株式の空売りは危険?「買いは家まで売りは命まで」って本当?

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信用取引における有名な格言の1つに「買いは家まで売りは命まで」というのがあります。

この格言は、信用取引で株を買った場合、最悪のケースでも家を売るくらいで済むけど、信用取引で株を売ると、命まで失うかもしれないという格言です。

この格言の影響で、株式の空売りに怖い印象を持っている方も多いのではないでしょうか。

たしかに、信用取引の空売りは、大きな損失を生じる可能性があるので、安易な気持ちで手を出すべきではありません。しかし、しっかりと仕組みやリスクを理解して利用すれば、空売りで命まで取られるということはありません。

むしろ、空売りを利用することで、投資の幅を広げることができるほか、株主優待をタダ同然で手に入れることができるなどのメリットがあります。

皆様には、この記事を読むことで、空売りの仕組みやリスクを理解した上で、しっかりと空売りを活用して頂きたいと思います。

1.空売りとは

通常の株の売買では、株を買って、株価が高くなったところで売ることで利益を出します。

しかし、これとは反対に、手元に持っていない株を、信用取引を利用して、証券会社を通じて株券を借りて売り、株価が安くなったところで買い戻して利益を出すという方法もあります。

このように、手元に持っていない株を、信用取引を利用して、証券会社を通じて株券を借りて売ることを空売りといいます。

空売りには、株価の下落による利益獲得を狙うものと、株価下落による所有株などの損失を回避するつなぎ売り(ヘッジ売り)の2種類があります。

空売りは信用取引を利用するので、空売りをするためには、証券会社で信用取引の口座を開設する必要があります。

また、信用取引で空売りができる銘柄は、証券取引所が定める基準を満たした「貸借銘柄」と、各証券会社が一般信用取引の対象として指定した銘柄だけです。

1.1.空売りのメリット 

空売りを使うことのメリットとしては、

  • 株価が下落する局面でも利益を出すことができる
  • 自分が持っている現物株の株価下落による損失を回避することができる

などがあります。

株価が下落する局面では、買いで利益を出すことはなかなか難しいです。しかし、空売りを使えば、株価の下落局面では、空売りをして、株価が下落してから買い戻すことで利益を出すことができます。

そのため、売買に空売りを取り入れると、買いだけの場合と比べて、投資の幅を広げられます。

また、自分が持っている現物株を売りたくはないけれど、目先の下落局面による損失だけは回避(ヘッジ)したいというとき、自分が持っている株と同じ株を同じ数量空売りすれば、株価下落による損失を防ぐことができます。

1.2.空売りのデメリット

一方で、空売りを使った場合のデメリットとしては、

  • 株価が上昇した場合の損失に上限がない
  • 貸株料がかかり、逆日歩が発生することもある
  • 追証が発生することがある

などがあります。

最初にご紹介した「買いは家まで売りは命まで」という格言も、空売りをして株価が上昇した場合の損失金額に上限がないことから、安易に空売りをしてはいけないということを言っています。

例えば、信用取引で、100円の株を1万株買いのポジションを建てたとします。その後、その会社が倒産してしまい、株式の価値がなくなってしまったとしても、

(100円-0円)×1万株=100万円の損失

となります。通常の現物買いの場合、最悪のケースでも買い建てた金額以上に損をすることはありません。

一方で、信用取引で、100円の株を1万株空売りした(売り建てた)とします。その後、好材料が発表されて、株価がストップ高買い気配のまま何日も寄り付かず、株価が1,000円で寄り付いたところで買い戻したとすると、

(1,000円-100円)×1万株=900万円の損失

となります。売りの場合、最悪のケースでは、売り建てた金額の何倍もの損をすることがあります。

このように、信用取引の買いの場合、買い建てた金額が損失の上限ですが、空売りの場合、損失に上限がありません。この点は、空売りのデメリットです。

また、空売りをする場合、証券会社に対して、貸株料という手数料を払う必要があります。貸株料は、以下のように証券会社ごとに設定されています。

制度信用取引の貸株料 (2018年9月時点)
SBI証券 1.15%/年
カブドットコム証券 1.15%/年
楽天証券 1.11%/年
松井証券 1.15%/年
マネックス証券 1.15%/年

