年初来安値とは|注意点と2つの投資手法
(更新 ) · 投資の教科書 株式事務局

この記事は2015年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。
「株価が下がって連日の年初来安値を更新!」
投資をしていると上記のようなニュースを頻繁に聞きます。年初来安値を更新しているというのはある銘柄がその年度の中で一番株価が安い状態になっているということを示しています。
しかし、この年初来安値というのは、株価がお買い得になっているという意味ではありません。
とくに投資を始めたばかりの人に多く見られがちなのは、株価が非常に安くなっていると勘違いして年初来安値の銘柄を保有してしまうというパターンです。
このページでは、年初来安値の銘柄をなぜ買ってはいけないのか、そして年初来安値を利益につなげる方法を2つ、具体的にお伝えしていきます。
目次
安く買えるは大間違い!年初来安値を買ってはいけない理由
年初来安値をつけた銘柄はチャート上で見ると一見安くなっているように思えます。
そのため、逆張りを仕掛けて株を買い、値上がりを待とうとする投資家も多く見られますが、実はその方法だと損失を被ってしまう可能性が高いです。
ここでは年初来安値を原則として買ってはいけない理由を次の2点にしぼりお伝えします。なぜ原則としてなのかというと、例外があるからです。それは後ほどご説明します。
- 『株価が安い=割安』ではない
- テクニカル分析から見ても年初来安値は危険
となります。
1 『株価が安い=割安』ではない
年初来安値と同時に考慮して欲しいのは、株価が割安かどうかという問題です。ときどき、勘違いをしてしまう人がいるのですが、株価が下落して安くなることは割安ではありません。
割安というのは、ある銘柄の業績が想定以上に伸びていたことがわかり、現在の株価よりも高い株価になる可能性がたかい状態であることをいいます。つまり株価が上昇していたとしても、これから業績がさらに大きく伸びるのであればそれは割安だということなのです。
株価が下落して安くなるというのは大抵本業の業績が不振に陥っているか、なんらかの悪材料を抱えていることが多く、株価は下落を続ける傾向があります。
とくに今現在のようなバブル状態において業績が伸び悩んでいるような企業は相当問題があるとみてよいでしょう。
2 テクニカル分析から見る年初来安値の危険性
テクニカル分析とは株価の値動きに着目して、これまでの株価の動きの傾向から次の動きを予測するためにある様々な指標のことをいいます。
代表的なものは移動平均や出来高などがありますが、実は株価の価格というのもテクニカル分析においては非常に重要です。なぜなら投資家の多くは直近の安値や過去の高値などといったこれまでその銘柄はつけた節目となりそうな株価を意識して取引をすることが多いからです。
株価が下がっている株式が『この辺りで下げとまるだろう』という判断ができ逆張りという手法がつかえるのは、あくまで直近過去(数週間から1年程度)の間に下げとまるメドとなる安値があるからなのです。
その点、年初来安値は、下げとまるメドとなる直近の安値が全て無くなることを示しています。
下手に年初来安値の銘柄に手を出してしまうと、株価の下げを止めるほどの大口の資金の登場を指をくわえて待つだけという状態に陥ってしまいます。
どんどん損失が膨れていくのはこのようなパターンです。ちなみに戻りを待っていても全く買った価格には戻らない場合もあります。資金効率も悪くなり、これから上昇する株式に資金を向けることができなくなるのです。
なお価格を考慮した投資家の行動には、深い投資家心理がかかわっています。同時に投資家心理をおさえておくとよいでしょう。
参考:株式投資で失敗しないために知ってくべき5つの投資家心理
年初来安値を利益につなげる2つの投資手法
ここまで年初来安値は悪いもの、手を出すと火傷をしてしまうということばかり書きましたが、実は年初来安値はうまく利用することで利益につなげることが可能となります。
具体的には次の2つの方法があります。
- パニック売りでつけた年初来安値を例外的に買う手法
- 年初来安値を付けた銘柄の下落トレンドに素直にのって空売りする手法
です。
1 パニック売りでつけた年初来安値を例外的に買う手法
大きく売られて下げるパターンにはパニック売りと呼ばれるものが存在します。パニック売りには業績の大幅な下方修正や赤字修正、提携先との提携解消、薬品治験の承認不可、食品問題など様々なものがありますが、窓を大きく開けてストップ安付近まで売られることがあります。
