投資の教科書

なぜ“ショートセリング”なのか?

· 増田 丞美

なぜ“ショートセリング”なのか?

この記事は2021年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。

ショートセリングは日本語では「空売り」と呼ばれているものです。

しかし、米国の制度ではそれは日本の制度における「空売り」は多くの点で異なります。私は米国の制度をうまく利用してショートセリングで資産を築くことができます。

“Winning on Wall Street”

ショートセリングの一般的な原理は米国の著名なアナリスト、Martin Zweig(マーティン・ツバイク)氏が自著“Winning on Wall Street”(「ウィンイング・オン・ウォール・ストリート」)のChapter 14(第14章)で詳細に述べています。その一部を引用させていただきます。

「ショートセリングの考え方は単純だ。特定の株が下がることは間違いない。だからあなたは今それを売り、後でもっと安い価格でそれを買い戻すことができることを期待できる。それについて考えるなら、これは売るよりも低い価格で買おうとするいかなる取引にも類似している。この場合の唯一の違いは、「売り」を先にやるということだ。技術的には、ショートセリングを行うとき、証券会社から証券を借りて市場でそれらを売る。つまり、ブローカーから先に売るための証券を借りるということだ。」

「なぜ“ショートセリング”なのか?」

ショートセリングについて一般に抱くイメージからくる“誤解”を解いておきたいと思います。一般に、ショートセリングは「株式投資」(株式の買い)に比べてリスクが大きいと思われています。「そうではない。」と結論めいたことを先に伝えておきます。特に、「米国の制度においては。」と付け加えておきます。

後述しますが、ショートセリングは表面上単純ですが、背景には複雑な数学的な原理があります。

「なぜ“ショートセリング”なのか?」、「ショートセリングは危険じゃないのか?」・・・これらについてしっかりと理解し誤解を解いておかなければ続けていくことができません。

「なぜ“ショートセリング”なのか?」・・・・一言で言えば、米国の制度をうまく利用し目的を遂げるのにかなり効果的だと信じられるからです。それは理論と実績に裏づけられています。これについては仕組みや制度について踏み込んで後述します。

「ショートセリングは危険じゃないのか?」・・・・株式を先に買うと言う一般的な「株式投資」と比べるとそのように感じられるかも知れません。しかし、それは多くの場合誤解や誤ったイメージから来ていると思われます。それについては私よりもMartin Zweig(マーティン・ツバイク)氏の方が分かり易くうまく説明しているので氏の著書から引用します。

ショートセールについて2番目に広く知られている誤解

「ショートセールについて2番目に広く知られている誤解は、利益が制限され、損失が無制限であると信じられていることです。これはまったくナンセンスです。たとえば、50ドルの株をショートした場合、会社が倒産した場合に得られる最大の利益は50ドル、つまり投資の100%であるという誤解があります。逆に、あなたが将来の株価変動を間違って推測した場合、あなたが失い得る金額に理論的な制限はないと信じられています。同株価は1000ドルに達する可能性があります。その場合、金額は20倍になります。そのような考え方は控えめに言っても誤りです。そもそも、ショートセリングを行う時、ブローカーに担保を差し出します、それはあなたが財務省証券で代用することもできます。最小担保は取引額の50%です。したがって、1株50ドルの株式を100株に対してショートセリングを実行する場合、それは5,000ドルであり、少なくとも2,500ドルの担保を用意する必要があります。全額を預けるとしましょう。同株価が上がった場合、ブローカーは最終的にあなたにもっとお金を要求するでしょう。株価が80ドルに上昇するまでに、3,000ドルの損失(評価損)が発生します。当初の資本の評価額は$ 2,000まで下がるでしょう。しかし、そうなる前に、ブローカーはより多くの担保を要求していたでしょう。担保を追加しなかった場合、ブローカーは株の買い戻しを実行しショートポジションをカバーします。あなたは最悪の状況から逃れることができます。あなたが無限の金額を失うことができる唯一の方法は、ブローカーの要求に応じて次々と担保を差し出してしまうことです。」(Martin Zweig[マーティン・ツバイク]氏が自著“Winning on Wall Street”[『ウィンイング・オン・ウォール・ストリート』]のChapter 14より引用。) 

ショートセリングについてのまとめ

ショートセリングについてまとめます:

1)目的

  • 長期的な資産の増加
  • 米国株式マーケットの制度を利用するものの通常の株式投資ではありません。
    *これは日々の積み重ねになります。株式の“長期投資”とは質が異なります。

2)利点

  • 米国制度によって守られている。(米国の制度や仕組みを利用します。)
  • 管理が比較的容易。
  • 長期的な収益。(日々の積み重ね・・・これには数学的機能が関係しています。)

3) 短所(ここに掲げた”短所”は必ずしも”不利益”ではありません。むしろ利点につながります。)

  • 根気強さが求められる。(←日々の積み重ねです。)
  • 一般的な売買ではないので分かりにくい。
    (高度な知識は要らないが原理を正しく理解する必要がある。)
  • 米国の制度や会計の仕組みについて一定の理解が求められる。

この記事を書いた人

増田 丞美

現在、WBP,LLC/Wish & Brains Partners代表(CEO)兼社長。
「オプション・キャッシュフロークラブ」主宰。
米国コロンビア大学を卒業後、野村証券(東京・ロンドン)、米国投資銀行モルガンスタンレー(ロンドン)などを経験。
現在、国内外の事業会社の経営の傍ら、日本において幅広い個人層にオプションの実践を指導している。
オプションに関する著書・訳著多数。

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