インタラクティブ・ブローカーズ証券(IB証券)は、アメリカの証券会社で、アメリカにある、数多くの魅力的な金融商品を低コストで取引したい方には必須の証券口座です。
近年、日本の証券会社でも外国株を取引できるようになってきましたが、日本の証券会社では得られない多くのメリットがあります。
例えば、私はIB証券を使って『私が年利36%の利益をあげている米国ETF・ETN投資法』でお伝えしている投資を行なっているのですが、これは国内の証券会社では、銘柄の取り扱いがないので実行できなかったりします。
海外証券会社というと危険なものも多く、なかなか手を出し難いと思います。
ただし、その中で、ご自身の投資のために海外証券を探しているという方は、IB証券は、現時点で個人的にお勧めでき、かつ、実際に使っている唯一の証券会社です。
そこで、この記事では海外投資をするうえで、大きな武器となるインタラクティブ・ブローカーズ証券について解説させて頂きます。
執筆者
投資の教科書 事務局
投資の教科書事務局では、実際に成果をあげている本物のトレーダーの取材に基いて記事を作成しています。この方針を貫き、初心者にも再現可能な手法やノウハウをわかりやすくお伝えします。
1. インタラクティブ・ブローカーズ(IB)証券とは
インタラクティブ・ブローカーズ証券は1977年にアメリカで創業された証券会社です。
日本では知る人ぞ知るという証券会社ですが、アメリカではナスダックに上場している大手オンライン証券会社の一つです。
1.1. 私がIB証券を使っている理由
私がIB証券を使っている理由は4つあります。
- 日本に居住しながらアメリカの口座を開設できる。
- 日本法人もあり、対応も日本語で行っている。
- 日本にいながら海外の幅広い金融商品を取引できる。
- 空売りや外国株オプションの取引などなんでもできて制約が少ない。
この中で、最も重要なのは三つめと四つめですので、特にピックアップしてお伝えします。
1.2. 日本にいながら幅広い金融商品を取引できる
たしかに最近日本の証券会社でも外国株を取引できるところが増えています。例えば、SBI証券やマネックス証券、楽天証券でも比較的安い手数料で米国株を取引きすることが可能です。
しかし、日本の証券会社では全てのアメリカの株を取引できるわけではありません。取引したくても取り扱っていない銘柄も多々あります。
1.3. 取引の制約が少なく自由度が非常に高い
さらに、
- 空売りができない
- 外国株のオプション取引ができない
など重大な欠点があったりします。
また、株やETFの空売りも可能です。この点は非常に大きく、もしこれがなかったら、私は現在の投資法を実践することができていなかったです。
つまり、IB証券の口座を持つことで、投資の選択肢を飛躍的に増やすことができるのです
2. IB証券の口座開設方法
それでは、ここからIB証券の口座開設の手順をご説明します。開設の方法自体は、通常の証券会社と変わらないので、ここでは特に注意すべきポイントに絞って解説します。
2.1. 手続きの方法
IB証券の口座開設はIB証券のホームページからオンラインで行えます。まず、『IB証券のホームページ』にアクセスします。

