。もし、Aで買ってBでナンピンせずに損切りをしていれば、損失は最小限になっていたでしょう。

Bで「売る」選択ではなく、真逆の「買い」の選択をして招いた結果です。

ちなみに、私は、このチャートのリーマンショックの時に大損しました。実際に建てていたポジションと、上述のABCでのポジションの説明は異なりますが、ナンピンして底で損切りした事実は同じです(私が大損した理由については、『FXで失敗して1000万円以上の大損をした事例と重要な教訓』で振り返っています)。

ぜひ、教訓にしていただければと思います。

1.4. いいイメージだけではなく、リスクも認識する

ナンピンしてさらに逆行すると、大損しかねません。逆に、上手く値が戻れば、含み損がなくなるどころか、短期間で大きな利益になります。これは、ナンピンの魅力と言えます。まさに、最初に説明した「損失を無くす」という難平の文字通りの結果になります。

このように、ナンピンは、大損する可能性もあれば大きな利益になる可能性もある、とてつもない破壊力がある注文であることは間違いありません。この判断を、含み損を抱えて冷静さを失った状態で行う必要があります。

ナンピンが上手くいった時のいいイメージだけを想像してはいけません。リスクも認識しましょう。

1.5. 勝率の高さに味を占めてクセにならないように注意する

損切りせずにナンピンをすると、勝率だけは高くなります。なぜなら、相場は一方向へ動くことは少なく、一時的に反発や反落する動きを見せることがよくあるからです。これを「揺り戻し」といいます。

ナンピンして平均価格が良くなった後にこの揺り戻しがあると、最初に建てたポジションはマイナスでも、ナンピンしたポジションがプラスになるため、損失が回復しやすくなります。

反対に、ナンピンをしないでトレンドに逆らって最初のポジションを持ち続けた場合だと、元の値に戻ってこないことが多々あります。

元の水準まで戻ってくる状態を「行って来い」というのですが、この行って来いがない限り、ナンピンなしの場合はずっと含み損のままです。これを考えると、心理的にナンピンしたくなるのではないでしょうか?

ナンピンして少し反転してくれれば、損益は±0円付近には回復するわけです。行って来い、つまり全戻しはないにしても、少しくらいは反転してくれるだろうと期待してしまいますね。

確かに、ナンピンを続けていれば、どこかで反転して損失は少なくなります。ナンピンの枚数とタイミングが良ければ、すぐに含み益になることもあるでしょう。

しかし、これは期待値の高いトレードルールではなく、運が良かっただけです。何回目のナンピンかはわかりませんが、いつかは反転します。ナンピンし続けていれば、反転の確率は高くなるのは当然ですよね。

ナンピンは依存性が高いと言われている理由は、このような心理が働くからです。ナンピンして一度成功すると、味を占めた感覚になるので、本当に注意が必要です。トレードルールが優れていたわけではないのに、トレードが上手になったと勘違いしてしまいます。

味を占めると、次のトレードから、含み損が出る度にナンピンするようになります。勝てるまでナンピンするのですから、助かる確率のほうが高いのです。これがクセになると要注意です。

2.ナンピンで大損する2つのパターンを知る

ここまでお読みいただき、ナンピンがどのような手法か、お分かりいただけたと思います。

次に、ナンピンで失敗する2つのパターンを紹介します。ナンピンがどのような注文かを知るだけでなく、初心者が陥りやすいパターンを知ることができます。

これを理解することで、そうならないように注意したり、ポジションの建て方を試算できるようになります。

具体的には、次の2つのパターンに注意して下さい。

  • 無計画ナンピン
  • スワップ目的ナンピン

一つ一つ解説していきますね。

2.1. 無計画ナンピンは、一発で大損することもあるので最も危険

ナンピンの1つ目の大損パターンは、無計画ナンピンです。これは、先ほどのリーマンショックの例が該当します。

最初に新規でエントリーする時は、先ほどのチャートのAの箇所のように、「ここから反発しそうだ」「この価格帯は下抜けないだろう」などと値動きを予測しています。

問題は、Bのような損切りのポイントまで下落した時、損切りをしないでナンピンすることです。ためらいがあり、損切りが遅れるのは仕方ないと思います。ショックですし、感情がありますからね。

