移動平均線で初心者が知っておくべき正しい見方と使い方の全て

移動平均線は、チャート分析の中でも有名かつ重要なテクニカル指標で、投資を始めたらまず最初に知っておくべきものの一つです。

なぜなら、わかりやすい上、多くの投資家が見ているので法則通りに動くことが多く、信頼性が高いからです。

記事の中では、FX専用の「MT4」というチャートで説明していますが、株式投資でも見方や考え方は同じです。そのため、投資を行う全ての方にお読みいただき、移動平均線の基本から具体的な活用方法まで習得していただければと思います。

執筆者
ぶせな

ぶせな

専業トレーダー。認定テクニカルアナリスト。 本格的にFXを始めて8年で1億5千万円を突破。 自身のブログ『FX億トレーダーぶせな「スキャルピング」「デイトレード」』では、定期的にトレードの損益を公開中。著書に、『最強のFX 1分足スキャルピング』(日本実業出版社)がある。

1. 移動平均線の基本

1.1.移動平均線の役割

移動平均線は、一定期間の終値の平均値をつなぎ合わせた線です。下のチャートの青い線が移動平均線です(※色は、ツールによって異なります)。

このように、ローソク足に移動平均線を表示すると、相場の流れが分かりやすくなります。移動平均線は、ローソク足と同じくらい重要で、両方見ることで、相場予測の精度をアップさせることができます。

ではここで、私が移動平均線についてわかりやすく解説した動画があるので、ご覧下さい。

いかがでしたか?

動画でも説明していますが、ローソク足と移動平均線は、価格の推移を表している点は共通です。しかし、次の点で異なります。

・ローソク足:設定した期間の価格の推移(始値・終値・高値・安値)を1本で表したもの
・移動平均線:一定期間の終値の平均値を点で示し、それを線で繋いで価格の推移がわかるようにしたもの

したがって、チャートを見る時は、ローソク足と移動平均線をワンセットで見て、相場の流れを確認することが基本になります。

1.2.計算方法と表示方法

移動平均線の本質を理解するために、計算方法を確認しておきましょう。ここでは、5日移動平均線を作ってみます。例えば、7営業日分の終値が、以下の通りだったとします。

日数 終値 5日間の平均
1日目 100円  
2日目 110円  
3日目 115円  
4日目 120円  
5日目 115円 ①112円
6日目 120円 ②116円
7日目 130円 ③120円

まず、最初の5日間(1日目から5日目)の終値の平均値を計算します。

(100+110+115+120+115)÷5=112

そして、次の5日間(2日目から6日目)の終値の平均値を計算します。

(110+115+120+115+120)÷5=116

同様に、次の5日間(3日目から7日目)の終値の平均値を計算します。

(115+120+115+120+130)÷5=120

このように、直近の5日間の終値の平均値を計算し、①112円と②116円と③120円の点を滑らかにつなげた線が、移動平均線です。

この計算を繰り返し行い、移動平均線は作成されます。ただし、いちいち計算しなくても、チャートソフトが自動で作成してくれるので、心配する必要はありません。

1.3.期間別の種類

チャートソフトを使うと、ローソク足の時間軸を変更することで、それに応じた移動平均線が自動表示されます。そして、複数の線を表示させることで、様々なトレード判断が可能になります(詳しくは後述します)。

ここで、多くのトレーダーが表示させている移動平均線の種類(時間軸)と期間をご紹介します。

・分足:1分足、5分足、30分足等
・日足:5日、25日、75日、200日
・週足:13週、26週、52週
・月足:12ヶ月、24ヶ月

分足・日足・週足・月足のどの移動平均線を表示させるかは、トレードスタイルによって決めるといいでしょう。

目安は、次のようになります。

・短期トレード:分足 (例)スキャルピングデイトレード
・中長期トレード:日足や週足 (例)スイングトレード

また、1つのローソク足だけを見るのではなく、複数の時間軸のローソク足を見ることで、短期・中期・長期のトレンドが把握しやすくなります(こちらも、後述します)。

ちなみに、この5日や25日という期間は、チャートソフトによって、10日や20日などに変更可能です。しかし、上記の数値で表示させている投資家が多いので、最初は基本通りの移動平均線を見ることをおすすめします

