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会社に眠っている余剰資金、預けっぱなしでいいのか。社長が知っておく置き場の基本

· 投資の教科書 編集部

会社に眠っている余剰資金、預けっぱなしでいいのか。社長が知っておく置き場の基本

この記事で手に入るもの

  • 「手元にいくら残すか」を自社の数字で決める手順
  • 預金・定期預金・国債・MMFの違いが1枚でわかる比較表
  • いまの金利の水準と、1年前から何が変わったか
  • AIに自社の資金の置き場を整理させる頼み方の文例

結論

  1. 政策金利は2026年9月に1.25%程度になり、預金金利や国債の利回りも1年前より上がって、置き場の違いが受け取る利息の差としてはっきり表れるようになりました
  2. 置き場を考える前に、毎月の支出や大きな支払いをもとに「手元に残す額」を自社の数字で決めます
  3. 預金・定期預金・国債・MMFは元本の扱い・引き出しやすさ・預金保険の有無が違うので、「使う時期」と「満期」をそろえて考えるのが基本です

会社の口座に、しばらく使う予定のないお金が置いてある。そういう会社は少なくありません。

これまでは、どこに置いても利息はほとんどつきませんでした。ところが、ここ1〜2年で金利の水準がはっきり上がりました。同じお金でも、置き場を整理するだけで受け取る利息が変わる時代になっています。

この記事では、特定の商品をすすめるのではなく、置き場ごとの「性格」の違いを整理します。読み終えたら、自社のお金を「すぐ使う分」「しばらく使わない分」に分けて考えられるようになります。

いまの金利はどうなっているか

まず、数字を確かめておきます。

日銀の政策金利は1.25%

日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物。銀行どうしが1日だけお金を貸し借りするときの金利)を1.0%程度から1.25%程度に引き上げることを決めました。9月24日から適用されています。

この1年ほどの動きは次のとおりです。

時期 政策金利
2025年12月 0.75%程度に引き上げ
2026年6月16日 1.0%程度に引き上げ(6月17日から適用)
2026年9月18日 1.25%程度に引き上げ(9月24日から適用)

預金金利も上がっている

政策金利に合わせて、銀行の預金金利も上がっています。

  • 三菱UFJ銀行は9月18日、円普通預金の金利を年0.40%から年0.50%に引き上げると発表しました。適用は2026年11月2日です。三井住友銀行、みずほ銀行も同じ水準への引き上げを発表したと報じられています
  • 定期預金も見直されています。たとえば三菱UFJ銀行は2026年8月3日に円定期預金の金利を改定し、1年物を年0.500%、5年物を年1.000%としました(その後の改定の有無は、同行のホームページで確かめてください)

金利は銀行・期間・金額によって違い、予告なく変わります。自社の取引銀行の店頭表示やホームページで、最新の数字を必ず確かめてください。

国債の利回りは1年前の約2倍

財務省が公表している国債の利回り(市場で売り買いされている価格から計算した、1年あたりの収益の割合)は、次のように上がっています。

期間 2025年10月15日 2026年10月15日
1年 0.724% 1.652%
2年 0.900% 1.913%
5年 1.199% 2.331%
10年 1.662% 2.948%

※ 財務省「国債金利情報」より。個人や会社が実際に買うときの利率とは異なります。

数字から言えるのは、「どこに置いても同じ」だった時代は終わったということです。置き場の違いが、受け取る利息の差としてはっきり表れるようになりました。

手順1:手元にいくら残すかを決める

置き場を考える前に、「すぐ使えるように残しておく額」を決めます。ここを先に決めないと、必要なときにお金が引き出せなくなります。

何か月分を残すかに、決まった正解はありません。業種や売上の季節変動、借入の状況によって変わるからです。ただ、自社の数字で次のように考えると決めやすくなります。

  1. 毎月必ず出ていくお金を出す:給与、家賃、借入の返済、仕入の支払いなど
  2. 入金と出金のずれを確かめる:売上の入金が翌月末、仕入の支払いが当月末、といったずれがあれば、その分を上乗せする
  3. 年に何回かある大きな支払いを書き出す:賞与、納税、設備の更新など。いつ、いくら出ていくかを月ごとに並べる
  4. 売上が止まったら何か月もつか、を自分で決める:たとえば「3か月は売上ゼロでも払える」など、社長が安心できる月数を決める

