リスクヘッジの方法を米国ETF・ETN投資から学ぶ
(更新 ) · 投資の教科書 デリバティブ事務局

この記事は2017年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
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リスクヘッジとは、起こりうる最大のリスクを予測して、そのリスクが現実になった場合でも持ちこたえられるように体制を整えておくことです。
全ての投資活動には、リスクがあります。リスクなしでリターンを得ることはできません。そこで必要になってくるのが、リスクヘッジです。
リスクヘッジができるようになると、次の2つの観点から投資の長期的な成功につながります。
- 自分の資産を守る
- 暴落時でも稼ぐチャンスをつかむ
この記事では、リスクヘッジの方法を、私が得意な米国ETF・ETN投資を通じてお伝えします。
はじめに:私の手法と3つのリスクヘッッジ方法
私の得意な手法は、米国ETFとETN、米国オプションを使った投資です。それぞれの手法は、次の記事を参考にしてください。
≫ 米国ETF・ETNの資産運用で年間利回り36%を得ている方法
≫ LEAPSプット売りで18.6%の年間利回りを得ている方法
私の投資手法に共通しているのは、恐怖指数と呼ばれるVIX指数に何らかの形で連動している金融商品に投資している点です。VIXを利用した取引は、高い利回りを実現できる反面、欲に目がくらんでリターンだけを追ってしまうと、大きなリスクがあります。
具体的には、VIXは全期間の86.2%以上は平穏な状態(=上記2つの手法で稼げる状態)であり、運が良ければ、リスクヘッジをしなくても、4~5年の間、ほとんど何も起きずに、驚くほど資金を増やせる可能性があります。
ただし、リスクを考慮しないで投資していると、リーマンショック級の出来事が起きた時に、これまでコツコツ積み上げた利益を全て失ってしまうこともあります。
そこで必要になってくるのが、リスクヘッジです。
リスクヘッジには、コストと手間がかかります。そのため、リスクヘッジを充分に検証しないままポートフォリオを組んでいる方は少なくありません。
しかし、「滅多に起きないことだから」と万一の事態を想定せずにリスクヘッジを怠っていると、必ずと言っていいほどこれまでの利益を失います。それぐらいに、リスクヘッジは安全に確実に資産を積み重ねていくために欠かせません。
次からは、私が行っている次の3つのリスクヘッジの方法について解説していきます。
- 資金管理
- コールオプションの買い
- ロングとショートの組み合わせ
しっかり付いてきてくださいね。
1.資金管理
1つの目のリスクヘッジ方法は、資金管理、特に証拠金の徹底です。
私が実践しているVIXを活用した取引の場合の資金管理とは、簡単にいうと「手持ちの資金に対して、どのぐらいの大きさのポジションを立てても良いか」ということです。これを徹底し、資金がショートすることを防げば、利益が約束されていると言っても過言ではありません。
それでは、資金管理の方法について、「VXX」というETNを例にして解説していきます。
私の手法をざっくりお伝えすると、相場が急落してVIX指数が上昇したタイミングでこのVXXを空売りするというものです。
この取引において、どの程度の資金を証拠金として準備しておけばよいのでしょうか?
私が1つの基準としているのは、リーマンショック級の大混乱が起きたとしても耐えることができる資金量を確保しておくというものです。
それでは、早速、リーマンショック時にVXXがどうなったのかを検証してみましょう。
しかし、VXXが上場されたのは2009年1月なので、リーマンショックが起こった2008年のデータは存在しません。そこで、『リーマンショックの一年前にVXXを買っていたら?』の記事で解説されている理論値を使います。
次のチャートは、先ほどの記事から引用した、VIX(ピンク色)とVXX(青色)を重ねたチャートで、その下が、S&P500(緑色)のチャートです。

ご覧のように、リーマンショック時のVXXの理論上の最高値は、2008年11月20日の9,378ドルです。2008年9月15日の終値が2,538ドルなので、約3.7倍上昇したことになります。
したがって、理論上はVXXが突然3.7倍以上、上昇したとしても強制決済されないだけの資金を準備しておけば耐えられたということです。
ただし、証拠金の計算方法は証券会社によって異なる場合があるので、お使いの証券会社でご確認ください。
2.コールオプションの買い
2つの目のリスクヘッジ方法は、コールオプションの買いです。コールオプションは、原資産が上場すると、コールオプションの価格も上昇します。
VXXは、全体相場(例えばS&P500)が急落すると、急激に上昇します。この時、VXXのコールオプションを買っておくと、VXXの上昇による損失拡大にブレーキをかけることができます。
例えば、VXXの価格が13ドルの時に、権利行使価格が30ドルのVXXコールオプションを買っておきます。その後、相場が急落してVXXの価格が45ドルに急上昇したら、32ドルの含み損になってしまいます。投資額13ドルに対して含み損が32ドルなので、約250%の損失です。
しかし、30ドルのコールオプションを持っていると、VXXの下落とコールオプションオン上昇が相殺されて、理論上は17ドルの含み損(約130%の損失)まで抑えることができます。
このように、コールオプションを利用すると、損失に上限をかけることが可能になります。
ただし、オプション価格の時間価値の性質上、期日が先のコールオプションではなく、なるべく期日が近いオプションを買うようにしてください。私の場合、期日が1ヶ月の短期オプションを毎月買う方法(=ロールオーバー)でリスクヘッジしています。
3.ロングとショートの組み合わせ
3つ目のリスクヘッジの方法は、ロング(買い)とショート(売り)でポートフォリオを組むことで、暴落時の損害をコントロールするというものです。
具体的には、次の2つがあります。
- 同じ動きをする銘柄のロングとショートの組み合わせ
- 逆の動きをする銘柄のショートとショートの組み合わせ
ここでは、前者についてお伝えします。
米国ETFやETNには、値動きが数学的に決まっている銘柄があります。その中でも、次のVXXは、下がり続ける特性がある銘柄です。

また、次のVXZも下がり続ける銘柄です。

これらは価格の計算原理は同じですが、次のような違いがあります。
- VXXのほうが下がるスピードが早い
- VXZのほうが下がるスピードがゆっくり
つまり、VXZのほうが、(VXXより)VIX指数に対しての反応が鈍く、例えば、同じ期間にVXXが10%下がっても、VXZは7%しか下がらないといったケースはよくあります。
この特性の違いを利用して、
- VXXを1,000ドル分ショート
- VXZを1,000ドル分ロング
のポジションを組めば、差分の3%が利益になります。この時、逆にVXXが上昇したとしても、VXZの買いの利益でマイナス分をカバーすることができます。
まとめ
この記事では、リスクヘッジの方法を、米国ETF・ETN投資を通じてお伝えしました。
どのヘッジ方法にも共通して言えることですが、投資である以上、完全に損失を回避(ゼロ)にすることはできません。あくまでも、リスクを軽減するというものです。
また、リスクヘッジのやり方は1つではなく、この記事で紹介した3つを方法以外にも、様々な方法があるので、この記事をヒントにして、色々とお試しいただければと思います。
その際、1番目の資金管理は、リスクヘッジをする時だけではなく、投資をする際のベースとなる考え方になるので、しっかりマスターするようにしてください。
この記事を書いた人
投資の教科書 デリバティブ事務局
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