株価チャートは、株価の方向性を見るトレンド系と、株価の過熱感を見るオシレーター系の2つに分けられ、その使い方や取引の際に参考にしたい判断基準は異なります。
この記事では、トレンド系のMACD(マックディーと言います)を活用して、より精度の高い投資判断を行うための方法を、4つのステップを踏んでご紹介します。
- MACDの基本的な考え方
- MACDではどのように投資を判断するのか
- 実例でわかるMACDの使い方
- MACDに適した銘柄とは
執筆者
投資の教科書 事務局
投資の教科書事務局では、実際に成果をあげている本物のトレーダーの取材に基いて記事を作成しています。この方針を貫き、初心者にも再現可能な手法やノウハウをわかりやすくお伝えします。
MACDの基本的な考え方
MACDとは、「Moving Average Convergence Divergence」を省略したもので、「移動平均収束発散法」と言います。MACDのチャートは、ローソク足チャートの下に追加チャートとして分かれて表示されます。

MACDでは、移動平均線から算出された期間の異なる2本の線「MACD」と「シグナル」を使って、売買タイミングや株価のトレンドを分析することができます。
算出期間としては一般的に、MACDでは12日間と26日間の指数平滑移動平均の差が使われ、シグナルでは9日が使われています。こちらのチャートでは、ピンク色の線がMACDで、緑色の線がシグナルで表されています。
MACDではどのように投資を判断するのか
交差でわかる売買サイン
MACDでは、株価に合わせてMACDがまず動き、それを追いかけるようにシグナルが動きます。これら2本の線が交差することで、売買タイミングを分析することができます。
MACDがシグナルを下から上に抜けると買いサインとし、「ゴールデンクロス」と言います。
反対に、MACDがシグナルを上から下に抜けると売りサインとし、「デッドクロス」と言います。
移動平均線でも期間が異なる二本の線の動きによって売買サインが表されますが、指数平滑移動平均は直近の株価にウエイトを置いて計算されているため、移動平均線よりも売買サインが早く発生するという特徴があります。
二本の線の交差で売買タイミングを判断することができるとは言え、二本の線自体が株価に遅れて動く仕組みです。そのため、売買タイミングのサインが出たタイミングでは株価がすでに上昇(もしくは下落)しているという場合もありますので、取引を判断する際には細心の注意を払いましょう。

ゼロラインでわかるトレンド
MACD(緑色)がゼロライン以上とゼロライン以下のどちらに位置しているかでも、買い時と売り時のどちらの状況にあるのかを分析することができる他、株価のトレンドも分析することができます。
MACDがゼロラインよりも上にある場合には、株価の勢いが強い状態であると分析できます。反対に、ゼロラインよりも下にある場合には、株価の勢いが弱い状態であると分析できます。
MACDはトレンドフォロー型のチャートですから、トレンドが出ている時の方が売買サインの信頼度が高く、トレンドが出ていない時=いわゆる横ばいトレンド(ボックス相場)は信頼度が低いとされています。
ですから、前述したMACDとシグナルのクロスによる売買サインに加えて、ゼロラインに対して上と下とのどちらにMACDが位置しているかで株価の強さを判断し、トレンドに即した取引を行うと良いでしょう。

実例でわかるMACDの使い方
トレンドが出ている場合
MACDをどのように投資に活用すればいいのか具体的に見ていきましょう。下のチャートは東芝(6502)の日足チャートです。図の中の上がローソク足のチャートで、下に表示されているのがMACDのチャートです。

MACD(緑色)が交差するシグナルを下から上に突き抜けたことで買いサイン、つまりゴールデンクロスが出現していることがわかります。
上のローソク足を見ると、以降は株価が上昇しており、それに遅れてMACDも上昇しています。そして、ゼロラインを上に突き抜けてゼロラインよりも上にMACDが位置していることからも、上昇トレンドであることがわかります。
なお、株価の上昇トレンドがはっきりと出ている場合には、買いサインが表れてから売りサインが出現するまでにある程度の時間がかかるのが一般的です。ですから、株価の上昇トレンドの発生が確認できる場合には売買サインが発生してから購入しても儲けられる可能性が高いと言えるでしょう。

次に、MACDがシグナルを上から下に突き抜けたことで売りサイン、つまりデッドクロスが出現しています。
以降、上のローソク足を見ると、株価は調整期間に突入しています。株価はその後下落した後、もみ合いに転じていることがわかります。そして、ゼロラインを下に突き抜けてゼロラインよりも下にMACDが位置していることからも、下落トレンドにあることがわかります。
売りサインの場合も買いサインが出現した場合と同様で、売りサインが出現してから次の買いサインが出現するまでには、株価の下落トレンドが強ければ強いほどある程度の時間がかかることになるのが一般的です。
ただし、売りサインが出現した場合は株を売却する行動を起こすことになるわけですから、早く売却しないと含み益が減少することになります。株価が天井から安くなった時に、つい「また上がるかもしれない」等と欲をかいて放置をし、買った値段まで株価が下落してしまうということもよくあることですから、株価が下落トレンドになったことが明らかな場合には、潔く売却を判断することも時には必要になるでしょう。
トレンドが出ていない場合
次に、株価の推移を見てみましょう。
株価はこの期間、上昇なのか下落なのかはっきりしない動きが続いていて、トレンドが出ることもなく膠着(こうちゃく)した状態にあることがわかります。
その際のMACDを見てみましょう。株価がいったん上昇した際にMACDがシグナルを下から上に突き抜けたことで買いサイン、つまりゴールデンクロスが出現していますが、株価にトレンドが発生しなかったためにMACDとシグナルが絡み合い、そのままMACDがシグナルを上から下に突き抜けたことで売りサイン、つまりデッドクロスが出現しています。
このように株価が上昇トレンドもしくは下落トレンドにあることがはっきりしない場合には、MACDの売買シグナルが出現してもその後MACDとシグナルが絡み合ってしまうことも多くありますので、売買サインの信頼度が低くなってしまうことがわかります。
MACDに適した銘柄とは?
MACDを活用して株取引で儲けようと考える場合、株価のトレンドがはっきり出ている銘柄を選ぶこと、そして、株価のトレンドに即した順張りの取引を行うことが大切になります。例えば、株価が上昇トレンドの場合には、ゴールデンクロスが出現したら買いサインですから、順張りで買いの取引を行うという風にです。
日本M&Aセンター(2127)の日足チャートです。株価の上昇とともに買いサイン、ゴールデンクロスが出現し、上昇トレンドが終わるとともに売りサイン、デッドクロスが出現しています。

このように株価のトレンドがはっきりしている銘柄の場合には、MACDの売買シグナルが出現しやすいと言えますので、こうした銘柄を探すことが大事です。
まとめ
MACDは二本の線の動きや交差、方向性を見ることで、売買タイミングや株価のトレンドを分析することができます。見ただけで売買タイミングを分析することができますので、とても簡単でわかりやすいチャートだと言えるでしょう。
ただし、MACDが最も得意とする株価のトレンドが出ている状況になるのか、それともトレンドが発生せずに膠着した状態になるのかは時間が経過してみなければわからないのも事実です。
トレンドが発生しなかった場合に備えて、利食いポイントや損切りポイントをあらかじめ設定しておき、その他のテクニカル指標と組み合わせていくことが儲けるためには重要になってくるでしょう。
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