”安く買って高く売る”の反対

マネーを生むからくり」の記事ではマネーのからくりとデリバティブの原理に簡単に触れました。「デリバティブの原理」はあまり難しく考える必要はありません。数学的な“数”の合理性・論理性を生かしたものといった程度の意味で用いました。本稿を興味を持って読まれている方は数学的な“数”の合理性・論理性を生かしたものとしての「デリバティブの原理」という言葉を頭の隅に記憶しておいていただければと思います。いずれそれについて少し踏み込んでお話しします。

執筆者
増田 丞美

増田 丞美

現在、WBP,LLC/Wish & Brains Partners代表(CEO)兼社長。 「オプション・キャッシュフロークラブ」主宰。 米国コロンビア大学を卒業後、野村証券(東京・ロンドン)、米国投資銀行モルガンスタンレー(ロンドン)などを経験。 現在、国内外の事業会社の経営の傍ら、日本において幅広い個人層にオプションの実践を指導している。 オプションに関する著書・訳著多数。

安く買って高く売る

投資の世界で著名な米国人ウォーレン・バフェット氏の師匠と言われているベンジャミン・グレアム氏は自著”Intelligent Investor” (『賢明な投資家』)の中で投資について次のように述べています。

“Investment Operation is one which, upon thorough analysis promises safety of principal and adequate return. Operations not meeting these requirements are speculative. “
(「投資は完全な分析によって元本の安全と十分なリターンを約束するものであり、そのような要件を満たさないものは投機的である。」)

何やら小難しいことが書かれてありますが、多くの人はこのように考えているはずです。「安く買って高く売ればいいのだろう。」と

ええ、一般的にはその通りです。そのようなことができるようになるために、「完全な分析をせよ。」ということなのだろうと思います。

私に関して言えば、
「安く買って高く売る」より「高く売って安く買い戻す」ことを好みます。
ええ、多くの人たちが”投資”としてやっている「安く買って高く売る」 の反対です。

高く売って安く買い戻す

「高く売って安く買い戻す」ことに関して、
Martin Zweig(マーティン・ツバイク)氏の自著“Winning on Wall Street”(『ウィンイング・オン・ウォール・ストリート』)の述べられた以下の内容が参考になるので紹介します。

以下は同著Chapter 14(第14章)からの引用です。(原文は英文です。)

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多くのトレーダーが真に理解していない”ショートセリング”(注:上記の「高く売って安く買い戻す」ことを目的に先に得る商行為)に注意を払わなければ、株式市場でお金を稼ぐことについての議論は完結しないであろう。ショートセルの考え方はシンプルだ。ある銘柄の株価は間違いなく下がる。だからあなたは今それを売り、後でもっと安い価格でそれを買い戻すことができる。それについて考えてみよう。それは売り値も低い値段で買おうとするいかなる取引にも似ている。

その場合一般の商行為(「安く買って高く売ること」)との唯一の違いは、先に売るということだ。技術的には、あなたが(買うよりも先に)売るとき、あなたは証券会社から証券を借りて市場でそれらを売る。あなたはブローカーから証券を借りるのである。
そのための担保として、そのブローカーに必要な一定額の現金を預ける。ブローカー必要に応じて証券を買い戻すのに十分なお金があることあらかじめ確認している限り時間の制限はありません。

ショートセリングは株式市場以外ではよく見られるビジネス慣行である。たとえば、自動車販売店に行ってシボレーを購入し、派手な赤いペンキ、ステレオ、自動シートウォーマーを付けたいとしよう。あなたはこれらすべてのオプションを注文し、ディーラーは「私はそのような車の在庫を持っていないので、あなたに代わってそれを注文しなければなりません。」と言うだろう。そこで、あなたはこう言うだろう。 「オーケーそれでいい。注文してください。」そしてディーラーはこのよう返答する。「私は一ヶ月で車を手に入れます。今すぐデポジットを預けてください。車を注文してお届けします。」あなたが同意する。何が起こったのかというと、ディーラーが車を先に売ったということだ。実際にディーラーがしたことは、あなたに車を売って後に、それを工場から購入するということだ。

