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「AI関連株」とは結局なにか。半導体・データセンター・電力までお金の流れを整理

· 投資の教科書 編集部

「AI関連株」とは結局なにか。半導体・データセンター・電力までお金の流れを整理

この記事で手に入るもの

  • 「AI関連株」と呼ばれる会社が、7つの段階に分かれることがわかる
  • 各段階にどのくらいのお金が流れているか(公的な統計・決算の数字つき)
  • 自社の業界がこの流れのどこに関係するかを考える問いと、AIへの頼み方

結論

  1. 「AI関連株」は、AIの会社だけでなく、AIにお金が流れる7つの段階(AIサービス、クラウド、半導体の設計・メモリ・製造、製造装置・素材、電力・冷却・送電)に乗っている会社をまとめた呼び方です
  2. 2026年の世界のAI支出は約2.7兆ドルの予測で、半分以上が設備(インフラ)に向かい、大手クラウド4社の設備投資の計画が全体を左右します(ガートナー)
  3. 電気工事・部品加工・材料の卸・運送など中小企業も流れに関係していることがあり、取引先が7段階のどこにいるかを確かめると受注の先行きが読みやすくなります

ニュースでよく聞く「AI関連株」。実は、AIそのものを作っている会社だけを指す言葉ではありません。

AIを動かすには、データセンターが要ります。データセンターには半導体が要り、半導体を作るには装置と素材が要ります。そして全部を動かすには電気と冷却が要ります。AIに払われたお金は、この順番で次々と流れていきます。 その流れに乗っている会社が、まとめて「AI関連株」と呼ばれています。

流れがわかると、ニュースの読み方が変わります。「どの段階の話か」がわかれば、自社の取引先や仕入れにどう効くかも見えてきます。

まず全体の大きさ:2026年のAI支出は約2.7兆ドル

米調査会社ガートナーは2026年9月、世界のAI関連の支出が**2026年に約2.7兆ドル(前年比49.5%増)**になるという予測を出しました。内訳を見ると、お金がどこに向かっているかがわかります。

分野 2025年 2026年(予測) 2027年(予測)
AIインフラ(データセンター・サーバー・半導体など) 9,819億ドル 1兆4,844億ドル 1兆9,777億ドル
AIサービス(導入支援・運用など) 4,340億ドル 5,765億ドル 7,457億ドル
AIソフトウェア 2,882億ドル 4,616億ドル 6,564億ドル
合計 1兆7,867億ドル 2兆6,705億ドル 3兆6,373億ドル

(ガートナーの表から主な分野を抜き出したもの。合計にはほかの分野も含みます)

2026年は、全体の半分以上(約56%)が「インフラ」、つまり設備に使われる見込みです。AIのお金は、まず「作る・動かす」側に大きく流れていることがわかります。

→ 市場規模や投資額の数字をもっと見るなら:AIの市場はどこまで大きくなる?(社長のAIの教科書)

お金の流れは7つの段階

AIに払われたお金が流れていく順番を、表にしました。上から下へ、お金が流れていきます。

段階 何をしているか 代表的な企業(例) お金の大きさを表す数字
① AIサービス ChatGPTのようなAIを、会社や個人に売る OpenAI、Anthropic、Google、Microsoft AIソフトウェアへの支出:2026年4,616億ドル(ガートナー予測)
② クラウド・データセンター AIを動かす計算機を大量に並べて貸す・使う Microsoft、Amazon、Google、Meta 大手4社の2026年の設備投資計画:合計約7,250億ドル(報道による集計)
③ 半導体の設計 AIの計算をする半導体を設計する NVIDIA、AMD NVIDIAのデータセンター部門の売上:1,937億ドル(2026年1月期)
④ メモリ AIの計算に使う大量のデータを置く半導体 SK hynix、Samsung、Micron メモリの世界市場:2026年8,039億ドル、前年比約3.5倍(WSTS予測)
⑤ 製造(受託製造) 設計図どおりに半導体を作る TSMC TSMCの売上:2026年7〜9月期だけで467億ドル
⑥ 製造装置・素材 半導体を作る機械と、材料のシリコンウエハーなど ASML、東京エレクトロン、信越化学工業 ASMLの2026年売上見通し:440億〜450億ユーロ
⑦ 電力・冷却・送電 データセンターに電気を届け、熱を冷やす 電力会社、電源・冷却設備のVertivなど データセンターの電力使用量:2024年415TWh → 2030年約945TWh(IEA予測)

