土地活用の際にプロが行う10の土地の比較ポイントまとめ

土地活用のプロは、どんな立地を評価しどんなポイントを比較しているのか、気になる方は多いのではないでしょうか。

土地活用といえば、アパート経営というイメージを持たれている方が多いのですが、実際には、

  • 住居系:アパート、マンションなど
  • 商業系:事務所、店舗、駐車場など
  • 工業系:倉庫、太陽光、ガソリンスタンドなど

といった選択肢があります。

そして、空いている土地を、だれが、どれくらいの期間、どう使うかによって投資費用や収益が異なります。結果として、最適な土地活用の選択をすれば、不動産の売買価値が2倍、2倍になることがあります。

一言で言うなら、「土地の運用方法によって不動産の売買価値が変わる」のです。など、ここでいう不動産とは、「土地+建物あるいは構造物」のことです。また、売買価値のポイントは「収益」です。

私は元々、外資系の不動産投資銀行に勤めていました。そこでの私の仕事は不動産取得のための調査や不動産取得後の運用計画を立てて実行することでした。これまでに何千件という不動産の調査を通じてわかったことは、土地活用には「多角的な視点」と「多くの運用手法」が必要だということです。

わたしたちの視点では、

  • 土地の状況(形状、道路の幅、日当たりなど)
  • 周辺の環境状況(最寄り駅、集客施設など)
  • 地域の経済状況(人口動向、年齢や所得、街の人気度など)

などを比較することによって、多角的な視点から土地活用を考えることができます。例えば、一番上の画像のように、駅から遠くても、交通量が多く、道路からの視認性が良いと商業地としての価値が高かったりします。

また、多くの運用手法の中から最適なひとつを選び抜くうえで、私たちが使っている値付けの手法のひとつが「収益還元(しゅうえきかんげん)」です。これは、その土地から生まれる収益がいくらであるのかを逆算して値付けをする方法です。

今回は、私が様々な不動産を見た経験から、土地活用で必要となる土地の値付けと比較方法について解説します。

執筆者
横山篤司

横山篤司

不動産オーナー経営学院代表理事兼学長。 宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。 創業80年名古屋の三代目地主の家系に生まれる。父の代で相続争い、不動産売却が続き、10年前より残された数名の従業員と共に築40年を超えたビルや空き家の再生に取り組む。ニューヨーク留学帰国後、東京で外資系投資銀行のモルガンスタンレーに勤め、プロの不動産経営を学び、家業再生に活かしたことで本社建替え、借金も数年で完済することに成功。現在は東京・名古屋でビルやマンション、商業施設、駐車場等を経営。

1. 土地活用のターゲット

土地活用では、土地のうえに何を作るのかを考えることからはじまります。

まず、どんな人が、いくらで、何年くらい、この土地を使うのかというターゲットが重要となります。図のように、土地活用では、戸建>集合住宅>事務所>店舗といった順に、経営の難易度が異なります。

たとえば、一軒家の借家やマンションの一室のような自宅を貸す感覚で土地活用を始めることもできます。賃貸人から家賃を得たうえで建物管理を行い、利益を残すという賃貸ビジネスです。

しかし、事務所や店舗などのような事業用不動産を営む場合は、契約書や税金などをしっかり考える必要があります。なぜならば、住居に比べ、事務所や店舗ではトラブルや事故が起こった際の被害額が大きいからです。

次に、土地の使い方としては、住居系、商業系、工業系の3つに分かれます。

用途 利用者 土地活用例
住居系 アパート、マンション、戸建など
商業系 企業 事務所、店舗、駐車場など
工業系 物流倉庫、物販店舗、工場など

詳しくは『はじめての土地活用の前に絶対に知っておくべきノウハウまとめ』をご覧ください。

このように、土地の使い方によって、用途と、利用者に合った土地活用例を参考にするとよいでしょう。これらの知識を抑えておいたうえで、立地の状況、周辺の環境状況、地域の経済状況にあった土地活用を選択していく必要があります。

おさらいしますと、土地活用は、

・どんな人:契約者
・何年くらい:賃貸契約期間
・いくら:賃料

という3つの基本軸を抑えた上で、土地活用の最適なターゲットを絞り込んでいくことが重要です。

2. 土地の広さ

まずは、土地の広さです。

土地の広さの測り方として、1m×1mで1㎡(1平方メートル)です。

3.3㎡で1坪(つぼ)。1坪で「たたみ2畳分」です。

土地活用を行う上では、少なくとも10坪(33㎡)以上、できれば30坪(100㎡)以上の広さが望ましいとされています。

3. 土地の形状

土地の形状とは、土地の形や高低差のことを指します。土地の形状は、「整形地(せいけいち)」と「不整形地(ふせいけいち)」の2つに分けられます。

土地は正方形に近いことが望ましいとされています。

不整形地の土地の例としては、

  • L字(旗竿地:はたざおち)
  • I字(ウナギの寝床)
  • 三角地、台形地、変形地
  • 傾斜地、崖地

などがあります。

不整形地であると、一般的な整形地と比べて売買価値が低くなります。また税務上の評価も低くなり、不整形地補正率では最大40%評価が下がります。土地活用を行う上では、土地の形状がよいものを選ぶとよいでしょう。あるいは土地を2つ、3つまとめて整形地に近い状態にすることをおすすめします。

