長期では“負けようがない“というオペレーション
(更新 ) · 増田 丞美

この記事は2022年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
オプションの話をしました。
オプションはアメリカではとてもポピュラーな金融商品ですが、日本人はほとんどの人にとって馴染みがないと思われます。オプションは初めての人にとってはとても難解でおぼえることが多く大変です。
プットで収益を上げる方法は技術的には最も単純
アメリカにはオプションと同じ機能を持つ商品で株式と同じ手軽さで取引できるものがあります。例えばコールと同じように価格が変動する証券やプットと同じように価格が変動する証券があります。それらは、一般に、それぞれ「ブル型ETF」、「ベア型ETF]と呼ばれています。
私個人はそれらを「ブル型」・「ベア型」とは呼ばず、「コール」・「プット」と呼んでいます。それらは実質的にオプションでありデリバティブだからです。
「コール」の価値は原資産価格と同方向に変動し、同価値の変動率は原資産より大きいです。一方、「プット」の価値は原産価格と逆方向に変動し同価値の変動率は原資産より大きいです。すなわち、「コール」及び「プット」の価値の変動率が原資産価格のそれより大きいと言う意味で「コール」/「プット」にはレバレッジ効果があります。
それらの「コール」や「プット」は金融商品というより数学の原理に基づいてそれぞれ“数“として扱うことができます。そして、数学的原理を利用して長期的に収益を上げることができます。そのような意味で、「コール」や「プット」、金融商品と言うより特定の数字やその性質を識別するための名称に過ぎません。
あらためて、「ブル型」を「コール」、「ベア型」を「プット」と言い換えそのように呼ぶことにします。
例えば、「プット」の価値は原資産の株価が長期的に上昇するのに伴い長い時間をかけてゼロに向かいます。一方、「コール」の価値はそれとは反対に原資産の株価が長期に上昇するのに伴い長い時間をかけて大幅に増加するものの、原資産価格以上に大幅に価値が減少することがあります。長期的に見ると「コール」の価値の変動は上にも下にも「プット」のそれより遥かに大きなものになります。
ここから最も切実な問題(課題)に触れます。
それらの「コール」と「プット」を利用してどのように収益を上げるのか?
「プット」を使って長期にわたって収益を上げる方法は技術的には最も単純です。
単に「プット」を売り続けることです。これは確かに単純です。誰でもできると言えるのですが、誰もが続くとは限りません。それを続けて資産を築くことができますが、一生続けるだけの覚悟が必要です。「プット」を売ることは価値がゼロになる通貨を売るのと同じです。売った分だけ収入になります。次の問題はそれをいかに維持し、そして続けるか、です。それに対する私の答えは少なくとも10年の長いチャートを見続けることです。いかなる時も、いかなる事態が発生しようとも「プット」の価値はゼロになることを思い出すためです。
「コール」はどうか?
「コール」は売りにせよ、買いにせよ、単独で行うには技術的にとても難しいと思います。長期には上下変動(価値の上げ下げ)があまりにも大きいからです。「コール」を扱う最良の方法は「プット」と組み合わせることです。組み合わせることで変動の波を抑えることができます。
最後に、以上の「コール」と「プット」は米国株を扱っている日本の証券会社を通じて取引することができます。その場合は、「買い」だけになります。「売り」が利用できないのでそれらの機能の半分を活かすことができません。しかし、それでも、「コール」と「プット」をうまく利用できます。
長期では“負けようがない“というオペレーション
これまで日本の一般の方々にオプションを知ってほしいと願いさまざまな情報を提供してきました。オプションはとても優れた仕組みです。ある意味現金製造機と言える機能を備えています。
しかし、日本の居住者がオプションにアクセスするにはハードルがあまりにも高いことがわかりました。米国のオプションにアクセスするには米国の証券会社に口座を設けなければなりません。日本の証券会社では米国オプションを扱っていないからです。
また、日本には日経225オプションや個別株のオプションがあります。日経225オプションについては一般の個人が扱うにはハードルが高すぎます。また、日本の個別株オプションのマーケットはほとんど機能していないのが実情です。
そこで、米国のETFを利用します。
米国の株価指数やセクター指数に連動して作られた「ブル型」、「ベア型」のETFです。それらは仕組み上それぞれ「コール」と「プット」に相当します。そして、それらの一部は日本の証券会社で「米国株」として扱われています。
但し、それらは日本では信用取引の対象外で「ショート」(「空売り」に相当)ができません。つまり、「買い」しかできないのです。オプションの魅力の一つは「売り」によって現金収入が得られることです。しかし、「買い」しかできないなら・・・。
そこで、「買い」がワークするか、「買い」が資産を増やすのに寄与するか考えてみたいと思います。
結論を先に言えばワークします。「ブル型」の仕組みはコールオプションに近いです。また、「ベア型」の仕組みはプットオプションに近いです。それらの「買い」は「コール買い」及び「プット買い」です。
『オプションの魅力の一つは「売り」によって現金収入が得られることです。』と述べました。反対に、「買い」によって現金を支払うことになります。それは不利でしょうか?
