FXはいくらからスタートするべきだと思いますか?
私がおすすめする金額は30万円ですが、多くの方は、5万円、10万円と何となく決めてしまいがちです。正直、元手の金額を適当に決めるのは、本気度が欠けている証拠です。
運用資金を基準を持って決めることは、勝ち続けるトレーダーになるための第一歩です。
なぜかというと、私自身が初心者の頃に運用資金を誤ったために、人生が終わったと思うぐらいの大損失を経験したからです。しかし、そのお陰で運用資金額の違いによるトレードへの影響を痛感しました。
この記事では、私の経験を基に、初心者がどのような基準で運用資金を決めるべきかお伝えします。ぜひ、お役立て下さい。
執筆者
ぶせな
FXの専業トレーダー。認定テクニカルアナリスト。 本格的にFXを開始してから10年で1億6,500万円の利益を突破。著書に、『最強のFX 1分足スキャルピング』『最強のFX 15分足デイトレード』(共に、日本実業出版社)がある。ツイッターアカウントは、『@busena_fx』、ブログは『億トレーダーぶせなブログ』。
1.現在の私のFXの運用資金
最初に、現在の私の運用資金をお伝えします。
私は、11年前も現在も、FXの運用資金(= 財産ではなくFX口座に預けている資金)は1,000万円です。これを元手に日々トレードをしており、利益が出て、FX口座の資金が例えば1,300万円になったら、300万円を銀行口座に移しています。
つまり、FXで運用する資金は、常に1,000万円に設定しているということです。
ただし、11年前の私は、資金管理を誤り、リーマンショックで全ての資金を失いました…(詳しくは、「FXで失敗して1000万円以上の大損をした事例と重要な教訓」で書いています)。
しかし、その後50万円で再起し、今はまた1,000万円で運用しています。
今と昔で運用資金は1,000万円で同じですが、昔は大損している一方、今は毎年利益を積み重ねています。そのため、結果は天と地ほどの差があります。
結局、元手資金がいくらであっても、スキルが無ければ失ってしまいますし、スキルがあれば増やすことができるのです。
ポイント!
どんなに運用資金があっても、スキルが無ければ失う可能性が高い。最初から大金をつぎ込むのは、極めて危険な行為である。
では、なぜ同じ運用資金でも、昔は失敗して、今の私は稼げているのでしょうか?
その理由を、次の章からお伝えします。
2.トレードには自分に見合った運用金額がある
結論からいうと、トレードには自分に見合った運用金額があり、それを見誤ると、良い結果にはなりません。成長するにつれて、運用する金額も自然と増えてくるのです。
どういうことか、詳しく説明していきます。
2.1.自分の実力以上の金額は大損する
トレード初心者の方は、「資金があればあるほど損する確率も低いだろう」と考えがちです。しかし、現実は逆です。最初は、資金があればあるほど損する確率は上がります。少なくとも、私の場合はそうでした。
なぜなら、FXで初心者が陥りがちな、「典型的な大損パターン」の行動を取ってしまったからです。その典型的なパターンとは、次の2つです。
- 損切りできずにナンピンで大損
- 損失を経験せずに勝てるようになるという思い込み
それぞれ解説していきます。
2.1.1.ナンピンで大損するケース
ナンピンとは、ポジションが含み損になった時に、損切りせずにポジション(建玉)を追加することです。このナンピンは、「下手なナンピンスカンピン」という相場格言があるぐらい、初心者がしてはいけない行為です。
ナンピンは、別の言い方をすると、損切りを後回しにする行為です。「まだこんなに余力があるんだから、今の価格の下落は問題ない。価格はいずれ上がるはずだから、今損失を確定するのではなく、逆に買い増して、上がるまで待っていよう。」と、現実逃避してしまいがちです。
確かな分析を基にした根拠のあるナンピンなら良いのですが、初心者は、損切りをして損失が確定してしまうことが嫌で、そこから逃げるためにナンピンをしてしまうのです。
今から10年以上前、必死に貯めた資金1,000万円を元手にFXを始めた私も、損切りから逃げるためにナンピンをして、1,000万円を丸々失ってしまいました…。
2.1.2.損失は必ず経験すると割り切る
私の失敗談を聞いても、「自分が全額失うなんてあり得ない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、それは現実に起こるのです。実際に、私以外にも、軽い気持ちでFXに手を出して全財産を失った人、またはそれに近い大金を失った人は大勢います。
また、何年、何十年と本当の意味で勝ち続けられるようになったトレーダーで、損失を経験していない人は皆無です。全員、程度の大小はあるとしても、失敗を犯して初めてFXの怖さを知り、その経験を乗り越えて、勝ち続けるトレーダーになっていきます。
FXを始めて、すぐに勝てるようになると思わないで下さい。何事も、上達するまでには数多くの失敗を経験して乗り越える必要があります。
勉強もスポーツも仕事も同じです。最初のうちは、リスク管理の方法も知らないし、勝ち方も分からないし、ロット(=通貨量)調整のイメージも分からず、とにかく全てにおいて経験値が足りません。そのため、資金を一度も失わずに成功することなどあり得ないのです。
それにも関わらず、最初から1,000万円で運用していたらどうなるでしょうか?