1.4.三種類の移動平均線

移動平均線には3種類あり、計算方法が若干異なります。詳しく見ていきましょう。

1.単純移動平均線(SMAまたはMA)

文字通り、ある一定期間の終値の平均値を単純につないだ移動平均線です。移動平均線といったら、通常、この単純移動平均線を指します。先ほど計算例で示したのも、こちらです。

2.加重移動平均線(WMA)

単純移動平均よりも、直近の価格に重点を置いた移動平均線です。計算方法と詳しい意味は、こちらのページがわかりやすいので、参考にして下さい。

3.指数平滑移動平均線(EMA)

単純移動平均線や加重移動平均よりも早く動くのが特徴の移動平均線です。計算方法と詳しい意味は、こちらのページわかりやすいので、参考にして下さい。

ちなみに、私は、この指数平滑移動平均線(EMA)を好んで使っています。なぜなら、色々試した結果、1分足のエンベロープを使ったスキャルピングとEMAの相性が良かったからです(参考:「エンベロープのFXでの実戦的な使い方」)。

しかし、株式投資では、単純移動平均線を使っている方が圧倒的に多いと思います。どれを使うのが正解というのはなく、自分のトレード手法に合っていて、最も優れたパフォーマンスが出せるものを探して使うことをおすすめします 

2.移動平均線でまず見るべき二点

2.1.ローソク足が上か下か

チャートを開いたら、まず、ローソク足と移動平均線の位置関係を見て、トレンドを確認しましょう。

基本的な見方は、次の通りです。

・ローソク足が移動平均線より:強気相場(上昇トレンド)
・ローソク足が移動平均線より:弱気相場(下落トレンド)
・ローソク足と移動平均線が重なっている:横ばい相場(もみ合い)

次のチャートでご確認下さい。

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ご覧のように、ローソク足だけを見るよりも、移動平均線と組み合わせたほうが、トレンドが把握しやすいと思いませんか?

移動平均線は、ある一定期間の価格の平均なので、それより上で価格が推移しているということは、その期間で買った人のほとんどが儲かっている状態です。そのため、売りが少なく、買い注文がどんどん入って上昇トレンドを形成しやすくなります(下落トレンドの場合は、この逆)。

 ポイント!
・ローソク足と移動平均線の位置関係でトレンドを確認する
・売買の判断に迷った時も、基本に立ち返ってこれを確認する

2.2.傾きでトレンドの強さを確認

移動平均線とローソク足との位置関係を確認したら、次に、移動平均線の傾きを見てトレンドの強さに注目しましょう。

基本的な見方は、次の通りです。

・移動平均線が右肩上がりで角度が急:上昇トレンドの力が強い
・移動平均線が右肩下がりで角度が急:下降トレンドの力が強い
・移動平均線が水平:横ばいでトレンドの強弱は判断できず

何か材料(ニュース)が出て、急騰もしくは急落した場合は、移動平均線も少し遅れて急な角度になります。この傾きが、トレンドの強さの目安になります。

 ポイント!
・移動平均線の傾きでトレンドの強さを把握する

3.移動平均線の活用法

3.1.短期・中期・長期の三本を使う

相場には、短期トレンド、中期トレンド、長期トレンドの3つがあります。これに合わせて、移動平均線も短期・中期・長期の3本を表示させることで、1本で使うより相場の流れが把握しやすくなります。

そこで、私は、デイトレードでは次の3本を表示しています。

・短期:25日移動平均線(EMA)
・中期:75日移動平均線(EMA)
・長期:200日移動平均線(EMA)

