LEAPSプット売りで私が18.6%の年間利回りを記録している手法
(更新 ) · 投資の教科書 デリバティブ事務局

この記事は2017年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
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オプションにはLEAPSというものがあります。これは、トレーダーにはあまり人気がありません。
なぜなら、トレーダーは、基本的に「安く買って高く売る」「高く売って安く買い戻す」という発想しかないからです。しかし、オプションの世界では、その二つの選択肢以外に、稼ぐ方法があります。
それが今回お伝えするLEAPSプット売り戦略です。このような一般のトレーダーの発想の外にある戦略を知っておくと、株やFXと全く別の可能性が開けてくるのがオプションの面白さです。ぜひ、大きな可能性を期待しながら読み進めてみてください。
一般的な利回りやら利益という概念を上回るものがここにはあります。
目次
1. LEAPSのプット売り戦略とは
それでは、最初にLEAPSのプット売り戦略の概略をお伝えします。まずは、ここで、
- プット売りとは何か?
- LEAPSとは何か?
を掴んでおきましょう。
1.1. プット売りとは
プット売りとは、「プットオプションを売ること」ですね。そして、プットオプションは、「ある資産を、あらかじめ決まった価格で、あらかじめ決められた期日までに売る権利」のことです。
例えば、Aという株を1000ドルで売る権利(=プットオプションA)があったとします。諸々の数字は以下の通りとします。
- Aの現在の株価:1,000ドル
- プットオプションAの権利行使価格:1,000ドル
- プットオプションAの価格(プレミアム):50ドル
- プットオプションAの期日:90日後
現在、誰か(1さん)がA株を投資目的で100株保有しているとします。A株の価格は、将来2,000ドルに値上がりするかもしれませんし、逆に業績が低下して500ドルに値下がりする可能性もあります。そこで、1さんは、仮に価格が下がったとしても損失を限定するために、プットオプションAを50ドルで買います。
そうしておけば、仮にA株が500ドルに値下がりしても、プットオプションAの権利を行使すれば、1,000ドルで売ることができます。つまり、損失は、プットオプションAを購入する時に支払った50ドルだけで済むということですね。
逆にプットオプションAを売った人(2さん)は、まず50ドルを、その取引から得ることができます。その後、A株の価格が値上がりすると、1さんはプットオプションAの権利を行使する必要がないので、そのまま50ドルを懐に納めることができます。
A株の価格が950ドルまで下がっても、最初に50ドルを受け取っているので、損失は出ません。しかし、950ドルよりも下がると損失になります。
今回お伝えするLEAPSプット売りは、後者のプットオプションを売る側に立って利益を作る方法です。ここまでの話だと、プットオプションを売ることが怖いと感じる方もいるかもしれません。しかし、少なくとも私にとって、オプションで最も旨味が大きいのはプット売り戦略です。
オプションは、直感とは反するところに儲けのきっかけが潜んでいます。多くの人が、その直感に抗うことができずに、大きな損失を出してしまいます。直感に抗える、ほんの少数の人が、その分の利益を得られるという世界です。
これから詳しくお伝えしていきますが、その前に、次はLEAPSについて解説します。
なおプットオプションについては、『プットオプションとは』で、さらに解説しておりますのでご確認ください。
1.2. LEAPSとは
LEAPSは、”Long-Term Anticipation Securities”の略で、満期までの残存期間が9ヶ月以上ある「長期オプション」を意味します。
通常のオプションとの違いは残存期間の長さだけでしかなく、それ以外は変わりません。当初LEAPSだったものの残存期間が9ヶ月未満になると、それは通常オプションに変わります。通常オプションは、どんなに長いものでも8ヶ月後に満期を迎えます。
オプションについては、『オプションとは』をご覧ください。
LEAPSは、8ヶ月より長い期間にわたって株式ポジションのリスクをヘッジする必要のある投資家に応えるために作られた金融商品です。
さて、結論から言うと私はLEAPSのファンです。
それは、LEAPSは、通常オプションに比べてプレミアム(プットオプションを売った時に得られる金額)が非常に大きいからです。これがLEAPSプット売り戦略を魅力的なものにしています。
プット売りとLEAPSについては、何となくご理解頂けましたでしょうか?それでは、これからLEAPSプット売り戦略についてお伝えします。
2. LEAPSプット売りの実例
オプションで利益を得るには、一般的なトレードのように
- 安く買って高く売る
- 高く売って安く買い戻す
しかないと考えられている方がほとんどでしょう。しかし、LEAPSを使ったプット売り戦略は、どちらでもありません。プットオプションを売る時に受け取るプレミアムを収入としてみなします。
「プレミアム = 収入である」という理解が重要です。オプションを扱う大半の方は、この視点を持つことができず、プットオプション自体の価格の移り変わりに翻弄されてしまいます。それでは、本当にもったいないことですし、精神も疲弊してしまいます。
それよりも良い稼ぎ方があるのです。実際の事例をもとにお伝えしましょう。
2.1. LEAPSプット売りで100%以上の利回りを得られるパターン
LEAPSプット売りは、最高のパターンだと最初に受け取ったプレミアム収入の全てが利益として確定します。
私にオプションを教えて頂いている増田先生という方の取引事例をもとに解説します。
2015年3月2日頃に “Direxion Gold Miners Bear 3X ETF(DUST)”という、金連動型のETFを対象にLEAPSプット売りを行いました。
- 銘柄:DUST
- 取引内容:プットオプション売り
- 権利行使価格:15ドル
- 権利行使期日:2016年1月15日
- 取引価格:8.0ドル
アメリカのオプションは100株単位なので、この取引で800ドルの収入を得ることができます。15ドルを下回れば、権利行使されて、1,500ドルで、DUST株を取得することになります。ただし、最初に800ドルを手に入れているので、実質は700ドルで手に入れることになります。結局この取引では期日までに価格が7ドル以上であれば利益になるということになります。

