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元OpenAI研究者アッシェンブレナーのAI銘柄は? 13Fで追う、電力・メモリーへの賭け

· 投資の教科書 編集部

元OpenAI研究者アッシェンブレナーのAI銘柄は? 13Fで追う、電力・メモリーへの賭け

この記事で手に入るもの

  • アッシェンブレナー氏のファンドが、13Fで持っていた主な銘柄の移り変わり(2024年末〜2026年6月末)
  • 論文「Situational Awareness」の主張と、銘柄選びのつながり
  • 2026年7月下旬に報じられた「上場株の大半をシタデルへ売却」の中身
  • 13Fのコール・プットを読むときの注意点

結論

  1. アッシェンブレナー氏のファンド(Situational Awareness LP)の最新の13F(基準日2026年6月30日、提出2026年8月14日)では、サンディスクとマイクロンのメモリー2社が半分以上を占め、ブルーム・エナジー、TSMC、ネビウス、コアウィーブなども開示された(保有を公表)
  2. それ以前の13Fでも、マーベル・ビストラ(提出2025年2月12日)、インテルのコール・ブロードコム(2025年5月14日)、コアウィーブ(2025年11月14日)、ブルーム・エナジー(2026年2月11日)と、電力・データセンター・半導体の会社が並んできた(保有を公表)
  3. ただし2026年7月31日、上場株の大部分をシタデルに売ったと報じられており、6月30日時点の13Fに並ぶ銘柄の多くはいまは持っていない可能性が高い

AIを作る側にいた研究者は、どんな会社にお金を入れるのか。米国の開示資料を使えば、その一部を誰でも確かめられます。

この記事では、元OpenAIの研究者レオポルド・アッシェンブレナー(Leopold Aschenbrenner)氏が運用するファンドについて、米国の開示資料「13F」と、本人の論文から、日付と出典つきで整理します。

どんな人か

アッシェンブレナー氏はドイツ出身で、OpenAIでAIの安全性を研究する「スーパーアライメント」チームにいました。2024年6月に、AIのこれからの10年を論じた長い論文「Situational Awareness: The Decade Ahead」を公開しています。

本人の紹介ページによると、その後にAGI(人間並みに何でもこなすAI)に焦点を当てた投資会社を立ち上げました。主な出資者として、パトリック・コリソン氏とジョン・コリソン氏、ナット・フリードマン氏、ダニエル・グロス氏の名前を挙げています。米国の開示ではファンドは「Situational Awareness LP」の名前で13Fを出しています。

論文で語る見通しと、ファンドの売り買いが直接つながっている立場です。発言や論文は、自分のファンドの考え方そのものだと踏まえて読んでください。

13Fとは(必ず読んでほしい注意)

13Fは、米国で一定以上の株を運用する機関投資家が、四半期ごとに米国の証券取引委員会(SEC)へ出す保有報告です。

  • 13Fは四半期末時点の米国上場株の一部の保有で、現在の保有とは違う可能性がある
  • 提出は四半期末から最大45日あと。空売りや、上場していない会社への出資は載らない
  • コール・プット(あらかじめ決めた値段で買う・売る権利)は、元になる株の金額で書かれる。プットがあっても「値下がりに賭けた」とは限らず、持ち株の値下がりへの備えのこともある

この記事で使った最新の13Fは、報告の基準日が2026年6月30日、提出日が2026年8月14日のものです。前の期は、基準日2026年3月31日、提出日2026年5月18日のものです。

そして、このファンドには特に大事な注意があります。6月30日の時点の保有の多くは、その約1か月後に売られたと報じられています(後で説明します)。

挙げた銘柄の一覧

会社名 ティッカー 区分 日付 ひとこと
マーベル・テクノロジー MRVL 保有を公表 2025-02-12 最初の13Fで最大(約34%)
ビストラ VST 保有を公表 2025-02-12 電力会社。最初の13Fで2番目
インテル INTC 保有を公表 2025-05-14 コールが全体の約46%で最大
ブロードコム AVGO 保有を公表 2025-05-14 株で全体の約12%
コアウィーブ CRWV 保有を公表 2025-11-14 AI向け計算基盤。約14%
ブルーム・エナジー BE 保有を公表 2026-02-11 燃料電池の発電。最大の約16%
サンディスク SNDK 保有を公表 2026-08-14 約28%で最大。前の期の2倍以上
マイクロン・テクノロジー MU 保有を公表 2026-08-14 約28%。株を大きく買い増し
TSMC TSM 保有を公表 2026-08-14 約6%。株を大きく買い増し
ネビウス・グループ NBIS 保有を公表 2026-08-14 AI向けクラウド。新しく出てきた
ブルーム・エナジー BE 保有を公表 2026-08-14 約9%で3番目
コアウィーブ CRWV 保有を公表 2026-08-14 約4%。コールは無くなった

