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会社四季報は、個人投資家が株式投資をする際の有力な情報源の1つです。
しかし、あの分厚い姿を見てしまうと「いや、あれはちょっと…」となってしまう人がほとんどなのではないでしょうか?
しかし、それは四季報すべてに目を通さないといけないと思っているからで、ポイントを押さえて読むと、効率的に読み解くことが可能です。
この記事では、会社四季報の見方を9つのパートに分けて解説します。そして、それぞれのパートの中で特に重要な部分は、利益につなげる読み方まで深堀して解説していきます。
目次
会社四季報とは、東洋経済新報社が年4回発行している、企業の業績・財務に関する情報が詰まった書籍です。また、株式投資に使う情報以外のお役立ち情報も載っています。
会社四季報2020年2集
四季報には、企業の最新の情報や、東洋経済独自の取材による企業の業績予想が載っています。よく、会社予想と東洋経済の業績予想を比較することがポイントだといわれていますが、四季報には、その他にも見るべき事項はたくさんあります。
そこで、次の章からは、四季報の情報の見方を解説していきます。
四季報の見開きには、企業4社分の企業情報が掲載されています。そして、企業情報の構成は、以下のように大きく9つのパートに分けられます(解説は、次の画像の番号に対応)。
《会社会社四季報の9つのパート》
①月足長期チャート
②株価指標
③コメント欄
④株主構成
⑤財務と財務指標
⑥資本に関する情報
⑦配当情報
⑧企業業績
⑨欄外の業績予想の修正マーク
一つ一つ順番に見ていきましょう。
①には、その企業の株価チャート(月足)が載っています。月足チャートは、長い期間の過去の株価動向を把握するものなので、長期で投資をする人向けの株価チャートです。
しかし、中期投資をする人でも、長期で見た現在の株価位置や、大きなトレンドを把握して取引するほうが、投資の成績が向上する可能性があります。
②には、PERやPBRといった株式指標が載っています。PERは、予想PER・実績PER・高値平均PER・安値平均PERが記載されていますが、株価は将来の利益を先取りして動くので、来期の予想PER(下に書かれているもの)に注目することをおすすめします。
会社四季報2018年4集のソニー(6758)を見ると、来期の予想PERは、16.7倍となっています。
多くの投資本には、「PER15倍以下は割安で買い」と書かれていますが、同業他社と比較してPERが高すぎないかをチェックし、相対的に割安かどうかを判断する必要があります。
具体的には、⑧業績欄の上に「比較会社」の記載があるので、ここに掲載されている銘柄の来期の予想PERの数字と比較します。
ちなみに、ここに掲載されている同業他社の来季PERは、次のようになっています。
銘柄 | 来期予想PER(倍) | |
ソニー(6758) | 16.7 | ー |
パナソニック(6752) | 11.6 | 14.6 (3社平均) |
シャープ(6753) | 18.9 | |
キヤノン(7751) | 13.4 |
このように、ソニーは、同業3社と比較すると、来期の予想PERは少し割高なことがわかります。
ただし、この予想PERは、会社四季報発売直前の株価をベースに計算されているPERなので、現在のPERとは若干異なります。そのため、現在の株価を来期の1株利益(EPS)で割って、最新の正確な予想PERを計算すると良いです。
来期予想PER(倍)=現在の株価÷来期の1株利益
来期予想PER(倍)=現在の株価÷来期の1株利益
ちなみに、ソニーの来期の1株利益(EPS)は、業績欄の次の箇所に載っています(この場合は、369.8円)。
③には、会社四季報の記者が徹底取材した、業績に関するコメントと材料に関するコメントが書かれています。
このコメントには見出しがあり、特に次のキーワードに注目しましょう。
イメージ | 注目する見出し |
プラスイメージ | 絶好調、飛躍、急伸、V字回復、独自増額 |
マイナスイメージ | 不透明、急悪化、続落 |
