FXのファンダメンタル分析とは|初心者が必ずチェックすべき6つの情報
(更新 ) · 山下 耕太郎

この記事は2019年に公開したアーカイブ記事です。制度・数字・サービスの内容は当時のものです。記事内には広告(アフィリエイト)のリンクを含みます。
為替相場を分析するには、大きく分けて、
- ファンダメンタル分析
- テクニカル分析
の2種類があります。ファンダメンタル分析は経済状況の分析に基づき、テクニカル分析は過去の価格を参考にして将来を予測します。
FXで勝てる戦略を構築するには、テクニカル分析も重要ですが、為替の値動きと原因についても理解しておく必要があります。
この記事を読むと、初心者がFXトレードで最低限押さえておきたい6つの情報と、確認の方法がわかるようになります。
それでは、見ていきましょう。
目次
1.FXのファンダメンタル分析とは
ファンダメンタルとは、「経済の基礎的条件」という意味です。きっと、これだけではわからないですよね。わかりやすく説明していきます。
為替相場は、通貨どうしを交換する仕組みなので、その国の通貨に人気が出れば買われ、不人気になれば売られて下落します(参考:「FXの仕組み|為替レートを動かす2つの要因とは」)。
その人気の度合いを測るのが、ファンダメンタルです。FXに絡むファンダメンタルは多数ありますが、これだけはチェックしておきたい重要なものは、大きく分けて次の2つです。
- 経済指標:GDPや失業率、消費者物価指数など
- 金融政策:FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合など
その他にも、政府のトップや中央銀行総裁など、為替市場への影響力を持つ重要人物の発言にも注目が集まります。特に、2016年にアメリカ大統領になったドナルド・トランプ氏は、ツイッターで頻繁に発言することから市場を動かす要因となっています。
ファンダメンタル分析は、為替相場の中長期トレンドの方向性を決める重要な要因です。また、短期トレーダーにとっても、経済指標や金融政策の発表の瞬間は為替レートがよく動くので、トレードのチャンスにもなりえます。
そのため、FXトレードをする上では、テクニカル分析に基づくチャートと一緒に、ファンダメンタルも知っておく必要があります。
2.相場を動かすテーマの把握が重要
為替相場を動かす要因は様々ですが、いつ発表されるかわからない材料も多く、24時間取引できる為替相場を常に見ていることは難しいでしょう。
しかし、経済指標は、いつ発表されるかのスケジュールが事前に決まっています。発表時間も決まっており、発表の瞬間に為替市場が動く可能性が高いので、短期トレードにも活かすことができます。また、もっと長い目線で見れば、中長期の方向性を決める重要な要素にもなります。
ただ、経済指標は世界各国で毎日数多く発表されているので、すべてを把握することは非常に困難です。しかし、大きく動いたり、トレンドを発生させたりするような重要な経済指標はある程度決まっています。
その上、重要な経済指標はアメリカ発で発表されることが多く、日本時間の21時過ぎに集中しています。そのため、日中仕事をしているサラリーマンでも、帰宅後の夜にリアルタイムで経済指標を確認できます。
ただし、チェックできたとしても、それをトレードに活かせられるかどうかは、もっと経験を積んだ時の話です。なぜなら、経済指標を判断材料にして取引する場合は、その結果を判断するだけでは相場の方向性を見極められないからです。
では、どうすれば見極められるようになるのかというと、直近の値動きや事前の予想などを把握しておくことが必要になってきます。
また、為替市場を動かすテーマには流行があり、現在の相場を動かしているテーマは何かを把握しておくことが大切です。例を挙げると、1980~90年代は、アメリカの貿易赤字と財政赤字、いわゆる「双子の赤字」が問題視されていて、貿易収支の数値が注目されていました。
しかし、現在の為替相場で最も注目されているテーマは、FRBによる金融政策です。そして、アメリカの金融政策に大きな影響を及ぼす雇用統計が、最もマーケットに影響を与える経済指標となっています。
≫ FXの雇用統計とは|必ず押さえておきたい知識と具体的トレード方法
