FXの雇用統計とは|必ず押さえておきたい知識と具体的トレード方法

雇用統計とは、その国の雇用情勢を表す経済指標で、景気の良し悪しを判断する材料になります。

特に、毎月第1金曜日に発表される米国雇用統計は、世界中の投資家が注目しており、為替相場にも影響を与えます。

発表内容は10項目以上あり、その中でも「失業率」と「非農業部門就業者数」の数字が重要と言われています。

これをきっかけに大相場に移行することもあり、米雇用統計はFXをやるなら絶対に知っておくべき大イベントです。

そこで、この記事では、雇用統計の基本をはじめ、雇用統計発表時の具体的なトレード手法や注意点など、私の経験を交えて詳しく解説します。

ぜひ、ご活用下さい。

執筆者
ぶせな

ぶせな

FXの専業トレーダー。認定テクニカルアナリスト。 本格的にFXを開始してから10年で1億6,500万円の利益を突破。著書に、『最強のFX 1分足スキャルピング』『最強のFX 15分足デイトレード』(共に、日本実業出版社)がある。ツイッターアカウントは、『@busena_fx』、ブログは『億トレーダーぶせなブログ』。

1.米雇用統計発表時の私のトレード動画

まず最初に、米雇用統計時の為替の値動きのイメージを掴んでいただくために、私のFXのトレード動画をご覧下さい。約1分間の動画で、手法はスキャルピングです。21時30分に指標が発表になり、乱高下し始めた10分後の21時40分頃にトレードしたものです。

なお、トレードした通貨ペアは、米ドル/円とユーロ/米ドルの2通貨ペアです。

再生すると、まず米ドル/円の損切りから始まります。その後、00:15でユーロ/米ドルをロング(買いポジションを持つこと)します。そして、すぐにロングポジションを増していきます。



ちなみに、この時の利益は154,000円で、ポジションの保有時間は、数十秒間です。

このように、指標発表後の動きで利益を上げやすいのがスキャルピングの特徴です。やり方を身に付ければ、雇用統計は、稼げるチャンスがあるイベントです。

普通の相場も同じで、期待値が高いトレードをすれば、どんな相場でも利益を上げることもできます。ただし、雇用統計ならではの見方が必要なので、この記事でしっかり身に付けて下さい。

なお、期待値については、『ランダムウォーク理論|トレードで勝てる人の確率と期待値の考え方』で解説しています。

2.雇用統計とは

雇用統計は、ファンダメンタルにおいて、重要な位置付けになります。概要と注目されるポイントを解説します。

2.1.雇用統計の概要

まずは、雇用統計の概要を表で整理してみましょう。

発表時期 毎月第一金曜日
発表時間
(日本時間)
4月から10月(夏時間):21:30
11月から3月(冬時間):22:30
発表内容 10数項目
失業率非農業部門就業者数、建設業就業者数、製造業就業者数、
小売業就業者数、金融機関就業者数、週労働時間、平均時給など
発表する機関 米国労働省労働統計局
調査対象 全米企業、政府機関

一言で雇用統計といっても、発表内容は10個以上あります。これらをまとめて、雇用統計と言います。その中でも重要なのが、失業率非農業部門就業者数です。この2つは、大雑把でも構いませんので、どんな内容か知っておく必要があります。

Yahoo!ファイナンスより抜粋します。

失業率の解説

非農業部門雇用者数の解説

雇用統計以外でも、経済指標の発表で相場が大きく動く時があるので、トレードする前に、その日はどんな経済指標の発表があるか、Yahoo!ファイナンスや、お使いのFX口座のニュースで毎日チェックする習慣を付けましょう。

ちなみに、私がメイン口座で使っていヒロセ通商には、「経済指標カレンダー」があります。

2.2.世界中のトレーダーが米雇用統計に注目する理由

米国の雇用統計は、世界中のトレーダーが注目している経済指標です。

では、なぜそこまで注目されるのでしょうか?