こちらは、現物取引の場合や信用取引の買いの場合にはかからないコストになります。

さらに、制度信用取引で空売りをする場合、逆日歩がかかることがあります。まず、制度信用取引は、証券取引所が定める基準を満たした銘柄を対象としておこなわれる信用取引です。

逆日歩というのは、信用取引で買いたい人よりも売りたい人が多くなり、空売りするための株式が不足したときに、機関投資家などから株を借りてくることがあり、その際に支払う株のレンタル料(品貸料)のことです。

逆日歩の怖いところは、逆日歩がいくらになるかは、翌営業日になってみないとわからないことです。たった1日空売りしただけで株価の何割もの高額な逆日歩を支払わされることもあります。

ただし、後ほどご紹介する一般信用取引で空売りをすると逆日歩がかかりませんので、高額な逆日歩を支払うリスクを避けることができます。

また、空売りをした後に株価が上昇して、担保となる保証金が足りなくなると、追証が発生することもあります。

1.3.信用取引の種類

信用取引には、制度信用取引と一般信用取引の2種類があります。

繰り返しになりますが、制度信用取引は、証券取引所が定める基準を満たした銘柄を対象として行われる信用取引です。

もう1つの一般信用取引は、それぞれの証券会社が定めた銘柄について、証券会社が定めた貸株料や返済期限などの条件で行う信用取引です。

一般信用取引の売りができる証券会社は、SBI証券、カブドットコム証券、楽天証券、松井証券、岩井コスモ証券、大和証券、GMOクリック証券の7社です。(2018年9月時点)

一般信用取引のメリットとしては、

  • 逆日歩がかからない
  • 制度信用取引で空売りできない銘柄も空売りできる場合がある
  • 返済期限が制度信用取引よりも長い場合がある

などがあります。一方で、

  • 制度信用取引と比較して貸株料が高い
  • 返済期限が制度信用取引よりも短い場合がある
  • 返済期限前に建玉の返済(ポジションの精算)を求められる場合がある

などのデメリットもあります。しっかり把握しておきましょう。

2.空売りの利用法

さきほど、空売りには、株価の下落による利益獲得を狙ったものと、株価下落による所有株などの損失を防ぐつなぎ売りの2種類があるとご説明しました。

ここでは、株価下落による所有株の損失を回避するヘッジ売りの方法2つと、株価の下落による利益獲得を狙う方法1つをご紹介します。

2.1.公募株のつなぎ売り

公募、売出し(PO)に申し込んで、証券会社から配分があっても、すぐにその株を市場で売ることはできません。

そのため、配分の連絡を受けてから、実際に株を売却できる日(この日のことを「受渡日」といいます。)までの間に、株価が下落してしまうと、せっかく、公募、売出し(PO)で市場価格よりも安く株を手に入れても、結局は損をしてしまうことがあります。

そこで、空売りを利用して、配分を受けてから、受渡日までの株価の下落をヘッジすることが選択肢になります。以下で、具体的に説明します。

上の図は、ユニゾ(3258)の日足チャートです。

値決め日から受渡し日までに株価が下落している様子がわかります。つなぎ売りをすることで、この株価の下落をヘッジすることができます。具体的には、以下のような取引をしました。

