FXの取引時間は、平日24時間です。しかも、日本が祝日の場合でも、為替市場は空いているので、取引できます。
このメリットを活かし、忙しいサラリーマンでも帰宅後にFX取引ができます。一方、株式投資の取引時間は9時から15時なので、日中に頻繁に売買したい方には、FXは魅力です。
投資で勝つには、まず、このような”稼げる環境”があることが絶対条件です。この稼げる環境について、FXは文句がありません。
ただし、FXは時間帯ごとにマーケットの特徴が異なります。これを理解できないと、稼ぐ糸口を見つけられません。FXで勝つには、まずトレード手法が一番重要だと思うかもしれませんが、それ以上に重要なのは、その手法があなたがトレードする「時間帯」にマッチするかどうかです。
つまり、最初に自分がトレードする時間帯を決めて、次に、その時間帯に合った手法を選ぶことが重要です。そうすることで、FXがあなたの生活に自然に溶け込み、負担のないトレード生活を送ることが可能になります。
ぜひ、この記事でFX取引時間帯ごとの特徴を理解し、ワクワクできる時間帯を見つけて下さい。それがモチベーションアップに繋がり、大きな利益になるはずです。
執筆者
ぶせな
FXの専業トレーダー。認定テクニカルアナリスト。 本格的にFXを開始してから10年で1億6,500万円の利益を突破。著書に、『最強のFX 1分足スキャルピング』『最強のFX 15分足デイトレード』(共に、日本実業出版社)がある。ツイッターアカウントは、『@busena_fx』、ブログは『億トレーダーぶせなブログ』。
1.FX取引が活発になる市場の推移
FXは24時間取引可能ですが、通貨によって、売買される時間帯はだいたい決まっています。
どの国でも、為替をはじめとした金融商品が売買されるのは、その国の国民が起きている日中の時間帯です。例えば、アメリカでは、アメリカが日中の時に株式やオプションの売買が活発になります。日本も同様です。
言い換えると、FXも売買が活発になるのは、マーケットの動きをけん引している機関投資家が売買する時、つまり、日中です。
日本の場合、機関投資家が参戦するのは、株式市場がオープンする日本時間の8時から9時あたりです。機関投資家の動きから、24時間の中でも売買が盛んになる時間、つまり、トレンドが発生する時間帯は、ある程度予測することができます。
そして、日本が15時になって1日の株式市場が終わりに近づく頃、ヨーロッパは朝の9時を迎えるので、欧州ではこの時間帯から売買が盛んになります。
このように、為替市場が盛んになる時間帯は、どんどん次の市場にバトンタッチしていきます。この流れを、世界地図で確認してみましょう。

このように、まずオセアニア地域で市場が開き、次に、東京 → ロンドン → ニューヨークと順に開き、またオセアニアへとバトンが戻ってきます。
なお、上の図は、私が使っているJFX(公式)の「初めてのFX」で解説されているものです。そして、次の図は、トレイダーズ証券(みんなのFX)のホームページに以前あったものです。

1日の市場の流れ
どちらも分かりやすいですね。
次に、取引の中心となる市場の1日の相場の流れを、実際のチャートを使って見てみましょう。
下のチャートは、ドル円の15分足で、白い四角が24時間を表しています。日本時間でいうと、朝の6時から翌朝の6時です。

FXは平日は24時間取引されているので、月曜日の朝から土曜日の早朝まではチャートが途切れることはありません。
ここでは、上のAの白い四角にご注目下さい。1日を3つの市場(黄色)に区切っています。アジアから始まり、欧州、ニューヨークへと移ります。そして、ニューヨークから翌日のアジアにバトンタッチし、新たな1日がスタートします。
世界地図を見ると「なるほど!」と感じても、チャートになった途端に難しく感じるかもしれません。そのため、まだ手法が確立していない方は、なんとなくチャートを見るよりも、まずはこのように時間帯別に区切ってみることをおすすめします。
そして、3市場に区切って何をすべきなのか、それぞれの時間帯における戦略は後述するので、ご安心下さい。
2.FX取引が活発になる時間帯
上述の世界地図で見たように、24時間で売買が活発になる市場の流れは、大きく3つに分けられます。そして、各市場の午前中が最も活発になります。その時間帯は、日本時間にすると、次のようになります。
《FX取引が活発になる時間帯》
- アジア:日本時間9時~12時
- ロンドン:日本時間15時~18時
- ニューヨーク:日本時間21~25時
この時間に売買が活発になる理由は、機関投資家のディーラーが会社に出勤し、売買するからだとお考え下さい。ディーラーとはいえ、会社員と同じように出勤し、トレードという仕事をすることになります。そのため、各国の午前中は売買が盛んになるということです。
ちなみに、各市場の午前と午後では、値動きが大きく異なりますので、覚えておきましょう。
なお、オセアニア市場(日本時間の5時から8時頃)は、1日の中で一番取引量が少なく、安定してトレードできる環境ではないので省いています。
オセアニア市場、つまり日本時間の早朝は、ほとんどのFX会社でスプレッドが広がっていたり、メンテナンスの時間に充てており、ログインも出来ないことがあります。そのため、あえてオセアニア時間帯にトレードする理由はありません。
それでは、3市場の特徴をそれぞれ見ていきましょう。
2.1.アジアタイムは9時55分の仲値が最重要!