その理由は、雇用統計の結果が米国の金融政策に影響するからです。そうすると、基軸通貨であるドルが買われたり、売られたりします。

米国の経済情勢は、世界のGDPの約20%を占めている、桁違いの世界最大の国家です。為替市場においても、全世界の基軸通貨は米ドルです。「ドルストレートとそれ以外の通貨ペア」と言われるほど、マーケットの中心はドルなのです。

そして、米国のGDPの約70%が個人消費で占めています。つまり、アメリカの景気が良くなるかどうかは個人消費次第である、といってよいでしょう。そして、個人消費が世界のGDPの約20%を占めているのです。

このように、米国では、個人の「失業」と「雇用」の情勢が世界経済に与える影響は多大です。

そして、マーケットで長期的に大きなトレンドを形成する要因が、各国の金融政策です。言うまでもなく、基軸通貨を扱っている米国の金融政策は、通貨ペアの価格変動に対して強い影響力を持ちます。

米国の金融政策を決定するFRB(連邦準備理事会)は、政策を判断する材料として、この雇用統計を重視しています。結論から言うと、FRBは、

  • 雇用統計の数字が良い:景気が良いとの判断から「利上げ」をします。
  • 雇用統計の数字が悪い:景気が悪いとの判断から「利下げ」をします。

利上げが行なわれると、金利が高くなり、米ドルに資金が集まるようになります。つまり、米ドルが買われ、上昇する要因になります。

逆に、利下げが行なわれると、より金利の高い通貨へ資金が向かい、米ドルは売られるようになります。

このように、雇用統計の数字が利上げや利下げの判断に直結するため、世界中のトレーダーが注目します。

3.雇用統計時のトレードのポイント

雇用統計がどれだけ重要な指標か、お分かりいただけたと思います。

発表の時間が決まっていることも、注目しやすい要因の1つです。毎月第1金曜日の22時30分(サマータイムは21時30分)に発表があると分かっていれば、この日は何も予定を何も入れずに準備ができ、トレードに専念できます。

このように、注目度が高いと、指標発表後は注文が急増し、冒頭でご覧いただいたトレード動画のように、一瞬で30pipsから50pipsくらいはレートが一気に飛びます。

値動きの激しさは醍醐味といえば醍醐味ですが、スプレッドが広がり、スリッページも発生するので、闇雲なトレードは危険です。

そこで、次からは、リアルトレードでどのように立ち回ればいいか、具体的に解説します。

3.1.予想と乖離した時に大きく動く

繰り返しになりますが、雇用統計の発表は、毎月第1金曜日です。しかし、その日に本当に発表があるかどうか、念のため確認しましょう。なぜなら、第1週ではなく、イレギュラーに第2週になることもあるからです。

また、夏時間と冬時間の切り替え月は間違えやすいので、やはりチェックは必要です。先ほど紹介したYahoo!ファイナンスだと、次のようなページです。

経済指標カレンダー

21:30に、「非農業部門就業者数」と「失業率」が載っています。「雇用統計」というタイトルではなく、雇用統計に含まれる、上述した重要な2つのタイトルであることにご注目下さい。雇用統計というワードを探しても見当たりませんので、注意が必要です。

そして、注目すべき数字は、「予想」です。上の画像の右側にも、「前回(修正)」と「予想」の欄がありますね。(一番右側の「結果」は、指標発表後に表示されます)

数字を予想をしているのは、証券会社やシンクタンクなどの機関です。

その機関に属するアナリストやストラテジストが、個々に予想をします。そのため、予想は全く同じ数値にならないことがあり、多少のズレがあるものだとお考え下さい。ただし、かけ離れた数値ではなく、ちょっとした差があるだけです。

そして、相場が大きく動くのは、事前予想と実際の結果に差がある時です。差がある時は”サプライズ”になるため、売りと買いのどちらか一方通行の値動きになりやすいです。

事前予測はすでに相場に織り込んでいるため、予測通りの結果になっても、サプライズはありません。「やっぱりそうか」というだけでは、相場は動きません。数値が良いからドルが買われる、数値が悪いからドルが売られるのではありません。

では、予想と結果はどれれくらい乖離があるとサプライズになるのでしょうか?

