PTS(私設取引)とは|日中と夜間の価格差で利益をあげる方法
(更新 ) · 投資の教科書 株式事務局

この記事は2018年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
PTS(Proprietary Trading System)とは、証券会社が独自で運営する私設取引所のことです。
証券取引所の通常の取引は9時から15時までですが、PTSを使うと23時59分まで株式取引をすることができ、売買のチャンスが格段に広がります。
この記事では、次のノウハウをお伝えします。
- PTS取引に役立つ情報の取得方法
- PTSと通常取引の価格差を利用した投資方法
これをヒントにして、ぜひ、あなたの株式投資にお役立て下さい。
目次
1.PTS(私設取引システム)の基本
株式取引は、東京証券取引所をはじめとした取引所を通じて売買されることが一般的です。しかし、一部の証券会社が、独自に取引所を運営しています。それが、PTS市場です。
1.1.取引できるのは楽天証券を含む3社
その一部の証券会社、つまり、PTS取引ができるのは、次の3社に限られます。
PTS取引は、それぞれの証券会社内の顧客どうしで取引を行うので、東証(全体)の取引ほど活発ではありません。しかし、株式取引の仕組みは、通常取引とほとんど変わりません。
このことを、実際に、楽天証券の楽天(4755)のPTS取引の画面(左)と、通常取引の画面(右)で比べてみましょう(時刻は同じ14時20分)。
※クリックすると拡大します
いかがでしょう?
右の通常取引の板(注文状況を表したもの)より、左のPTS取引の板のほうが、圧倒的に少ないことがわかりますよね。
ちなみに、PTS取引というと「夜間取引」を連想する人が多いですが、実は、このように、日中の時間帯も、東証の通常取引の裏でPTS取引は行われています。
ただし、PTS取引の参加者は個人投資家がほとんどで、取引される株数自体が少ないので、指値で注文を出しても、いつまで経っても約定しないことがあります。そのため、9時~15時の時間帯は、通常の東証で発注するほうがいいでしょう。
PTS取引が威力を発揮するのは、夜間を含む15時以降の時間帯と覚えておきましょう(活用方法は、3章で解説)。
1.2.通常取引とPTS取引で売買できる時間帯の比較
東証の通常の株式取引は、次の2つの取引時間帯に分けられます。
- 前場:9時00分~11時30分
- 後場:12時30分~15時00分
一方、PTS取引の株式取引は、大まかに次の2つの取引時間帯に分けられます。
- デイタイムセッション(日中取引)
- ナイトタイムセッション(夜間取引)
ただし、実際に取引できる時間帯は、PTS取引ができる3社で異なります。
| 証券会社 | デイタイムセッション | ナイトタイムセッション |
| 楽天証券 | 8:20~16:00 | 17:00~23:59 |
| SBI証券 | 8:20~16:00 | 17:00~23:59 |
| 松井証券 | 8:20~15:30 | 17:30~23:59 |
| 証券会社 | デイタイム セッション |
ナイトタイム セッション |
| 楽天証券 | 8:20~16:00 | 17:00~23:59 |
| SBI証券 | 8:20~16:00 | 17:00~23:59 |
| 松井証券 | 8:20~15:30 | 17:30~23:59 |
ご覧のように、松井証券の取引時間だけが若干違います。しかし、デイタイムセッションは東証より早く始まり、終了時間も遅いことは共通です。
ちなみに、補足になりますが、取引手数料は、次のSBI証券のように、通常の取引より若干安いことが多いです。

SBI証券のPTS手数料
各社でサービス競争をしており、手数料体系は頻繁に変わるので、PTS取引をしようと思っている証券会社のホームぺージをチェックしてみて下さい。
1.3.PTS取引は小数点以下の株価で売買できる
東証の通常取引では、みずほフィナンシャルグループ(8411)などのごく一部の限られた銘柄を除き、小数点以下の株価で売買することはできません。
しかし、PTS取引では、全ての銘柄が小数点以下で売買できるのが特徴です。そのため、より細かな株価で売買することができ、東証の通常取引より安く買えたり、高く売れたりすることがあります。
下の画像は、フォーサイド(2330)のPTS取引の画面です。売り注文の一番上に、「384.9円」と出ているのがわかりますよね。

どういう意図で384.9円という中途半端な株価で注文を出しているのかはわかりません。しかし、おそらく、385円はキリがいい株価で多くの人が売りたいと思う株価なので、それよりも0.1円安い価格で売れたらいいなという思惑なのかもしれません。
このように、通常取引では1円刻みの銘柄でも、PTSだと0.1円刻みで細かく売買できるので、有利な株価で売買できることもあります。
2.PTS取引に役立つ情報源
1章では、PTSの基本についてお伝えしましたが、全銘柄のPTSの株価をいちいちチェックするのは大変ですよね。ここでは、PTS取引に役立つ情報の取得方法として、次の2つのサイトを紹介します。
- モーニングスター社のPTSランキング
- 東証適時開示情報
それぞれ解説します。
2.1.モーニングスター社のPTSランキング
モーニングスター社は、投資信託を評価するサイトで有名です。それに加えて、PTSの様々なランキング情報も充実しています。具体的には、値上がり率、値下がり率、出来高、売買代金などのランキングをチェックすることができます。
●モーニングスター社のPTSの株式ランキング画面

