オプションが収益を生むカラクリ
(更新 ) · 増田 丞美

この記事は2022年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
「オプション」についてお話しします。
「オプション」を知らなくとも“オプション“は誰でも取引できます。「オプション」という金融商品を知るよりそれが収益を生むカラクリ(数学的な原理/仕組み)や制度的な仕組みを知っておくことの方が何倍もためになります。
「オプション」を少し齧るとオプションは「売る方が得なんじゃないか。」と思う様になります。オプションを売ることによって現金収入を得られるからです。
今回お話ししたいのはそれとは逆のことです。
負けないオプション取引
「売る方が得なんじゃないか。」というのはどうやら本当です。現に、それによって収入を得て生活しているオプション取引のプロは多くいます。私がここで紹介するのはそのようなプロが行っているのと反対の行為です。しかし、それはオプションを知らない人が“オプション“の原理を利用する興味深い方法でもあります。
上記の文章(「オプション買い」が不利な理由)をもう一度見てみましょう。
『「オプション買い(コールまたはプットの買い)」はオプションの期日(満期)までに対象シンボル(銘柄)の株価が期待した方向に少なくとも当該オプション(コールまたはプット)を買った時に支払ったコストを上回るだけの値動き(変動幅)が見られた時に利益を生む』とあります。そして、「その様な機会は限られている。」と続きます。
「その様な機会」とは、「オプションの期日(満期)までに対象シンボル(銘柄)の株価が期待した方向に少なくとも当該オプション(コールまたはプット)を買った時に支払ったコストを上回るだけの値動き(変動幅)が見られること」です。
くどいですが、もう一度上記の文章を見てみましょう。
以下の2つがポイントです:
「オプションの期日(満期)までに」
「当該オプション(コールまたはプット)を買った時に支払ったコストを上回るだけの期待した方向へ(コール買いの場合は株価の上昇、プット買いの場合は株価の下落)の値動き(変動幅)が見られる」
上記の圧倒的な不利な条件は言い換えれば
1)時間が限られている
2)限られた時間内に期待した方向へ(コストをカバーできるだけの)十分変動が期待できない
1)については期限がなく永遠にオプションを保有できるとしたらどうでしょうか。
2)株価は(時間の制約がなければ・・長期において)必ず上がるように作られているならどうでしょうか。
そんな都合のいいものがあるでしょうか?
以前、「特殊証券」(“Special Securities”)について述べました。株価がコールやプットに連動している、あるいは、コールやプットを株式化した証券を言います。
そのような「特殊証券」のうち、“コール型“が上記2つの条件を満たします。
1)期限がない
2)過去何十年にもわたって右肩上がり(ベアマーケットに幾度も突入しながらも)
を見せている株価指数に連動している“コール型“
ベアマーケットは永遠に続くわけではありません。
平均株価は20%下落しました。実質コールである「特殊証券」の中には80%も価値が減少したものがあります。そのような“コール“を永遠に持てるなら・・・・
負けないオプション取引に参加することができるはずです。
オプションの買いはどうか?
「オプション」の話の続きです。
プロのオプショントレーダーには「オプション売り」を好む人が多いのは事実です。ここで言う「プロ」とはそれによって生計を立てている個人事業主を言います。
オプションのプレミアムは保険のプレミアムと同じく保険を売る保険会社のようにオプションの売り手にとってオプションを売って取得するプレミアムは現金収入となります。確実なインカムゲインが得られる「オプション売り」は理に適ったプロならではの取引法であろうと思います。
では、「オプションの買い」はどうか?
オプションのプロが本能的に嫌う「オプション買い」は「オプション売り」の対局にあります。それは理に敵わない戦略でしょうか。
ところで、オプションには2つの種類があります。
コールとプットです。
コールの価値(プレミアム)は株価が上がるとそれに伴い増加します。
反対に株価が下落すると同コールの価値はそれに伴い減少します。
プットはコールの反対です。
プットの価値(プレミアム)は株価が下がるとそれに伴い増加します。
反対に株価が上昇すると同コールの価値はそれに伴い減少します。
「オプション売り」を好むプロのトレーダーには上記のコールとプットの両方を同時に売る人がいます。両方売ると両方から収入を得ることができます。
それでは、そのような“プロ“と反対に、コールとプットの両方を同時に“買う“という戦略は効果があるでしょうか。
コールとプットの両方を同時に買って利益を得られるのは、株価が一定の期間(限られた期間)に株価が上下いずれかの方向に大きく変動した場合です。それが発生する確率が通常は小さいので上述のようなコールとプットを両方売ることを生業にしているプロが存在するわけです。
ここで上記のような“プロ“と反対の行動について考えてみたいと思います。すなわち、コールとプットを同時に買う方法です。
コールとプットを両方同時に買う戦略を「ロングストラングル」と呼びます。その反対が「ショートストラングル」です。「ロングストラングル」で利益を上げる方が一般的には難しいと言われています。だから、「プロ」は「ショートストラングル」を好むわけです。
なぜ「ロングストラングル」が難しいのかは以下の理由によります。
1)オプションの期間が限られている。
2)コールとプットのそれぞれのプレミアムを足したトータルコストが高い
3)上記2)を上まわる大きさの変動が限られた期間内に起きる可能性(確率)は限られている。
そこで、上記の1)、2)、3)をすべて潰すことで「ロングストラングル」が成功できる可能性を追求したいと思います。
以下のような“オプション“が存在するでしょうか。
1)期限がない
2)オプションの最大のコストである時間価値を払う必要がない
3)長期間保有できるので長期的には大きな変動が起きる可能性は大きい
この記事を書いた人
増田 丞美
現在、WBP,LLC/Wish & Brains Partners代表(CEO)兼社長。
「オプション・キャッシュフロークラブ」主宰。
米国コロンビア大学を卒業後、野村証券(東京・ロンドン)、米国投資銀行モルガンスタンレー(ロンドン)などを経験。
現在、国内外の事業会社の経営の傍ら、日本において幅広い個人層にオプションの実践を指導している。
オプションに関する著書・訳著多数。