※ 企業名は、その段階の説明のための例です。

以下、段階ごとにひとことずつ説明します。

① AIサービス:お金の入口

私たちがAIの利用料を払う先です。会社がChatGPTやClaudeの月額料金を払うと、お金はまずここに入ります。

ただし、この段階の会社は、売上の多くを次の段階(計算機の利用料)に払っています。入口は大きくても、手元に残るとは限りません。

② クラウド・データセンター:いちばん大きな「買い手」

Microsoft、Amazon、Google、Metaの4社は、AIのための設備に巨額のお金を使っています。報道の集計では、2026年の設備投資の計画は4社で合計約7,250億ドルです。

この4社が「何をどれだけ買うか」が、その下の段階すべての売上を左右します。大手クラウドの決算で設備投資の計画が上がるか下がるかは、AI関連のニュースの中でもっとも影響が大きい数字の1つです。

③ 半導体の設計:AIの「頭脳」を作る

AIの計算に使う半導体(GPUなど)を設計する会社です。代表はNVIDIAで、2026年1月期のデータセンター部門の売上は1,937億ドルでした。

NVIDIAは設計に集中していて、自社では工場を持っていません。実際に作るのは⑤のTSMCです。

→ NVIDIAのCEOがAIについて何を語ってきたかは:ジェンスン・フアンのAI発言録(社長のAIの教科書)

④ メモリ:いま最も伸びている部分

AIは大量のデータを一度に扱うため、計算する半導体のすぐそばに、速くて大容量のメモリ(HBMと呼ばれる高性能品など)が必要です。

半導体の業界団体WSTSは2026年6月、メモリの世界市場が2026年に前年比249.5%増の8,039億ドルになると予測しました。半導体全体(1兆5,112億ドル)の半分以上をメモリが占める計算です。

⑤ 製造:設計図を形にする

設計された半導体を、実際に工場で作る段階です。最先端品を大量に作れる会社は限られ、TSMCがその代表です。2026年7〜9月期の売上は467億ドルで、前年同期より50.9%増えました。

⑥ 製造装置・素材:工場のさらに上流

半導体工場に機械と材料を売る段階です。

  • 露光装置:回路を焼き付ける機械。最先端の「EUV」と呼ばれる方式の装置を作れるのは、オランダのASMLだけです
  • そのほかの製造装置:膜をつける、削る、洗う、検査するなど。日本の東京エレクトロンなどが大手です
  • 素材:半導体の土台になるシリコンウエハーでは、信越化学工業などの日本企業が大手です

ASMLは2026年10月、今の計画のままでは2027年と2028年の装置の供給が需要に追いつかない見込みだと発表しました。上流ほど、何年も先の注文が入っているのが特徴です。

この段階は日本企業が強い分野で、関連する部品・加工・物流の中小企業も多くあります。

⑦ 電力・冷却・送電:すべての土台

データセンターは大量の電気を使い、大量の熱を出します。

国際エネルギー機関(IEA)によると、データセンターの電力使用量は2024年に約415TWh(世界の電力の約1.5%)。2030年には約945TWhと倍以上になる見込みです。これは、いまの日本全体の電力使用量を少し上回る量です。

電気を作る発電所、電気を運ぶ送電線、電気を整える電源設備、熱を冷やす空調・液体冷却の設備。どれも工事と保守が要ります。建設・電気工事・空調といった身近な業種にも、AIのお金が流れてくる段階です。

段階ごとに「業績を左右するもの」が違う

同じ「AI関連」でも、段階によって業績が何で決まるかは違います。ニュースを読むときの物差しにしてください。

段階 業績を左右しやすいもの
① AIサービス 利用者・契約企業の数、利用料の値下げ競争
② クラウド・データセンター 設備投資を回収できるだけのAI売上が出るか
③〜⑤ 半導体(設計・メモリ・製造) ②の大手がどれだけ買うか、最先端品をどれだけ作れるか
⑥ 製造装置・素材 半導体工場の新設・増設の計画
⑦ 電力・冷却・送電 データセンターの建設計画、電力の確保、地域の許認可

なお、ガートナーは2026年10月14日、AIの設備投資のうち3.5兆ドルを超える分が、2030年末までに価値の切り下げ(減損)を迫られる可能性があるという予測も出しています。お金が大きく流れていることと、全員がもうかることは別の話です。

自社の業界はこの流れのどこに関係するか

「AI関連」は、上場している大企業だけの話ではありません。年商1〜10億円の会社でも、次のような形で流れに関係していることがあります。

自社の業種(例) 関係しやすい段階
電気工事・空調・設備工事・建設 ⑦(データセンターや工場の建設・保守)
金属・樹脂の部品加工、精密加工 ⑥(製造装置の部品)
化学品・ガス・資材の卸 ⑥(半導体工場で使う材料)
運送・倉庫 ⑤⑥(装置・部材の輸送)
ITの受託開発・システム販売 ①(AIサービスの導入支援)
人材派遣・技術者派遣 ⑤〜⑦(工場・データセンターの立ち上げ)