※ 日付は13Fの提出日です。中身はそれぞれの基準日(四半期末)時点の保有です。割合は、その13Fに書かれた金額の合計に対するものです。

論文で語ったこと:AIの壁は「電力」と「計算の工場」

2024年6月の論文で、アッシェンブレナー氏は次のような見通しを示しました。

  • AIを学習させる計算機の集まり(クラスター)は、1兆ドル規模にまで大きくなる
  • そのためには、米国の発電量の20%を超えるような電力が要る
  • 半導体より先に、電力が大きな制約になるかもしれない
  • AI向け半導体は、TSMCの最先端の生産のまだ一部しか使っておらず、伸びる余地が大きい

論文そのものは「この銘柄を買う」と書いたものではありません。ただ、次に見るとおり、ファンドの13Fには電力・データセンター・半導体の会社が繰り返し並んでいます。

→ AIへの投資額がどこまで大きくなるかなら:AIの市場はどこまで大きくなる?(社長のAIの教科書)

13Fで見る、持ち株の移り変わり

2024年12月末(最初の13F):半導体と電力

最初の13F(提出2025年2月12日)は、5つほどの銘柄に絞った持ち方でした。

  • マーベル・テクノロジー(データセンター向け半導体):約34%
  • ビストラ(電力会社):約23%
  • バーティブ(データセンターの電源・冷却装置):約20%
  • タレン・エナジー、コンステレーション・エナジー(電力会社)

論文の「電力が壁になる」という主張と、そのまま重なる顔ぶれです。

2025年:インテルのコールと、計算基盤の会社

2025年3月末の13Fでは、**インテルのコールが全体の約46%**を占めました。ブロードコムの株も約12%ありました。

2025年9月末には、AI向けの計算基盤を貸すコアウィーブが約14%になり、エヌビディアのプットなども現れています。

2025年12月末:燃料電池の発電

2025年12月末の13Fでは、燃料電池で発電するブルーム・エナジーが約16%で最大になりました。データセンターの電気を、その場で作る会社です。

2026年3月末:プットが多い

2026年3月末の13Fには、エヌビディア、ブロードコム、オラクル、AMD、ASML、TSMC、半導体ETFなどのプットが大きな金額で並んでいました。

ただし、これが値下がりへの賭けなのか、持ち株を守るための備えなのかは、13Fからはわかりません。 本人やファンドがこれを説明した公開の資料は、確かめられませんでした。

2026年6月末(最新の13F):メモリーに集中

最新の13Fでは、前の期のプットが消え、メモリー(記憶用の半導体)の2社に半分以上が集まりました。

  • サンディスク:約28%(約114万株→約250万株)
  • マイクロン:約28%(株は約1.7万株→約483万株)
  • ブルーム・エナジー:約9%
  • TSMC:約6%(株は約2万株→約265万株)
  • ネビウス(AI向けクラウド):約6%、新しく出てきた
  • コアウィーブ、コア・サイエンティフィック、アプライド・デジタル、IRENなど、データセンターを運営する会社も並ぶ

AIがたくさん計算するほど、データを置いておくメモリーも足りなくなる。そう読める並びですが、本人がこの理由を公に説明したものは確かめられていません。

2026年7月:上場株の多くをシタデルへ

ビジネス・インサイダーは2026年7月31日、このファンドが借り入れ(レバレッジ)を使った持ち株の値下がりで追加の担保を求められ(マージンコール)、上場株の大部分を米シタデルに売ったと報じました。報道によると、サンディスクやネビウスも売った中に含まれていました。

同じ報道では、次のことも伝えています。

  • 上場していないAI企業への出資は売っていない。アンソロピック(Claudeの開発会社)の大きな持ち分も残している
  • ファンドに近い人物によると、上場株の一部は残し、今後も上場株の売買は続ける
  • ファンドと関係する会社は、取材へのコメントを控えた

つまり、6月30日時点の13Fに並ぶ銘柄の多くは、いまは持っていない可能性が高いということです。売った銘柄と株数の全体は、公には確かめられていません。次の13F(基準日2026年9月30日、11月中旬までに提出の予定)で、どれだけ残ったかがわかります。