特にチェックが必要なランキングは、値上がり率と値下がり率です。なぜなら、値上がり率上位の銘柄は翌日も高く始まり、値下がり率上位の銘柄や翌日も安く始まることが多く、翌日の値動きの参考になるからです。
でも、なぜその銘柄がPTSの値上がり率上位や値下がり率上位にランクインしているのか気になりますよね。
それは、次に紹介する東証適時開示情報にヒントが載っていることが多いからです。
2.2.東証適時開示情報
東証適時開示情報は、上場企業が、投資家に開示しなければならない情報をリアルタイムで掲載するサイトです。決算発表や業績の進捗状況、株主優待や配当などの株主還元策、他社との業務提携など、様々な情報が常に発信されています。
●適時開示情報画面
このサイトは、モーニングスター社のランキングを見て、どういうニュースでその銘柄が上がったり下がったりしているのかを確認してから活用します。また、最初から適時開示情報を見て、PTSのナイトセッションに影響が出そうな銘柄を探して売買する方法もアリでしょう。
ただし、決算が集中する時期は、1,000件を超える情報が公開される日もあり、とても全部はチェックできません。その場合は、「表題(ニュースのタイトル)」から業績に関連する情報だけに絞って閲覧することで、PTSの株価に影響を与えそうな銘柄を効率良く探すことができます。
3.PTS取引の実践的な活用方法
これまでお伝えしたことを活用して、今度は利益につなげていきましょう。
ポイントは、「取引所取引とPTS間で売買すること」です。
1章のフォーサイド(2330)のように、東証の通常取引で15時までに買えなかった銘柄を、PTSのデイタイムセッションで15時30分や16時までに買うこともできます。
また、PTSのナイトセッション(17時~23時59分)に買った銘柄を、翌日の東証の通常取引で売ることもできます。
この時間差を上手く利用して、例えば、15時以降に上方修正などのいいニュースが発表された後に、翌日の株価の値上がりを見込んで、PTSのナイトセッションで買っておくこともできます。
また、15時以降に下方修正などの悪いニュースが発表された後に、PTSのナイトセッションで売られ過ぎて大幅安になったタイミングで買って、反発を狙うこともできます。
言葉だけではわからないと思うので、事例を使って解説します。
下の画像は、田中化研(4080)という会社が、東証適時開示情報で発表した時のものです。

「2018年3月期 決算短信[日本基準](非連結)」のニュースの中身は、2018年3月期の決算の数字があまりいいものではないという内容でした。
取引所取引の終値は1,844円だったのですが、この結果を受けて、17時から始まったSBI証券のPTSのナイトセッションでは、1,500円を割り込むほど急落しました。
下の画像が、その時のものです。

このように、PTSは参加者が限られるため、一部の個人投資家が適時開示情報に過剰に反応して、とんでもない株価をつけることがあります。
もし、あなたが田中化研(4080)が売られ過ぎだと判断すれば、PTSで例えば1,535円で買ってみてもいいでしょう。
実際、翌日の東証の通常取引での同社の始値は1,604円で、前日のPTSの株価ほど下げていないことがわかります。下の表で、ニュースの発表当日と翌日の東証の株価をご確認下さい。
| 日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
| 2018年5月11日 | 1,830 | 1,855 | 1,787 | 1,844 |
| 2018年5月14日 | 1,604 | 1,720 | 1,590 | 1,677 |
たらればの話になりますが、もし、1535円で100株買っていれば、翌日の通常取引の始値で1,604円で売れ、約7,000円の利益が得られたことになります。
しかし、会社から帰ってきてから、東証適時開示情報に目を通し、銘柄コードを入力して注文状況をチェックするのは難しい方がほとんどですよね。
でも、ご安心下さい。田中科研(4080)は、2章で紹介した、モーニングスター社の値下がり率ランキングから見つけたものです。
下の画像がその時のもので、値下がり率の4位にランクインしていることがわかります。

このように、モーニングスター社と東証適時開示情報の情報を併用することで、PTSで有り得ない株価をつけた銘柄を探し、翌日の取引所取引で売って利益をあげる手法が可能になります。
まとめ
この記事では、PTSの特徴と活用方法についてお伝えしました。
決算が集中する時期には、記事の中で紹介したような行き過ぎた株価がPTSでつくことがあるので、そのような銘柄を見つけたら売買のチャンスになります。また、取引所取引でストップ高になった銘柄をPTSで買って、さらに続伸することを狙う売買もできます。
PTSを活用することで、通常の取引以上にトレード機会を多くすることができます。色々検証してみて、株式トレードで利益をあげる引き出しを増やして下さいね。
この記事を書いた人
投資の教科書 株式事務局
投資の教科書株式事務局では、株式投資で稼ぐ力を身につけるために必要な基礎知識をはじめ、実際に成果をあげているトレーダーの手法、分析方法などを、初心者にもわかりやすくお伝えしています。