【5月16日(値決め日)】

ユニゾの公募、売出し(PO)価格が時価2,226円から
3%ディスカウントの2,159円に決定。

【5月17日】

証券会社から1,000株配分の連絡を受ける。
2,159円×1,000株購入

東証で2,226円で1,000株新規空売りをする。
2,226円×1,000株新規売り

【5月24日(受渡日)】

2,187円×1,000株売り
配分された株式を売却

2,187円×1,000株買い戻し
空売りしていた株の買い戻し

受渡日には、上記のように買いと売りを同時決済する方法のほか、現渡しで決済する方法もあります。

上記のような取引をすることで、

現物株(2,187円-2,159円)×1,000株=28,000円

信用取引(2,226円-2,187円)×1,000株=49,000円

合計77,000万円の利益を得ることができました。

このように、公募、売出し(PO)のつなぎ売りをすることで、受渡日まで待たずに、早めに利益を確定することができます。もっとも、つなぎ売りをするのは、公募、売出し(PO)値決め日よりも後からにしましょう。

価格決定より前に空売りをして、受渡日に同時決済や現渡しをすると、公募増資に関連する空売り規制に抵触する違法行為になってしまうので注意が必要です。

2.2.株主優待権利取りのつなぎ売り

株主優待をもらうためには、企業が定めた株主優待の権利確定日の3営業日前の日(権利付最終日)に現物の株式を持っている必要があります。

しかし、現物の株式を持っているだけだと、株価の値下がりにより株主優待の価値以上の損をしてしまうという可能性があります。

そこで、空売りを使って株価の値下がりリスクをヘッジして、株主優待をもらうというのが、俗に言う「株主優待タダ取り」という方法です。以下で具体的に説明します。

下のチャートは、パラカ(4809)の日足チャートです。

この銘柄の場合、9月末の権利付最終日に100株保有でクオカード2,000円をもらえます。しかし、9月末の権利落ちで大きく下落していることがわかります。

そこで、「つなぎ売り」をすることで、この株価の下落をヘッジすることができます。以下で具体的にご説明します。

権利付最終日の寄り付きで現物株を100株買うと同時に100株空売りしました。

株価2,400円×100株買い

株価2,400円×100株信用新規売り

そして、権利付最終日の翌営業日(権利落ち日)に、現渡しで決済しました。

このやり方であれば、権利付最終日に現物株を持っているので株主優待の権利を得られますが、同じ株数買いと売りのポジションを持っているので、株価が下落しても損失は生じません。

もっとも、売買手数料と1日分の貸株料がかかりますので、完全にタダというわけではありません。また、制度信用取引で空売りをする場合は逆日歩が発生することがあるので注意が必要です。

2.3.ボックス上限での空売り

最後に、空売りで株価の下落による利益獲得を狙う方法をご紹介します。銘柄によっては、株価が一定の高値と安値の間で推移していることがあります。このような状態を、もち合いまたはボックスといいます。

その習性を上手く利用して、ボックスの上限付近で空売りをして、ボックスの下限付近で買い戻すという方法があります。下のチャートをご覧ください。

これは、ネクシィーズグループ(4346)の日足チャートです。株価が、1,500円から1,800円のボックスでの推移となっていることがわかります。

このような場合、株価が1,800円に接近したタイミングで空売りをすることが選択肢になります。そして、空売りをした場合、株価がボックス上限を超えてしまった場合には、損切りします。

これまでボックスで推移していた株価が、これから先もボックスで推移するという前提での空売りになので、その前提が崩れてしまった場合には、損切りすべきだからです。

この方法のいいところは、失敗した時のリスクと成功した時のリターンを比べたときに、リスクが小さいという点です。

仮に、1,770円で100株空売りをして1,810円を損切りライン、1,530円を利食いラインと設定すると、失敗した時の損失は4,000円であるのに対し、成功した時の利益は24,000円になります。

3.まとめ

多くの方は、株式の買いには慣れていても、売りには慣れていないため、空売りにはあまり馴染みがないかもしれません。また、空売りは損失が理論上は無限大なので、怖いというイメージがあるかもしれません。

しかし、しっかりと仕組みやリスクを理解して利用すれば、投資の幅を広げることができたり、株主優待をタダ同然で手に入れたりすることができる便利なものです。

皆様には、この記事の内容を踏まえて、仕組みやリスクを理解した上で、空売りを積極的に活用して頂きたいと思います。

 

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