このような売りで年初来安値を更新した銘柄は短期的な目線で買いで利益を狙うことが可能です。下記がその例です。
東京エレクトロンは提携先である 米アプライド社との業務提携解消により、一時株価が大きく売られました。しかし、その後株価は大幅下落前の水準まで1か月もたたないうちに戻しています。
上記のようなパニック売りにより生じた年初来安値は、例外的に買ってみるのも利益を上げるための一つの手法です。もし上がらずに下値を模索するようならばすぐに損切りをすればいいだけの話なので、上記のように20%近い値幅をとれるのであれば非常にうまみのあるトレードになることでしょう。
次にパニック売りによる失敗例を出してみましょう。
途中の大幅下落で買いを入れていたとしたら、一時的に大きな利益を得られるものの残念ながら大きく開いた窓を埋めるほどの上昇にはつながっていません。短期の自立反発の域を出ずその後株価は下値圏での推移となっています。
この銘柄は大幅下落の日に、1200億円の資本を1億円に減らす、いわゆる減資のニュースが伝えられました。ファンダメンタルの大幅悪化につながるおそれがパニック売りを引き起こしたのです。
上記のようなファンダメンタルに関する悪材料(たとえば赤字転換など業績の不振、会計操作などといった上場維持に対する疑念)が出た場合のパニック売りには手を出さないようにするという場合分けも必要です。
そのあたりの見極めができるようになると利益も大きく狙えたりします。
2 年初来安値を付けた銘柄の下落トレンドに素直にのって空売りする手法
ゆっくりと右肩下がりで株価が下落していく銘柄は、素直に空売りで仕掛けてみるというのが利益を上げるための一つの方法です。年初来安値をつけたということは、『絶賛下落トレンド継続中!』なわけですから売り目線でいくわけです。
下落トレンドに沿って空売りを仕掛けてさらに下げたところで買い戻し利益を得るのが最もシンプルかつ効果的な手法と言えるでしょう。
一つ例をあげてみましょう。
信用の売りをすることは残念ながらできませんが、下記のような右肩下がりのトレンドがはっきりと出ている年初来安値銘柄に空売りをのせてポジションを持つのが有効です。
この銘柄は年初来安値を更新するとともに500円という節目を割り込んで下落しました。赤い矢印が指し示す日がその日です。また、そこから少しさかのぼると、ゆっくりと下値を這うような動きをしていることがわかります。このような緩やかな下落は、急な下落に比べて長い期間続くことがあります。銘柄の株価がどんどん下値を更新するときには空売りで利益を狙うチャンスなのです。
また損切りをするタイミングとしては、その下落の流れを打ち消すような企業のファンダメンタル(業績など)の改善が見られた場合には行う必要があります。年初来安値を更新していても業績改善や業績改善につながるようなビッグニュース発表で一気に下落トレンドが崩れることがあるからです。
ただし、これはあくまで1例です。空売りに関しては損失無限定や逆日歩といった注意点もありますので、よく勉強をして注意をしましょう。
年初来安値を付けた銘柄を簡単に見つける方法
では、利益をあげるために年初来安値を付けた銘柄を見つける方法をおしらせします。下記サイトの年初来安値更新銘柄一覧を見てみましょう。
それでは、試しに上のリンクから年初来安値一覧を抜粋してみましょう。
株式市場全体が大きく上げている中で年初来安値を更新する銘柄というのは、やはり何かしら問題があると言わざるを得ません。ただ、一覧には、最近上昇して大きく株価を上げていた銘柄など特殊な状況にある銘柄が含まれることがあります。そのため、そのような過去の株価が参考にできない銘柄はあらかじめ省くのがよいでしょう。
次に一つ一つ、チャートを確認してどのような形で年初来安値を更新しているのかを確認します。
- ゆっくりと下落トレンドを描きながらじりじりと株価を下げている
- 業績不振以外の理由で大きく窓をあげてパニック売りが生じている
上記2つのケースで年初来安値を付けた銘柄を探しましょう。利益のあげ方はすでにお伝えした通りです。
まとめ
年初来安値をつける銘柄は基本的には人気のない現在進行中で売られている銘柄です。しかし、投資をするならそのような銘柄の特性を把握して上手に取引をすることで利益の源泉を見つけることができるのです。このページでご紹介した2つの理由と手法をそれぞれ把握して利益につなげていただければ幸いです。
この記事を書いた人
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