次の表は、2016年6月の雇用統計の予想と結果の乖離を示したものです。

  非農業部門就業者数 失業率
予想 +16.4万 4.9%
結果 +3.8万 4.7%
乖離 -12.6万 -0.2%

赤文字の箇所に注目すると、非農業部門就業者数の乖離が大きいことが分かります。予想はピッタリ当てることも難しいのですが、逆に、乖離が10万を超えてくることは滅多にありません。ここまで乖離があると、サプライズとなります。

さて、この時に相場がどう動いたのか見てみましょう。次のチャートは、ドル円の1時間足です。

米雇用統計発表時のチャート①

通常、雇用統計の数字が良いとドルが買われ(=円安)、悪いとドルが売られます(=円高)。上述のように、たとえ指標の数字が悪くても、予測通りなら相場は織り込んでいるのでそこまで動きません。

しかし、今回は非農業部門就業者数が思ったより少なくて悪いほうへのサプライズだったので、教科書通りに下げました。指標発表が21時30分で、そこから3時間で200pipsも下落しました。

もちろん、サプライズがなくても、指標発表後に相場が動くことはあります。

例えば、雇用統計までに利上げ期待でドルが買われていれば、たとえ予想と結果に乖離がなくても、利上げ期待が継続する可能性が高いです。そのため、サプライズがなくても、これまで通りのマーケットの流れに従い、ドルが買われ続けるかもしれません。

大事なことは、「どんな環境で雇用統計を迎えるか」です。雇用統計までのトレンドや地合い、そして、雇用統計の数値が絡み合って、初めてその後の相場が形成されます。

ただし、雇用時計は世界中のトレーダーが注目し、買いでも売りでも売買が急増するので、ボラティリティが急激に高まります。たとえサプライズがなくても、普段よりも乱高下します。サプライズがあれば過剰に反応し、より激しい値動きになります。

3.2.指標発表後にエントリーする

では、雇用統計の発表時、私が実際にトレードを仕掛けるタイミングを解説します。これが正解というものはなく、指標発表時の手法は無数にあるので、着眼点の1つとして捉えて下さい。

まず、指標発表前と後のどちらでトレードするかというと、指標発表後がおすすめです。

21時30分が発表なら、それよりも後になります。理由は、指標発表前は、ほとんどのトレーダーが様子見をしているからです。そのため、あまり動きません。動いたとしても、トレンドを形成するほどではありません。

間違っても、指標を予測し、買いや売りのポジションを持ったまま指標をまたぐようなことはしないで下さい。これでは、博打と変わりません。

プロの機関投資家でさえ、予測通りにはいきません。それなのに、個人投資家が毎回当てられるはずがありませんね。これでは、トレードスキルというより、「運」になってしまいます。

それよりも、指標が発表された後の値動きを見てから判断してトレードしたほうが、期待値は高くなります。具体的には、トレンドが発生したのか、それともレンジなのかを見極め、さらにローソク足の動き方を見てから判断するようにします。

ちなみに、冒頭でご覧いただいた動画も、雇用統計の発表から10分後にエントリーしています。

4.雇用統計特有のテクニカル分析

FXのトレード手法にはいくつかありますが、スキャルピングデイトレードスイングトレードをやるにしても、私が必ず意識しているのは「Y波動」です。

Y波動は、もみ合いの一種で、次のような場合をいいます。

  • 高値切り上げ
  • 安値切り下げ

三角もち合いは、高値切り下げ、安値切り上げのことです。そして、Y波動は、その逆になります。Y波動ができる理由は、相場がどちらにいくのか迷っているからです。高値を切り上げても上昇できずに反落し、逆に、安値を切り下げても下落できずに反発してしまうのです。

三角もち合いの場合は、徐々に売買高が少なくなり、高値も安値も更新せずに値動きが収縮します。Y波動の場合はその逆で、売買高は依然として多く、どちらかに値幅を出したくてウズウズしている状態と言えるでしょう。

いったん高値や安値は更新するものの、トレンドが出るまでには至らないというイメージです。

言葉だと伝わりにくいと思いますので、実際のチャートでY波動を見てみましょう。

Y波動のチャート

チャートの左から下降トレンドでしたが、レンジになってP波動(三角持ち合いのこと)でもみ合い、その後はどちらかに動きたくても迷っていてY波動を出しているイメージです。そして、Aで下にブレイクして下降トレンドになりました。

