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オプション取引ではオプションそのものを取引する他にも、株式とオプションを組み合わせることで比較的安全に利益を得る方法も存在します。
今回は株式とオプションを組み合わせた方法のうち、比較的シンプルであるカバードコールを解説します。
カバードコールは現物株とコールオプションを組み合わせた方法ですので、前提としてコールオプションの知識が必要となります。
コールオプションについては「コールオプションとは?~哲学者タレスが大儲けした方法」で解説していますので、あわせてご参照ください。
なお、ここでご紹介する方法は現物の株式とオプションを利用することが前提としています。先物とオプションとを組み合わせる方法については対象としておりませんので、ご注意ください。
目次
カバードコール(Covered Call Writing)は現物株の買いとコールオプションの売りを組み合わせた方法です。
まず、はじめに具体例を見てみましょう。以下は米国株を使って行うカバードコールの例です。事例としてあげている銘柄は、AT&Tというアメリカの大手電話会社の株式です。
【現物株~買い】
【コールオプション~売り】
まず、現物株の買いで時価3500ドルのAT&T株を取得します。それと同時にAT&T株のコールオプションを1枚売り、100ドルのオプションプレミアムを受け取ります。米国株オプションの取引単位は100株で1枚ですので、1ドル×100株=100ドルの受け取りプレミアムとなります。
コールオプションの売りでは、原資産の株価が権利行使価格を超えると株価の上昇にともなって損失が拡大していきます。しかし、カバードコールでは同じ銘柄の現物を保有していますので、株価上昇によるコールオプションの損失が、現物株の値上がり益でカバーされます。こうした仕組みでコールオプション売りのリスクを抑えつつ、オプションプレミアムを得ることができるのです。
「コールオプションとは?~哲学者タレスが大儲けした方法」でご紹介した話のなかでタレスに搾油機を借りる権利を売った人がいました。この人は搾油機を保有しつつ、これを借りる権利を売って利益を得ていましたが、これはカバードコールと同じ仕組みを利用しているということができます。この人は搾油機を借りる権利を売っていましたが、これはコールオプションに相当します。
もし、搾油機の借賃が高騰したとしても、この人は自分の搾油機を貸せば良いだけなので、損することはありません。搾油機の実物を保有していることで、搾油機を借りる権利の権利料だけを安全に受け取ることができるのです。
それでは次にカバードコールの損益を確認しましょう。ここからは損益図を確認しながら進めていきます。なお、損益には売買手数料は含まれていません。
下の図がコールオプションの売りの損益図です。
事例であげたコールオプションの売りポジションは、原資産価格が権利行使価格の35ドルを超えない限り受け取りプレミアムの100ドルがそのまま利益になります。反対に原資産価格が値上がりした場合、35ドルを超えると利益が減少しはじめ、36ドルを超えると損失が発生します。その後、原資産価格の値上がりとともに損失は拡大していきます。コールオプションを売った時点で100ドルのプレミアムを受け取っているので、36ドルが損益分岐点になります。
続いて株式の買いポジションの損益図です。
こちらはシンプルで、買値の35ドルを上回れば原資産の株価が1ドルあがるごとに1ドル×100株=100ドルずつ利益が増えていきます。反対に35ドルより下落すると1ドルごとに100ドルの損失が発生していきます。最大利益は無限大で、最大損失は株価がゼロになった場合の3500ドルになります。
それでは、次に上記の2つのポジションを組み合わせたカバードコールの損益図をみてみましょう。
原資産の株価が権利行使価格の35ドルの場合、コールオプションの受け取りプレミアム分の100ドルがそのまま利益になります。株価が35ドルを超えると、コールオプションの売りポジションの損失が、株価が1ドル上昇するごとに100ドルずつ発生していきます。しかし、同時に株式の買いポジションの利益が、株価が1ドル上昇するごとに100ドルずつ発生していきます。
これらの2つのポジションの損益が打ち消し合って、プラスマイナスゼロになります。したがって、原資産の株価が35ドル以上の場合、受け取りプレミアム100ドルのプラスで損益が固定されます。反対に株価が35ドルよりも下落した場合、現物株の損失が発生しはじめ、株価が34ドルを切るとマイナスになります。カバードコールを行った場合、最大利益は100ドルで最大損失は3400ドルということになります。株式の買いだけの場合より最大損失が100ドル少ないのは、コールオプションの売りで受け取ったプレミアムの分があるからです。
この場合、権利行使日にコールオプションが行使され、保有している株式を権利行使価格で引き渡すことになります。
例えば、事例にあげたAT&Tの権利行使日時点(2016年1月16日)の株価が40ドルであった場合、保有している株式は3500ドルで引き渡され、それと引き換えに売却代金の3500ドルとプレミアムの100ドルがキャッシュポジションとして残ります。受け取りプレミアム分の100ドルが確定利益になります。
権利行使期日に原資産の株価が権利行使価格を下回っている場合には、コールオプションは消滅し、受け取りプレミアム分の利益が確定します。
例えば、事例にあげたAT&Tの権利行使日時点(2016年1月16日)の株価が34ドルであった場合、時価3400ドルの現物株と100ドルの受け取りプレミアムが残ります。同日に株式を3400ドルで売却してポジションを解消した場合、損益はプラスマイナスゼロになります。また、株式を売却せずにさらに期日が先のコールオプションを売って、カバードコールを継続することもできます。
・コールオプションの売りのリスクを消すことができる
カバードコールでは株式を保有していることで、コールオプションが上昇した場合の損失を完全に消すことができます。
・株式の下落リスクを緩和できる
また、株価が下落した場合にもコールオプションを売ったことによるプレミアムはそのまま受け取れますので、プレミアム分、損益分岐点が下がります。説明に使った事例では損益分岐点を当初の35ドルから34ドルに下げることができています。
・プレミアムと配当という2つのインカムゲインを得ることができる。
カバードコールでは、コールオプションの売りによるプレミアム収入と株式を保有していることによる配当収入の2つのインカムゲインを同時に受け取ることができます。
以上3点がカバードコールのメリットです。
・株式の下落リスクを完全に消すことはできない
コールオプションの受け取りプレミアムが原資産価格を上回ること非常に稀なため、通常は原資産価格の下落リスクを完全にカバーすることはできません。
・利益に上限がある
原資産の株価の上昇による株式の利益とコールオプションの損失は完全に打ち消しあってしまうので、株価がいくら上がろうと利益はコールオプションの受け取りプレミアム分に限定されてしまいます。
以上の2点がカバードコールのデメリットです。
なぜ、カバードコールが安全に利益を得ることができるか、理解できたでしょうか。
カバードコールは株式を保有することで、コールオプションの売りのリスクを完全に消すことができるとともに、コールオプションの受け取りプレミアム分だけ、株価下落による保有株式の損失を軽減することができます。これが、カバードコールで安全に利益を得ることができるカラクリです。
カバードコールはリスクを抑えつつ、プレミアムと配当という2つの収入を両取りすることができます。ただ、株価がいくら上昇しても利益はプレミアム分に限定されてしまうというデメリットもありますので、インカムゲインを受け取る代わりにキャピタルゲインを犠牲にしているということもできます。また、株価が受け取りプレミアム以上に大きく下落した場合には現物株の買いポジションに含み損が発生しますので、全くにリスクが無いというわけではありません。
以上の点に注意したうえで、投資手法のバリエーションのひとつとして取り入れてみてください。
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