歩み値とは|株価の流れの転換点をつかむ方法
(更新 ) · 投資の教科書 株式事務局

この記事は2014年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
稀代の相場師ジェシー・リバモアはテープリーディング(株式注文が集まった情報から株価の先行きを読むこと)が得意だったそうです。
リバモアは市場に入ってくる注文がどのような性質をもっていて、その注文が株価の先行きにどのような影響を及ぼすかを常に考えながら相場をはって億万長者になったのです。
現代の株式市場にもテープリーディングによく似た投資手法があり、主にデイトレなどをする方に好んで使用されています。
歩み値自体は、過去に注文が成立(約定)した値段、株数、売りと買いの別を時系列で並べたものです。そこから得られる情報を利用して短期的な株価の上下をより一層正確に予測しようというのが“テープリーディング“と呼ばれる取引手法なのです。
この記事では、1日の動きのなかで、出来高が爆発的に増え株価の流れの転換点となる場所でいったい何が起きているのかチャートと歩み値(テープ)を通して具体的に見ていきます。
まずは歩み値を知る前に、その前段階である板読みに関して簡単にご紹介いたします。
目次
1.簡単理解!板の読み方
板とは、株式の買いと売の注文を寄せあつめて表示させたものです(下図)

板に関して、細かい説明は『板読みで株の売買タイミングを正確に知る3つの技術』を参考にしていただければと思います。
ただ歩み値を理解するためにはある程度、板の読み方を知っていて欲しいので、ここでも簡単に説明すると、真ん中のラインが値段で両脇に並んでいる数字が株数です。向かって左上が売り注文で、右下が買い注文です。その両方がちょうど交わるところで値段がつくのですが、上図では687円のところで値段が付いています。
売りたい人は、希望価格があれば、687円より上の値段で売り注文をだして買ってくれる人が現れるのを待つし、直ぐに売りたいなら買い注文が並んでいる右下の価格で売り注文をだして直ぐに売る、ということになります。
逆に買いたいのであれば687円より下の価格で買いたいという注文を出して、値段が約定するのを待つか、687円より高い値段で並んでいる売注文に買い注文を出すことで、687円で買うことができます。
ひっきりなしに変化する板状の注文状況を文字でお伝えすることは至難の技であるので、板を使った取引でレベルアップをはかるためには実際になんども板を見て観察することが必要になってきます。
板を読めること、板付き(注文の入り具合)状況から株価の上昇・下落を予想することはデイトレーダーにとっては重要です。
ですから、ここでの板読みの基礎とこれから説明する歩み値の知識はしっかり頭に入れておくべきです。
※超高速取引による取引が2010年以降に盛んに行われていて、板読みも昔より難しくなったと言われます。そのため、瞬間的な利益ではなく、あくまで株価の短期的なトレンドを読んで、そこから利幅を取るトレードを心がけたほうが良いと思われます。
2.株価の先行を読むための歩み値とは
歩み値とは、株式取引が行われたその形跡とも言えるもので、何時何分何秒に何株買われたか、もしくは売られたかを示すものです。
今現在注文が並んでいる株の売り板に買いの注文が入ったならば赤色で、買いの板に売り注文がはいってきたなら、緑色でそれぞれの約定が表示されます。
また、たとえば売り板にある注文を買い、その取引の約定数字が歩み値上で赤で表示されたあとに、また売り板を買い注文がぶつけられたのであれば、今度は赤ではなく黄色の表示がされます。黄色は前回と同じ取引ですよ、ということでつまりは前回が赤か緑かによって、黄色の意味がかわってくるのです。
ちょっとわかりにくいでしょうか?
下記、図が歩み値となります。具体的に説明していきたいと思います。

時刻、出来高、約定値の3種類の項目があり、そこに数字の羅列があることがわかると思います。初めはちょっと大変ですが、すぐに慣れると思います。
13:20:04を見てみると、225円に600株(赤)224円に100株(緑)となっています。ここは225円の売り板に600株の買い注文が入り約定した、224円の買い板に売り注文が入り約定したということです。
この買い注文か売り注文かというのが非常に大事なのでここでは明確に色で区別されています。
さてその次は、しばらく224円に黄色い株数がずらーと並んでいますね。つまり先ほどの100株の売り注文のあと、しばらく売り注文が続いていることがわかるのです。繰り返しますが、黄色は前回と同じということです。
つまり、株数の程度の差こそあれ、「今は売られているのだな…」ということがわかります。さて、ここまで理解していただいたあとで、チャートと歩み値で具体的に株価の流れの変化を見てみたいと思います。
3.株価の流れの変化を歩み値を使って実践的に解説
それでは株価の流れを具体的にチャートと歩み値を使用して見ていきたいと思います。まずはチャートを見てみましょう。

飛島建設(1805)の5分足チャートです。このチャートは5分のローソク足チャートに移動平均線と出来高をくっつけただけの非常にシンプルなチャートです。
このチャートを見て明らかに株価の動きの流れが変化している場所があるのがわかるでしょうか?
そう赤の矢印部分です。
この赤矢印の部分では、それまで一貫して、下落トレンドだったものが急に方向転換をして上昇し始めています。それだけではなく、緑の矢印部分の黄色い棒グラフ、出来高の量を表すものですが爆発的に増えていることがわかります。
つまりこのタイミングで株価の流れを大きく変えるような株式のやりとりがあったのだなということがわかります。
短期投資をするならば、このチャート上で起きた流れの変化を起こしたきっかけ(株式のやり取り)についてぜひ覚えておいて欲しいです。
この流れを実際の歩み値を見ながら段階的に見ていきたいと思います。具体的には次の3つの段階を踏んでご説明いたします。
- 下落トレンドに沿った株取引が行われている場面
- 大口の買いが入り、買い戻しと新規の買いが一気に進む場面
- 売りの勢力が怯んでしまい、上昇の流れが始まる場面
- 大口の投げ売り
3.1.下落トレンドに沿った株取引が行われている場面
1枚目の歩み値チャートをご覧頂こうと思います。