それでは、初心者がこれだけは押さえておきたい、マーケットに影響を及ぼす注目の経済指標をチェックしていきましょう。
3.これだけは押さえておきたい経済指標3つ
経済指標は各国から公表されていますが、基軸通貨である米ドルを中心とした米国の重要な経済指標をチェックすると、為替の中長期のトレンドを捉えやすくなります。
なぜ米ドルなのかというと、通貨別の取引では米ドルが一番多く、約40%を占めているからです。そして、通貨ペアでは、米ドルとの組み合わせの取引が約90%となっています。
下の表をご覧下さい。

このように、米ドルは、世界の基軸通貨として、貿易の決済や投資に世界中で使われています。そのため、FXトレードでも、最も影響力のある米ドルが買われているのか、または売られているのかを最優先に考えることで、それ以外の通貨の動きも見えてくるのです。
結論からお伝えすると、絶対に押さえておきたい重要な経済指標は3つあり、概要は、次の表をご覧下さい(発表時間は冬時間、夏時間は1時間早くなります)。
| 経済指標 | 発表機関 | 発表時期 | 概要 |
| 雇用統計 | 労働省 労働統計局 |
毎月第一金曜日 22:30 |
最も重要な経済指標。 非農業部門雇用者数と失業率に注目。 |
| 米国GDP速報値 | 商務省 経済分析局 |
1・4・7・10月 22:30 |
経済成長や景気動向を判断でき、 国際比較にも使用される。 |
| ISM製造業景況指数 | ISM | 毎月第一営業日 24:00 |
製造業における景気転換の先行指標。 50%を上回ると景気拡大、下回ると景気後退と判断。 |
それぞれ詳しく解説していきます。
3.1.雇用統計
- 発表日:原則毎月第一金曜日 22時30分(米国夏時間:21時30分)
- 発表機関:労働省労働統計局
米国雇用統計は、米国為替相場だけでなく、株式や債券など金融市場全体が注目する重要イベントです。
その理由は、雇用の状況は、日本と比べてリストラしやすい米国企業の景況感を表していると共に、個人消費にも大きな影響を与えるからです。さらに、FOMC(米連邦公開市場委員会)の金融政策にも影響を及ぼします。
雇用統計は、複数の項目で構成され、特に重要視されるのが「非農業部門雇用者数」と「失業率」です。それぞれ説明しますね。
- 非農業部門雇用者数
農業以外の民間企業で支払われた給料を基に集計します。経営者や自営業者は除外されます。事業所ごとに雇用者数を調査するため、自己申告の失業率よりも客観的な判断材料となります。景気が後退すると雇用者数は減少し、不景気の終わりから少し後に回復しやすい傾向があります。
- 失業率
失業者の割合を示す指標で、計算式は次のようになります。
失業率 = 失業者 ÷ 労働人口 × 100(%)
注意していただきたいのは、失業率は、求職中だという自己申告のため、主観的な要素が入ってしまいます。そのため、客観的なデータである、非農業部門雇用者数のほうが注目されます。
3.2.米国GDP(国内総生産)
- 発表日:1・4・7・10月下旬 速報値は22時30分(米国夏時間:21時30分)
- 発表機関:商務省経済分析局
GDP(国内総生産)とは、1年間同じ国に住んでいる人によって生み出された財とサービスの付加価値の総額のことです。ちなみに、付加価値とは、利益や儲けのことをいいます。
GDPは、中長期的な景気動向をつかむのに不可欠な経済指標で、経済成長や景気動向を判断できるだけでなく、その国の経済規模を比較するための指標としても使われます。
公表は四半期(3ヶ月)ごとで、まず速報値、翌月に改定値、翌々月に確定値が発表されますが、最もインパクトが大きいのは速報値です。この速報値が発表されるのは、1月、4月、7月、11月なので、発表スケジュールはチェックしておきましょう(確認方法は5章を参照)。
ただし、改定値や確定値でも、大きな修正があった場合には為替レートが動くので、全部チェックすることをおすすめします。
ではここで、2017年の各国のGDPを見てみましょう。下の表のように、GDPは米国が圧倒的な規模で、日本は中国に続いて3位になっています。

出典:GLOBAL NOTE
ちなみに、このGDPには「名目GDP」と「実質GDP」の2つあり、ざっくり説明すると、
- 名目GDP…経済活動水準を市場価格で評価したもの