結果的に、期日の1月15日時点でDUSTの価格は、18.07ドルでした。権利行使価格の15ドル以上の価格だったため権利行使されず、最初に受け取っていた800ドルのプレミアムが、まるまる収入になりました。
この取引の間、拘束されていた資金は、権利行使価格1,500ドル – プレミアム800ドル=700ドルです。そのため、年間利回りに換算すると131%になります。
- 投資資金:700ドル
- 投資期間:319日
- 確定利益:800ドル
- 年換算利回り:131%
ポイントは、通常のトレードのようにオプション価格が下がった時に買い戻して利益を確定させようなどとしないことです。プットオプションの売りポジションを満期まで保有して、ポジションが消滅すれば、最初に受け取ったプレミアム収入が利益となります。
もちろん、「そんなにうまくいくわけがない」という方もいらっしゃるでしょう。経験上、驚くほど多くのプットオプションは権利行使されずに利益となります。どれぐらいそうなるかは、ご自身で、様々な銘柄の過去の値動きをチェックして計算してみましょう。
オプションで成功するには、そのような緻密な計算を継続するという地道な努力が必要です。逆に言えば、それだけあれば必ず成功する道が見つかります。なので、それはご自身で、計算してみてください。
さて、例え、これほどうまくいかなかったとしても、LEAPSプット売りには、様々な戦略があります。次に、私の事例をもとに解説します。
2.2. 私がLEAPSプット売りで年利18.6%を実現した事例
それでは、私の取引事例をご紹介します。
これをご覧いただくと、LEAPSプット売りは、例え最初の目論見通り、プレミアムの全額を利益にできなかったとしても、いくらでもリカバリーして十分な利益に変える方法があることをお分りいただけると思います。
私は、2014年9月から”Direxion Daily Small Cap Bull 3X ETF (TNA)”というETF銘柄を対象にLEAPSプット売りを行いました。TNAは”Russell 2000 Index”というアメリカの小型株を対象とした指数に連動したETFで、”Russell 2000 Index”の3倍の値動きをするように設計されています。
TNAは、ここ5年で以下のような値動きをしています。

チャート上では、2017年5月に窓を開けて下がっていますが(チャートの右端)、これは2対1の株式分割が行われたためであって、ETFが値下がりしたわけではありません。
さて、2014年9月2日のTNAの取引価格は約76ドルでした。
TNAの過去の値動きから、最悪40ドル程度でならTNAの株を保有しても良いと考えた私は、株を買う代わりに、権利行使価格55ドルのLEAPSプットオプションを、11.6ドルで売ることにしました。
- 銘柄:TNA
- 取引内容:プットオプション売り
- 権利行使価格:55ドル
- 権利行使期日:2016年1月15日
- 取引価格:11.6ドル
これなら、権利行使価格55ドルだとしても、最初に11.6ドルを受け取っているので、最悪権利行使されて株を取得することになったとしても、一株当たり43.4ドル(55ドル-11.6ドル)で取得することができます。
アメリカのオプションは100株単位なので、私は、この取引で、まず11.6ドル×100口=1,160ドルを受け取りました。この後、TNAは2015年6月に97ドルの高値をつけた後、下落し、権利行使日の2016年1月15日の時点で55ドルを下回っていたため権利行使されました。私は実質、一株当たり43.4ドル(100株なので4,340ドル)でTNAの株を取得することになりました。
この時、カバードコールという方法を使って、96ドルの収益を得ています。これについては、『カバードコールとは』をご覧ください。
この後、最終的には2016年4月7日に株価が55.36ドルに回復したので、売却してポジションを閉じました。以上の取引で、プットオプションのプレミアム収入、売却益、カバードコールのプレミアム収入を合計して、1,288ドルの収益が確定しました。
利回りベースでは年換算で、18.6%です。
- 投資資金:4,340ドル
- 投資機関:583日
- 確定利益:1,288ドル
- 年間利回り:18.6%
いかがでしょうか?ベストな利回りではないといえ、普通の投資では年間利回り18.6%を記録し続けるのは難しいですが、LEAPSプット売りでは決して難しいことではありません。
2.3. LEAPSプット売りはETFで行うことがオススメ!
もちろん、LEAPSプット売りで損失になる場合もあります。
それは、権利行使価格以上に大きく値下がりした場合や対象となる企業が倒産した場合です。LEAPSプット売りは、対象企業が倒産した時に損失が最大になります。この点の解決策は、ETFのLEAPSを扱うことです。ETFであれば個別企業とちがって倒産ということはありません。上述の私の例のように、ETFを扱っている限り、権利行使されて株を保有することになったとしても倒産してゼロになるということはありません。
また米国ETFを使って安定的に利益を得る方法は多数あります。『私が年間36%の利回りをあげている米国ETF・ETN投資法』でお伝えしている方法は、特にオススメですので、ぜひ、ご確認頂ければと思います。
3. まとめ
LEAPSプット売り戦略は、最初は難しく感じるかもしれませんが、一度慣れてしまえば、以下のようなメリットがあります。
- オプションを深く勉強する必要がない。
- プロトレーダーのような高度な取引技術は必要ない。
- 毎日マーケットを見る必要がなくのんびりと取り組むことができる。
短期売買のように、すぐに資金が2倍、3倍になるといった華やかな手法ではありませんが、ミドルリターンを積み重ねていくやり方の1つとして取り入れてみてください。
この記事を書いた人
投資の教科書 デリバティブ事務局
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