ショートセリングにはいくつかの誤解がある。その一つは、利益が制限され、損失が無制限あると信じられていることだ。これはまったくナンセンスだ。たとえば、50ドルの株をショート場合、会社が倒産した場合に得られる最大の利益は50ドル、つまり投資の100%であると信じられているがそれは誤解である。逆に、あなたが株価の先行きについて間違って推測した場合、あなたが被る損失額は理論的な制限がないと信じられている。株価は1000ドルに達する可能性がある。元の株価の20倍である。そのような考え方は控えめに言っても誤りなのだ。そもそも、あなたがショートセリングを実行するとき、あなたはブローカーに担保を差し出す。財務省証券(債券)を預けることもできるが、担保は取引額の50%と定められている。

ショートセリングで得られる潜在性(可能性)は100%の利益に限定されない。それは事実上無制限である。たとえば、100株を$ 50でショートすると、株は$ 25に下がったとしよう。それによって2,500ドルの利益(未実現益)がでる。 5,000ドルの投資金から始めた場合、口座の総資本は7,500ドルになる。この時点で、株式は25ドルで取引されている。100株あたり2,500ドルだ。口座に2,500ドルしか必要ないのだ。

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上述の話は一般に広く知られている「株式投資」とは違います。
そこで、ここにおいて「投資」を次のように定義します。

「資産を増やすことを目的にマーケットに資本を投じる行為」

この定義では、
「投資」と「投機」の違いが見られません。

そこでさらに、このような説明を加えたいと思います。

「偶然性に委ねて短期的な価格変動を利用して利鞘を稼ぐこと」でなく「マーケットのメカニズムや構造が生み出す仕組みを利用して資産の増大を図ること」

数学的な原理(からくり)を知る

マーケットのメカニズムや特異な構造そして仕組みがもたらす必然性は確実性につながります。

既に十分な知識がある方や勘のいい方は上記の引用文の中で繰り返しでてくる言葉「ショートセリング」について「空売り」のことだろうとすぐにピンときたと思います。

確かに、上述の引用文の中で使われている言葉「ショートセリング」(英語の”short selling”)は日本語の「空売り」に相当します。しかし、その言葉をピタリと当てはまることができるほど日本と米国の制度は同じではありません。

さらに、今後紹介する数学的な原理や仕組みについてお話しする際に、日本語の「空売り」からくる語感(ごかん)は当てはまらないのです。

洒落や言葉遊びではないのですが、両者の間には互換性(ごかんせい)がないのです。「互換性がない」とは英語で“It’s not compatible.”と言います。

以上の理由から「ショートセリング」という英語に由来するカタカナを用いました。

さらに、今後お話を進めていく中で紹介する「ショートセリング」は上述の引用文の中で説明されている米国株式の「ショートセリング」とも違います。

これから進んでいく中で少しずつ踏み込んでお話ししていきますが、それは私の専門とするオプションに近いものです。しかし、オプションをあらためて学習する必要はありません。オプションやデリバティブの数学的な原理を知ればオプションなど勉強しなくていいのです。ただし、その概念を知っておけば役に立ちますのでちょっとだけ簡単にオプションに触れます。オプションを全く知らない方も心配には及びません。

オプションと株式の間には類似性があります。
しかし、私が皆さんに伝えたいのはオプションの仕組みやそれの株式との関係や類似性ではありません。両者に関係のある数学的な原理です。

オプションとは元々もデリバティブ(「派生商品」と訳されています。英語では“derivatives”と言います。)の一つで数学的原理に基づいて生み出された概念です。目に見える有形の商品というより、目に見えない無形資産であり「概念」といったほうがいいでしょう。「概念」とは人間の頭の中で思考したものを言います。「考え」という易しい言葉に置き換えていいでしょう。

オプションとは元々概念です。
株式オプションのような実際に取引されている「オプション」はイメージしないほうがいいでしょう。
大事なことは数学的な原理(からくり)を知ることです。

ここでいう「からくり」とは表面から見えないマネーを生み出すメカニズム(=数学的原理)を言います。

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