イメージ | 注目する見出し |
プラスイメージ | 絶好調、飛躍、急伸 V字回復、独自増額 |
マイナスイメージ | 不透明、急悪化、続落 |
プラスのイメージの見出しが使われると買われやすくなり、反対に、マイナスのイメージが使われると売られやすくなります。
また、私が特に注目する見出しは、上の表で赤文字で書いた「独自増額」です。なぜなら、独自増額は、会社予想に対して会社四季報が独自に数字を増額する場合を指し、株価に対して強力なプラスのインパクトがあるからです。
さらに、材料に関するコメントに次のような内容が書かれていると、プラス評価されるので、こちらも注目しています。
ただし、すでに会社が公表済みの材料の場合は、株価にプラスに働かない場合もあります。そのため、「これはすごいかも!」と思う材料が書かれていたら、適時開示などで会社が発表済みかどうかをチェックすることをおすすめします。
④には、株主構成が載っています。ちなみに、株主構成とは、主にその企業の株式をたくさん持っている大株主といわれる団体、企業、個人のことです。初心者のうちは、なかなか目が行き届かない項目だと思いますが、意外と重要です。
この株主構成には、機関投資家(生保や外資、信託銀行)や創業者一族、自社持株会、親会社が載ることが多いです。もし長期で保有しようと思う企業があれば、株主構成にも目を通しておくと良いでしょう。
また、《外国》は外国人の持分の割合を表し、外国持分が多い企業の株価は乱高下しやすいといわれています。また、《特定株》は、その名の通り、特定株の割合を表し、特定株が多い企業の株価は落ち着いた動きをするといわれています。
このように、株主構成に注目すると、株価の値動きのヒントになることがあります。
⑤には、「総資産」「自己資本」「負債(有利子負債)」などの資産面の情報や、利益や資産に対してどれくらい効率的に稼いでいるかを判断する「ROE」や「ROA」いった指標、現金の流れがわかる「キャッシュフロー」など、企業の様々な財務状態が載っています。
財務面にも、しっかり目を通す習慣をつけておきましょう。
⑥には、資本の異動に関する情報が書かれています。資本の異動とは、例えば、株式の増資や株式分割などのことです。
増資をして資金を集めれば、1株あたりの利益の減少懸念から売られる傾向があります。また、株式分割をすれば、株価が安くなって流動性が向上し、買われる傾向があります。
過去に増資や株式分割を実施した実績があれば、今後も継続して行う可能性があるので、チェックしておいて損はありません。
⑦には、配当金を支払った実績の値が載っています。
過去にしっかりと配当金を支払っているかどうかに加えて、その配当が順調に増えているかを確認することで、業績予想の欄にある配当予想の信ぴょう性も確認することができます。
⑧には、過去数年分の業績と、今期及び来期の業績予想が載っています。
具体的には、「売上高」「営業利益」「税引前利益(経常利益)」「純利益」「1株益」「1株配当」が記載されており、これらの数字を分析して企業の成長性を分析することが、四季報を読み解くカギになります。
なぜなら、多くの投資家は、企業予想を見て買いと売りの判断をする傾向があるため、私たちも同じように、業績を見て会社の価値を測っていく必要があるからです。
先ほどと同じ、会社四季報2018年4集のソニーの業績予想を使って、3つのポイントに絞って解説します。
まず最初に、①に記載されている、今期の業績予想と来期の業績予想の「売上」と「営業利益」を比較して、来期の数字が増えているかをチェックしましょう。
なぜなら、株価は半年以上先の将来の業績を織り込んでいく特性があるので、今期から来期にかけての業績が伸びていると、株価は上昇しやすくなるからです。
そして、今期と来期を比較した際の「売上」と「営業利益」の組み合わせが、株価にどう影響するかは、次の4つに分類できます。
売上高と営業利益の両方が増加していると、株価にとってはプラス要因になるので、初心者の方は、増収増益になっているかをまずチェックしましょう。
