TOPIX(東証株価指数)とは?日経平均株価との違い

日本を代表する株価指数として、「日経平均株価」と「TOPIX」があります。日経平均株価の方が有名で、ご存知の方も多いでしょう。

しかし、機関投資家はTOPIXをベンチマーク(指標)にして運用を行っています。

大きな資金を運用している投資家が見ている株価指数なので、TOPIXについてもしっかり理解しておく必要があります。

今回は、TOPIXの制度や日経平均株価との違い、実際に取引するにはどのようにすればいいか詳しく解説していきます。最後までじっくりお読みください。

執筆者
やんた

やんた

一橋大学経済学部卒業。証券会社で営業、アナリスト、ディーラー職の経験を経て、個人投資家に転身。現在は、日経225先物やオプションを中心に、株式、CFD、FXを取引している。ツイッターアカウントは@yanta2011で、ブログ『日経225先物オプション奮闘日誌』を運営。趣味は、ウィンドサーフィン。

1.TOPIXは日本を代表する株価指数

TOPIXは”Tokyo Stock Price Index”の略で「東証株価指数」と呼ばれます。東京証券取引所(東証)第一部の全銘柄(約2,000銘柄)を対象に算出される株価指数です。1968年(昭和43)年1月4日の東証一部の時価総額を100とし、現在の時価総額を指数で示しています。

時価総額とは、株価に発行済み株式数をかけた数字で、会社を丸ごと買った時の値段を表しています。ただし、TOPIXで計算される時価総額は、上場株式数のうち大株主などの安定株主の保有株数を除いた「浮動株数」(上場株式数 × 浮動株比率)をもとに計算しています。

  • 発行済株式数の多い大型株の影響を受けやすい
  • 銀行、通信、不動産などの内需株の影響が大きい

などの特徴があります。TOPIX構成上位銘柄は以下のようになります(2018年12月末)。

順位 コード 社名 業種 ウェイト
1 7203 トヨタ自 輸送用機器 3%
2 8306 三菱UFJ 銀行業 1.82%
3 6758 ソニー 電気機器 1.69%
4 9984 ソフトバンクグループ 情報・通信業 1.65%
5 9432 NTT 情報・通信業 1.33%
6 6861 キーエンス 電気機器 1.28%
7 8316 三井住友 銀行業 1.23%
8 7267 ホンダ 輸送用機器 1.14%
9 8411 みずほ 銀行業 1.07%
10 9433 KDDI 情報・通信業 0.98%

過去10年間の推移は以下のようになります。

出所:SBI証券

2.日経平均株価とは?構成銘柄を確認しよう

株価指数では「日経平均株価」の方が有名ですよね。日経平均株価についても見ていきましょう。

日経平均株価は日本経済新聞社が発表する、東京証券取引所第一部上場のトヨタやソニーなど日本の代表的な225銘柄の株価水準を示す指標です。

  • 値がさ株(株価が高い株)の影響を受ける
  • 電気機器・IT(情報技術)などハイテク株の比重が高い

といった特徴があります。日経平均株価に対する影響の高さを「寄与度」といいます。寄与度の高い企業ほど、日経平均株価に大きな影響を持つ銘柄になります。

日経平均株価に影響を与える寄与度ランキングは以下のようになります。(2018年12月現在)

順位 コード 社名 日経業種 ウェイト
1 9983 ファーストリテイリング 小売業 10.43%
2 9984 ソフトバンクグループ 通信 4.05%
3 6954 ファナック 電気機器 3.08%
4 9433 KDDI 通信 2.91%
5 8028 ユニー・ファミリーマート 小売業 2.71%
6 8035 東京エレクトロン 電気機器 2.32%
7 4543 テルモ 精密機器 2.3%
8 6367 ダイキン 機械 2.16%
9 6971 京セラ 電気機器 2.04%
10 9735 セコム サービス 1.69%

日経平均株価に大きな影響を与えているファーストリテイリング(ユニクロ)ですが、時価総額ベースでのTOPIXでは、74番目で構成比率はわずか0.33%となっています。

