立ち退き交渉の依頼先と報酬相場の目安

近い将来に土地活用をしたい、築古となった借家や集合住宅、ビルなどの建て替えを考えている。

とはいえ、立ち退き交渉はいくらかかるのか?誰に頼めばよいのか?報酬はいくらくらい払えばよいのだろうか?といったような「立ち退きに関する情報」を調べている方が多いのではないでしょうか?

私もビルやマンションを所有し、建て替えをした当事者の一人でした。

私は日本の法律や判例と照らし合わせて様々な建て替え事例を研究し、実務指導をするなかで、これまで多くのプロの方とお話をしてきました。これまで、オーナーさんの多くは「弁護士にすぐ相談しなければならないのか」」という質問が多いのですが、すぐに立ち退きをするために弁護士へ相談する必要はありません。

そこでまずは立ち退きを依頼する際の依頼先や報酬相場についてお伝えします。

1.誰に立ち退きを頼むべきか?

立ち退きを行ううえでは、一般的に5つのパターンがあげられます。

  依頼先 報酬の目安
1. オーナー(本人)が行う 0円(立ち退き行為は本人あるいは弁護士以外はできない)
2. 管会社や仲介会社が行う 通常管理費+入居者移転時の成果報酬(住居一件20万円~、事務所1件30万円)※入居者移転費用は別途(立ち退き行為の前段階まで)
3. 建設会社やデベロッパーが行う 将来の建築費の10%~20%を別途請求(お金で解決)
4. 弁護士が行う 解約予告通知20万円程度。民事調停の場合は報奨金20万円、民事訴訟の場合は着手金20万円と報奨金40万円。 ※酵素、強制執行、保全の場合は別途協議。
5. 再開発組合が行う  50件以上の交渉を行う場合には、オーナー、地権者、弁護士、管理会社等が集まり、定例会議、調査、交渉を行っていく

その際に、入居者に対しては移転費用が別途かかります。

入居者移転費用想定

・賃料 

・引越し代、仲介料

・店舗補償(休業補償)

・その人の生活費など

・原状回復費用+新たな場所での店舗内装費用 

・弁護士費用など

1.1 オーナー(本人)が行う

オーナー(本人)が立ち退き行為を行うことです。

入居者との交渉は、法律上、本人あるいは法律で定められた代理人以外は行うことができません。この法律に反したことを行えば非弁行為となり罰則があります。

非弁行為(ひべんこうい)
「弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない」(弁護士法72条抜粋)

実際に立ち退き行為を行う場合は、オーナーが直接行うことはおすすめできません。

なぜならば、最終決定権者であるオーナーが入居者と交渉を行えば、無用なトラブルが起きたり、感情がぶつかり合ってしまうため、揉めてしまうことが懸念されるからです。

そこで私がおすすめすることは、立ち退き行為となるまでに、しっかりと前準備を行い、立ち退き行為となるまえに入居者と合意を結ぶことです。

1.2 管理会社や仲介会社が行う

立ち退きの経験がある管理会社や仲介会社に依頼して行うことです。

つまり、建物の管理業務の一環で、入居者に対して代替物件を紹介したり、日々の悩みを解決するために良好な関係を築いたうえで、入居者に移転をして頂くことです。

その理由として、入居者には移転までに十分な時間と、精神的な余裕を確保してあげたいからです。

たとえば、みなさんが入居者の立場であったとき、急に弁護士から6カ月以内の入居契約の解約予告通知や明け渡し請求がきたらどう思いますか?

立ち退きの経験の少ない弁護士が、よくこういった乱暴な通知をおこない、無理矢理に明け渡し請求を行ったり、裁判になるケースがあるのです。

ですから、入居者への配慮として十分な時間と精神的な余裕を考えて立ち退き交渉となるまえに移転をして頂くことが大切です。

1.3 建設会社やデベロッパーが行う(お金で解決)

建て替えをする建設会社やデベロッパーに立ち退きも依頼して行うことです。

当然ではありますが、建て替えをする際は、すべての入居者が建物から立ち退いて頂かないと、次の建物を建てることができません。その結果、1人でも建物の明け渡しを拒んでしまえば、その分だけ建て替え時期が長引いてしまいます。

