pips(ピップス)とは、為替レートが動く際に使うFX特有の単位のことで、トレード結果を比較する際にも使います。
円絡みの通貨ペアの場合は、「1pips=0.01円=1銭」となり、また、米ドル絡みの通貨ペアの場合は、「1pips=0.0001ドル=0.01セント」となります。
FXを始めた時、聞き慣れないこの用語に戸惑ったことはありませんか?
しかし、pipsは、読み取り方のコツをつかめば難しくありませんので、ぜひ、当記事をしっかり読んで理解していただけると幸いです。
どこよりもわかりやすく解説します。
執筆者
近藤 アキヒト
証券会社でディーラーを7年間経験。現在は、「投資の教科書」の編集長を務めながら、FX億トレーダーぶせな氏の手法を学んでいる。また、FXトレーダーの取材、初心者向けのFX解説動画の制作、メルマガの作成など、FXの教育活動に幅広く取り組む。
1.pips(ピップス)とは
個人投資家のFXのトレードブログを見ると、「今日は20pipsの利益でした」のように、「pips」という言葉がよく使われています。なぜ、使い慣れた「円」や「銭」を使わないのでしょうか?
その疑問を解消するために、まず、FXは、異なる国どうしの通貨を交換する取引で、円やドルなどの様々な通貨単位が使われている背景があることを知る必要があります(参考:「FXとは?をわかりやすく解説|初心者がFXを始める前に知っておくべき全知識」)。
実は、その様々な通貨単位が混在するややこしさを取り払ってくれるのが、「pips」なのです。
ここで、次のAさんとBさんでは、どちらのパフォーマンスのほうが優れているか、少し考えてみて下さい。
- Aさん:400万円の資金を全て使って1万円の利益
- Bさん:40万円の資金を全て使って1万の利益
利回りを計算すると、次のようになります。
- Aさん:0.25%(=1万円÷400万円×100)
- Bさん:2.5%(=1万円÷40万円×100)
つまり、Bさんのほうが、Aさんより少ない資金で効率良く利益をあげたことになります。
これを、米ドル/円の証拠金が1万通貨=40,000円と仮定して、pipsで表すと、
- Aさん:100万通貨を使って1pipsの値幅
- Bさん:10万通貨を使って10pipsの値幅
を取ったことになります。ちなみに、米ドル/円の場合は、「1pips=0.01円=1銭」です。このように、pipsは、トレード結果を比較する「統一単位」としても使われます。
ここで、25pipsの利幅が取れたと仮定した、次の米ドル/円チャートをご覧下さい。

110.710円で10,000通貨買って、110.960円で売った場合の「獲得pips幅」と「損益額」は、次のように計算できます。
- 獲得pips幅:110.960円-110.710円=0.25円=25pips
- 損益額:10,000通貨×25pips(0.25円)=2,500円
これを式で表すと、次のようになります。
取引数量 × 差額(獲得pips幅) = 損益額
このように、獲得pips幅から簡単に利益額が計算できることは分かりましたか?
ここで、FX初心者にわかりやすい米ドル/円で、取引通貨量とpipsの関係性を表にまとめておきます。何通貨取引して何pipsの値幅で、いくらの損益になるかを把握する目安にして下さい。
通貨量 | 1pips=0.01円=1銭 | 10pips=0.1円=10銭 | 100pips=1円=100銭 |
1通貨 | 1銭 | 10銭 | 1円 |
100通貨 | 1円 | 10円 | 100円 |
1,000通貨 | 10円 | 100円 | 1,000円 |
10,000通貨 | 100円 | 1,000円 | 10,000円 |
100,000通貨 | 1,000円 | 10,000円 | 100,000円 |
通貨量 | 1pips =0.01円 =1銭 | 10pips =0.1円 =10銭 | 100pips =1円 =100銭 |
1通貨 | 1銭 | 10銭 | 1円 |
100通貨 | 1円 | 10円 | 100円 |
1,000通貨 | 10円 | 100円 | 1,000円 |
10,000通貨 | 100円 | 1,000円 | 10,000円 |
100,000通貨 | 1,000円 | 10,000円 | 100,000円 |
ちなみに、SBI FXトレードのように1通貨からトレードできるFX会社もありますので、1通貨単位から掲載しています。
ただし、上の表を丸暗記しようとすると大変なので、次のことを理解しておけば、頭の中で10倍したり10分の1にしたりして計算できます。
「1万通貨の取引で1円(100pips)の差額を獲得すれば、1万円の利益になる」
これは私の経験ですが、FX初心者の方は、「米ドル/円」「ユーロ/円」「英ポンド/円」などの円が絡んだ通貨から取引することをおすすめします。
なぜなら、ユーロ/米ドルなどの円が絡まない通貨は、損益額を円に直す手間があるからです。普段からニュースでよく見る、わかりやすい通貨から徐々にFXに慣れていくと良いです。
2.【原則】1pipsは、円絡みは小数第2位・米ドル絡みは小数第4位
では、実際のFX会社の注文画面を使って、どこの値が1pipsを指すのかを学びましょう。
次の画像は、外為オンラインの画面です。