TOPIXの対象銘柄は東証一部全銘柄(約2,000銘柄)で、日経平均株価は225銘柄です。TOPIXの方が、より市場の実態を表しているといえます。ですから、投資信託や機関投資家のベンチマーク(指標)としては、日経平均株価よりTOPIXの方が多く用いられています。

日経平均株価をチェックしている方は多いと思いますが、機関投資家が見ているTOPIXも確認するようにしましょう。

3.TOPIXを取引する方法は2種類

株価指数であるTOPIXを取引することもできます。主に次の2つがあります。

①TOPIX先物
②TOPIX型ETF

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3.1.TOPIX先物とは

TOPIX先物は東証株価指数(TOPIX)を対象にした先物取引です。先物取引とは、将来の売買についてあらかじめ現時点で約束する取引です。つまり、

①将来の定められた期日に
②特定の商品(TOPIXなど)を
③現時点で決めた価格

で売買することを約束する取引です。

取引単位は東証株価指数(TOPIX)の10,000倍

東証株価指数(TOPIX)を10,000倍した金額が最低取引単位(1枚)です。TOPIXが1,500ポイントの場合、1,500万円(1,500×10,000)の取引となります。

呼値(値段の刻み)の単位

TOPIX先物の呼値の単位は0.5ポイントです。

証拠金取引

TOPIX先物は、株式投資のように売買のたびに代金を受け渡すのではなく、決済の時(買いなら売りの時)に生じた損益(差額)のみを受け渡しします。このような取引を「差金決済」といいます。

差金決済では、受渡し金額は必要ありませんが、損失がでても決済ができるように一定の金額を預けておく必要があります。この預け入れる金額を「証拠金」と呼び、証拠金を利用した取引を「証拠金取引」と呼びます。

先物の証拠金は、SPAN証拠金として日本証券クリアリング機構から発表されています。SPANとは、シカゴ・マーカンタイル取引所が開発した証拠金計算方法で、ポジション全体から生じるリスクに応じて証拠金が計算されます。SPAN証拠金は毎週変わり、市場のボラティリティ(変動率)が高くなるほど証拠金が上がりやすくなります。

詳しくは日本証券クリアリング機構を参考にしてください。

SPAN証拠金は、ネット証券などでも確認することができます。以下はSBI証券で掲載されているSPAN証拠金です。

出所:SBI証券

TOPIXミニ取引

TOPIX先物は証拠金が数十万円するので、資金がないと取引することができません。そこで、取引単位が10分の1のTOPIXミニ取引も上場されています。

TOPIXミニ取引なら証拠金も10分の1になるので、数万円で取引することができます。また、呼値が0.25ポイントとより細かくなっています。

3.2.TOPIX先物の4つのメリット

それでは、TOPIX先物のメリットを見ていきましょう。

メリット1:少ない資金で大きな取引ができる

先ほどの例では、TOPIX先物の証拠金は63万円です。2018年12月末時点のTOPIX先物は1487.5ポイント。取引金額は14,875,000円(1487.5×10,000)となります。

つまり、63万円の証拠金で1,4875,000円の取引ができることになります。少ない資金で大きな金額の取引を行うことができることを「レバレッジ効果」といいます。

TOPIX先物のレバレッジの計算は以下のようになります。

14,875,000 ÷ 630,000 = 23.61

つまり、「レバレッジ効果」は23.61倍となります。

ちなみに、他の投資対象の証拠金取引は次のようになっています。

    • 株の信用取引:約3.3倍
    • FX(外国為替証拠金取引):最大25倍

メリット2:売りから入ることもできる

TOPIX先物は買いだけでなく、売りもできます。今後、市場が下がりそうだと予想するときは売りから入り、下落したところで買い戻せば利益になります。

メリット3:取引時間が長い

TOPIX先物の取引時間は日中立会が8:45~15:15、夜間立会が16:30~翌5:30となっています。夜間にNYなど海外市場を見ながら取引できることは、大きなメリットです。

メリット4:ヘッジ取引として利用できる

TOPIX先物は、現物株を保有している投資家のヘッジ(リスク回避)として利用することができます。市場全体が下がりそうなときは、TOPIX先物を売り建てておくのです。そうすると、現物株の損失をカバーすることができます。