きっと、その資金の大半を失ってしまうでしょう。しかし、10万円で運用していたら、失うとしても最大10万円で済みます。もちろん、10万円でも精神には痛いですが、それを重要な教訓として受け取って、まだまだいくらでも再起できます。
これが1,000万円だと、なかなか再起できません。私が再起できたのは、本当に奇跡だと今でも思っています。
2.2.少な過ぎる資金では真剣になれない
それでは、資金量を最大限に落とすべきでしょうか?その場合は、また別の問題が出てきます。
1,000通貨から取引できるFX会社なら、1万円もあれば、ドル円を1,000通貨買えます。これぐらい少ない資金だと、失ったとしても、ほとんど落ち込まないでしょう。しかし、「負けてもまた入金すれば良い」といい加減なトレードになりがちで、集中力や真剣さを保てません。
集中力と本気の維持は、FXで成長する上で絶対に欠かせません。
FXは、「なぜ、ここで利益が出たのか」「なぜ、ここでは損失になったのか」を徹底的に深掘りして、一つ一つ改善し、期待値が高いルールを作り上げていく作業の積み重ねです。
そして、一度、期待値が高いルールを築いたら、それを毎日淡々と繰り返す。これが、トレーダーとして目指す姿です。
しかし、運用額が少な過ぎると、 このように期待値が高いルールを作るという視点が抜けて、「まあ、いいか。大丈夫だろう。」と、相場の雰囲気で上か下かを当てようとする博打的な判断をするようになってしまいます。それでは、いつまで経っても上達しません。
2.3.私が考えるFXを始めるためにおすすめの金額
以上のことから、FXをいくらから始めるかでお悩みの方に対する私の答えは、次の2つです。
この2つを考慮し、FXを始めるのに個人的におすすめの金額は、30万円です。
もちろん、人それぞれ環境が違うので、適切な資金量は異なり、30万円じゃなければダメというわけではありません。30万円というお金を失ったらとても再起できない、怖すぎるというなら、これより少なくて良いでしょう。
ただし、30万円を上回る金額から始めようとしている方は、一度立ち止まって考えて下さい。
先ほどお伝えした、「淡々と繰り返すことで、トータルでプラスになることが分かっている期待値が高い手法」は構築できていますか?経験不足のうちに大金を注ぎ込むと、そのお金は高確率で全て失うことになります。
そうなった時でも、「この損失は成長するための重要な経験」と思えますか?それとも、大切なお金を失ったショックから、自暴自棄になってしまいそうですか?
最初から、焦って大金をつぎ込むことだけは止めましょう。緊張感と集中力を適度に維持できて、かつ、最悪のケースを想定しても再起できる金額がベストです。
焦らずとも、勝ち続けるトレーダーになるために必要な経験を1つ乗り越えるごとに、あなたの口座の資金は間違いなく増えていきます。「今はこの額から始めて、必ず増やすんだ!」「そして、2~3年後は大きなロットで大きく稼ぐんだ!」というイメージをしっかりお持ち下さい。
本気でFXに取り組めば、いつか必ず実現します。
ポイント!