- 実質GDP…名目GDPから物価変動の影響を除いたもの
という違いがあります。覚えておきましょう。
3.3.ISM製造業景況指数
- 発表日:毎月第一営業日 24時00分(米国夏時間:23時00分)
- 発表機関:ISM(全米供給管理協会)
ISM製造業景況指数は、毎月第一営業日に発表され、米国の景気先行指標として注目されています。ISM(全米供給管理協会)という機関が発表し、製造業の景気転換の先行指標となります。
算出方法は、製造業の購買担当役員に、1ヶ月前と比較して(景気が)「良い」「同じ」「悪い」の3択でアンケートを実施して指数化し、季節調整を加えて景気行動指数を作成します。判断基準は「50%」で、これを上回ると景気拡大、下回ると景気後退と判断します。
3.4.発表後の値動きは完全には予想できない
さて、3つの重要な経済指標をお伝えしましたが、基本的には、米国経済が好調と判断されればドルが買われ、不調と判断されればドルが売られます。
ただし、経済指標は、結果だけでは相場の方向性を見極められません。なぜなら、米国経済指標の良い結果が必ずしも、ドル高とはならないからです。
最初に挙げた雇用統計が一番注目されるのは、金融政策に影響を与えることも一つの理由ですが、事前の予想と大きく異なるサプライズが起きることが多いからです。
もう少し詳しく説明すると、指標発表の前にアナリストが事前に市場予想を発表するのですが、市場予想に対して着地が上ぶれたかどうか、また、その数字がどの程度マーケットに織り込まれていたかを考える必要があるのです。
そのためには、直近の値動きやトレンド、マーケットの事前予想を把握しておくことが不可欠になります。ただし、いくら事前準備をしても、経済指標発表後の値動きを完全に予想することはできません。
対策としては、中長期でポジションを持っている場合、経済指標の発表前には事前予想と実際のマーケットの動きを確認し、そのまま保有するのか、為替相場が大きく動くリスクを避けていったん売却しておくかを判断することをおすすめします。
4.これだけは押さえておきたい金融政策3つ
FXのファンダメンタル分析では、日米欧の政策金利にも注目する必要があります。一般的に、お金は金利は低い方から高い方へ流れる傾向があります。当然、金利が高いほうがお金は増えますよね。
これをドル円で考えると、日本は低金利政策を続けているため、通常、米国が金利を引き上げると、日本から米国に資金が流れ、円安(円が売られる)ドル高(ドルが買われる)になります。
3章では、重要な経済指標を3つお伝えしましたが、ここでは、ファンダメンタルの大きな影響を与える政策金利に絡む金融政策をお伝えします。
絶対に押さえておきたい重要な金融政策は3つあり、次の表で概要をご確認下さい。
| 金融政策 | 国名 | 概要 | |
|---|---|---|---|
| FOMC | 米国 | FRBによって約6週間ごとに年8回開催される。 最も注目される金融政策。 |
|
| 日銀金融政策決定会合 | 日本 | 日本銀行により年8回開催される。 近年は現状維持が多く、影響力は低下気味。 |
|
| ECB理事会 | 欧州 | ECBによって6週間に1回開催される。 金融引き締めに転じるかに注目。 |
|
やはり、金融政策でも米国が最も注目されます。そのため、まずは、米国の政策金利を決める会合であるFOMCから見ていきましょう。
4.1.FOMC(連邦公開市場委員会)
FOMC(連邦公開市場委員会)は、米国の中央銀行であるFRB(米連準備制度理事会)が定期的に開く会合です。約6週間ごとに年8回、2日間にわたって開催されます。日本時間の午前3時(もしくは午前4時)に声明が発表され、30分後に議長(現在はパウエル氏)による記者会見が行われます。
FRBの幹部の他、12の地区連邦準備銀行総裁のうち、輪番に5地区(ニューヨーク、シカゴ、ボストンなど)で構成され、景況判断や金融政策、FF金利(フェデラル・ファンドレート)の誘導目標値を決定します。
ちなみに、米国の政策金利の推移は次のようになっています。

出典:時事ドットコム
2008年のリーマンショック後に金融緩和を実施してきたFRBですが、2015年末から「緩やかな利上げ」を開始しています。そして、引き上げペースを徐々に加速させ、ほぼ3ヶ月ごとに利上げを実施してきました。