この人の見方の特徴(編集部の整理)

ここからは、投資の教科書編集部の整理です。事実と推測を分けて書きます。

事実として確かめられること

  • 論文では、AIの成長を「電力」「計算機の集まり」「半導体の生産」の量で考えている
  • 13Fには、AIを使うソフトの会社より、電力・データセンター・半導体・メモリーといった「AIの土台」の会社が一貫して多い
  • 一つの銘柄に全体の3割前後を置くなど、集中した持ち方をしている
  • コール・プットを大きく使っている

推測(確かめられていないこと)

  • 「AIの需要が伸びるほど、足りなくなる物を持つ」という考え方で、時期ごとに足りない物(電力→計算基盤→メモリー)を追いかけてきたとも読めます。本人がそう説明したわけではありません
  • 2026年7月の売却は、集中とレバレッジの怖さを示した例とも言えます。AIの見通しが当たるかどうかと、その株で利益が出るかどうかは別の話です

13Fを自分で確かめるときの頼み方

13Fの表をAIに渡すと、移り変わりを短時間でつかめます。

添付した表は、ある投資ファンドの13F(四半期末の米国株の保有報告)です。
新しい期と前の期の2つを添付しています。

1. 株・コール・プットを分けて、それぞれ金額の大きい順に10銘柄
2. 前の期から新しく出てきた銘柄と、無くなった銘柄
3. 各銘柄が「電力」「半導体」「データセンター」「その他」のどれに当たるか

を表にしてください。会社の分類に自信がないときは「要確認」と書いてください。
プットについて「値下がりに賭けた」とは書かず、「プットを保有」とだけ書いてください。

よくある質問

アッシェンブレナーのファンドが持っている銘柄は?

最新の13F(基準日2026年6月30日、提出2026年8月14日)では、サンディスク(約28%)とマイクロン(約28%)が最大で、ブルーム・エナジー(約9%)、TSMC(約6%)、ネビウス(約6%)、コアウィーブなどが開示されています。ただし2026年7月31日の報道で、上場株の大部分をシタデルに売ったと伝えられており、現在の保有とは違う可能性が高いです。

Situational Awarenessはシタデルに株を売ったのですか?

ビジネス・インサイダーは2026年7月31日、このファンドがマージンコールを受け、上場株の大部分を米シタデルに売ったと報じました。売った中にはサンディスクやネビウスも含まれていたとされます。上場していないAI企業への出資は売っておらず、アンソロピックの持ち分も残していると伝えられています。

アッシェンブレナーの論文「Situational Awareness」と銘柄選びは関係がありますか?

2024年6月の論文では、AIの学習に使う計算機の集まりが1兆ドル規模になり、電力が大きな制約になるかもしれないと論じました。論文は特定の銘柄を挙げたものではありませんが、13Fには電力・データセンター・半導体の会社が繰り返し並んでいます。

アッシェンブレナーはエヌビディアのプットを持っていたのですか?

2025年9月末の13Fにエヌビディアのプットなどが現れ、2026年3月末の13F(提出2026年5月18日)にはエヌビディア、ブロードコム、オラクル、AMDなどのプットが大きな金額で並んでいました。これが値下がりへの賭けなのか持ち株を守る備えなのかは、13Fからはわからず、本人の説明も確かめられていません。

次にファンドの保有がわかるのはいつですか?

基準日2026年9月30日の13Fが、11月中旬までに提出される予定です。シタデルへの売却のあと、上場株がどれだけ残ったかがそこでわかります。

まとめ

  1. アッシェンブレナー氏は元OpenAIの研究者で、AGIに焦点を当てた投資会社を自ら運用している
  2. 論文では、AIの壁は電力と計算の工場だと論じ、13Fにも電力・データセンター・半導体が並んできた
  3. 2026年6月末の13Fでは、サンディスクとマイクロンのメモリー2社で半分以上を占めた
  4. 2026年7月下旬、マージンコールを受けて上場株の多くをシタデルに売ったと報じられた
  5. 13Fは四半期末時点の米国上場株の一部の保有で、現在の保有とは違う可能性がある

次の1か月で確かめるなら、11月中旬までに出る9月末の13Fです。上場株がどれだけ残ったかで、ファンドのいまの姿がわかります。

※ この記事は、レオポルド・アッシェンブレナー氏が公の場で語った内容と、公的な開示を記録したもので、投資の教科書が特定の銘柄の売買をおすすめするものではありません。発言は当時のもので、現在の考えや保有とは違う可能性があります。

参考

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