このY波動を大きな場面で見ると、次のようになります。

Y波動のチャートを拡大

Aでは、安値を更新したにもかかわらず、下降トレンドにならずに反発しています。Bも同様で、高値を更新しましたが、上昇トレンドにならずに反落しています。

Y波動は相場の値動きの本質を捉えているので、どのトレードスタイルでも機能します。

テクニカル分析は他にもありますが、雇用統計のような乱高下を伴ったもみ合いが発生する時、Y波動はどの時間軸でも大いに役立ちます。また、雇用統計でY波動の適切な見方ができると、普段の相場でも活用できます。

《相場の波動の参考記事》
波動についての理解を深めたい方は、次の記事も併せてお読み下さい。

それでは、Y波動の具体的な使い方を見ていきましょう。

5.雇用統計時のスキャルピングの方法

雇用統計の発表後は売買が急増して乱高下するので、スキャルピングのトレードチャンスになります。

ちなみに、私の場合、スキャルピングは1分足を使い、移動平均線エンベロープ使って売買のタイミングを図っています。

1分足レベルでY波動を見る時、何度も高値切り上げと安値切り下げする、きれいなY波動のチャートパターンは、実はそんなに多くありません。

1分足の見方は、ローソク足を、上→下→上や、下→上→下のように、3段階で見ることがポイントです。上下上下上下と、何度も上下するのをチェックするのではなく、あくまでも3段階です。

次のチャートは、雇用統計時のユーロドルの1分足です。

米雇用統計発表時のチャート②

指標発表後、上に振ってから上ヒゲをつけて下落し、戻しをつけて下降トレンドになりました。この動きは、上→下→上の3段階です。なぜ1分足だと3段階かというと、短期トレンドでは、3段階上下に振ってからトレンドが出やすいからです。

ただ、雇用統計の時に必ずY波動が出るかというと、そうではありません。

予想と結果の乖離が大きければ、Y波動を出さずに一方向へ進む可能性が高いです。また、Y波動が出ても、そのままトレンドが決まらずにもみ合いのまま終了することもあります。

重要なことは、Y波動は、迷っている相場だと認識することです。上下上や下上下と迷った後にトレンドが出るからこそ、その流れは強いことになります。

次のチャートは、先ほどのユーロドルと同じ日の雇用統計で、ドル円の1分足です。

米雇用統計発表時のチャート③

黄色い四角で上下動していますが、先ほどのユーロドルのように、きれいなY波動ではありませんね。このような時は、ヒゲを出しているかどうかをチェックすると良いでしょう。

長い下ヒゲの後、短い上ヒゲが出ていますね。ヒゲが長ければ長いほど、相場は迷っていると判断します。1分足の長い下ヒゲなので、一瞬下に反応しましたが、買い注文も大量に入り、迷っていると考えるのです。

このように、雇用統計でスキャルピングする時は、指標発表後の数分間で今日はどっちに振ってくるかを意識することが最大のポイントです。

実際にY波動が出て上下に振ってくれば、その後のトレンドが出た方へポジションを取るなど、順張りの戦略が立てやすくなります。また、上ヒゲが出ると、下ヒゲも出やすくなりますので、逆張りもできます。

別の日の雇用統計のチャートを見てみましょう。これは、ドル円の1分足です。

米雇用統計発表時のチャート④

指標直後に長い下ヒゲをつけて数分で上昇しましたが、すぐに反落して下→上→下とY波動が出ました。

その後は、下にトレンドが出ましたが、Aがレジスタンス帯になり、Bで反落しています。チャートパターンでいうと、S波動です。

Y波動が出た後は、CDEFのように、たとえ下方向にトレンドが出ても、一方向へ進むことなく反発しています。戻りをつけながら、下降トレンドという流れです。このようなポイントは、逆張りを狙えます。

また、短期トレンドの達成は、Y波動でもみ合った値幅の2倍になる値幅計算もできます。どちらにしても、Y波動が出た後は、順張りと逆張りのどちらでも戦略は立てやすくなります。