これが絶対というわけではありませんが、多くの投資家が同じ組み合わせで相場を見ています。そのため、同じものを見たほうが、市場参加者が何を考えているかを察知しやすくなります

ちなみに、5日移動平均線(EMA)を使わないのは、期間が短すぎて、頻繁にローソク足と移動平均線が交錯し、トレンドが把握しにくいと感じたからです。私の考えでは、チャート分析はこの3本で充分です。

3.2.三本の移動平均線による判断

では、3本の移動平均線を使った相場の見方を解説します。次のチャートをご覧下さい。

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大きな白い四角で囲んだAは、短期でも中期でも長期でも、上昇トレンドであることが分かります。このような(上昇)トレンド相場では、相場の流れに乗って、安く買って高く売る「買い戦略」でトレードをすればよいと判断できます。

一方、右側の白い四角のBでは、ローソク足が25EMA(黄色)と75EMA(青色)よりも下に、200EMA(赤色)より上にあります。よって、長期では強気相場ですが、短期・中期では弱気相場だと判断できます。

Bのような、はっきりトレンドが出ていないレンジ相場の時に買い戦略で短期トレードをしても、勝てる可能性は低くなります。

このように、相場は、短期・中期・長期の組み合わせで見るという視点を身に付けると、より正確に分析できるようになります。

3.3.レンジ相場のシグナル

さて、先ほどのAのトレンド相場のように、3本の移動平均線が角度をつけて上昇したり下落すれば分かりやすいのですが、判断に迷うのは、BやCなどのレンジ相場の時だと思います。

そこで、ここでは、レンジ相場を形成するシグナルをお伝えします。まずは、次のチャートをご覧下さい。

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白い四角の局面では、3本の移動平均線が収束して水平になり、レンジ相場になっていることが分かります。ローソク足は移動平均線の間に挟まれ、ボラティリティ(価格変動の度合い)も小さくなり、行き場を失っている状態です。

このように、トレンドが弱まり、移動平均線の角度が緩やかになると、3本の移動平均線が行き場を失うかのように収束して水平になり、レンジ相場になります。

特に、長期の200EMA(赤色)が水平の時は、レンジ相場の強いシグナルとなり、積極的な売買は控えるようにしています。なぜ200EMAに注目するかというと、一番長い200EMAが水平ということは、それだけ長い期間トレンド相場が続いており、3本の中では最も信頼できる移動平均線だからです。

正直、このように3本の移動平均線がキレイに水平に収束するようなレンジ相場に出くわすことは頻繁には無いと思います。しかし、これより前にポジションを持っていたら、レンジ相場ではいったん手仕舞うのも選択肢の一つです。

このように、長期の200EMAの”傾き”に注目すると、トレンド相場の判断がしやすくなります。ぜひ、改めてご自身のチャートで確認してみて下さい。

3.4.短期と中期を使った売買判断

次に、こちらのチャートをご覧下さい。

Aでは、ローソク足が25EMA(黄色)と接触して反落しています。Bも同様に、接触して反落しています。Cでは、ローソク足は25EMA(黄色)では反落しませんでしたが、75EMA(青色)に接触して、その後、下降トレンドを強めています。

また、Dでは、ローソク足は75EMA(青色)を上に突き抜けそうになりましたが、長期の200EMA(赤色)の傾きが下向きで下落トレンドが強いためか、やはり反落してしまいました。

このように、短期と中期の移動平均線は、ローソク足が反発するポイント(=支持帯や抵抗帯)として機能しやすくなります(参考:「サポート/レジスタンスラインで相場の反転を見抜く正しい使い方」)。相場に絶対はありませんが、トレンドが強いほど、この傾向が強く表れます

3.5.長期を使った売買判断

もう1つチャートをご覧下さい。

短期の25EMA(黄色)と中期の75EMA(青色)の傾きは上向きで、相場は上昇トレンドにありました。しかし、右側の白丸の箇所で、ローソク足が長期の200EMA(赤色)を下抜けると、ローソク足全てが移動平均線の下になり、それまでの上昇トレンドは終了したように見えます。