しかし、2019年は利上げ打ち止め観測も出ているので、今後の相場を予想する上でも、注目しておきましょう。なお、2019年のFOMCのスケジュールは、次のようになっています。
- 1月29日―30日
- 3月19―20日
- 4月30日―5月1日
- 6月18―19日
- 7月30―31日
- 9月17日―18日
- 10月29日―30日
- 12月10日―11日
FOMC開催の2週間前の水曜日に、12の地区の連邦準備理事会が管轄する経済状況をまとめた「地区連銀経済報告(ベージュブック)」が公表されます。FOMCでは、この概況報告を基に議論されます。ベージュブックの公表で相場が動くことはあまりありませんが、金融政策の変更時には要注目です。
4.2.日銀金融政策決定会合
日本の金融政策は、年8回開かれる日銀の金融政策決定会合で決まります。発表時間が正式に決まっておらず、大体昼の12時前後であることが多いです。そして、15時30分から日銀総裁(現在は黒田氏)の記者会見が開かれ、1週間後に「主な意見」が公表されます。
2012年末からのアベノミクス初期の頃にはマーケットの注目度が高かったのですが、近年では現状維持の内容が多く、影響力は低下しています。
また、年4回(1月、4月、7月、10月)公表される展望レポートでは、金融政策に対する考え方がわかるので、必ず確認しましょう。
4.3.ECB理事会
ユーロ圏の金融政策は、ユーロ圏全体の中央銀行であるECB(欧州中央銀行)で決まります。政策理事会は6週間に1回のペースで開催され、ECBの総裁、副総裁、専務理事らの幹部に加え、ユーロを導入する19ヶ国の中央銀行総裁が輪番で参加します。終了後に総裁(現在はドラギ氏)の会見が開かれ、その日のうちに議事要旨も公表されます。
リーマンショック後、EUは金融緩和政策を実施してきましたが、最近は金融引き締めに転じる姿勢も見せており、市場の注目が集まっています。
政策会合は決定の中身も大事ですが、ドラギ総裁の記者会見でサプライズが発表されるかどうかに注目です。特に、為替相場は金利に敏感に反応するので、ニュースは必ずチェックしましょう。
5.発表日時の確認は外為どっとコムがおすすめ
さて、ここまで必ずチェックすべき経済指標や金融政策を合わせて6つ紹介してきましたが、正確な発表スケジュールを事前に確認しておく必要があります。
では、どこでチェックできるのかというと、ほとんどのFX会社のサイトには、「経済指標カレンダー」のコンテンツを用意しています。その中で特におすすめなのが、外為どっとコムです。
次の画像のように、こちらのページから無料で前回の数字とアナリストの予想数と結果が一覧で確認できます。
出典:外為どっとコム
また、重要度に応じて、赤やオレンジの記号で色分けされているので、初心者にもわかりやすいです。さらに、右上の「経済指標の解説」をクリックすると、各経済指標の解説を読むことができます。
これらの情報は、口座開設をしていなくても見ることができますが、外為どっとコムは、
- ロイター
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詳しくは、次の記事に詳しく書かれているので、一読していただければと思います。
≫ 外為どっとコムの特徴を解説|億トレーダーの実践的な使い方
まとめ
この記事では、FXのファンダメンタルで重要な経済指標3つと、日・米・欧の金融政策を3つお伝えしました。
これ以外にも、テロや地震など突発的な事項もファンダメンタルになりますが、事前に予測することは不可能です。
一方、経済指標や金融政策はスケジュールが決まっています。発表の瞬間にレートが大きく動くので、短期トレードに活かせるのはもちろん、中長期のトレンドを決める重要なイベントです。
トレードスタイルに関わらず、FXのファンダメンタル分析に必要な指標をチェックする習慣をつけるようにしましょう。
この記事を書いた人
山下 耕太郎
一橋大学経済学部卒業。証券会社で営業、アナリスト、ディーラー職の経験を経て、個人投資家に転身。現在は、日経225先物やオプションを中心に、株式、CFD、FXを取引。ブログ『日経225先物オプション奮闘日誌』を運営。ツイッターアカウントは「@yanta2011」。趣味は、ウィンドサーフィン。