TOPIXは東証1部全体をカバーしているので、日経225先物(日経平均株価の先物取引)よりもヘッジ効果が大きくなります。

3.3.TOPIX先物のデメリット

それでは、デメリットについても見ていきましょう。

デメリット1:過剰なレバレッジによる損失

TOPIX先物は、証拠金取引により20~30倍のレバレッジをかけて取引することができます。少ない資金で大きな利益を得る可能性がある反面、思わぬ損失がでる場合があります。相場が急変動すると証拠金以上の損失を被る可能性もあるので、最低でもSPAN 証拠金の2倍以上の資金を入れておくようにしましょう。

デメリット2:取引できる期限がきまっている

TOPIX先物は限月取引です。限月とは、先物の取引期限が決まっている月のことです。TOPIX先物の取引の限月は3、6、9、12月と決まっています。限月の第2金曜日(SQ日)でポジションは自動的に決済されます。

例えば、2019年3月限のTOPIX先物の場合、3月の第2金曜日がSQ日なので、取引は前日の木曜日までとなります。

先物は取引期限が決まっているので、長期保有には向いていません。

3.4.TOPIX型ETFとは

先物取引はレバレッジ効果で大きな取引ができるので魅力が高いものの、限月取引なので長期保有には向いていません。長期保有にはTOPIX型のETFが向いています。

TOPIX型ETFとは、TOPIXを対象としたETFです。ETFは”Exchange Traded Funds”の略で、「上場投資信託」と呼ばれています。日経平均株価や TOPIX(東証株価指数)などの動きに連動する運用成果を目指し、東京証券取引所に上場している投資信託です。

このTOPIX型ETFには、次の3つのメリットがあります。

メリット1:リアルタイムに取引できる

ETFは、証券取引所に上場しているので、株式と同じようにリアルタイムで取引することができます。注文方法も「指値(値段を指定)注文」や「成行(値段を指定しない)注文」を使うことができます。

メリット2:少額から投資できる

TOPIX先物は、ミニでも5万円程度の資金が必要です。TOPIX型ETFでは、一番安い金額で買える「1475 iシェアーズ・コアTOPIX」は2,000円以内、その他のETFも2万円以下で購入することができます。 少額から投資できるのもETFの魅力です。

メリット3:投資信託より低コスト

ETFのコストは主に売買手数料と信託報酬です。売買手数料は株式と同じなので、ネット証券を利用すれば安くなります。また保有コストとして信託報酬がかかります。

信託報酬とは、投資信託を購入してもらうための経費として保有している間ずっと投資家が支払い続ける費用のことです。投資信託では、一般的に0.5~2%程度かかります。

投資信託は、販売会社(銀行、証券会社など)、受託会社(信託銀行)、運用会社の三者に対して信託報酬をしたら必要があります。一方、ETFは販売会社に支払う必要がないので、保有コストが相対的に低い傾向にあります。

「1475 iシェアーズ・コアTOPIX」は、ETFでも最も信託報酬が安く、年0.0648%(税込)となっています。

それでは、代表的なTOPIX型ETFをご紹介します(2018年12月時点)。

TOPIX連動型上場投資信託(1306)

      • 最低買付金額:15,470円
      • 純資産総額:84,345.9億円
      • 信託報酬:0.1188%

最も純資産額が大きく、出来高も多いETFです。流動性が高いので、買いたい・売りたい値段で取引することができます。

iシェアーズ・コア TOPIX ETF(1475)

      • 最低買付金額:1,521円
      • 純資産総額:2207.7億円
      • 信託報酬:0.0648%

純資産額や出来高では「1306 TOPIX連動型上場投資信託」に劣るものの、信託報酬は全ETFの中で最も安い0.0648%。また、最低投資金額も1,500円前後から始めることができます。少額から投資を始めたい初心者にオススメです。

4.NT倍率とは?