日本の株式市場は、午前9時に開始します。それと同時に、為替市場も活発になってきます。
この時間帯は、日本円がマーケットの中枢になるため、世界の基軸通貨のドルと組み合わせた、「ドル円」が最も取引されます。また、日本のFX会社は、ドル円のスプレッドを一番狭く設定しているので、個人投資家(特にスキャルピングトレーダー)はドル円を中心に取引します。
特に、9時55分に仲値(※後述)という一種のイベントがあるので、9時から仲値(9時55分)まではドル円の黄金時間帯といえます。この時間帯は、日本円が最も活発で、ボラティリティも大きくなりやすい時間帯なので、売買チャンスが多いのが特徴です。
なお、仲値とは、金融機関が為替取引を行う時の目安となるレートです。
私たちが海外旅行へ行く時は外貨に両替しますね。その時、レートが常時変動していたら、両替できません。両替時の外貨レートは固定されており、「今日の両替レートは1ドル112.50円」などのように決まっています。この目安になるレートが、仲値です。
これは身近な例ですが、金融機関も、その日のレートを仲値で決めます。そのため、仲値付近の時間帯は、投機的な値動きは少なく、実需が中心になります。
それに加えて、仲値付近の時間帯は売買が活発になる時間帯なので、値動きの特性を利用して稼ごうとする機関投資家も参戦してきます。そのため、仲値付近の時間帯は一時的に売買が急増するものだとお考え下さい。
なお、仲値を活用したチャートの見方は後述します。ここでは、9時55分の仲値がアジア時間において重要だと覚えておきましょう。
2.2.ロンドン時間から値動きが投機的になる
日本時間の15時から18時頃は、ヨーロッパでは午前になります。
3つの市場のうち、取引高が圧倒的に多いのが、この時間のロンドン市場です。そのため、欧州の通貨であるユーロとポンドは、アジア時間とは比べものにならないほど激しく動き出します。
取引量が多いということは、ボラティリティが高いということを意味します。つまり、トレンドが発生した時に値幅が大きくなる傾向があります。
また、アジア時間では実需の取引がメインでしたが、この時間から投機筋が急増します。乱高下を伴った投機的な値動きになるので、アジア時間と同じ感覚でトレードすると危険です。
特に、安易に逆張りすると、思っている以上に含み損が発生します。しかし、ポイントをつかめば、逆張りでも面白いほど勝てるようになります。むしろ、値動きのクセをつかめば、莫大な利益が出せるようになります。順張りや逆張り問わず、やり方次第だということです。
また、日本時間の16時から18時にかけては、欧州地域の経済指標が毎日のようにあります。
この時間帯は、経済指標に便乗した投機筋が仕掛けてくることがあり、これも乱高下の一因になります。経済指標の時は売買が急増するため、投機筋も仕掛けやすいですからね。
ロンドン市場を見る時のポイントは、アジア時間の流れ続くのか、それとも、ガラッと流れが変わるのかを意識することです。
具体的には、アジア市場につけた高値と安値をチェックしておき、ロンドン市場にどちらにブレイクするのかをよく見ると良いでしょう。これだけでも、戦略がかなり立てやすくなります。
なお、取引時間帯別に動きやすい通貨ペアについては、『通貨ペアとは|FXトレードで勝つための正しい選び方』を参考にして下さい。
2.3.ニューヨーク時間は短期トレンドが出やすくチャンス!
