自社株買いとは|基本と実例を徹底解説
(更新 ) · 投資の教科書 株式事務局

この記事は2015年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
株価が上昇する要因には実に様々なものがありますが、そのなかで自社株買いと呼ばれる企業自身が行う利益向上対策があります。
近年、JPX400の誕生とともに新たに株主資本利益率の向上のために自社株買いを始める企業も増えるなど、その動向には注目が集まっています。
実際、自社株買いを発表した企業の株式には投資家の買いが集まり、株価が上昇することがあります。しかし、それを完全に鵜呑みにしてしまい、自社株買いをする企業を、手当たり次第買い付けてしまうと、思わぬ高値をつかまされたり、その後まったく株価は上昇することなく小動きを繰り返したりすることもあります。
そうならないためにも、まずは基礎知識の確認と実例をいくつか見ることで自社株買いを理解していきましょう。
目次
自社株買いとは何か
自社株買いとは、企業が自己資金を使って自社の株式を買い付けることをいいます。
最近では株主還元(株主に利益を還元すること)の意味合いも込めて、自社株買いをする企業は多くなっています。
自社株買いをするということは、企業がすでに市場に発行された株式を買い付け消却(市場にもう出ないようにする)するということです。これによって企業が生み出す利益に変更はないのに、発行済み株式数が減るので1株あたりの利益が増える事になります。
簡単に説明すると、ある企業の発行済み株式数が10,000株だったとします。ある年の純利益が100万円だったとすると、1株あたりの利益は100万を10,000株で割り、100円ということになります。
しかし、企業が自社株買いをして10,000株のうち2,000株を買い取ると、1株あたりの利益は100万を8,000で割ることになるので、1株あたりの利益は125円となり、1株あたりの利益が25円(20%)利益が増すことになるのです。
この1株利益の上昇は、ROE(株主資本利益率)の上昇にも影響します。この指標はJPX400への組み入れに際して使用されることから、特に注目されている指標です。この指標の向上を目的に自社株買いを実施することを決める企業もあるほどです。
自社株買いに絡んだ株価の動き2つの事例
さて、ここで自社株買いを実際に行った企業の動きを見てみることにしましょう。
トヨタ自動車(7203) 自社株買い
トヨタ自動車は誰もが知る日本最大手の自動車メーカーです。そのトヨタが自社株買いを発表した時には、その翌営業日からそれまで下落していただけに株価も一時的に反応し急騰しました。

トヨタは政治的発言による為替変動で打撃を受けていますが、自社株買いを行うことで一時的な措置を講じたと考えることができるでしょう。
ヤフージャパン(4689) 自社株買い
次のヤフージャパンは、ソフトバンクのグループ会社です。そのヤフージャパンがソフトバンクグループが保有するヤフージャパン株式を10.73%取得するという発表がありました。
以下が自社株買い前後の株価チャートです。

ヤフージャパンは、利益率も高いことから、キャシュフローが良いことで有名です。しかし、現預金が積もっており、ROEは低下、その懸念から現預金の使い道として、自社株買いを行ったといえるでしょう。
そういった理由から、自社株買い発表の後、株価は上昇した格好となりました。
自社株買い銘柄を取り扱う際の注意点を確認しよう
自社株買いにより1株あたりの利益が高まることになると、その後株価は上昇する可能性が高くなります。
自社株買い発表により 翌日に株価は窓を開けて大幅に上昇することが多いですが、これは自社株買いによる利益の高まりによりこれまでの株価が割安だと判断されるため、自社株買いの前と後で株価の調整が行われるからです。
ただ、この調整は時に割安なまま放置されたり、もとの株価まで売られてしまいその後鳴かず飛ばずの状態で株価が低迷することもあるのが事実です。
そこでここでは自社株買いに関して注意したい点を見ていきます。
1.自社株買いが行われる企業の開示情報には目を通す
自社株買いを発表した企業の開示情報を確認しましょう。
まず自社株買いを行う目的をチェックしましょう。例えば、自己株式の取得を行うよくある理由は、株主還元の強化と資本効率の向上のためです。これは1株利益を上げるための対策です。株価の上昇に結び付く内容ですね。中にはストックオプションのための取得など、株主還元目的ではなく自社の社員のための自社株買いもありますので注意してください。
ほかにも、取得方法をチェックする必要があります。市場で買い付けするのか、「ToSTNET」を利用して場外で取得するのかの違いがあります。
最後に取得期間のチェックです。自社株買い発表後に1日で終わるものもあれば、数か月かけて自社株買いを行う企業もあります。
気を付けたいのは、自社株買いは必ず行われるものではないということです。自社株買い発表で上がったとしても結局買われないのであれば、その後株価は下落していくことが多いです(株主還元の真逆の行為だと言えます)
以上、自社株買いが出たら開示情報をチェックして銘柄ごとの特性を掴んでいくと良いでしょう。
2.業績はしっかりとチェックすること
自社株買いで株価を一時的に上げることができても、業績が悪いと株価は結局上がる前の水準まで戻ってきてしまうことがあります。
たとえ自社株買いにより株主還元の意識は高まったとしても、業績の好調さを伴わない利益の上昇では自社株買い後の投資家の買いは続かないのです。
業績好調な企業が更に株主還元を高めるため、自社株買いを行う。そういうケースでなら積極的に買い銘柄の候補に入れて行っても良いでしょう。
まとめ
JPX400指数の誕生とともにROEの数値が注目されるようになり、最近ではROE向上のために自社株買いが行われるようになっています。あくまで株価上昇の要因は企業業績の良好さであることは間違いありませんが、自社株買いも投資家目線での企業経営をしているとして一つの買い材料として見ることができます。自社株買いと言うイベントはこれからもどんどん行われるはずですので、これかも注視していくとよいでしょう。
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