なお、雇用統計発表後の数秒から数十秒はスプレッドが大きく開くので注意が必要です。そのため、スプレッドが通常に戻るまでは、エントリーは絶対に待たなければなりません。

どっちみち、指標発表直後はエントリーしづらいと思いますので、スプレッドが閉じるまで様子見するクセをつけましょう。相場が少し落ち着き、通常のスプレッドに戻ったタイミングでエントリーしても遅くありません。

6.雇用統計時のデイトレードの方法

デイトレードは、トレンドフォローの順張りが基本の手法です。

雇用統計は、金融政策に大きな影響力がある指標なので、結果次第で大きなトレンドが発生します。そのため、指標後にトレンドが発生したら、しばらくその流れに付いていくイメージを私は持っています。そして、必ず見るポイントは、直近の高値と安値です。

なぜ直近の高値と安値が大事なのかというと、指標発表後に勢いが出てトレンドが発生する時は、直近の高値と安値をブレイクしてトレンドがスタートする可能性が高いからです。つまり、トレンドがスタートしそうな高値と安値をチェックしておけば良いということです。

ただし、直近と言っても、1日前や1か月前のどこの高値や安値を見ればいいか分かりませんね。正直、これは相場次第なので、ここで決めなくていいでしょう。

コツは、チャートを開いて、明らかに高値や安値になっている価格帯にラインを引くだけです。それが、1日前にできた高値なのか、2週間前にできた安値なのかは相場によります。

指標発表前に高値と安値をチェックしておけば、雇用統計の勢いでどちらかにブレイクするのか、それとも、そのラインで値が止められるのか、ポイントを絞って見ることができます。

例えば、指標後にY波動が出た場合、その高値がレジスタンスラインになって、翌日以降も上にブレイクできずに下げてくれば、下降トレンドになりやすくなりますね。

そして、指標発表直後だけでなく、翌週の相場の流れを作るきっかけも雇用統計が多いので、デイトレードの戦略も立てやすくなります。

実際のチャートで確認してみましょう。次のチャートは、ポンドドルの4時間足です。そして、矢印の箇所が、雇用統計のタイミングです。

米雇用統計発表時のチャート⑤

雇用統計で一時的に上がり、ローソク足も陽線になりました。しかし、これが絶好の戻りになって、次のローソク足から下降トレンドが発生しています。

遡ってチャートを見ると、雇用統計までにAというサポート帯がありました。ここで反発するか、それとも下にブレイクするか、瀬戸際の段階で雇用統計を迎えたということですね。

しかし、直近の安値をチェックしていれば、このような準備ができます。雇用統計という注目度の高い経済指標でさえ、上にいけないとなると、下落するしかありません。

そして、Bでは、S波動になっています。雇用統計は金曜日に発表されるので、翌週からの戦略を立てやすくなります。Aがあり、雇用統計でも上にいけない、そうすると、Bで下にブレイクしたら、ますます上にいけなくなります。つまり、下降トレンドの戦略を立てることができます。

このように、雇用統計時のデイトレードでは、直近の高値と安値をチェックして、発表後にどちらに抜けるのかに注目することがポイントです。発表後にY波動が出れば、それが一番直近の高値や安値になります。

スキャルピングでもデイトレードでも、Y波動の見方は有効です。Y波動が出れば、それに沿ったトレードをし、仮にY波動が出なくても、今回はどういう動きをするのか?に意識をより向けることができるはずです。

例えば、一方向へジリジリと進むのか、それとも狭いレンジで収束するのかなどです。Y波動を使った基本となる見方があるからこそ、指標発表後にどんな値動きになっても対応できるのです。

7.雇用統計時にやってはいけないトレード

ここまでは、雇用統計発表時のトレード戦略の立て方を説明してきました。

この章では、逆に、やってはいけないトレードを3つ紹介します。やろうと思えば簡単にできてしまう手法ですが、やりたい衝動を抑える必要があります。何回かは勝てたとしても、続けられるやり方ではありません。危険だという認識を持って読み進めて下さい。

7.1.指標発表前にポジションを持ってはいけない!

