配当性向とは?
(更新 ) · 投資の教科書 株式事務局

この記事は2016年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
良い投資先を探す際の条件として、「株主のことを最大限に考えている企業」であることが必要です。
この株主のことを考えてくれているかどうかは、企業の株主還元がどうなのかによって判別することができますが、この判別をする際に重要な考え方として配当性向というものがあります。
利益を株主に還元する方法は実に様々であり、最近では自社株買いや配当性向の引き上げなど株主還元を積極的に考える企業は一定の評価をされ投資家から人気を集めることがあります。
ここでは株主還元を行う企業を見つけるための配当性向という概念についてご説明します。
1.配当性向とは何か
配当性向とは、企業が稼いだ利益をどれくらい配当に回しているのかを示す割合のことを指します。
配当性向=配当金支払い総額÷純利益×100
となります。これは1株あたりに計算しても同じなので、
配当性向=1株あたりの配当金÷1株あたり利益(EPS)×100
と表すこともできます。これは例えばある企業の1株利益が80円だった場合に、1株配当が年間で40円ならば、配当性向は50%ということになります。翌年1株利益40円に落ちると配当性向は100%になります。
配当性向は%の数値で求められますが、その数値の高低によって良し悪しが決まるというものではありません。
企業の中には配当を出さずに企業内に利益を留保する企業はその利益を次の設備投資にまわしたり、新規の事業に乗り出すなど企業の成長に重きを置いている企業 があります。このような企業は1株あたりの利益がどれほど高くても配当性向は0%ということになりますが、企業が大きく成長すれば「値上がり益」という恩 恵を投資家にもたらすことができます。
一方で、配当性向が比較的高めな企業は成熟した業界に多く、よくも悪くも安定した大きな企業に多いです。この場合には投資家は、長期的な値上がり益よりも配当を安定して長期にもらうという目線で投資を行います。
また利益をそれほど出せていないにもかかわらず、配当を無理して出している場合には配当性向が高くなります。先ほどの利益が80円から40円に下がったのに引き続き40円の配当を出しているケースでは配当性向の数値が2倍にあがったのはその例ですね。
このように配当性向の数値は相対的な判断によって良し悪しが決められます。次は様々な企業の配当と配当性向について見ていきましょう。
2.配当性向に絡めて株価が大幅高になった企業の実例
さてここで配当性向に絡めて大幅高になった企業の実例を見てみることにします。
2.1.ユニオンツールの事例
日経新聞の記事にユニオンツールという企業が自社株買いと配当を合わせて純利益額の100%以上を株主還元に充てると報じたことが伝わりました。この場合には、配当金額と自社株買い取得のための金額を合わせた総還元性向(配当分25%と自社株買い分75%)という数値ではあるが、自社株買いも株価を上昇させる要因であるため、同社の株は18日に大きく値上がりして20%近く上昇をして寄り付きました(下記チャート)

その後、ユニオンツールが上記還元性向に関する発表は自社が行ったものとは異なるとコメントしたことで一旦株価は落ち着きを見せましたが、この一件は企業の利益がそのまま株主へと還元されることへの期待から投資家の買いが集中した好例だと言えます。
2.2.USENの事例
音楽配信大手のUSENはm」以前、配当性向を10%から20%へと引き上げることを発表。同時に配当を復活させるとの報道がされました。利益が乗るとその分配当が増配される形になることが好感され、翌日株価は一時的に大幅に上昇しました。(下記チャート)

こちらも復配と同時に配当性向を引き上げたことでポジティブサプライズにつながり、今後の同社の株主還元に対する姿勢が一定の評価を受けたことになります。
上記のように現在の市場では株主還元策を取る企業には積極的に資金が集まることが多く、今後も自社株買いや配当を絡めた還元策を打つ企業には注目していく必要があると言えそうです。
3.配当利回りとは
ここで配当と株価の関係性である配当利回りについて振り返ってみます。配当を絡めた投資をするには配当性向と配当利回りを同時に考慮する必要があるからです。
配当利回りは、1株配当を株価で割って100をかけた数値で求められます。ある企業の配当が100円で株価が今20,00円ならば、上記の計算に当てはめて配当利回りは5%ということになります。
配当利回りは高いほど投資金額に対する配当率がよいということになりますが、無理をして配当を出していないことが大事です。特に配当性向が100%に近い企業で、配当利回りが高い企業には注意が必要です。利益が減っているのに配当を無理して出している可能性があるからです。
逆に利益が増えていて高い配当性向を維持する積極的な株主還元をとり企業も少なからず存在します。配当利回りに関しては下記の記事を参考にしてください。
4.配当性向から見る優れた投資先企業とは
配当性向から投資先を探すとするとどのような企業へと投資すべきか。
これは単に配当利回りが高い企業へと投資をしてはいけないという理論と共通するものがあり、配当性向に業績を絡めて考える必要があります。
たとえば配当性向が高い企業で業績も順調に伸びている企業は、これから配当性向を維持するために増配をする可能性が高く投資先としては魅力的です。
例えばピープルという企業は配当性向が100%を常に維持することで株主に利益を還元する企業として有名です(下記四季報の業績欄で1株利益と1株配当が同じ数値になっています)
1株利益が上がれば上がるほどそれに比例して 配当も上がるというある意味で最高の株主還元だと言えるでしょう。もちろん利益が減少すれば配当もそれに伴い減少はしますが。
また先ほどのUSENのように低い配当性向からより高い配当性向へ引き上げるケースには、事業展開が順調に進むことで配当の増加が期待でき、先高感が出るとも言えます。
一方で、配当性向が高い企業でも業績が縮小傾向であれば、こちらも配当性向維持のために企業内利益(利益剰余金)を使用してしまったり、減配の可能性があるといえ投資先としては不適格です。
これは1例を挙げると、日本を代表する有名企業に武田薬品という製薬会社があります。ここは以前からディフェンシブ銘柄として高配当であることが強みでしたが、下記表を見てもらえば分かるとおり年々配当性向は高くなっています。
ある時点を過ぎたあたりからは100%を超えていますので、これは1株利益を超えた配当を出しているということになります。この場合、利益は剰余金を削って出されることになります。
株主還元という視点で銘柄を選ぶ際には、配当性向がこれまでどうであったか、これからの企業の姿勢はどうか、そしてなにより業績との関係性をチェックしたのちに株を買うことをお勧めします。
まとめ
最近の株式市場では株主還元を高める努力をする企業が見直されて買われるケースやこれまでの株主還元を一層高める企業が高値を更新するなど益々「株主還元」 に注目が集まっています。銘柄を探す際には、業績や業種などだけでなく株主還元にも着目をしてみると思わぬ大化け銘柄が見つかるかもしれませんね。
この記事を書いた人
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