4. 正面道路の幅員(ふくいん)

正面道路の幅員とは、道路の幅を指します。

建築基準法では、建築基準法に定める道路の幅が4m以上の道路に2m以上接していない土地には、「住宅を建てることはできない」と定められています。これを接道義務(せつどうぎむ)といいます。

<事例>公道と私道の違いと建築トラブル

ここで注意したいのが、道は道でも、私道(しどう)の場合です。道には、公道と私道の2種類があります。

簡単に説明しますと、道路を管理するのが公共機関の道=公道なのか、私人が作って管理する道=私道の違いがあります。私道は、建築基準法では、そもそも道路ではなく通路という扱いになります。

ですからここは広い道路だから大丈夫だと思って不動産を購入したら、あとで他人の土地の通路だったから土地活用ができなくなったという話もよくあります。

写真:敷地の奥に土地がある場合は建物が建たないことがある

5. 間口(まぐち)

間口とは、道路と土地の接している長さを指します。

この間口が広ければ、建物を建築した際に目立ちますので、商売に適していると言えます。

土地活用では、間口の広さと、道路からの視認性が、収益性を大きく引き上げる要素のひとつとなります。

6. 建物の高さと建築条件

建物を建てる際には、建物が何階建てることができるのかを調べておきましょう。

これを調べる上で2つも情報を抑えておきましょう。

  • 容積率(ようせきりつ)―どれぐらいの大きさの建物を建てることができるかという指標。建物の延べ床面積の敷地面積に対する割合のこと。
  • 建ぺい率(けんぺいりつ)―敷地いっぱいに建物を建てることができるかという指標。敷地面積に対する建築面積(建坪)の割合のこと。

貸し出す面積が大きければ、その分だけ賃料が多く入ることを覚えておきましょう。

7. 日当たり

日当たりとは、太陽の光が日中どれだけあたるかということを指します。

昔から、「住宅地ならば南東角地」が最高だと言われています。

また、「商業地ならば北西」というのを知っていますでしょうか?これは商売を営む上で、日が長くあたってしまうと野菜などの商品が傷んでしまうと言われているからです。

ただし、日影規制(にちえいきせい)といって、隣に高い建物が建っていた場合には、高さ制限を受けてしまうことがあるので、隣地の土地活用状況もしっかり確認しましょう。

8. 最寄りの公共交通機関

駅、バスなどの最寄りの公共交通機関を確認しましょう。

また、その駅の乗降客数や、主要都市へのアクセスなどの経路も調べておきましょう。

プロが実際に土地選びをする際には、

  • 公共交通機関への徒歩経路
  • 駅の東西南北の発展状況
  • 主要都市までのアクセス時間

などをチェックします。

たとえば、商店街からA駅に向かって実際に歩いている人の数なども見たりします。そこでは、家賃や相場といった数字よりも、土地活用の利用者である入居者の気持ちになって考える感覚値が大切です。

9. 周辺環境(集客性や地域性)

その土地の周辺環境を確認しましょう。ひとつは「集客性」です。

  • 人通り
  • 車の交通量
  • 視認性

たとえば、土地の目の前の道路の人通りや車の交通量です。飲食店や物販店では集客が重要なため、人通りが多ければ、その分だけ人の目につき、商売が上手くいきます。逆に住居や事務所の用途では防犯や騒音などが問題となるために、人通りが少ない方が理想とされています。

もうひとつは「地域性」です。

  • 住民の所得
  • 治安
  • 高齢化率

たとえば、地域に住む人の平均所得や治安です。住宅や商業での土地活用を考える際は、その地域に住む人の平均所得や購買意欲が高ければ、その分だけ物が売れ、家賃も高く設定することができます。

10. 特別な賃貸需要

近くにどんな特別な施設や建物があるかを調べておきましょう。

たとえば、

  • 有名な神社やスタジアム、お城など(観光)
  • 市役所や企業の営業拠点(大型施設)
  • 高速道路の降り口や幹線道路沿い(交通)
  • 学校や塾など(教育機関)

などです。

どれもわたしが実際に土地活用を提案してきた中で、これらの特別な賃貸需要を見込んだ土地活用をしたことで大きく賃料があがったことが挙げられます。

さいごに

あらためて伝えたいことは、

「対象となる土地にあった運用方法を見極めること」が肝心なポイントです

わたしたちの土地活用の視点では、

  • 土地の状況
  • 周辺の環境状況
  • 地域の経済状況

などを比較して、多角的な視点から土地活用を考えます。

たとえば大通り沿いの土地は店舗にとっては視認性が重要なので価値が高いといわれていますが、住宅では騒音や防犯面で価値が低くなってしまいます。

このように、必ずしも「最高の立地=駅から近い」ではなく、その土地の条件に適した使い方(用途)を選ぶことが大切です。

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