ナンピンのポジションを建てることは、当初は計画していなかったはずです。もうこの時点で、戦略から外れているのですから、戻るのを祈るしかありません。

上述のように、ナンピンして逆行した場合、損失を埋めるためにはさらにナンピンするしかありません。次のナンピンをする時は、損失がさらに拡大して余計に冷静な判断ができなくなっているので、チャート分析からテクニカル的な根拠を持つことなど、もはや無理でしょう。

無計画なナンピンは、このような悪循環に陥るので極めて危険です。

ここで注目すべきことは、最初はしっかりルールを決めてエントリーしていたことです。損切りするつもりだったにも関わらず、今回だけは戻るだろうと魔が差してナンピンしてしまいました。

誰にでも、損切りできずに損失が拡大してしまった、という経験はあるのではないでしょうか?ルールを決めてトレードしていても、ちょっとした感情の揺さぶりで、真逆の行動を取ってしまうパターンです。一度ナンピンを始めると、その後はメンタルが崩れて滅茶苦茶なトレードになってしまいます。

この悪循環は、ルールに曖昧な部分があったり、トレード経験が少ない初心者が陥りやすいパターンと言えます。

また、少ない資金でトレードする人も注意しなければなりません。なぜなら、含み損を抱えた時、ここで損切りすると取り返せないと思ってしまうからです。逆に、ナンピンして値が戻れば、一気に資金が増えるのではないかと錯覚してしまいます。

厳しいことを言うと、現実には、ちょっとした逆行で証拠金不足になって強制ロスカットされる場合がほとんどです。ちなみに、強制ロスカットの仕組みや算出が分かっていない方は、次の3つの記事をお読み下さい。

以上のような理由で、ナンピンして助かる場合もあると考えてしまう人は危険です。なぜなら、一度成功すると、何度もナンピンするようになるからです。

含み損を抱えたらナンピンするクセがつき、資金が増える前に一発で大損することになりますので、注意して下さい。もちろん、計画的なナンピンなら問題ありません。上述のように、最初は計画的なトレードでも、途中から無計画になる時も危険だということを認識しておいて下さい。

2.2. スワップ目的ナンピンは、計画していても注意

ナンピンの2つ目の大損パターンは、スワップ目的ナンピンです。

ちなみに、スワップとは、2国間通貨の金利差益のことです(スワップの知識と大損パターンは、『FXのスワップ運用で初心者が一番大損する5つの理由』をご確認下さい)。

ナンピンを前提にするということは、計画的な投資になります。先ほどの1つ目の例は無計画でしたので、この時点ではクリアしています。

ここでは、実際にナンピンする値幅と含み損を想定して、表で説明していきますね。

2.2.1. 値幅を決めてナンピンした時のシミュレーション

さて、シミュレーションで使う通貨ペアは、業界最高水準のスワップポイントが特徴の、ヒロセ通商のトルコリラ/円(TRY/JPY)です。1枚(1万通貨)の買いポジションを持っていれば、1日で100円のスワップポイントが受け取れます。

次の表をご覧下さい。これは、29円で1枚(1万通貨)買い、その後ナンピンし続けた場合の含み損の合計を表したものです。

リラ円スワップ①

 【表の見方】
29円で1枚買い、スワップ運用スタートです。

ナンピン回数:10回
表中の金額:全て含み損
表の左側:価格(26円、24円、22円・・・と2円下落ごとにナンピン)
表の上側:ナンピンする枚数(1枚、2枚、3枚・・・と1枚ずつ増加)
青い枠:ナンピンする価格帯と枚数 

赤い四角が、最初に29円で建てた1枚です。26円になると、3円(300pips)のマイナスで30,000円の含み損になります。それからは、2円(200pips)下落するごとの含み損が積み上がっていきます。

