名目GDPとは|はじめてでも理解できる!仕組みを解説
(更新 ) · 投資の教科書 FX事務局

この記事は2019年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。記事内には広告(アフィリエイト)のリンクを含みます。
GDPとは、国内総生産(Gross Domestic Product)といい、経済を見る重要な指標の一つとされています。
GDPを理解することで、国内の景気の良し悪しがわかり、またなぜGDP指標が金融相場に反映された場合、迅速に対応することができます。この指標は、投資家にとって決して無視できないものなのです。
この記事では、GDPの基礎の解説、実質GDPとの違い、ランキング、投資への活かし方について順番に開設していきます。是非最後までご覧ください。
目次
1.【いまさら聞けない】GDPの仕組み
まず、『名目GDP』を知る前に、GDPとは何かを知る必要があります。
GDPとは、国内で一定期間内に生み出された「付加価値」の合計のことをいいます。
この付加価値には「利益」、「減価償却費」、「賃金」などが含まれます。
例えば、自動車は様々な工程を経て完成品になりますね。以下をご覧ください。

(引用:日立HP、自動車製造工程におけるソリューションMAP)
このように、一つ一つの工程においてヒトやモノ、土地などが活用され加工されます。加工されることで付加価値(上図青色部分)を生み出し、その付加価値の合計(上図赤色部分)が最終的に車の品代となってお店で提示されます。
上では、理解がしやすいように自動車を例に説明しましたが、一国の経済では、自動車の他、ハンバーガーや散髪、コンピューターなど、様々な財やサービスが生み出されています。その価値の合計値がGDPの値となります。
また、このGDPに含まれる付加価値は、いくつかのカテゴリーに分類することができます。以下の式を見てみましょう。

GDPの内訳は、消費(Consumption)、投資(Investment)、政府購入(Government purchases)、そして輸出(Export)から輸入(Import)を引いた純輸出(net exports)によって構成されています。
これらを順番に解説していきますね。
1.1.消費(C)
消費(C)は、皆さんが日々購入する商品の価格です。

例えば、購入したハンバーガーの料金には、人件費や光熱費など様々なものが含まれています。つまり、生み出された価値の分だけ、私たちはお金を支払っているのです。

1.2.投資(I)
次に投資(I)は、新しく何かに資金を投じた分をいいます。
例えば、Aさんが自分のために新しく家を3,000万円で新築したとします。この場合、3,000万円がGDPに付加価値として含まれます。ここで覚えてほしいのは、新しく生み出されたものを購入したためGDPに含まれるということです。

付加価値に含まれない例は、中古のものを購入した場合、株式などを誰かから譲り受ける形で投じた場合です。
1.3.政府購入(G)
続いて政府購入(G)は、政府による財・サービスの購入のことです。
例えば、軍事支出、高速道路建設などがGDPに含まれます。ただし、社会保障などの政府から家計への移転支払は含まれません。

1.4.純輸出(NX)
最後の輸出(EX)と輸入(IM)ですが、輸出から輸入を差し引いたものが純輸出(NX)としてGDPに含まれます。これは貿易収支とも呼ばれます。つまり輸出はGDPにプラスに働き、輸入はマイナスに働きます。

ここまで、一通りGDPの構成要素について開設してきましたが、これは経済学の基礎なのでよく覚えておきましょう!
では、『名目GDP』が一体何なのか次で解説します。
2.名目GDPとは
名目GDPとは、現在の物価で計測された国内総生産です。
この「現在の物価」とはどういうことを言っているのでしょうか。解説します。
リンゴで例えてみましょう。
今年1個あたり100円だったリンゴがあり、生産された数が100万個だったとします。そしたら、生み出された名目GDPは、100円×100万個=1億円となります。
では、翌年はリンゴが1個あたり110円に値上がりし、同じように100万個生産されたとします。すると名目GDPは、110円×100万個=1億1千万円となります。
このように、名目GDPは、現在の価格で計測するため、価格が上昇したり、生産数が増加するとその影響を大きく受けます。
3.名目GDPと実質GDPの違い
名目GDPについて、上で説明しましてきましたが、名目GDPは、価格変動や生産数の増減によって計測にブレが生じるため、正確に経済状況を図るための指標としては適切ではないとされています。
ただ、名目GDPは国民総所得(GNI)と同数値になり、国民の所得推移を見ることにもなるため、その点で参考程度に見ることはできるでしょう。
一方で、より物価変動に左右されない指標として実質GDPがあります。実質GDPは固定された価格で計測します。それによって、実質GDPは生産量が変化した時のみ計測値が変化します。
4.日本の名目GDPの推移
では、日本の名目GDPはどのように成長してきたのか、グラフで見てみましょう。

