コールオプションとは~哲学者タレスが大儲けした方法~
(更新 ) · 投資の教科書 デリバティブ事務局

この記事は2015年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
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オプションとは、株式などの現物資産を売ったり買ったりすることができる「権利」です。
オプションには大きく分けて2つの種類があります。
1つはコールオプションで、もう1つはプットオプションです。
今回はこのうちコールオプションについて基本知識から使い方までを解説したいと思います。
「オプションってそもそも何?」という方は「オプションとは~取引前に初心者がおさえておくべきこと」をご参照ください。
コールオプションとは?
コールオプションは、株式などの現物資産を将来の特定の日に特定の値段で「買う」ことができる権利です。
例えば、次のような条件のコールオプションがあったとします。
【コールオプション】
対象となる資産 A株
いくらで買うか 1000ドル
いつまで買えるか 2016年1月
このコールオプションを買っておくことで、株価が値上がりした場合、例えばA株が2000ドルになったとしてもA株を1000ドルで買うことができます。
それをそのまま市場で売却することでA株の値上がり益を手に入れることができます。
このように、コールオプションを買って保有することで、現物株を保有しているのと同じ値上がり益を得ることができます。そして、コールオプションの価格は現物株を買うために必要な資金よりもずっと少なくて済みますので、少ない資金で大きな利益を狙うことができます。
なお、「対象となる資産」は「原資産」、「いくらで買うかは」「権利行使価格」、「いつまで買えるか」は「満期日」と呼びますので覚えておいてください。
コールオプションの買い
これまでご説明したように、コールオプションは株式などの現物資産を特定の価格で「買う権利」でした。
この権利は市場で取引されていて、買うことも、売ることもできます。
まず、コールオプションという権利を買った場合のケースを下記の例でご説明します。
【コールオプションの例】
原資産 A株
オプションの種類 コールオプション
権利行使期日 2016年7月1日
権利行使価格 1000ドル
オプション価格 50ドル
なお、オプション価格のことを「プレミアム」と呼びますので、覚えておいてください。
それでは、コールオプションを買った場合の損益図をみてみましょう。
横軸が権利行使期日の株価、縦軸が買ったコールオプションの損益を示します。
権利行使期日の株価が1000ドルで変わらない場合、購入したコールオプション-50ドルの損失となります。
これは株価が1000ドル以下、例えば500ドルであっても変わりません。
時価500ドルのA株を1000ドルで買う意味はありませんので、買ったコールオプションは価値がなくなりますが、最大損失はコールオプションの購入価格の50ドルです。
一方、A株の価格が上昇し、権利行使期日の株価が1250ドルであった場合、コールオプションの権利を行使することでA株を1000ドルで手に入れることができるので、手に入れたA株を市場価格の1250ドルで売却することで250ドルの値上がり益を手にすることができます。
この場合、コールオプションの購入価格として、最初に50ドルを支払っているので、トータルの利益は250ドル-50ドル=200ドルになります。
このように、コールオプションを買った場合の損益は最大損失が50ドルで、最大利益は理論上、無限定となります。
このことから、コールオプションの買いは「損失限定、利益無限大」と言われたりします。
「オプションとは~取引前に初心者がおさえておくべきこと」でご紹介した古代ギリシャの哲学者タレスが行ったのは、まさにこのコールオプションの買いです。
タレスはオリーブの豊作でオリーブ搾り機が品不足になると予測してオリーブ搾り機を借りる権利をあらかじめ持ち主から安く買っておきました。
その後、予測が的中してオリーブ搾り機の賃料が高騰したときに、安値で借りたオリーブ搾り機を高値で貸し出すことによって大儲けしたのです。
オリーブ搾り機を原資産、借りる権利をコールオプションに置き換えると、タレスが行ったのがコールオプションの買いと同じであることが理解できると思います。
コールオプションの売り
次はコールオプションを売った場合です。
コールオプションを売るということはコールオプションが権利行使された場合に、コールオプションの買主に株式を引き渡さなければならないということです。
その際、売主が受け取ることができる金額はコールオプションの権利行使価格となります。
少しややこしいので先ほどの例でみてみましょう。
【コールオプションの例】
原資産 A株
オプションの種類 コールオプション
権利行使期日 2016年7月1日
権利行使価格 1000ドル
オプション価格 50ドル
上記のコールオプションの売主はオプションを売ることにより、50ドルのキャッシュを手に入れることができます。
それと引き換えにオプションの買主に権利行使された場合には、権利行使価格でA株を引き渡す義務を負います。
その後、コールオプションの原資産価格であるA株が上昇し、権利行使日である2016年7月1日に1250ドルになったとします。
この場合、コールオプションの買主はほぼ確実に権利行使するはずです。
(※実際の取引では権利行使日が来ることで権利行使しなくても自動的に金銭で精算されたり、1000ドルと引き換えにA株が証券口座に入ったりします。)
コールオプションの権利を行使することで、1250ドルのA株を1000ドルで手に入れることができるからです。
そして、コールオプションの売主は、1000ドルと引き換えにA株を引き渡す必要があります。
売主がA株を保有している場合には、それが引き渡されて代わりに1000ドルのキャッシュが口座に入金されます。
売主がA株を保有していない場合は、A株を1000ドルで空売りしたポジションを持つこととなります。
A株の価格は1250ドルですので、このポジションは250ドルの評価損となります。
コールオプションを売った場合の損益図をみてみましょう。
権利行使期日である2015年7月1日の時点でA株の株価が1000ドル以下の場合、例えば800ドルであった場合にはオプションは行使されずに消滅します。
なぜなら800ドルで買えるA株をわざわざオプションの権利を使って1000ドルで買い取るような人はいないはずだからです。
この場合は最初に受け取ったオプションプレミアムの50ドルがそのまま手元に残りますので、50ドルの利益となります。
グラフでは株価1000ドルまでは利益50ドルで水平の線となっています。
そして、株価が1000ドルを上回った時点から利益が減っていき、株価1050ドルを下回ってからはマイナスの損益となり、株価の上昇に比例してマイナスが増加していきます。
このように、コールオプションを売った場合の損益は最大利益が50ドルで、最大損失は理論上、無限定となります。
このことから、コールオプションの売りは「利益限定、損失無限大」と言われたりします。
まとめ
以上、コールオプションの売買取引について事例をまじえて見てきました。
それぞれの特徴をまとめると、コールオプションの買いは「損失限定、利益無限大」、コールオプションの売りは「利益限定、損失無限大」ということです。
コールオプションの買いについては、損失がオプションプレミアムに限定されていますので、この点はリスク管理の面で利点があります。
これに対してコールオプションの売りについては、予想外の大きな損失となる可能性もはらんでいますので、慎重に行うべきです。
特に初心者のうちはコールオプションの売りには手を出さず、上級者になってから少ないポジションから始めるのが良いでしょう。
この記事を書いた人
投資の教科書 デリバティブ事務局
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