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オプション投資には「カレンダースプレッド」という手法があります。
簡単にいうと、同じものを原資産とする先物やオプションの「期先を買って期近を売る」という取引です。原理を理解すれば、オプションや先物の単純な売りや買いといった取引よりリスクを抑えつつ、大きな利益を得ることができます。
原資産の種類は、日経平均を対象としているものが一般的ですが、ここではアメリカのVIX指数を対象としたVIX先物を使う方法をご紹介します。VIX先物は取引量が非常に豊富で、メカニズムがはっきりしているため、私が好む投資先の一つです。
VIX先物を原資産として行うカレンダースプレッドは、リスクヘッジさえできていれば、安定して継続的に利益を得ることができます。
最初はVIX先物が見慣れないので難しく聞こえるかもしれませんが、一度理解して頂けば、実践は驚くほど容易ですし、株式投資やFXにはない魅力があります。極端でも何でもなく1日にかける時間は10分ほどですみます。
投資のバリエーションの一つとして参考にしてみて下さい。
VIX先物は文字通りVIX指数を対象とした先物で、CBOE(シカゴオプション取引所)で取引されています。なおVIX指数については『恐怖指数(VIX)とは?』で解説していますのでご覧下さい。
VIX先物の価格は、CBOEのサイトで確認することができます。サイトにアクセスして、下に暫くスクロールして頂くと下図のような図があります。
これがVIX先物の価格です。
この記事を執筆している時点では、2017年8月2日から2018年4月18日までの期日の先物が取引されています。通常は、毎月第二水曜日を期日としたものが取引されますが、直近1ヶ月のものは全ての水曜日の先物を取引することができます。
例えば、7月27日現在、期日まで1ヶ月以上先の9月や10月は9月20日と10月18日のものしか取引できません。しかし直近の8月のものは、2日、9日、16日、23日、30日と各週の水曜日のものを取引できます。
カレンダースプレッドはとてもシンプルです。
これだけです。
具体例を見てみましょう。2017年2月1日時点で、8月限と9月限の先物の価格は次のようになっていました。
ここで次のような取引をします。
CBOEのVIX先物は1枚1000単位なので17,950ドルの売りポジションと18,600ドルの買いポジションができます。そして、8月限の期日の直前まで、このポジションを保有します。下図の通り、期日が近くにつれて、それぞれのポジションの価格は下がっていきます。
チャートをみると、2つとも同じように下がっていって、期日が近づけば近くほど下落のスピードが早まっていることがお分り頂けますでしょうか。これは、8月限と9月限の価格差が徐々に広がっていく(=利益が拡大していく)ことを意味します。つまり、当初のポジションから少しずつ利益がでてくるということです。
数字で具体的に確認してみましょう。
8月限 | 9月限 | 価格差 | |
2017年2月1日 | 17.95 | 18.6 | 0.65 |
2017年3月1日 | 17.23 | 17.8 | 0.57 |
2017年4月1日 | 15.46 | 16.25 | 0.79 |
2017年5月1日 | 14.53 | 15.3 | 0.77 |
2017年6月1日 | 13.5 | 14.67 | 1.17 |
2017年7月1日 | 12.65 | 13.6 | 0.95 |
2017年7月27日 | 11.15 | 12.55 | 1.4 |
8月限の期日が近づいてくるにつれて、価格差が広がっていく(=利益を拡大していく)こと、そして価格差の拡大幅が加速していくことが分かると思います。
つまり、権利行使期日が近くなったタイミングで決済することで利益が確定できるのです。
この例では、
というように反対売買を行うことでポジションを解消します。
一連の取引の損益を見てみましょう。
ですね。合計すると6,800ドル-6,050ドルで750ドルの利益になります。
この例では8月限の期日まで、まだ20日残して決済していますが、期日の直前まで持つことでさらに利益を大きく伸ばすことができます。
以上の方法を繰り返し行っていくことで、継続的に利益を狙うことができます。
ただし、カレンダースプレッドで利益をあげることができるのは、「コンタンゴ」とよばれる市場が平穏な時です。「バックワーデーション」という市場が不穏な時は、期近よりも期先の価格の方が高くなってしまうからです。
つまり、バックワーデーションの時は、価格差が縮小していき、場合によっては利益がマイナスになっていきます。
なお2009年1月29日から2015年9月30日までの統計を見てみると、平穏な状態が全期間の86.2%で、不穏な状態は13.3%です。これは日数にすると、年間314.6日は平穏(株式市場が成長)で、不穏な時期(株式市場が減退している時期)は48.5日だけだということです。
出典:『コンタンゴとバックワーデーション|5110』
ただし、先物のポジションを単独で持っている時と比べると、カレンダースプレッドの損失幅は大きく限定されます。
考え方としては、コンタンゴの時に取引をして、バックワーデーションの時は損失を限定するという意識を強く持っておくと、年間では非常におおきな利益を得ることが可能です。
ただし、常に損失が起こる可能性を想定し、過去のVIX先物の価格の動きを調べて、最大損失を計算するようにしましょう。その上で、資金を守れる範囲内でポジションを持つというのが基本です。リスク分析をせずに欲に負けて、稼げるだけ稼ごうとすると、数年で大きく資産を増やせるかもしれません。
しかし、そのようなリスクを考慮しない取引を行なっていると、何かが起きた時に、それまでの利益を全て吐き出し借金すら背負ってしまうことになりかねません。
もし、あなたがリスク分析をせずに実践しようという気持ちに負けそうになったら、必ずこのことを思い出してください。
カレンダースプレッドは期先よりも期近のほうが早く下落するという先物特有の性質を使ったものなので、相場を当てる必要がないというメリットがあります。
ただし、投資全般に言えることですが、利益になることが100%保証されているわけではありません。
VIX指数が急騰したときなど、期近から期先になるほど価格が高くなっていくという通常の構造が崩れる場合があります。
そういった場合に資金が足りなくなって強制決済される危険があるということを忘れてはいけません。
くれぐれも十分資金に余裕を持って実践してください。
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