投資の教科書

デリバティブについて

· 増田 丞美

デリバティブについて

この記事は2021年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。

テクノロージーの発達によって私たちは“オプション”を知ることなく実質的に“オプション”を取引することができます。別の言い方をすれば、“オプション”についての知識が全くなくとも、“オプション”の機能を利用することができます。

それがデリバティブです。

“デリバティブ”という複雑な仕組みを持つ金融用品というイメージがありますが、オプションは“デリバティブ”に含まれます。“デリバティブ”はより広い概念で“オプション”はその中に含まれます。

オプションよりデリバティブという概念(考え)をおぼえた方が理解がはやく進むはずです。そして、その概念をしれば複雑な仕組みの理解は必要でありません。また、オプションについても難解な理論や複雑な仕組みを学習するように必要はありません。

数学でマネーを生み出す仕組み

デリバティブの概念は、「数学でマネーを生み出す仕組み」です。
信じられるでしょうか。

そして、デリバティブの取引自体は現在では株の売り買いのように単純です。大事なことはそのような売り買いの行為そのものではく「数学でマネーを生み出す仕組み」の意味を知ることです。

さて、おぼえている方に取ってはくどいと感じられると思いますが、これは幾度も繰り返すだけの価値があります。そこで、もう一度掲げます。

“デリバティブズ”は概念によって成り立っている空間におけるしくみです。そして、“マネー”が絡んでいるので「金融のしくみ」ということができます。“金融”という言葉は学問の世界では難しく定義されていますが、ごく簡単に、“マネー”(おカネ)が絡むあらゆることとして広く捉えるといいでしょう。

日本語の“金融”というもの時は「おカネ(金)を融通する」という意味からきていると思われます。私は「おカネが流れること」やそのしくみと解釈しています。“デリバティブズ”は現代の金融社会において比較的最近使われるようになった言葉ですが、その概念はずっと以前からあったと思われます。そして今思うに、“デリバティブズ”は金融のしくみの一部ではなく、“デリバティブズ”そのものが金融のしくみや制度そのものではないかといえるのです。なぜなら、金融制度やその社会は“バーチャルリアリティ”(「仮想的現実」=「仮想空間」=「情報空間」)を代表しているからです。

“オプション”はデリバティブズを代表するしくみの一部であり、そのようなしくみの名称だと考えます。高度な数学的な理論はひとまず忘れましょう。オプションの実践は「数、記号、及び数の符号等を用いて新たに“数”(“マネー”)を生み出す作業」であると述べました。このことを最も強調したいと思います。このような“作業”を楽しんでほしいのです。“マーケット”と呼ばれる空間に存在する数字をピックアップして組合せて新たな“数”(“マネー”)を作り管理するプロセスです。

デリバティブの例

ここでアメリカの制度に触れます。

前号で以下のグラフを紹介しました。
以下に述べることは前号で述べたことの繰り返しではありません。

下のグラフは1998/1/20〜2021/2/25までの同株価指数(DJI)の変化の推移を描いたものです。大事なことは、これは指数でありそのような指数自体は取引することはできないということです。

そこで考え出されたのがEFTです。ETFとは”Exchange-Traded Fund”のことで日本語で「上場投信」と呼ばれています。その一つの例が株価が上記のDJI(米株価指数)に連動するように設計されたETFで”DIA”というシンボルで表きされたものです。

下のグラフは同じ期間(1998/1/20〜2021/2/25)の同ETF(DIA)の株価の変化の推移を描いたものです。これも前号に掲げましたが、今回はデリバティブの例として改めて紹介したいと思います。

DIAは株式と同じように取引することができます。

しかも、少額の資金で誰もがアマゾン(AMZN)やアップル(AAPL)のような銘柄と同じように株式として売買することができます。

ここで興味深いのは、DIAの裏側にある仕組みは私たちが思っている以上に複雑であるということです。実のところ、DIAはデリバティブなのです。価値が株価指数に連動するように数学的に作られています。表面上、DIAは株式銘柄のように設計されておりそして通常の株式投資と同じように扱うことができます。

しかし、その仕組みはデリバティブでありコールオプション(オプションにはコールとプットの2つの種類があります。DIAのコールはその価値がDIAの株価が上がると増加するように作られています。に近いものです。

スワップ(交換)

「デリバティブの概念は数学でマネーを生み出す仕組みである。」と述べました。

その仕組みの基本は以下のようなスワップです。
もう見飽きたかもしれませんがこの構図を頭に入れておくとDIAの”からくり”も見えます。

これ↓はDIAのパフォーマンス(収益または損失)と現金のスワップ(交換)を表しています。

DIAはDJI(株価指数)に連動するように計算されパフォーマンスが算出されます。そのパーフォーマンスを受け取る代わりに現金(DIAの証券の購入代金)を払います。

パフォーマンスの条件についてはレベレッジを加えることができます。
例えば、DIAの価値がDJIの変化率の2倍になるように設定するなど。

デリバティブ柔軟性が見えてきたでしょうか。

次回は、上記の条件を変えたデリバティブを紹介します。
オプションよりずっと単純で、実際の取引は株式投資のようにできます。

この記事を書いた人

増田 丞美

現在、WBP,LLC/Wish & Brains Partners代表(CEO)兼社長。
「オプション・キャッシュフロークラブ」主宰。
米国コロンビア大学を卒業後、野村証券(東京・ロンドン)、米国投資銀行モルガンスタンレー(ロンドン)などを経験。
現在、国内外の事業会社の経営の傍ら、日本において幅広い個人層にオプションの実践を指導している。
オプションに関する著書・訳著多数。

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