私がこれまでに一番利益を出している時間帯は、ニューヨークの21時から25時です。
その理由は、相場が動意づく経済指標やイベントが多く、短期トレンドが出やすいからです。短期トレンドが出ると、私が得意とするスキャルピングで利益を上げやすくなります。
では、具体的にどのようなイベントがあるのかを見てみましょう。
22:15 経済指標
22:30 経済指標
23:30 ニューヨーク株式市場オープン、経済指標
24:00 ニューヨークオプションカット、経済指標
25:00 ロンドンフィックス
※サマータイムだと1時間早まります
このように、ニューヨーク時間の21時から25時はイベントが詰まっており、1つのイベントから次までの間隔も一定です。
そのため、ある経済指標をきっかけに上昇したら、次の経済指標までその流れが続く傾向があります。
次の指標までリミットが1時間なので、「その間に売買して利益を出しておこう」と考える機関投資家がいることは容易に想像できます。このように、一定間隔でイベントがあることで、21時から25時は、機関投資家にとって利益を上げやすい時間帯です。
つまり、デイトレーダーもそれに乗じてトレードしやすくなります。
また、21時から25時までは、ロンドン市場の午後とニューヨークの午前が重なる時間でもあるので、売買が活発になる要因が重なっています。
もっと詳しく解説すると、機関投資家の多くが、「25時のロンドンフィックス(アジア時間の仲値と同じイベント)までに利益を出さなければいけない」という時間的なリミットを決めて様々な思惑で売買するので、乱高下しやすくなるのです。
そして、25時のロンドンフィックスを超えると、ピタッと時間が止まったようにレンジ相場になることは日常茶飯事です。
その逆に、レンジ相場ということは参加者が少ないため、大きな注文を入れると、簡単に相場が動きます。この薄商いを利用し、短期筋が仕掛けてくることもあります。その時は、急騰や急落になります。
私が兼業トレーダーの時は、会社から帰宅して21時から25時まで、時には26時までトレードしていました。
毎日4時間以上はFXに集中して取り組んだ結果、トレードの利益が会社員の給料を上回るようになり、専業トレーダーになれました。
おそらく、ダラダラと何時間もトレードするよりも、トレンドが発生しやすい取引時間に絞って売買したのが良かったのだと思います。また、4時間から5時間という長さも、集中力が保てるちょうど良い時間でした。このことは、FXが24時間取引でなければ不可能でした。
このように、兼業の時にニューヨーク時間で成功できたこともあり、専業になった今でも、ニューヨークは私の得意な取引時間帯となっています。会社員の方は、ぜひ帰宅してからトレードに集中してみて下さい。
ポイント!