例えば、26円だと含み損-30,000円で、1枚ナンピンします。表の右側が、含み損の合計です。

20円まで下落すると、最初に建てたポジション1枚に加えて、ナンピンを3回(26円で1枚追加、24円で2枚追加、22円で3枚追加)することになり、合計7枚で含み損は-29万円になります。

この表では、トルコリラ円の価格がゼロになるまで想定しています。ゼロになる可能性はほとんどありませんが、最大の下落幅までを考慮しています。

もし価格が2円になると、表の右下にある通り、含み損は6,870,000円まで膨らみます。この時のポジションは、合計56枚(56万通貨)まで膨らんでいます。最初が1枚だったので、56倍ものポジション量になっていますね。

このナンピン方法をするために必要な資金は、最大の下落幅・枚数・含み損を考慮しても1,000万円です。逆に、1,000万円あれば、トルコリラ円の価格がゼロにならなければ、永続的にスワップを受け取ることができます。ちなみに、1年間で受け取れるスワップポイントは、枚数毎におおよそ次のようになります。

【トルコリラの1年間で受け取れるスワップポイント】

枚数 1年間のスワップポイント
1枚 36,000円
5枚 184,000円
10枚 368,000円
20枚 737,000円
30枚 1,105,000円
40枚 1,474,000円
50枚 1,843,000円

※ヒロセ通商の2018年4月のスワップポイントを元に試算

ここでは、「含み損の額 < スワップポイント」の状態にいつなるかが重要です。そうなるまでは、ポジションをホールドする必要があります。

どんなにスワップポイントが高くても、価格が下落していたらキャピタルゲイン(値上がり益)は得られず、トータルでマイナスになってしまいます。含み損に耐えながらコツコツとスワップを受け取り、何年もホールドしておけるだけの資金とメンタル的な余裕が必要です。

先ほどの例では、ナンピンする枚数を1枚ずつ増やしていきましたので、今度はナンピンする枚数を全て1枚(1万通貨)の場合を想定してみます。

次の表をご覧下さい。見方は、先ほどと同じです。

リラ円スワップ②

ナンピンを1枚しかしないと、ポジションの合計は最大でも11枚(11万通貨)で、運用資金は200万円以上あればできます。先ほどのナンピンを1枚ずつ追加する場合の必要資金は1,000万円でしたので、こちらのほうが現実的な運用です。

さて、表を見ると、2円まで下落した場合の最大含み損は177万円です。この場合も、先ほどと同じように含み損とスワップポイントの追いかけっこになります。

以上の2つの例を見ておわかりいただけたと思いますが、ナンピンする枚数によって、計画がだいぶ変わってきます。

FXを含め、投資にはハイリスク・ローリターンのものはありません。ハイリスクなら、必ずハイリターンです。ローリスクならローリターンになります。ポジションの取り方で、ハイリスク(・ハイリターン)にもローリスク(・ローリターン)にもなりえます。

2.2.2. 資金効率が悪く、メンタルが維持できない

ナンピンするということは、価格が下落している証拠です。下落しているということは、必ず含み損を抱えた状態になっているため、スワップポイントが毎日つくのを楽しみにしながら値上がりを待つしかありません。

こうなると、資金効率がとても悪くなります。価格が下落し続け、仮に5年間戻らなければ、スワップポイントが含み損を上回るまで5年間待つことになります。

待てばいい、と最初は考えるかもしれません。しかし、それはメンタルへの影響を一切考慮していません。実際にやってみると分かるのですが、資金が拘束されたまま含み損を毎日見ていると、ボディブローのように少しずつメンタルへ悪影響を及ぼしてきます。

そして、スワップ運用なんていいや、と途中で投げ出してしまうのがオチです。

このように、ナンピンをするなら、

  • 潤沢な証拠金
  • リスクが少ない資金管理
  • メンタルへの影響

も考慮しましょう。そうしないと、どんなに余裕資金でナンピンしたとしても、含み損を抱える期間が長くなるにつれてメンタルの維持が難しくなります。

2.2.3. 上昇トレンドでのスワップ運用は期待値が高い

ここまでの説明だと、スワップ運用に対してマイナスのイメージをお持ちになるかもしれません。リスクばかり取り上げていますからね。しかし、それだけ注意していただきたいということです。