※内閣府のデータを基に投資の教科書が作成
上記の場合、2014年4月の増税後の名目GDP押し上げが特に目立ちます。物価変動や貿易収支(輸出入)が名目GDPに与える影響が大きく変動も激しくなります。
ちなみに、GDPは成長率で見られることが少なくありません。
5.増税が名目GDPに与える影響は?
名目GDPは物価変動の影響を受けるということなので、理論的には増税が実施されるとGDPは押し上げられます。
しかし、増税後、物価上昇によって消費マインドが冷え込むことで在庫は過剰になります。在庫が過剰になれば、生産を控えるようになります。すると、国内で生み出される付加価値は減退し、名目GDPへはマイナスの影響を与えます。
上記のように、増税によるプラス要因とマイナス要因で相殺され、名目ベースで見たGDP成長率はそれほど変化しないということになります。
上図の名目GDPでは、2014年4月の消費増税後に短期的に急激に上昇しています。その時期は、消費増税によって価格が上がったため、名目GDPにも影響しました。その後、実態経済の落ち込みから成長率は直ぐに落ち着きました。
6.世界の名目GDPランキング
では、その日本の名目GDPは、世界ではどの位置にいるのでしょうか。ランキングを見てみましょう。
| 順位 | 国名 | 値(億米ドル) |
| 1 | 米国 | 178,442.7 |
| 2 | 中国 | 108,005.7 |
| 3 | 日本 | 61,897.5 |
| 4 | ドイツ | 39,392.3 |
| 5 | フランス | 29,249.0 |
| 6 | イギリス | 28,581.0 |
| 7 | インド | 28,461.3 |
| 8 | ブラジル | 23,096.6 |
| 9 | イタリア | 21,387.7 |
| 10 | カナダ | 19,041.7 |
戦後、日本はGDP第2位の先進国でした。その後、中国の人口バブルを背景にした経済成長の影響で日本はGDP世界第3位の国に定着しました。
日本は製造業で発展していった国です。自動車やカラーテレビ、クラーは3Cと呼ばれ、国内の工場で作られ世界中で売れることで日本経済を成長させました。
ところが、時代が進みITが浸透してくると、海外で安い賃金で働かせてモノを作った方が安く作れるということで、部品は海外で作り、組み立ても国外でやってしまう企業が増えました。それを逆輸入と言います。
日本は、部品などの資材の調達も、労働力も土地なども海外で行うようになり、それを輸入することで、名目GDPは押し下げられていきました。
一方で、お隣の中国では、人口増加バブルが起こることで日本を追い抜きました。アップルやソニーなど、世界的な企業の製品を中国で作りました。そうして出来上がった製品を海外へ輸出し、さらには国内で所得や消費が伸びていくことで、名目GDPを押し上げました。
7.名目GDPは投資に使える?
この記事を読んでいる投資家の方は、名目GDPは投資に活かせるのか知りたいことと思います。
結論からいえば、名目GDPは、短期トレーダーは使えないが、中長期投資家には使える指標です。
名目GDPは、「3.名目GDPと実質GDPの違い」で述べたように、正確に経済状況を図るための指標としては適切ではありません。ですが、より広い視点で見ると、他の指標を組み合わせることで中長期的な未来を想像する手助けになるでしょう。
その他の指標とは様々ありますが、中でも名目GDPと関連性の高い実質GDPと組み合わせることで、例えば、物価は上がって名目GDPは伸びているが、価格変動を考慮しない実質GDPはむしろ伸び悩んでいるなどと判断することができます。
その判断した内容から、日本経済の伸び悩みを予測したり、さらには金融市場への波及など中長期の視点で見ることができるでしょう。
もちろん確実はありませんが、ある程度先を見据えて投資判断をすることで余裕をもった投資ができるので、是非参考指標として見てください。
まとめ
名目GDPについて解説をしてきました。ここでおさらいをしましょう。
- GDP(国内総生産)は付加価値の合計である。
- GDPには名目GDPと実質GDPの2つの指標がある。
- 名目GDPは、国民総所得(GNI)と同じ数値である。
- 日本は名目GDPが世界第3位の先進国。
- 名目GDPは、現在の価格に生産数量を掛け合わせた数値のため、価格が変化すると計測値も変化する。そのため、名目賃金を測るには適しているが、経済の実態を正しく計測できない特徴がある。
- 実質GDPは、価格を固定して計算するため、複数年にわたって計測した場合、より景気の変化を読み取ることができる。
- 増税は、物価上昇により名目GDPを押し上げるが、消費マインドの冷え込みから押し下げることもある(相殺される)。
- 名目GDPは、短期トレードには向いていないが、中長期投資には向いている。
- 中長期投資家は、他の指標(例えば実質GDP)と組み合わせることで中長期的な投資判断の参考になる。
名目GDPについて理解できましたか。名目GDPは国が一定期間内でどれだけ生産し、所得を増やしたかを表す大切な指標なので、是非、成長率に注目して経済動向を読む参考にしてください。
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