上述したように、雇用統計の日にトレードするのは、指標発表後が良いでしょう。

指標発表後のトレードで利益を出せるようになると、毎月の雇用統計時のトレードが安定してきます。逆に、指標発表前にポジションを持つことは非常に危険です。(ちなみに、ここでいう指標発表前とは、発表前にポジションを持ち、発表をまたぐことです。)

なぜなら、指標の結果は、プロのアナリストでさえ当てることはできないからです。それを、個人投資家が当てられるはずがありませんし、仮に当てられたとしても、思った方向に動くとは限りません。

指標発表直後は、これでもか!というくらいに乱高下します。これには規則性がありません。本当にランダムに動き、しばらくしてから(例えばY波動が出てから)、方向を決めて短期トレンドが発生します。

このランダムに動く時にあえて予想してポジションを持つのは、危険だというのはもうお分かりですよね。少ない枚数でお試しでやるのは良いでしょう。しかし、生活費を稼ぐためのトレードだと、そうはいきません。

どちらに動くか分からないものに対して予測するのは、今から止めておくべきです。あくまでも、指標後の値動きから判断し、トレードするようにしましょう。もちろん、指標発表前に完結するトレードなら全く問題ありません。

また、スイングトレードのように、長いスパンでポジションを保有していて、計画的に雇用統計をまたぐのも問題ありません。

たとえ100pipsくらいの乱高下はあったとしても、中長期的な視点でトレンド分析をしてポジションを持ったはずなので、利益確定と損切りポイントをしっかり決めておけば問題ありません。

7.2.OCO注文を使ってはいけない!

指標がどんな数字になるのかを予想して予めポジションを持つことは、上に動くか下に動くかの博打になるので危険だとお伝えしました。

予想しなくても、指標前に買いと売りの2つの注文をセットで行う「OCO注文」を使うアイディアもありますが、これもやってはいけません。ちなみに、OCO注文は、2つの注文(買いと売り)を同時に発注し、一方の注文が約定すると、もう片方がキャンセルされる方法です。

こちらのヒロセ通商のページで分かりやすく書かれているので、ご覧下さい。

ヒロセ通商のOCO注文の解説

例えば、指標発表直前に現値より10pips上にOCO注文(買い)を入れておきます。そして、指標発表直後に50pips急騰したとします。この時、10pips上昇したところで約定しているはずなので、一瞬で+40pipsの利幅になります。

仮に、スプレッドが20pipsで、スリッページが5pipsだとしても、差し引いて+15pipsの利益になります。

これを手動の成行注文でやろうとすると、一瞬でプライスが飛ぶので、とんでもない高い価格で約定してしまう恐れがあります。しかし、指標発表前に予めOCO注文を入れておけば、先ほどのような手法が可能になります。反対に、急落した場合は、売りで取ることもできます。

ただし、約定した直後に思惑に反して逆行したら、一瞬で含み損になります。このようなリスクはありますが、雇用統計のように一方通行で大きな急騰や急落があるなら、一瞬で含み益になるチャンスはあります。

しかし、このやり方で問題なのは、トレードスキルというより運次第になってしまうことです。分析をしてトレードしているわけではないので、安定的に勝ち続けることはできないでしょう。

また、雇用統計をまたいで注文する方法は、FX会社のシステムに大きな負荷を掛けるため、思った通りに注文が通らないリスクもあるので、やはりおすすめしません。

7.3.ゼロカット業者間の両建てをやってはいけない!

ゼロカットとは、預けた証拠金以上の損失が発生しない仕組みのことです。FXでは、一定の証拠金維持率を下回ると、強制ロスカットが発動されます。一定以上の含み損が拡大すると元本割れをするので、自動的にFX会社が損切りを執行するのです。

しかし、大きな価格変動があった場合、強制ロスカットが間に合わないことがあります。そうなると、預けた資金以上の損失になり、マイナス分を追加入金する必要が出てきます。要は、マイナス分をFX会社が一時的に補填しているので、それを返済するということです。