上述したように、投資というのはリスクとリターンは同じです。ただ、期待値を上げることはできます。

これまでは、期待値が低い時の想定でした。ここでいう期待値が低いとは、下落相場の時です。ナンピンが続くということは、下降トレンドの最中ですね。

その逆に、上昇トレンドの時に買いポジションを持てば、値上がり益とスワップポイントの両方が狙えます。上げ方にもよりますが、メンタルへの影響も少ない上、手間があまりかからないのに利益も上がる、面白味のある運用になります。

ナンピンとは少し話が逸れますが、私はスワップ運用自体を否定するつもりはなく、次のような運用をすれば期待値が高くなると思っています。ぜひ覚えておいて下さい。

  • 上昇トレンドの時に絞る
  • 下降トレンドの時は様子見をする
  • 上昇トレンドの押し目で下げた時だけナンピンする
  • ナンピンの回数を決めて、上昇トレンドが終了したら決済する

このように、値上がり益(キャピタルゲイン)が期待できる時に、インカムゲイン(スワップポイント)を狙う戦略を取ることができれば、期待値は高くなります。

2.2.4.スワップポイントが高いFX会社を選ぶ

この項の最後に、スワップ運用をする際のFX会社を選ぶ基準をお伝えします。

スワップ運用は、スキャルピングのように売買を繰り返すわけではないので、どのFX会社で行なっても大差はないでしょう。差が出るとしたら、スワップポイントの大小です。

その中でも、私はスワップポイントが高いヒロセ通商をおすすめします。全ての通貨でトップというわけではありませんが、業界最高水準のスワップポイントを提供しています。特に、豪ドル円やNZドル円のオセアニア通貨のスワップポイントが業界トップなのが特徴です。

また、「みんかぶFX」というサイトの個人投資家の投票で、2016年と2017年の2年連続でスワップ部門の1位を獲得した実績もあります(その他のヒロセ通商の特徴については、『ヒロセ通商のレビューとスキャルピングの利益を伸ばす使い方』をご覧下さい)。

ヒロセ通商①ヒロセ通商②

3.ナンピンを活用するための心得

計画外のナンピンをしてしまうのは、損したくない感情があるからに他なりません。損失を確定させると、少なからずショックを受けますからね。しかし、毎日トレードしていれば負けもそれなりにあるので、損切りも淡々と行う必要があります。

しかし、頭ではわかっていても、最初から感情を排除するのは難しいですよね。そこで、無計画ナンピンをしない環境を作ると良いです。ここでいう環境とは、ある程度のルールのことです。自分だけのルールもあれば、テクニカル的なトレードルールに関することもあります。

ルールがないからナンピンしたくなるのです。それならば、先に作ってしまおうというのがここでの目的です。

3.1. 機会損失を受け入れる

機会損失を受け入れることは、私が決め事にしているおすすめの考え方です。ちなみに、機会損失とは、本来ならば稼げたにも関わらず、機会を逃すことで生じた(心理的な)損失のことをいいます。

今日勝ちたいという思いが強過ぎると、出来ないことまでやろうとしてしまいます。よくあるのが、天井や底でエントリーして最大の利益を叩き出したいという感情です。価格が上昇し始めた時に乗り遅れて、損した気分になったことはありませんか?