そこで、建て替えをする建築会社や開発会社に立ち退きを依頼することも有効です。

その代わり、業者は余裕をもって立ち退きが行えるように予算を多めに見積もります。立退き行為には、店舗補償、弁護士費用、慰謝料など想定範囲外の費用がかかるため、すべてお任せする場合は建て替え費用の10%~20%になることも覚悟しましょう。

→立ち退き費用の6つの条件を参考にしましょう

ですから、自分で立ち退きを行うことが難しい場合にはお金を多く払って業者にお任せすることも選択肢の一つです。

1.4 弁護士が行う

本人の代わりとして、弁護士に依頼して立ち退きを行うことです。

弁護士が関わる場合は、ステージ3である明け渡し請求や解約予告通知からが主な業務となります。

具体的に言えば、弁護士が入居者に対して1件1件交渉を行ったり、立ち会うことは現実的ではありません。

ですから、入居者のなかで、すでにトラブルとなっている、明け渡しを拒んでいる入居者にには、最初から弁護士に依頼して立退き交渉を早めに始めることも選択肢の一つです。

1.5 再開発組合が行う(オーナー、地権者、弁護士、管理会社等)

本人が主導し、再開発組合をつくって立ち退きを行うことです。

再開発組合では、組合をつくることで、その組合員が立ち退き交渉にあたることができます。そのために必要となる予算や、戦略を立てるだけでなく、交渉するための人材確保、交渉経緯を記録していくための事務員なども雇います。

最低でも50件以上の入居者に対して立ち退きを考えていく場合には、再開発組合をつくることが有効です。

私のビルでは、100件の入居者(住居、事務所、店舗)に対して交渉をしていった結果、5年以上の歳月をかけて、立ち退き料の予算の1/3、裁判に至ったのは入居者の3%まで費用削減することができました。

こちらについては、こちらのサイトもご覧ください。不動産MBA

2. 立ち退きの流れと実例

ここで私の紹介をさせていただきます。

私は企業やオーナーから直接依頼を受けて、顧問として、建て替えに関するアドバイスをしています。その経験から言えることは、オーナーの十分な理解が実行には不可欠であると考えています。なぜならば、立ち退きをおこなうなかで、目に見えないお金や、想定外の支出が非常に多いため、自分で立ち退きを行う場合は相当な覚悟が必要だからです。

私が実際に受け持つ場合は、これらの情報をしっかりと理解いただいたうえで、実行段階で戦略立案をしています。

たとえば、立ち退きの流れは以下のようになります。

交渉ステージ <立ち退きの流れ>
ステージ1 立ち退きをはじめるまでの事前調査及び準備
ステージ2 立ち退きの正当事由への理解
ステージ3 明け渡し請求と解約予告通知
ステージ4 立ち退き交渉
ステージ5 明け渡しもしくは裁判へ

オーナーであるみなさんにお伝えしたいことは、ステージ1のときに、しっかりと入居者に対する事前説明や、定期借家契約を結ぶなどして契約書を整理することが、一番費用が少なく成ります。

これは病気にもいえることですね。

建物も人の体とおなじく、老朽化することで、突発的な費用がかかります。その状況が悪化してしまうと、その修繕に多くの費用がかかってしまうのです。

特に立ち退きにおいては、ステージ3からステージ4の状態になってから相談となりますと、弁護士費用、立退き費用、店舗補償費用が多くかかるのです。

ですから、改めて申し上げるとするならば立退き費用に相場はありません。

しかし、立ち退き料を下げること、しっかり費用をコントロールすることで、立ち退きを成功に導くことができます。

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執筆者
横山篤司

横山篤司

一般社団法人不動産オーナー経営学院の代表理事/学長。宅地建物取引士、事業承継マネージャー、マンション管理業務主任者の資格を保有。 これまで日本で10,000人以上のオーナーと話し、事例や成功体験を研究。創業80年名古屋の三代目地主の家系に生まれる。ニューヨークでの大学院留学、東京で外資系投資銀行のモルガンスタンレーに勤め、プロの不動産投資を学び、家業再生に活かしたことで事業再生、借金を数年で完済することに成功。現在はビルやマンション、商業施設、駐車場等を経営。 中小企業庁主催「事業承継セミナー2017」モデル企業登壇/不動産オーナー後継者の会/JFMA「不動産MBA」研究員/週刊ビル経営「建替え経営学」連載/全国賃貸住宅新聞/住宅新報/月刊不動産流通(宅建協会)ほか。

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