ショートセリングの原理
· 増田 丞美

この記事は2021年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
一般に平均株価は長期に上がっていきます。
ダウの1985年から2020年までの推移
以下のグラフは米国の代表的な平均株価を表す指数ダウジョーンズ30種(通常「ダウ」)の1985年から2020年までの推移を示したものです。いくつかの大きな下落が見られますが全てが回復し高値を更新しています。
こうしてみると、株式を単に買っていれば儲けることができたわけですから株式投資は簡単にそうに見えます。しかし、実際にはそうでないらしい現実があることが知られています。
前回は株価が長期的に下落していくグラフを紹介しました。
もう一度掲げます。

株価が下落していくのを利用して利益を上げる方法は株式投資とは逆に株式を売ることです。
最初から持っていない株式を売ることができます。それは日本語では「空売り」と呼ばれている手法です。英語では「ショートセリング」(”Short-Selling”)と呼ばれています。それについては株式投資(株式を買うこと)よりリスクが高いというイメージが持たれています。
果たしてそうでしょうか。
結論を先に言うと、決してそんなことはありません。むしろ、株式投資よりいい側面が多くあります。ただし、米国の制度を利用することが前提です。
「ショートセリング」の原理
「ショートセリング」の原理はこのようなものです。
Martin Zweig(マーティン・ツバイク)氏の自著“Winning on Wall Street”(「ウィンイング・オン・ウォール・ストリート」)のChapter 14(第14章)から引用します。
“Selling short is a very common business practice outside the stock market. They just don’t call it selling short. For example, you go to a car dealer to buy a Chevrolet and you want it with fancy red paint, a stereo, and an automatic seatwarmer. You order all these extras and the dealer says, “I don’t have such a car in stock, so I’ll have to order it for you.” You say, “Okay, that’s fine. Order it.” He says, “I’ll have the car in a month. Pay me a deposit now. We’ll order the car and deliver it to you.” You agree. What’s happened is that the dealer has sold short a car. He has actually sold you something before he’s bought it from the factory.” (上記著書より引用)
「ショートセリングは株式市場以外では非常によくみられるビジネス慣習です。しかし、彼らはそれをショートセリングとは言いません。たとえば、自動車販売店に行ってシボレーを購入し、派手な赤いペンキ、ステレオ、自動シートウォーマーを付けたいとします。あなたはこれらすべての付属品を注文し、ディーラーは「私はそのような車の在庫を持っていないので、あなたのためにそれを注文しなければなりません」と言います。あなたは言います 「オーケー。注文してください。」彼は言います。「私は一ヶ月で車をご用意します。今すぐデポジットを払ってください。車を注文してお届けします。」あなたが同意する。何が起こったのかというと、ディーラーが車を先に売ったということです。彼は実際にあなたに売ってから、それを工場から購入しました。 」 上述の内容を株式のショートセリングに当てはめるとこうなります。
”Technically, when you sell short you borrow the securities from a brokerage house and sell them in the market. You owe the broker these securities.” (Martin Zweig著“Winning on Wall Street”Chapter 14より引用)(「技術的には、ショートセリングを行うとき、証券会社から証券を借りて市場でそれらを売る。つまり、ブローカーから先に売るための証券を借りるということだ。」)
手元にない株式を借りて売ることができます。
「空売り」として知られているショートセリングには多くの誤解があります。
この手法は一般の個人投資家にとっても資産を築くのに効果的な方法です。
前回オプションに触れましたが、ショートセリングは「コールオプションの売り」に似ています。そして、オプションを知らなくてもそれを実行することができます。そして、決して少ない収益を期待することができます。
次回は、さらにショートセリングについてお話します。
この記事を書いた人
増田 丞美
現在、WBP,LLC/Wish & Brains Partners代表(CEO)兼社長。
「オプション・キャッシュフロークラブ」主宰。
米国コロンビア大学を卒業後、野村証券(東京・ロンドン)、米国投資銀行モルガンスタンレー(ロンドン)などを経験。
現在、国内外の事業会社の経営の傍ら、日本において幅広い個人層にオプションの実践を指導している。
オプションに関する著書・訳著多数。