FXを始める金額は30万円がおすすめですが、これ以上でも以下でも問題ありません。本気になれる大きさの額、かつ、失っても再起できる小さい額のバランスを考えてみましょう。
3.確かなトレードルールを構築することの重要性
ここまで、FXをいくらからスタートするのが良いのかをお伝えしてきました。しかし、ここで終わっては、「適切な運用資金ならトレードで勝てる」という、間違った認識をする方がいるかもしれません。
実は、当記事で本当に伝えたいことは、運用額ではないのです。
私があなたに本当に伝えたいことは、「運用額がいくらかにこだわるより、確かなトレードルールを構築することのほうがはるかに重要だ」ということです。
詳しくお伝えさせていただきます。
3.1.とにかくトレードルール作りが大切!
たとえ豊富な運用資金を持っていても、確かなトレードルールがなければ、最終的には全て失ってしまうでしょう。1,000万円なら1,000万円失います。しかし、たとえ30万円、いえ10万円からのスタートだったとしても、確かなトレードルールがあれば、その資金を着実に増やせます。
FXトレーダーとして重要なのは、いくら運用しているかではありません。どのようなトレードルールを構築しているかなのです。それさえあれば、何があってもドッシリと構えていられます。
3.2.短期間で大きく稼ごうとしないこと
FXは、10万円を1年で1億円にできる夢のあるトレードだと思っている方もいるかもしれませんが、1年では不可能と思っておいたほうが良いです。
なぜなら、昔は今のようにレバレッジの上限(25倍)がなかったので、どれだけ少ない元手でも、理論的には信じられないような利益を稼げたからです。
しかし、超ハイリターンの裏側は、超ハイリスクです。人は、誰かがこの手法で〇億円稼いだ情報を目にすると、平常心を失って、目が眩んでしまいます。しかし、1人の成功者の裏には、数多くの破産者がいることを忘れてはいけません。
FXで人生を台無しにする人があまりにも多いので、金融庁は、2010年にレバレッジ上限を50倍に、2011年には25倍に制限しました。
このお陰で、今では、以前よりも真剣にFXに向き合い、本当の意味で成功する人も増えたと思います。また、レバレッジ無制限のままなら、FXは未だにパチンコや競馬と変わらないギャンブルと見られて、投資とは見られなかったと思います。
もしかしたら、以前と比べたら現在のレバレッジ25倍は小さいと感じるかもしれません。
しかし、決して小さくはありません。私でさえ、25倍のレバレッジでFXに真剣に取り組んだ結果、億を超える金額を稼ぐことができました。そのため、この記事を真剣に読んでいるあなたにも、きっとできるようになります。ただし、決して焦ってはいけません。そして、努力は必要です。
3.3.負けた姿こそイメージするべき
多くの人は、「成功者」と聞くと、常に成功イメージを持って邁進し、敗北など考えず、先頭を突っ走るイメージを持つのではないでしょうか?しかし、トレーダーとしての成功者像は、それとは異なります。
トレーダーに必須のスキルを1つ挙げるとしたら、それは、たとえ最悪の失敗をしても、確実に再起の道を残しておくというスキルです。
全財産を失ってしまうと、それこそ破産してしまいます。しかし、最悪のケースでも元手資金さえ残していれば、実力があれば再起できます。
トレード自体、リターンとリスクの等価交換です。リターンだけ求めて突っ走るという行動では、取り返しのつかないことになります。
勝った姿と負けた姿をイメージしてみましょう。本気になれる、かつ失っても再起できる金額は、このような姿をイメージすることで決まるかもしれません。これをヒントにして、あなた自身で、いくらでFXを始めるかお考え下さい。
ポイント!
FXは、運用額よりも、どんなルールでトレードしているかが大事です。また、勝つことだけでなく、負けた時のことも予め想定しておくこと。
まとめ
FXは、最初が一番大変です。手痛い損失を負って退場してしまうのも、ほとんどが最初の時期です。まだルールもなく、資金管理も適当で、安易にトレードすると退場は必然です。
FXは、すぐに勝てるような甘いものではありません。甘い考えのままでは、少しの負けでメンタルが崩れます。そして、初心者がメンタルを崩した時の典型的な行動が、ナンピンを繰り返して雪だるまのように含み損が膨れ上がって、一発退場です。
まずは、最初の山を乗り切りましょう。
私の経験を振り返ってみると、再起した時の50万円を1,000万円にするのが一番難しかったように感じます。
ただし、それが出来るようになったということは、期待値の高いトレードルールを構築できたということになります。そこからは、同じように淡々とトレードしていけば、1,000万円を5,000万円にできますし、5,000万円を1億円にすることができます。