兼業の方は、24時間を3つの市場に分け、どの時間帯にトレードできるか決めましょう。そして、市場ごとの特徴を把握することからスタートして下さい。
3.チャートを三市場に分けたトレード戦略の立て方
では、3市場のチャートを実際に分析してみましょう。
次のチャートは、先ほどのドル円の15分足チャートのAの箇所を、5分足で表示したものです。まず、アジア時間が1日の相場観の土台を作ることを覚えて下さい。

3.1.基本は前の市場の高値と安値のチェック
アジア時間で高値になったのは、9時55分の仲値です。上ヒゲになっていますね。誰が見てもここが直近の高値であることは明確で、Aのラインにレジスタンスラインを引きます。
このように、仲値がアジアタイムの高値もしくは安値になった場合、高い確率でレジスタンスラインもしくはサポートラインになります。それも、強い節目になります。そして、ロンドン時間では、アジア時間で形成されたレジスタンスとサポートが意識されます。
そして、ローソク足が、これらのレジスタンスラインやサポートラインをどちらにブレイクするかをよく観察することがポイントです。今回はアジア時間にラインを引きますが、実践では、あなたがトレードする時間帯より、前の市場の高値と安値を必ずチェックして下さい。
相場は、トレンドとレンジのどちらかです。
トレンドが発生すれば、必ずどちらかにブレイクします。まずは、前の市場の高値か安値をブレイクすることになるので、この流れを追うだけでも、チャート分析の目的ができます。
もう一度、先ほどと同じチャートをご覧下さい。

このチャートでは、ロンドン時間に上にブレイクしています。そして、上昇トレンドが発生しました。
その次は、Bがロンドン時間の高値になります。ニューヨーク時間を見ると、このBのラインが節目になっていることが分かります。
ニューヨーク時間がスタートして、いったんBを下抜けましたが、再度Bを上抜けました。結果として、Bのラインを基準にして、ニューヨーク時間はトレンドが形成されています。
トレンドの流れは、青色のチャネルラインで示しています。このチャネルラインが、そのトレンドの値幅やローソク足の切り上げる角度を教えてくれます。
この日は、レンジから上にブレイクし、上昇トレンドが発生した相場になりました。このように、アジア→ロンドン→ニューヨークの流れで追うと、相場の値動きが分かりやすくなります。
ポイント!
前の時間帯の高値と安値をチェックするのが、テクニカル分析の基本です。
3.2.実践では相場の節目を見つける
チャート分析ができたら、次はエントリーからイグジットまで、戦略を立てる必要があります。
そして、実際にトレードし、初めて利益が出ます。チャート分析するだけでは、利益になりません。エントリーするタイミングまで考える必要があるのです。その際のコツは、チャート分析して節目を浮き彫りにすることです。
先ほどと同じチャートの、黄色の丸の箇所にご注目下さい。

黄色い丸は、支持帯/抵抗帯で、ブレイク、反発、反落している箇所です。言い換えると、動いていた価格が止まったり、または、迷っていた相場が動き出している箇所のことです。
このように、相場には、価格が動き出すポイントや、価格が止まるポイントが多数存在します。このような節目をいかに見つけられるかが、トレードで勝つ秘訣です。テクニカル分析をマスターして、これらのポイントが分かるようになると、今までがウソのように利益が出始めます。
ポイント!
チャート分析したら、価格がブレイクしているポイントや、反転している箇所を発見しましょう。そうすると、戦略が立てやすくなります。
また、取引時間帯別のテクニカル分析は、どんなトレードスタイルでも応用できます。1分足で価格が動き出す(止まる)ポイントが分かれば、スキャルピングの戦略が立てられます。
また、5分足、15分足、1時間足を使うなら、長めにポジションを持つデイトレードになり、4時間足や日足レベルでエントリーとイグジットを決めるなら、スイングトレードがおすすめです。
最初からトレードスタイルを決めつけるのではなく、まずはテクニカル分析をしっかり身に付けて下さい。その上で、今の生活スタイルではどの時間足を使うと一番効率が良いか考えると、意外と簡単に答えは出ると思います。
実は、私も、最初からスキャルピングと決めてFXを始めたわけではなく、様々な相場を経験した結果、当時の状況に最も適していたスタイルがスキャルピングだと分かったのです。
会社から帰宅し、21時から4時間~5時間を集中してトレードし、かつ翌日にポジションを持ち越さないスタイルになったというわけです。
ぜひ、あなたにとって何が最適かを考えて、自分のトレードスタイルを模索して下さいね。
(参考)FX会社の取引時間の一覧表
最後に、国内の主なFX会社の取引時間と、メンテナンスなどで取引できない時間帯を、表にまとめておきます(五十音順)。
参考にして下さい。ちなみに、カッコ内は、夏時間です。
まとめ
これからFXで利益を上げていくためには、まず、取引時間の特徴を理解する必要があります。
そして、あなたの生活スタイルに合わせて、3市場のうちどれを主戦場にするのか決めましょう。得意な取引時間帯を作り、その時間が来るのが待ちきれないほど楽しみにしていくと、ストレスなく利益が出せるようになります。
FXを楽しみつつ、本気で取り組む姿勢を持ち合わせて実践しましょう。