そうならないように、「ゼロカット業者」は、次のことを謳っています。

  • 「預けた資金以上の損失はウチでなんとかしますよ」
  • 「資金がゼロ以下になることはありませんよ」

そして、このゼロカット業者は国内のFX会社には存在せず、海外の業者に限られます。その理由は、国内では、個人投資家の資金を業者が補填することは禁止されているからです。

それでは、指標発表時にやってはいけない、ゼロカット業者間の両建て(同じ通貨ペアの買いと売りのポジションを同時に保有すること)について説明します。

ここでは、海外の2社のゼロカット業者AとBを使います。雇用統計の直前に、次のポジションを取ります。

  • A業者ではフルレバレッジで買い
  • B業者ではフルレバレッジで売り

ポイントは、フルレバレッジにすることです。フルレバレッジにすると、仮に指標発表で急騰し、B業者の売りポジションがマイナスになったとしても、ゼロカットしてくれるのでゼロ以下にはなりません。つまり、A業者の買いポジションの含み益だけが大きく伸びるというわけです。

A業者は大きな利益で、B業者は証拠金がゼロになります。ゼロカットされても、それが損切りの役割を果たし、含み益の買いポジションを伸ばせることになります。

ただし、このゼロカット業者間の両建ても、あなたのトレードスキルというより運次第になるので、おすすめしません。

なぜなら、ゼロカットされた挙句、もう片方のポジションも一瞬で逆行してゼロカットされると、資金は両社ともゼロになってしまうリスクがあるからです。

8.経済指標だけで稼ぐのは不可能

これまで、雇用統計の発表時に有効なやり方と、やってはいけない具体的なトレード例を紹介してきました。やってはいけないトレードで大損するのは論外ですね。

また、たとえ指標発表後の値動きに対応できたとしても、雇用統計だけで勝ち続けるのは不可能だとお考え下さい。

雇用統計はチャンスが多いとはいえ、相場は根本的にランダムに動きます。パターンを見つけた場合はトレードできますが、そうでない時は、手が出ないこともあります。

毎回勝とうとすると、パターンの見極めができない時に無駄なトレードをしてしまいます。おそらく、月に1回しかチャンスがないため、勝ちたいという感情が前面に出てしまうのでしょう。

そうならないためにも、トレードで稼ぐ機会はあくまでも普通の相場を大前提とし、雇用統計はボーナスのように考えるといいかもしれません。このことは、雇用統計に限らず、指標発表全般に言えます。

普通の相場で勝てるやり方を繰り返しているからこそ、指標発表時でも対応できます。もし、これが反対で、指標で稼ぐことを中心にして、気が向いたら普通の相場もやってみよう、というのは危険です。

繰り返しになりますが、経済発表時はとにかく値がランダムに動くので、これをトレードの中心にしないようにしましょう。また、雇用統計は動く月と動かない月の差が激しいことも覚えておきましょう。

動く時はドル円で100pipsくらい動きますが、サプライズがないと、20pips程度しか動かない日もあります。売買が急増するのは共通ですが、指標後は乱高下するのが当たり前だとは思わないようにしましょう。

9.FX会社の雇用統計レポートを活用する

トレードの利益を求めるばかり、雇用統計に関する知識がないままでは本末転倒です。

売買ルールはテクニカルだとしても、雇用統計は価格変動に大きな影響を与えるファンダメンタルのイベントです。なぜ重要視されるのかを、ファンダメンタルの面からチェックしましょう。

雇用統計がマーケットにどのようなインパクトを与え、機関投資家やアナリストがどう予想しているかは、知っておくだけでも参考になります。

私のおすすめは、SBI FXトレードの「米雇用統計特別レポート」です。要点がまとまっているので、初心者にも読みやすくてとても参考になります。トレードの判断に直結するものではありませんが、FXトレーダーとして精通しておくと良いでしょう。

まとめ

米雇用統計は、月に1回の最重要経済指標です。指標発表後は乱高下するため、トレードチャンスが多くなります。しかし、値が大きく飛ぶため、稼げる反面、損失の額も大きくなります。

この記事を何度も読んで、米雇用統計の最低限の知識をインプットし、発表時の値動きのチャートを観察して下さい。そして、リスクとリターンをよく理解した上で、指標発表後のトレードにもチャレンジしてみて下さい。

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