左の画像は「米ドル/円」で、売値の112.46円の小数点以下に大きく表示している46の小数第2位の「6」の数字が1pipsです。この小数点以下の46の「6」が5や7に変化したら、1pips動いたことを意味します。「1pips=0.01円=1銭」であることを思い出しましょう。
同じように、右の画像は「ユーロ/米ドル」で、売値の1.1825米ドルの小数点以下に大きく表示している25の小数第4位の「5」の数字が1pipsです。この小数点以下の1825の「5」が4や6に変化したら、1pips動いたことを意味します。
FX会社によって、注文画面の売値と買値の表示の仕方は小数点以下の桁数が異なりますが、1pipsがどこを指すかの見方は変わりません。別のFX会社の注文画面で確認してみましょう。
次の画像は、GMOクリック証券の画面です。

左の画像は「米ドル/円」で、売値の111.813円の小数点以下に大きく表示している81の小数第2位の「1」の数字が1pipsです。そして、その次に小さく表示している小数第3位の「3」が10分の1で0.1pipsとなります。
同じように、右の画像は「ユーロ/米ドル」で、売値の1.18201米ドルの小数点以下に大きく表示している20の小数第4位の「0」の数字が1pipsです。そして、その次に小さく表示している小数第5位の「1」が10分の1で0.1pipisとなります。
FX会社の注文画面を見る時に、上の4つの表示パターンを知っていれば、どこのFX会社の注文画面を見ても、価格の変化をpips幅で読み取ることができます。
コツは、上の画像の左と右のように、通貨ペアを「円絡み」と「米ドル」絡みの2つに分けて、「1pips」の変化がそれぞれ「0.01円」と「0.0001ドル」と覚えてしまうことです。
以上のことを表にまとめると、次のようになります。
通貨ペア例(円絡み) |
1pips |
米ドル/円 |
0.01円 |
ユーロ/円 |
0.01円 |
英ポンド/円 |
0.01円 |
通貨ペア例(米ドル絡み) |
1pips |
ユーロ/米ドル |
0.0001米ドル |
英ポンド/米ドル |
0.0001米ドル |
豪ドル/米ドル |
0.0001米ドル |
このように整理すると、わかりやすいですね。
まとめ
pipsはFX特有の単位で、「円絡み」と「米ドル」に分けて、1pipsの変化がFX会社の注文画面のどこを指すのかが理解できれば難しくありません。
最近のFX会社は、注文画面のところにリアルタイムの損益額を円表示させてくれるところがほとんどなので、pipsを完全に理解できていなくても、取引は始められます。
しかし、最小の通貨量で構いませんので、実際にトレードしてみて、どれくらいのpipsの動きで損益がどう変化するかを意識しながら慣れていくことをおすすめします。
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ぶせな氏は「口座選びを適当にやっていて勝てるようになったトレーダーは見たことがない」と仰っています。ぶせな氏が利益を最大化するために実際に使っている口座は、『FX口座のおすすめ|初心者に絶対知ってほしい6社の徹底比較』で詳しく解説しています。また、最新のおすすめと人気の15社から選ぶ場合は、『FXおすすめ口座・会社比較!初心者向け15社を10項目でランキング』をご活用ください。