ごく一般的な歩み値となっています。株数も100株から2,000株前後と金額に換算すると20,000円から500,000円程度の小さな金額での取引が行われています。
この歩み値を見ると特に相場の流れを変えるようなおおきな注文は入ってきていないということがわかります。買いよりも売る人の方が多い、下落の流れに添って取引が行われているのだなということが分かるだけです。このようにゆっくり順調に下落しているときというのは、個口の投資家などが信用の売りを仕掛けている場合がおおいです。
小口の投資家は自分で価格を大きく変化させるほどの資金量を持っていないために、ただ流れに従って取引を行います。そのため、大口(資金力のある投資家)の動きを注意深く見ながらの取引をしていることがおおいです。
上記の歩み値にはまだ大口が現れてはいません。そのため取引数も少ないですし、時間もゆっくりと流れています。
では次の歩み値はどうでしょうか?
3.2.大口の買いと投げ売り
大口が参加してくると空気が一変することがあります。見てみましょう。
大口の買い

ここである変化が起こっていることがわかります。そうです、取引される株数が一気に増加していることがわかりますね。
ここでの歩み値の1番の注目ポイント、13:22:07で起きた400,000株の取引です。この時間にちょうど200,000株、144,300株、33,600株、16,100株の取引が行われていますがこれを全部足すとぴったり400,000株となり、金額的には9,000万円となり、おそらく一人の比較的大きなプレイヤーが225円の売り注文をすべて買ったのだと思われます。
新規の買いか、売りの買い戻しかはわかりませんが、とにかく数十万から数百万円の小さな取引がなされていた場に9,000万円の金額が入り込んで来たのです。
こういうことが起きるとこのあとどうなるかを考えてみたいと思います。
400,000株が入ってきたあと、その後の歩み値表示は以下の3つが変化します。
- 時間
- 約定株数
- 買いと売りの区別
まずは時間です。取引スピードが早くなっています。1枚目の歩み値は5分間分の歩み値でしたが、2枚目の歩み値は1分間で同じ枠が埋められています。
つぎに約定株数です。明らかに大きな株数の約定が多くなっています。
最後に、買いと売りの区別です。明らかに買いが多くなっています(上の歩み値で見る限り3本しか売りで約定していません。
40,0000株が225円で約定されたあと、226円がすごい勢いで買われ、すぐにその上の227円も買われ始めます。これは、225、226あたりで信用売りを仕掛けた人たちが、「やばい」と思って我さきにと買い戻してきている可能性が高いです(もしかすると224円で売った人もたくさんいるかもしれません)
大口の売り
大口はたまに上がらなかった場合、投げ売りをすることがあります。早期に撤退するためです。そのためだったら多少の損失も許容する考えで動きます。
次の画像を見てみましょう。

これはNTT(9432)が大口によって突然売られたときの歩み値です。約3億円分の売りが突然降ってきたので、当然売り一色ムードになりました。しばらくは投資家もわけがわからず売りが強まりズルズルと下へ推移したということがありました。
このように大口が買ったか、売ったかは規模間でも察知することができます。一瞬で巨額な取引が確認できた場合は、警戒しましょう!
3.3.売りの勢力が怯んでしまい、上昇の流れが始まる場面
400,000株の買い注文が入ったあと、株価が急騰してその後チャートの動きがどうなったかというと、いったん下がってからその後再び上昇し始めていることがわかります(下記チャートは最初に提示したチャートと同じものです)

このいったんの下げですが、下で買いを入れた400,000株の利食いの売りの可能性が高いのではないかと個人的には思います。
このように短期的にタイミングを見計らって大きな買いを入れるようなプレーヤーは危険を避けるために、長く株を保有したりはしません。利益がある程度出たなと思うと利食いをします。そのような大口が利食いをすると本来であればその後株価は下げ始めるはずです(大口の買いがウリへと変化するため)
しかしチャートをみると株価は安値224円まで到達することなく、再び上昇しはじめるのです。
この時、売り方はすっかり弱気になってしまっているはずです。裏に隠れた大物がいるということがわかったからです。またいつ400,000株の買いが入ってきて、自分たちの新規売に損失が出てしまうかわからないため、慎重姿勢は崩せなくなっています。
こうなるとあとは上昇し始める可能性が高いとよんで取引をしている人たちは買いの目線になり取引を開始するということになります。
これは非常に短期での株取引の強弱感を掴む手法です。
デイトレなどでは結構使える内容となっていますので覚えておいて欲しいと思います。
まとめ
歩み値を使ってチャートを照らし合わせてみてみると、取引をしている人たちの細かな心理が読めてきます。上記のように1銘柄の1場面を取り出して分析しただけでも、下記の項目が分かるようになるのです。
- 雰囲気ががらっと変わるような合図が起きた
- 買い方は強気になった
- 売り方は急いで買い戻しにきた
今回は1例だけですが、ほぼ毎日ほかの銘柄でも似たようなことが行われています。そのような動きをよく観察して見て経験を積んでいくことで、株価の流れがある程度読めるようになってくると思います。利益を獲得する手段としてはチャートだけでなく、板読みや歩み値などといった武器を持っておいても損ではないと思われます。
参考にしていただけると幸いです。
この記事を書いた人
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