株式化されたプットオプションの例
· 増田 丞美

この記事は2021年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
米国の株式マーケットと日本のそれとの最大の違いの一つは、米国には非常に発達した株式オプションが存在することです。ほとんどの株式銘柄やETFにオプションがついています。
オプションはとても便利なツールでその仕組みによってマネー出すことができます。配当を得るより確実に現金を生み出す方法としてオプションを利用することができます。
KO(コカコーラ)のオプション
例えば、米国の銘柄ですが日本でも多くの人に知られているものに「コカコーラ」があります。米国では”KO”というシンボルで記されている銘柄です。
今年9月1日現在のKOの株価は56.72ドルです。
やや長いオプションで、KOの権利行使価格55ドル(現在の株価より低い)のプット(オプションにはコールとプットがあり、そのうちのプットを選びます。)を売る5.5ドル(1単位あたり550ドル)の収入を得ることができます。
複雑な仕組みの話は省きます。
55ドルの権利行使のプット1単位が権利行使されたらKO(コカコーラ)の株式を100株を買うことになります。そのために5500ドル用意しておきますが、プットを売る時にその金額はまだ必要としません。
一方、55ドルのプットを売るとすぐに550ドルの現金収入が入ります。
5500ドルに対して10%です。実は、このオプションの期間は505日ですから年率にすると年率7.2%程度になります。KOの配当が年3%程度なのでかなり魅力的です。
オプションというととても面倒で難しそうに感じられると思います。
DIA(=ダウジョーンズ株価指数)のプットオプション
米国にはオプションが株式化されたものがあり、実質的にはオプションと同じ原理で創られた価値(株価)をオプションではなく株式として取引できます。
ただし、上述のKOにはそれがありません。銘柄は限られています。
そのうちの一つは米国株式マーケットを代表するダウジョーンズ株価指数のプットと同じように創られた“株式”です。
米国株式マーケットに連動するように創られたETFにDIAがあります。これは米国では代表的なETFです。これのプットの価格に連動するように設計されたETFがあります。実質的には、DIA(=ダウジョーンズ株価指数)のプットオプションです。
下のグラフを見てみましょう。
最近3ヶ月間のSPYの株価の変動の推移を示したものです。

さらに、下のグラフは同期間におけるダウジョーンズ株価指数のプットに連動した価値の変動の推移を示したものです。

SPYのプットの価値はSPYの株価の反対の向きに変動します。
これはプットを売ることで収益が得られることを示しています。
原理は上述のKOのプット売りと同じです。
しかし、SPYの逆連動型の「実質的なプット」の売りは驚異的な収益をもたらします。
下のグラフは上記グラフと同期間において1000ドルSPYの逆連動型(実質的SPYのプット)の売りに投じた時の成長の変化を示したものです。3ヶ月間で1000ドルが1100ドルに増えました。

「実質的な株価指数のプット」(”株式化されたプット”)を取引するのにオプションについて詳しく知る必要はありません。数学的な原理を知っていれば十分です。
この記事を書いた人
増田 丞美
現在、WBP,LLC/Wish & Brains Partners代表(CEO)兼社長。
「オプション・キャッシュフロークラブ」主宰。
米国コロンビア大学を卒業後、野村証券(東京・ロンドン)、米国投資銀行モルガンスタンレー(ロンドン)などを経験。
現在、国内外の事業会社の経営の傍ら、日本において幅広い個人層にオプションの実践を指導している。
オプションに関する著書・訳著多数。



