FXや株式をはじめとした投資は、「安く買って高く売る」が基本ですが、もう一つ、「高く売って安く買う」という方法でも利益を出すことができます。
この記事では、FXで値動きから利益を出す仕組みについて、初心者にもわかりやすく解説します。
また、「1,000通貨や10,000通貨を投資して、どれくらい動いたらいくらの損益になるの?」という、初心者がつまづきやすい疑問についても説明します。
ぜひ、ご活用下さい。
1.FXで利益を得る二つのパターン
通貨の価格(交換レート)は常に変動し、FXは、このレートが変動する動きを利用して利益(為替差益・キャピタルゲイン)を狙います。
この為替差益を得るには、次の2つの戦略(パターン)があります。
- 買い戦略:安く買って高く売る
- 売り戦略:高く売って安く買い戻す
例を使って計算してみましょう。使うのは、次のドル円の取引イメージチャートです。

1.1.買い戦略:安く買って高く売る
上のチャートで、1ドル=110円の時にドル円を1,000通貨買ったとします。その後、1ドル=120円に上昇した時に売れば、利益は次のように計算できます。
(売値120円ー買値110円)×1,000通貨=10,000円
このように、安く買って高く売る戦略が、FXをはじめとした、投資の基本です。
では、1ドル=120円の時にさらに上昇すると見込んで、新たに1,000通貨買って、その後1ドル=110円に下落したらどうなるでしょうか?計算してみましょう。
(売値110円ー買値120円)×1,000通貨=▲10,000円
このように、買った時より価格が下落したら、10,000円を損してしまいます。
しかし、正しいテクニカル分析をして、今後下落する確率が高いと判断すれば、先に高く売って、安く買えば、同じように利益を出すことができます。
詳しくは、次で解説します。
1.2.売り戦略:高く売って安く買う
先ほどのチャートで、1ドル=120円の時に下落すると見込んで、ドル/円を1,000通貨先に売って、その後、1ドル=110円に下落した時に買えば、利益は次のように計算できます。
(売値120円ー買値110円)×1,000通貨=10,000円
このように、円高・円安による通貨ペアの上昇・下落に関係なく、買いだけでなく売りからも利益を得るチャンスがある点も、FXの大きな特徴です。
ちなみに、株式投資にも「空売り」といって、「高く売って安く買い戻す」方法があります。しかし、空売りできる銘柄が限られていたり、信用口座を別に開く必要があったり、逆日歩(手数料のようなもの)が発生したりと、株式投資は、FXと比べて、売り戦略の自由度は低いです。
その分、FXは、口座を開設すれば、誰でもすぐに売り戦略ができる上、通貨ペアによる制限もありません。ただし、日をまたいで売りポジションを保有する場合は、スワップポイントを支払う必要が出てくるので、注意しましょう(参考:スワップポイントとは)。
2.通貨単位ごとの損益計算のコツ
FXで、レートがどう動いたら利益になるのかの仕組みがわかったところで、今度は、「どれくらいの通貨量を投入したら、どれくらいの損益になるのか」を見ていきます。
株式投資の場合は、日本円で計算するのでわかりやすいです。しかし、FXは異なる国どうしの通貨を交換する取引なので、円やドル、英ポンドなどの様々な通貨単位が使われて混乱します。
ただし、今からお伝えするポイントを押さえれば、実際にトレードで困ることは無くなります。しっかり把握しましょう。
その前に、よく使うFX特有の次の2つの通貨ペアの用語を覚えておいて下さい。
・クロス円:ドル以外の通貨と日本円の通貨ペアのこと (例)ユーロ/円、ポンド/円
・ドルストレード:ドルが絡んだ通貨ペアのこと (例)ドル/円、ユーロ/ドル
※ドル/円に限っては、クロス円ではなく、ドルストレートであることがポイント!
2.1.pipsとは
先ほどのような、様々な通貨ペアが混在するFXのややこしさを取り払ってくれるのが、「pips(ピップス)」です。
ここで、次のAさんとBさんでは、どちらのパフォーマンスのほうが優れていると思いますか?
- Aさん:400万円の資金をフルに使って1万円の利益
- Bさん:40万円の資金をフルに使って1万の利益
少し考えてみて下さい。
利回りを計算すると、Aさんは0.25%(=1万円÷400万円×100)で、Bさんは2.5%(=1万円÷40万円×100)ですね。つまり、BさんのほうがAさんより少ない資金で効率良く利益をあげたことになります。
ここで、ドル/円の証拠金が1万通貨=40,000円と仮定し、先ほどの例を、今後はpipsで表してみましょう。
すると、Aさんは100万通貨を使って「1pips」の値幅で1万円の利益を得たことになります。一方、Bさんは10万通貨を使って「10pips」の値幅で同じ1万円の利益を得たことになります。
同じ1万円の利益でも、Bさんのほうが利食いの値幅が大きく、やはり効率良く利益をあげていることが分かりますね。
このように、pipsは、パフォーマンスを比較する「統一単位」として使われます。ちなみに、ドル円の場合は「1pips=0.01円=1銭」で、1pipsは、クロス円やドル/円は少数第2位、ドルストレートは少数第4位が基本になります。
では、「銭」と「pips」をどのように使い分けるのかというと、クロス円やドル/円の単位は「銭」で表し、それ以外の通貨ペアの単位は「pips」で表します。
これを踏まえて、次は、実際のFX会社の注文画面を使って、トレードで使う実践的な損益計算の方法を解説します。
2.2.FX会社の注文画面の見方
次の画像は、ドル/円の注文画面です。ドル/円は、少数第2位が1pipsでしたね。

そして、次の画像は、ユーロ/ドルの注文画面です。ユーロ/ドルはドルストレードなので、少数第4位が1pipsでしたね。

このように、通貨ペアの種類によって、少数第2位か4位を見ることがポイントになります。
2.3.通貨量とpipsに応じた損益表
注文画面を見て、どこが1pipsとわかっても、実際に損益計算ができなければ意味がありません。
ここでは、1,000通貨と10,000通貨の場合で、何pipsの値幅でいくらの損益になるかを一覧表で確認してみましょう。
通貨単位 |
1pips=0.01円=1銭 |
10pips=0.1円=10銭 |
100pips=1円=100銭 |
1,000通貨 |
10円 |
100円 |
1,000円 |
10,000通貨 |
100円 |
1,000円 |
10,000円 |
これだけ覚えておけば、エントリーする前に、これくらい通貨量(資金)を投入すれば、これらいの損益の変動がありそうだな、と簡単に計算できるようになります。
しかし、最初はすぐに理解できなくても大丈夫です。
注文画面のところに、約定後に損益がリアルタイムで表示されるFX会社がほとんどなので、それを見れば問題ありません。
ただし、基本を知らないで、適当な通貨量で売買して損益が変動するのを眺めていても、値動きの本質を理解したことにはなりません。どれくらいのリスクを取って、どれだけのリターン(またはロス)が発生するのかを徹底的にリスク管理しないと、FXで勝つことは難しいです。
焦らず、じっくり取り組みましょう。そして、エントリーの時にちょっとでも損益の計算に迷ったら、先ほどの表を何度も見返していただければと思います。
まとめ
この記事では、FXの値動きの仕組みと、初心者が特に混乱しやすい、通貨ペアと通貨量による損益計算の簡単な方法をお伝えしました。
この内容は、FXの基本中の基本なので、利益に直結するものではありません。そのため、もっと実践的な通貨ペアの選び方を学びたい方は、ぜひ、次の記事も併せてお読み下さい。
≫ 通貨ペアとは|FXで勝つための正しい選び方