ここで出た額が「すぐ使う分」です。残りが「しばらく使わない分」、つまり置き場を考えてよいお金になります。

さらに「しばらく使わない分」を、1年以内に使う可能性がある分と、数年は使わない分に分けておくと、次の比較表が使いやすくなります。

手順2:置き場ごとの性格を知る

会社のお金の主な置き場を、「元本(預けた金額そのもの)がどうなるか」「すぐ引き出せるか」の2つの軸で比べます。

置き場 元本 すぐ引き出せるか 預金保険 向いているお金
普通預金 減らない いつでも 対象(1,000万円まで+利息) すぐ使う分
決済用預金(当座預金など、利息がつかない預金) 減らない いつでも 全額保護 支払いに使うお金
定期預金 減らない 満期まで原則そのまま。途中解約はできるが、利息が低い利率になる 対象(1,000万円まで+利息) 1年以内〜数年使わない分
新窓販国債(2年・5年・10年の固定金利) 満期まで持てば額面で戻る。途中で売ると、そのときの値段次第で増えることも減ることもある 市場で売れる。国が買い取る制度はない 対象外 満期まで使わないとわかっている分
個人向け国債プラス(2027年1月発行分から、一部の法人も購入可の予定) 額面で戻る(途中換金も同じ) 発行から1年たてば換金できる。直前2回分の利子相当額(税引前)×0.79685が差し引かれる 対象外 1年以上使わない分
MMF(短期の国債などで運用する投資信託) 保証されない(運用の結果で変わる) 比較的早く換金できるが、商品ごとに条件が違う 対象外 預金より利回りを重視したい、すぐ使わない分

ひとつずつ補足します。

預金:預金保険の範囲を知っておく

預金保険制度では、利息のつく普通預金や定期預金は、1つの金融機関ごとに、1つの法人あたり元本1,000万円までとその利息が保護されます。会社名義の預金と、社長個人の預金は別々に数えます。

一方、当座預金のように「利息がつかない・いつでも引き出せる・決済に使える」の3つを満たす決済用預金は、金額にかかわらず全額保護されます。

新窓販国債:会社でも買える国債

「新窓販国債」は、銀行・証券会社・郵便局などの窓口で毎月買える国債です。財務省によれば、個人だけでなく法人や団体も購入できます。

  • 満期は10年・5年・2年の3種類。すべて固定金利で、利子は半年ごとに年2回
  • 最低5万円から5万円単位。1回の申込みで、種類ごとに額面3億円まで
  • 利率は、直近に入札で発行された同じ年限の国債と同じ
  • 国による途中の買い取りはなく、途中で手放すときは市場で売る。金利が上がっていると、売るときの値段は下がる

つまり「満期まで持つ」と決めたお金に向いた置き場です。初めて買うときは、金融機関に国債の振替口座を開く必要があります。

個人向け国債プラス:2027年1月から一部の法人にも

これまで個人しか買えなかった「個人向け国債」は、2026年12月募集分(2027年1月発行分)から、一部の法人も買えるようになる予定です。商品名は「個人向け国債プラス」に変わります。

対象は、金融商品取引法の「特定投資家」にあたらない法人です。財務省は、資本金5億円未満の非上場の株式会社、合同会社などを例に挙げています。上場会社や、資本金5億円以上と見込まれる株式会社は対象外です。

  • 満期は10年(変動金利)・5年(固定)・3年(固定)。1万円単位で、購入の上限はなし
  • 金利の下限は0.05%
  • 発行から1年たてば換金でき、元本は額面どおり戻る(直前2回分の利子相当額は差し引かれる)

ただし財務省は、金融機関によってはシステム対応の関係で法人への販売開始が遅れる可能性がある、としています。取引のある金融機関に、いつから扱うかを確かめてください。

MMF:元本保証のない投資信託

MMF(マネー・マネージメント・ファンド)は、短期の国債など安全性の高いものに投資する投資信託です。預金ではないので、元本は保証されず、預金保険の対象でもありません。

円建てのMMFは、マイナス金利のもとで2016年に募集が止まっていました。2025年12月には、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が2026年の販売開始を目指すと発表し、まず機関投資家向けに売り出す計画だと報じられています。

どこで、どの条件で買えるかは2026年10月時点でも動いている最中です。検討するときは、取引のある証券会社に、取り扱いの有無、法人が買えるか、換金にかかる日数と費用を確かめてください。

手順3:「すぐ使う分」と「使わない分」を表で並べる

ここまでの話を、自社の数字でまとめるとこうなります。

お金の分け方 考え方 合う置き場の例
すぐ使う分(手順1で出した額) いつでも、確実に引き出せることが最優先 普通預金、決済用預金
1年以内に使う可能性がある分 引き出しやすさと金利のバランス 短めの定期預金など
数年は使わない分 使う時期と満期を合わせる 定期預金、新窓販国債、個人向け国債プラス(対象になる場合)など

大事なのは、「使う時期」と「満期」をそろえることです。いつ使うかわからないお金を長い満期の商品に入れると、途中で手放すときに利息が減ったり、値段が下がったりします。