次の3つの問いで、自社の位置を確かめてみてください。

  1. 売上の上位10社の取引先のうち、上の7段階のどこかに入る会社はあるか
  2. その取引先の、さらに先の顧客はどこか(自社が直接でなくても、2段先でつながっていることがある)
  3. ここ1年で、その取引先からの注文は増えているか、減っているか

当てはまる取引先があれば、その会社や、その会社の顧客の決算を見るだけで、自社の受注の先行きが少し早く読めるようになります。

AIに聞く文例

自社の位置づけを考えるときは、次の文面をそのまま使えます。【 】の中だけ書き換えてください。

当社は【業種・事業の説明を1〜2行】の会社で、年商は【〇億円】です。
主な取引先は【業種や会社名を3〜5社】です。

AIにお金が流れる経路を、次の7段階で考えます。
① AIサービス ② クラウド・データセンター ③ 半導体の設計 ④ メモリ
⑤ 半導体の製造 ⑥ 製造装置・素材 ⑦ 電力・冷却・送電

1. 当社と取引先は、それぞれどの段階に関係しそうですか(関係がなければ「なし」)
2. 関係があるなら、その段階の景気が当社の受注に届くまでの道筋を説明してください
3. 次の1か月で、当社が確かめるとよい数字やニュースを2つ挙げてください

推測の部分は「推測」と明記し、根拠のない数字は書かないでください。

もう1つ、ニュースを読むときに使える文面です。

次のニュースは、AIにお金が流れる7段階
(① AIサービス ② クラウド・データセンター ③ 半導体の設計 ④ メモリ
⑤ 半導体の製造 ⑥ 製造装置・素材 ⑦ 電力・冷却・送電)
のうち、どの段階の話ですか。
その段階の動きが、上流・下流のどの段階に影響しそうかも、短く説明してください。

【ニュースの本文や要点を貼り付ける】

よくある質問

AI関連株とはどんな会社のことですか?

AIそのものを作っている会社だけを指す言葉ではありません。AIを動かすデータセンター、その中の半導体、半導体を作る装置と素材、全部を動かす電気と冷却まで、AIに払われたお金が流れていく段階に乗っている会社をまとめて「AI関連株」と呼んでいます。この記事では、その流れを7つの段階に分けて整理しています。

世界のAI支出はどのくらいですか?

米調査会社ガートナーは2026年9月、世界のAI関連の支出が2026年に約2.7兆ドル(前年比49.5%増)になると予測しました。そのうち全体の半分以上(約56%)が、データセンター・サーバー・半導体などのインフラに使われる見込みです。

AI関連でいま最も伸びているのはどこですか?

メモリと電力の伸びが特に大きくなっています。半導体の業界団体WSTSは、メモリの世界市場が2026年に前年比249.5%増の8,039億ドルになると予測しました。国際エネルギー機関(IEA)によると、データセンターの電力使用量は2024年の約415TWhから、2030年には約945TWhと倍以上になる見込みです。

中小企業もAI関連のお金の流れに関係していますか?

年商1〜10億円の会社でも関係していることがあります。たとえば電気工事・空調・建設はデータセンターや工場の建設・保守に、金属・樹脂の部品加工は製造装置の部品に、運送・倉庫は装置・部材の輸送に関係しやすい業種です。売上の上位10社の取引先が7段階のどこかに入るかを確かめてみると、自社の位置がわかります。

AIにお金が流れていれば、関連する会社はみんなもうかるのですか?

そうとは限りません。ガートナーは2026年10月14日、AIの設備投資のうち3.5兆ドルを超える分が、2030年末までに価値の切り下げ(減損)を迫られる可能性があるという予測も出しています。お金が大きく流れていることと、全員がもうかることは別の話です。

まとめ

  1. 「AI関連株」は、AIの会社だけでなく、AIにお金が流れる7つの段階に乗っている会社をまとめた呼び方
  2. 2026年の世界のAI支出は約2.7兆ドルの予測で、半分以上が設備(インフラ)に向かう(ガートナー)
  3. いちばん大きな買い手は大手クラウド4社。その設備投資の計画が、半導体・装置・電力まで全体を左右する
  4. メモリと電力は特に伸びが大きい。メモリ市場は2026年に約3.5倍(WSTS予測)、データセンターの電力は2030年に倍以上(IEA予測)
  5. 電気工事・部品加工・材料の卸・運送など、中小企業も流れに関係していることがある。取引先が7段階のどこにいるかを確かめると、受注の先行きが読みやすくなる

※ この記事は、AIに関するお金の流れを説明するもので、特定の銘柄の売買をおすすめするものではありません。

参考

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