画面右上の「口座開設」メニューをクリックしポップアップメニューから口座タイプを選択します。個人用口座を開設する場合は「個人投資家およびトレーダー」を選択します。

「新規口座開設のご案内」というページが表示されるので、「口座開設はこちら(日本にお住まいのお客様)」をクリックします。

「お口座開設に際してのご注意点」に記載の注意事項を確認します。

確認が終わったら、「上記を確認して口座開設を進める場合はこちら」をクリックして口座開設手続を進めていきます。

口座開設手続きは日本の証券会社と同じように、氏名、住所、生年月日、電話番号などを入力し、投資経験や投資目的を指示にしたがって入力していけば問題なく進めることができるはずです。
口座の種類や口座タイプなど、IB証券特有の項目もありますのが、これについては次項で説明します。
2.2. 選択すべき口座の種類
IB証券では2つの口座から取引口座を選択する必要があります。
口座の種類によっては、自分がやりたい投資ができない場合もありますので、口座の種類と取引可能な金融商品をよく理解してから口座開設に進みましょう。
日本株、日経225先物、日経オプションなど国内の金融商品のみ取引可能な口座です。こちらは、日本の証券会社と同様の口座なので、あえてIB証券で口座を作る必要はないと思います。わざわざIB証券で口座を作るのは日本の証券会社では取引できない金融商品を取引することが目的のはずです。次に紹介する海外口座を開設しましょう。
こちらの口座はアメリカのIB証券(Interactive Brokers LLC)で管理される口座です。IB証券の日本法人は窓口になっているだけで、口座自体はアメリカのIB証券が管理する海外口座となります。この口座を開くことで、米国市場を始め、欧州、アジアの株式、国債、社債、ワラント債、先物、オプション、ETF、金利物等の幅広い金融商品が取引できるようになります。
海外口座の開設には初回10,000ドル相当の入金が必要となります。
また、口座維持手数料として月10ドルがかかりますが、取引手数料を払った場合はその金額分は控除されます。例えば、ある月に取引手数料を10ドル支払った場合、その月は口座維持手数料がかかりません。
2.3. 口座タイプの選択
IB証券では上記の口座の種類とは別に口座タイプを選択する必要があります。
口座タイプには、大きく分けて
- キャッシュ口座
- RegTマージン口座
- ポートフォリオマージン口座
の3種類があります。
キャッシュ口座は現物取引のみ取引可能な口座です。空売りや先物・オプション取引はできません。RegTマージン口座は空売りや先物・オプション取引が可能です。
ポートフォリオマージン口座はRegTマージン口座よりも少ない証拠金で取引することが可能な口座です。ポートフォリオマージン口座の開設には110,000ドル相当額の入金が必要です。また、口座開設後は100,000ドル以上の残高を維持している必要があります。
それでは、この3つのうち、どの口座タイプを選択すべきでしょうか。
キャッシュ口座は現物取引のみ可能で国内の証券会社と変わりがないので、選択する意味はないでしょう。したがって、空売りや先物・オプション取引が可能なRegTマージン口座かポートフォリオマージン口座のどちらかを選択することになります。
RegTマージン口座とポートフォリオマージン口座では取引可能な金融商品に差はなく、違いはかけられるレバレッジの大きさです。最初はRegTマージン口座から始めて、慣れてきた段階で申請して切り替えると良いでしょう。
2.4. 資産の保全について
海外の証券会社を利用するにあたって必ずチェックしておきたいのが資産保全についてです。
万が一証券会社が破たんした場合に預け入れていた資産がどのように保全されるかを必ず確認しておきましょう。
IB証券のホームページには下記の記載があります。
顧客資産はSIPC(投資家保護基金)より合計$ 500,000(現金は$ 250,000まで)保護を受けることができます。その上でInteractive Brokers LLCはロイズ との保険契約を結んでおります。補償額の上限は1億5000万ドルと設定されていますが、その上限額を超えない範囲で1受益者あたり3千万ドル(現金は 90万ドル)を上限として保障の対象としております。先物、先物オプションは上記対象外です。全米の証券会社では、ブローカー・ディーラーの破たんなどに備えた顧客保護が義務付けられておりますが、有価証券価格の下落自体は保護の対象外です。
これによると、顧客資産はSPICによって50万ドル(現金は 25万ドル)、保険会社のロイズによって3千万ドル(現金は90万ドル)まで保護されます。
3. IB証券の入金と出金
IB証券への入金や出金は、海外証券の利用が初めての方は最初は戸惑うことでしょう。ここで解説しておきたいと思います。
3.1. IB証券への入金方法
IB証券への入金は次の2つの手順で行います。
- アカウントマネジメントで入金指示を登録
- 銀行からIB証券の入金口座へ送金する
それでは、順番に説明していきます。
3.1.1. アカウントマネジメントで入金指示を登録
事前にIB証券の「アカウントマネジメント」で入金通知を登録します。

その後、登録時に表示された送金先に送金します。

3.1.2. 銀行からIB証券の入金口座へ送金する
送金は「国内非居住者円建て送金」という外国送金扱いになります。
三菱東京UFJ銀行の場合、支店の外国送金窓口で送金できるほか、テレビ窓口でも送金することができます。送金手数料は800円です。
また、三井住友銀行ではSMBCダイレクトの外国送金サービスを使ってインターネット上で送金することができます。こちらも送金手数料は800円です。
3.2. IB証券からの出金方法について
IB証券からの出金は下記の手順で行います。
- アカウントマネジメントで出金指示を登録
- 受取銀行でIB証券からの出金を確認する
こちらも順番に説明していきます。
3.2.1. アカウントマネジメントで出金指示を登録
IB証券の「アカウント・マネジメント」で出金指示を登録します。
3.2.2. 受取銀行でIB証券からの出金を確認する
受取銀行でIB証券からの入金があることを確認します。出金にあたっては、IB証券で手数料がかかります。月1回までは無料ですが、2回目以降は1600円の手数料がかかります。
また、受け取り銀行側で着金手数料がかかります。
都市銀行などでは4000円程度、ネット銀行では2000円程度かかりますが、新生銀行ではかかりません。新生銀行に口座がある場合は、出金先を新生銀行にすると手数料の節約になります。
4. IB証券で提供されているトレードツール
IB証券ではトレーダーワークステーション(TWS)というトレードツールを無料で提供しています。取引の際は、ほぼこのツールから行うことになります。
4.1. TWSのダウンロード
TWSはIB証券のホームページの「ログイン」→「TWS最新版」をクリックしてダウンロードすることができます。

4.2. 購読すべきマーケット情報について
ツールは無料で利用できますが、TWSに表示される株価等のマーケット情報は30分程度遅れた情報になります。
マーケット情報をリアルタイムで利用する場合は、別途購読料が必要となります。様々な情報がありますが、次の2つの購読を検討すれば足りると思います。
ただし、デイトレードのような短期売買を行うのでない限り、30分遅れのデータでもさほど問題ないと思います。私の場合、30分遅れのデータをもとに指値注文をだしておいて、なかなか約定しない場合は指値を変更するといったことで注文していますが、その方法でも特に不都合は感じません。
ご自身の取引量や取引スタイルで購読するかどうかを判断ください。
米国市場の株価、債券、投信などのデータをリアルタイムで利用できます。月10ドルの費用がかかりますが、月30ドル以上の取引手数料を払った場合無料となります。
- OPRA(US Options Exchanges)
オプションのマーケット情報をリアルタイムで利用できます。月1.5ドルに費用がかかりますが、月20ドル以上の取引手数料を払った場合無料となります。
まとめ
IB証券に口座を持つことで、投資の選択肢が一気に広がります。
世界にあるほとんどの金融商品に投資できるといっても言い過ぎではないくらい、取引できる金融商品の種類が豊富です。
ぜひIB証券の口座を開設して海外投資にチャレンジしてみてください。