なお、ここに並べたのは置き場の「性格」の例です。どれを選ぶかは、自社の資金計画と、取引金融機関の説明をもとに判断してください。

手順4:AIに自社の資金の置き場を整理させる

数字の整理はAIに手伝ってもらうと早く終わります。ChatGPTかClaudeに、次の文面をコピーして貼り付けてください。【 】の中だけ書き換えます。

→ どちらを使えばいいか迷ったら:ChatGPTとClaude、社長はどっちを使えばいい?(社長のAIの教科書)

文例1:手元に残す額を計算する

当社の資金繰りを整理したいので、計算を手伝ってください。

・毎月必ず出ていくお金:給与【 】万円、家賃【 】万円、借入返済【 】万円、仕入【 】万円、その他【 】万円
・売上の入金のタイミング:【例:月末締め翌月末入金】
・今後12か月の大きな支払い:【例:7月と12月に賞与 各300万円、5月に納税 約800万円】
・売上がゼロになっても払えるようにしておきたい月数:【 】か月

1. 毎月の固定的な支出の合計
2. 手元に残しておくべき額(計算の過程も見せてください)
3. 今後12か月で、手元のお金が一番少なくなりそうな月

数字は私が書いたものだけを使い、足りない情報は推測せず「不明」として質問してください。

文例2:お金を「使う時期」で3つに分ける

当社の預金残高は合計【 】万円です。
文例1で出した「手元に残す額」は【 】万円でした。

残りのお金を、次の3つに分ける表を作ってください。
・すぐ使う分
・1年以内に使う可能性がある分
・数年は使わない分

分けるときに、社長の私に確認すべき質問があれば、先に3つまで聞いてください。
特定の金融商品をすすめるのではなく、それぞれの分け方に合う置き場の「性格」(元本の扱い、引き出しやすさ、預金保険の対象かどうか)を添えてください。

文例3:取引銀行に聞くことをまとめる

会社の余剰資金の置き場を見直すため、取引銀行と証券会社に確認したいことがあります。
次のテーマについて、面談で聞くべき質問を、それぞれ3つずつ作ってください。

・定期預金(途中解約したときの利率、期間ごとの金利)
・新窓販国債(法人での購入手続き、振替口座の開設、途中で売るときの扱い)
・個人向け国債プラス(当社が対象になるか、いつから扱うか)
・MMF(取り扱いの有無、法人が買えるか、換金にかかる日数と費用)

質問は、専門用語を使わず短い文にしてください。

AIに渡すのは、金額や支払いの時期だけで十分です。口座番号や取引先の名前などは入れないでおきましょう。

また、AIは金利の最新の数字を間違えることがあります。金利や商品の条件は、必ず金融機関や財務省・日銀の公式情報で確かめてください。

よくある質問

会社の手元資金は何か月分残せばいいですか?

何か月分を残すかに、決まった正解はありません。業種や売上の季節変動、借入の状況によって変わるからです。毎月必ず出ていくお金、入金と出金のずれ、年に何回かある大きな支払いを書き出し、「売上が止まったら何か月もつか」を社長が決めると、自社の額が出しやすくなります。

法人の預金は預金保険でいくらまで守られますか?

利息のつく普通預金や定期預金は、1つの金融機関ごとに、1つの法人あたり元本1,000万円までとその利息が保護されます。会社名義の預金と、社長個人の預金は別々に数えます。当座預金のように「利息がつかない・いつでも引き出せる・決済に使える」の3つを満たす決済用預金は、金額にかかわらず全額保護されます。

法人でも国債は買えますか?

「新窓販国債」は、財務省によれば個人だけでなく法人や団体も購入できます。満期は10年・5年・2年の3種類で、最低5万円から5万円単位です。また「個人向け国債プラス」は、2026年12月募集分(2027年1月発行分)から、特定投資家にあたらない一部の法人も買えるようになる予定です。

MMFは元本保証されますか?

MMFは短期の国債など安全性の高いものに投資する投資信託ですが、預金ではないので、元本は保証されず、預金保険の対象でもありません。どこで、どの条件で買えるかは2026年10月時点でも動いている最中です。検討するときは、取引のある証券会社に取り扱いの有無、法人が買えるか、換金にかかる日数と費用を確かめてください。

まとめ

  1. 政策金利は2026年9月に1.25%程度になり、預金金利や国債の利回りも1年前より上がっている
  2. 置き場を考える前に、「手元に残す額」を自社の数字で決める
  3. 預金・定期預金・国債・MMFは、元本の扱い・引き出しやすさ・預金保険の有無がそれぞれ違う
  4. 新窓販国債は法人も買える。個人向け国債プラスは2027年1月発行分から一部の法人も買える予定
  5. 「使う時期」と「満期」をそろえるのが基本

次の1か月でやることは2つです。文例1で「手元に残す額」を出すこと。そして、取引銀行の担当者に、いまの定期預金の金利と、国債の取り扱いを聞いてみることです。

※ この記事は、会社の資金の置き場の仕組みを説明するもので、特定の金融商品の購入をおすすめするものではありません。

参考

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