このように、長期の200EMAは、トレンド終了の根拠として機能しやすい特徴があります。

ただし、注意したいのは、これは上昇トレンドが終了したというシグナルであって、下降トレンドが始まるシグナルではないということです。そのため、このような局面で、安易に売り注文を出してはいけません。

あくまでも、「下降する可能性が高まった」という程度の意識にとどめて、レンジ相場になる可能性も排除してはいけません。

4.移動平均線のチャートパターン

最後に、トレードで特に有効な移動平均線のチャートパターンを4つご紹介します。

4.1.パーフェクトオーダー

パーフェクトオーダーとは、短期・中期・長期の3本の移動平均線が順番にキレイに同じ方向に並んでトレンドが発生している状態のことです。

パーフェクトオーダーが現れると、下のチャートのように、典型的なトレンドが発生して、売買チャンスになりやすく、私が信頼しているチャートパターンの一つでもあります(参考:「トレンドを把握するためのパーフェクトオーダーの見方と使い方」)。

4.2.移動平均線乖離率

移動平均乖離率とは、現在の価格が、移動平均線からどれぐらい離れているかをパーセンテージ(%)で表したものです(参考:「移動平均乖離率とは|基本的な逆張りトレード戦略」)。

下のチャートのAの白丸の箇所のように、価格が移動平均線から大きく乖離(オーバーシュート)すると、元の水準に戻ろうとする力が働きます。相場のこの特性を利用し、逆張りで勝率の高いトレード戦略を立てることもできます。

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ちなみに、私の1分足エンベロープの逆張りスキャルピングもこの特性を応用したもので、非常に有効です(参考:「エンベロープのFXでの実戦的な使い方」)。

4.3.グランビルの法則

グランビルの法則とは、移動平均線と価格の位置関係に着目して売買のタイミングを探る、昔からある有名な法則です。

私はFXでは使っていませんが、株式投資で使われることが多く、知っておいて損はないでしょう(参考:「グランビルの法則で株式トレードの売買タイミングを測る方法」)。

4.4.ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロスとデッドクロスは、移動平均線の交差から読み取る相場転換のシグナルです(参考:「ゴールデンクロスとデッドクロスを活用して相場の流れを見極める方法」)。

それぞれの意味は、次の通りです。

・ゴールデンクロス:短い移動平均線が長い移動平均線を下から上に突き抜けたら買い
・デッドクロス:短い移動平均線が長い移動平均線を上から下に突き抜けたら売り

次のチャートをご覧下さい。

gcdc

ご覧のように、AとCの黄色い丸の箇所でゴールデンクロスが現れ、上昇トレンドの起点になっています。また、Bの白い丸の箇所でデッドクロスが現れ、下落トレンドの起点になりました。

ただし、あくまでも相場転換の可能性を示すシグナルであり、確実に相場転換するとは限らないのでご注意下さい。実際の相場転換より遅れてサインが発生したり、発生してもまた元のトレンドに戻るような”ダマシ”も多いので、それらのデメリットを考慮して使う必要があります

ゴールデンクロスとデッドクロスに限らず、移動平均線を単体で使うのではなく、その他のテクニカル指標も合わせることで、より確度が高いトレードが可能になります。

ぜひ、色々分析してみて下さい。

まとめ

この記事の重要ポイントを5つに集約すると、次のようになります。

    • ローソク足と移動平均線の位置関係に注目する
    • 短期・中期・長期の3本の移動平均線を使う
    • チャートを開いたら、最初に3本の移動平均線の傾きを見る
    • 長期の200EMAは、3本の中では最も信頼度が高い
    • 他のテクニカル指標と組み合わせて使う

移動平均線を活用して、投資で確度が高いトレードを目指しましょう。

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