「やっぱり買っておけばよかった!」「上がると思っていた!」などと、自分の考えが正しかったかのように思ってしまうこともあるでしょう。これを「後知恵のバイアス」と言い、要は、自分に都合良く解釈してしまうことです。これは、相場の世界でよく陥ってしまう心理状態です。

これは、トレードにおいてストレス以外の何物でもありません。

これが続くと、大きな機会損失感に打ちひしがれ、勝てるようになる前に心が折れてしまいます。上手くなれば、天底を取れるようになると思う方もいるかもしれません。しかし、どんなにトレードの経験を積んでも、天底を取るのは難しいです。

私は15年以上トレードしていますが、私でも毎回チャートの天底を取るのは非常に難しいと思っています。もちろん、イメージ通りの値動きになって天底を取れる時もあります。

ただ、結果的にそうなったのであって、最初から「絶対に天底を取りに行く!」「わずかなチャンスも逃さない!」という思いは全くありません。むしろその逆で、欲張らずに「天底を取ろうとしない」ことを意識しています。

コツは、機会損失を完全に受け入れてしまうことです。

そうすると、メンタルの維持が可能になります。「あの時エントリーしておけばよかった!」と、機会損失感を持ってしまうと、その後のトレードに焦りが出てしまいます。そして、不要なエントリーが増加する、いわゆる「ポジポジ病」になってしまいます。

その日負けると、翌日には勝たなければならないと焦り、さらにポジポジ病になっていく・・・という負のスパイラルに陥ってしまいます。この焦りが、実は無計画ナンピンの根源になるのです。

そうならないために、最初から機会損失を受け入れてしまいましょう。すると、ナンピンするという行動が自ずと減ります。このように、ナンピンする心理状態と機会損失感は、実はどこか通じるものがあるのです。

3.2. 最初のポジションが順張りか逆張りかを認識する

計画的なナンピンをする場合、今の相場がトレンド相場かレンジ相場なのかによって、ナンピンする値幅やタイミングは異なります。さらに、リスクや損切りすべきポイントも違ってきます。

大切なのは、ナンピンする前の最初のポジションが、順張りと逆張りのどちらの方向へポジションを持ったのかを認識することです。

例えば、現在の相場が上昇トレンドで、本来なら順張りでエントリーしなければならないタイミングで逆張りのショート(売り)をして、含み損を抱えてしまったとします。こうなった場合は入口の段階で間違っていたと認め、ナンピンせずに速やかに損切りしなければなりません。

このような判断が適切に行えるようになるためにも、根拠を持って最初のエントリーができるようになる必要があります。

3.2.1. 押し戻しでナンピンするのが有効

ナンピンをするとしたら、トレンド相場の「押し目買い」と「戻り売り」のタイミングです。

上昇トレンドの場合、上昇→反落(押し目)→上昇(トレンド回帰)という流れが一般的です。どこまで押し目をつけるか自信が持てない場合、まずお試しで「打診買い」をして、さらに下げたらナンピン買いをする戦略が有効です。

「この価格帯より下げたらトレンドが否定される」というラインを見つけることが前提で、そのサポートラインを下抜けるまでは、トレンドフォローの戦略が適切です。

下降トレンドの場合、この逆になります。具体的には、まず「打診売り」をして、一時的に戻る動きを見せたらナンピン売りをする戦略が有効です。ちなみに、下降トレンドが否定される価格帯を上抜けたら、損切りします。

このように、ナンピンするタイミングは、トレンドフォロー中の押し目や戻りで行うのが良いでしょう。もちろん、ナンピンは必ずしも行う必要はなく、打診買いや打診売りも無理にする必要はありません。

もっと大事なことは、損益率(利食い損切り幅の割合、リスクリワード比率)、ナンピンの値幅や枚数に期待値があるかどうかです(損益率については、『バルサラの破産確率でトレード技術を飛躍的にアップさせる方法』を参考にして下さい)。

ナンピンすると、このあたりの期待値の算出が非常に難しくなるので、高度なテクニックであることは間違いありません。トレンドに乗っている間はナンピンしていれば良い、という甘い考えで、とりあえず買っておくというのは危険です。頭に入れておいて下さい。

3.2.2. ナンピンする回数も決めておく

先ほど、ナンピンをするならトレンドフォローの押し戻しのタイミングが有効であるとお伝えしました。これに加えて、ナンピンする回数まで決めておくことをおすすめします。

なぜなら、ナンピンすることに慣れてしまうと、どんどんポジションを持とうとしてしまうからです。これでは、テクニカル的な計画はあっても、ナンピンの建て方のルールがないので、結局は無計画ナンピンと同じになってしまいます。