先ほどのソニーの業績予想の「19.3予」と「20.3予」を比較すると、売上は増加(8,800,000→9,060,000)していますが、営業利益は減少(780,000→721,000)しており、増収増益ではないことがわかります。
次にチェックしたいのは、来期の営業利益の伸び(増益率)で、次のように計算します。
営業利益増益率(%)=(来期の営業利益÷今期の営業利益)×100-100
営業利益増益率(%)=
(来期の営業利益÷今期の営業利益)×100-100
そして、先ほどのソニーの増益率を計算してみると、次のようになり、マイナスであることがわかります。
▲7.56(%)=(721,000÷780,000)×100-100
ちなみに、営業利益増益率が20%を超えると、その銘柄が注目されて株価が上昇しやすいと一般的にいわれています。
次に、四季報予想と会社予想で営業利益を比較し、株価にどう影響を与えそうかをチェックします。これが絶対ではありませんが、大まかに、次のような見方ができます。
四季報予想の営業利益のほうが会社予想より大きい場合は、将来的に、会社が上方修正を発表して、株価が上昇する可能性があるので、株価にはプラス要因と判断できます。
反対に、四季報予想の営業利益のほうが会社予想より小さい場合は、将来的に、会社が下方修正を発表して、株価が下落する可能性があるので、株価にはマイナス要因と判断できます。
それでは、もう一度、会社四季報2018年4集のソニーの業績予想を見て、四季報予想と会社予想を比較してみましょう。
①の19年3月期の営業利益の四季報予想は、780,000(百万円)です。そして、②の19年3月期の営業利益の会社予想は、「670,000(百万円)」となっており、会社予想よりも四季報予想の数字のほうが大きいです。
この場合は、会社が保守的に予想数字を出しており、上方修正する可能性があることを意味し、株価にプラスの要因となります。
繰り返しになりますが、四季報予想は、四季報の担当記者が会社を取材した上で独自に予想した数字であり、会社四季報のコンテンツの中で核となる部分です。
⑨は、紙面の欄外に載っている2種類の業績予想の修正マークです。一つ一つ解説します。
1つ目は、上に載っている「前号比矢印」で、前号の四季報の営業利益の予想から、今回の四季報での営業利益の予想がどのように変化したかを、ひと目でわかるように付けられています。
具体的には、以下の基準で矢印の向きや数が決まります。
矢印が上に2つの大幅増額マークや、1つの増額マークが付いていると、株価にはプラスです。特に、大幅増額マークの銘柄は、前号から30%以上も営業利益が増額されている銘柄なので、投資対象として特に有望になります。
反対に、矢印が下に2つの大幅減額マークや、1つの減額マークが付いていると、株価にはマイナスの影響を与えます。
2つ目は、「独自増額マーク(通称:ニコニコマーク)」で、会社予想の営業利益と四季報予想の営業利益を比較して、どちらがどれだけ大きいかをひと目でわかるように付けられています。
具体的には、以下の基準でニコニコマークの表情や数が決まります。
ニコニコマークが2つの大幅強気マークや、1つの会社比強気マークが付いていると、株価にはプラスです。特に、大幅強気マークの銘柄は、会社予想の営業利益と比べて、30%以上も営業利益が四季報独自に増額されている銘柄なので、投資対象として特に有望です。
反対に、黒いがっかりマークが2つの大幅弱気マークや、1つの会社比弱気マークが付いていると、株価にはマイナスの影響を与えます。
《注意!》
欄外のマークは、どちらも、営業利益どうしを比較したものです。ただし、前号比矢印は四季報どうし、ニコニコマークは会社予想と四季報予想を比較したものです。
会社四季報には、株式投資をする上で必要な情報がぎっしり詰まっています。
まずは、この記事で解説したポイントをしっかり押さえることで、四季報を株式投資における銘柄選択のツールとして有効に活用することができるようになります。
ぜひ、四季報を使いこなして、株式投資で成果をあげましょう。
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