NT倍率とは、日経平均株価をTOPIXで割ったものです。日経平均株は値がさ株(株価が高い株)やハイテク株など外需株の影響が大きく、TOPXIは時価総額が大きい銀行や通信などの内需株の影響が大きい株価指数です。ですから、一般的に以下のような関係が成り立ちます。

外需株 > 内需株 → NT倍率上昇
外需株 < 内需株 → NT倍率下落

それでは、過去5年間のNT倍率の推移を見てみましょう。

出所:SBI証券

2018年はNT倍率が大きく上昇した年でした。時価総額の大きい自動車や銀行株が伸び悩む一方、ソフトバンクやファナック、ソニーなど株価水準の高い値がさ株が相対的に堅調だからです。

2018年11月には13.5倍を超え20年ぶりの高値水準となりました。

また、TOPIX先物より日経225先物主導で動くことが多いので、市場全体の株価が上昇する時はNT倍率が上昇、下落する時は、NT倍率が下落する傾向があります。

以下は日経平均株価とTOPIXの値動きを表したチャートです。

出所:SBI証券

赤丸のところは、NT倍率が13.5倍を超えたところで、日経平均株価とTOPIXのサヤ(値幅)が拡大していることがわかります。

4.1.NT倍率を利用したNTトレードとは

先物やETFを利用してNT倍率をトレードすることもできます。オススメは先物です。最初は、証拠金が少なく済む先物ミニから始めるのもいいでしょう。先物をオススメする理由は次の2点です。

①取引時間が長い

ETFは取引時間が株式と同じなので、9:00~15:00です。一方、先物は8:45~15:15、16:30~5:30とETFよりも取引時間が長くなっています。夜間、海外市場を見ながら取引することができます。

②証拠金を相殺することができる

日経225先物とTOPIX先物は証拠金の一部が相殺されます。証拠金によって水準・割引き率は変動しますが、次のような具体例が紹介されています。70%以上証拠金が少なくなっているのがわかります。

出所:JPX

ETFは少額から取引できますが、売りには信用取引を使う必要があり、貸株料(株を借りるための費用)などのコストがかかります。

NTトレードの具体例

先ほども書きましたが、

外需株 > 内需株 → NT倍率上昇
外需株 < 内需株 → NT倍率下落

の関係が成り立ちます。つまり、ハイテク株などの外需株が強い時はNTが上昇、銀行や通信など内需株が強いときはNT倍率が低下します。

      • NT倍率の上昇を予想した場合はNT買い(日経225先物買い+TOPIX先物売り)
      • NT倍率の下落を予想した場合はNT売り(日経225先物売り+TOPIX先物買い)

となります。

例えば、日経225先物が18,000円、TOPIX先物が1,500ポイントの場合のNT倍率は

18,000 ÷ 1,500 = 12倍

となります。今後NT倍率が13倍まで拡大すると考えた時は「日経225先物買い+TOPIX先物売り」を行います。

①NT倍率12倍:日経225先物、18,000円買い、TOPIX先物、1,500ポイント売り

その後、日経225先物は20,800円、TOPIX先物は1,600ポイントになり、予想通りNT倍率が13倍(20800 ÷ 1600 = 13倍)になったので決済します。

②NT倍率13倍:日経225先物、20,800円売り、TOPIX先物、1,600ポイント買い

TOPIXの最低取引単位は10,000倍、日経225先物は1,000倍になります。それでは、それぞれの損益を見てみましょう。

損益(1枚) 

日経225先物 (20,800 – 18,000)×1枚 × 1,000 = 2,800,000円
TOPIX先物 (1,500 – 1,600)× 1枚 × 10,000 = -1,000,000円

合計 +1,800,000円

となります。

まとめ

今回は、TOPIXと日経平均株価との違い、そして実際にTOPIXを取引するにはどうすればいいかを解説しました。また、日経平均株価とのNT倍率を利用したトレード手法もご紹介しました。

日経平均株価は値がさ株の動きに左右され、特に寄与度上位のファーストリテイリング(9983)、ファナック(6954)、ソフトバンクグループ(9984)の動向に大きな影響を受けてしまいます。しかし、TOPIXは東証一部全体の時価総額を対象としていることから、より日本株全体の動向を表しているといえます。

日経平均株価だけでなく、より日本株全体の動向を表しているTOPIXも確認し、株式投資に役立ててください。

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