回数を決めておかないと、すぐポジション量があなたの許容範囲をオーバーしてしまいます。そして、ちょっと逆行しただけで含み損に耐えられなくなります。

こうなると、まだ押し目の範囲内で価格が推移しているにも関わらず、大損してしまう可能性があります。損切りした箇所が絶好の押し目となり、そこから上昇したら悔しいですよね。

テクニカル的にナンピンの戦略が正しかったとしても、回数を決めずに狭い値幅でナンピンをし過ぎると、全て台無しになってしまう恐れがあります。そうならないためにも、予めナンピンの回数を決めておき、ここまで押し戻さないとナンピンはしない、という決め事をしておきましょう。

3.2.3. トレンドに逆らった無計画ナンピンは最も危険

重要なのでもう一度お伝えしますが、トレンドに逆らってポジションを持ってしまった時は、ナンピンせずに損切りしましょう。

ナンピンすればするほど、どこかで反転する確率も高くなるのは確かです。しかし、そのトレンドが値幅と継続性を伴った強烈なものだった場合、反転する前に資金が枯渇してしまいます。

特に、逆張りのナンピンは冷静さを失った無計画なことが多いので、注意が必要です。1回ナンピンすると、下げたらナンピン、また下げたら次もナンピン、という判断に固執するようになってしまいます。今さら損切りできないですからね。こうなると、底なし沼状態です。

無計画のナンピンが成功すると、味を占めて次も同じように無計画ナンピンを繰り返すので、結局は大損するまでやり続けることになります。

繰り返しになりますが、無計画ナンピンは依存性が高いです。そのため、資金が枯渇するまでナンピンしてしまいますので、トレンドに逆らっていると気付いたら、とりあえず損切りすることを強くおすすめします。

3.3. ルールに自信があるとナンピンしなくなる

FXで失敗しないためには、次の3つを徹底することが大切です(詳しくは、『FXで失敗して1000万円以上の大損をした事例と重要な教訓』をお読み下さい)。

  • 本格的にトレードを始める前に損切りルールを決める
  • 期待値の高いトレードルールを作る
  • FXの正しい知識を手に入れる

この3つのポイントは、ナンピンに限ったことではなく、FXの全てに当てはまることです。裏を返すと、無計画なナンピンをしてしまうのは、この3つがないからです。

ナンピンに走ってしまう行動を根源から断ち切り、勝ち続けるトレーダーへ進化するため、上の3つを実行するようにして下さい。毎日少しずつでもいいので、進めて下さいね。

自信のあるルールを構築すれば、自ずとナンピンはしなくなります。というのも、私が専業トレーダーとして生計を立てられるようになったのも、無計画ナンピンをしなくなってからです。

1発で大損することを避けられれば、FXはかなり優位性のある投資だと思います。

まとめ

ナンピンには、メリットもデメリットもあります。大事なことは、大損する前に、取り決めをしているかどうかです。私の場合は、運用資金が多過ぎたことや、損切りのルールがなかったため、1回目のナンピンからドツボにはまって大損してしまいました。

そうならないためにも、いくら位の資金で、どれ位のポジションが持てるかを試算してみると良いです(おすすめの資金については、「FXはいくらから始めるべきか?」をご参考下さい)。

決して、損失を無くすための、「難を平らにする」という意味でのナンピンはしないようにしましょう。そうすれば、専業トレーダーに近付くこともできるでしょう(併せて、『FXで専業になる前に現役の億トレーダーが伝えたい6つのこと』もお読み下さい)。

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ぶせな

ぶせな

専業トレーダー。認定テクニカルアナリスト。 2009年に本格的にFXをスタート。累計利益は、3年目で5千万円、5年目で1億円、10年目の2018年には1億6千万円を突破。 一時的な利益ではなく、継続的に利益を上げ続けるためにリスク管理を徹底し、短期売買の「スキャルピング」と長めに保有する「デイトレード」の2つの手法を得意とする。

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