オプションの「買い」が一般に不利であると言われるのは
1)オプションに期限があることと
2)オプションのプレミアム(買う時に支払う代金)が高いことです。
ここで上場オプションではなくETFの形に蹴られた「特殊証券」としての「コール」(ブル型)と「プット」(ベア型)について考えてみましょう。
上記の2つの不利な点を払拭できます。
それの「コール」(ブル型)と「プット」(ベア型)は
1)期限がない
2)オプション特有の時間価値(プレミアム=オプション代金)がない
つまり、「特殊証券」として「コール」や「プット」は「売り」にも「買い」にもとても有利にできていると言えます。
期限がないので長期では“負けようがない“というオペレーションができます。
誰でも収益を出せるからくりが隠されている
引き続き「コール」と「プット」についてお話しします。
それらはオプションですが、「上場オプション」の“コール“、“プット“に代わるものとして「ブル型ETF]と「ベア型ETF」があります。私はそれらをオプションとみなし、「ブル型」を“コール“、「ベア型」を“プット“と呼んでいます。
例えば、米国株価指数のS&P500に連動する「ブル型ETF」は「S&P500コール」、同S&P500に逆連動する「ベア型ETF」は「S&P500プット」とみなし、そのように扱います。
「ブル型ETF」や「ベア型ETF]は株式と同じように取引できるのでオプションに関わる面倒なことの一切を省くことができます。
実際問題として「ブル型ETF」や「ベア型ETF」は株式として扱うより「コール」や「プット」として扱うべきなのです。それらを株式として扱うと“スペキュレーションの罠“に陥る恐れがあります。
「コール」と「プット」とみなし、数学的原理を利用し長期スタンスで取り組めば誰でも収益が得られるはずです。そのように作られているからです。その“からくり“をしっかりと理解し取り組むことです。
「コール」(ブル型ETF)や「プット」(ベア型ETF)は数学原理に基づいて人工的に作られた価値です。表現を変えると、単なる“数“に過ぎません。その“数“を数学的に扱うことで相場変動に惑わされずに収益を上げることができます。
例えば、米国株式マーケットを代表し最も歴史のあるダウジョーンズ(通称「ダウ」)は過去暴落に見舞われても必ず高値を更新し200年以上にわたって右肩上がりを維持しています。ダウより歴史の浅いS&P500もナスダック100も同様です。
ここで、単純な方法を一つ紹介すると、「プット」を売り続けることです。プットは長期にわたってゼロに向かいます。資産を築くための最も単純で強力な方法が「プット売り」です。それは「カバードコール」(株式を買うと同時にコールを売る)と同じ仕組みです。長期にわたってオプションのプレミアム料金を手に入れることができます。
成功の秘訣は何か。
単に続けることです。ところが、それが最も難しいのです。
では、その難しさを和らげるために何をしたらいいか。
「コール」(ブル型)と「プット」(ベア型)を組み合わせることです。
例えば、「コール」と「プット」の両方を売る。それは最近まで続いていた
ベアマーケットでは特に効果的なやり方でした。コールとプットはそれぞれ逆に変動するので両方扱うことで激しい変動を抑えられるからです。
「売る」のが苦手なら買うこともできます。
「プット」(ベア型)売りの反対は「コール」(ブル型)買いです。コール買いの方が意外に難しいですが、買う場合は相場変動の一切を気にせず数学的原理に沿ってコツコツ根気強くやるのが秘訣です。
以上をまとめると、「ブル型ETF」を「コール」、「ベア型ETF」を「プット」とみなし、数学的原理の特徴を活かすことができます。そして、その中に誰でも収益を出せるからくりが隠されているのです。
いずれも、数学原理に従って数字を扱うことに集中する、・・・・これがコツです。株式マーケットで起きていることなど一切気にしません。誰でもできます。
この記事を書いた人
増田 丞美
現在、WBP,LLC/Wish & Brains Partners代表(CEO)兼社長。
「オプション・キャッシュフロークラブ」主宰。
米国コロンビア大学を卒業後、野村証券(東京・ロンドン)、米国投資銀行モルガンスタンレー(ロンドン)などを経験。
現在、国内外の事業会社の経営の傍ら、日本において幅広い個人層にオプションの実践を指導している。
オプションに関する著書・訳著多数。



