レンジ相場は、「ボックス相場」や「もみ合い相場」ともいい、株式やFXのチャートで同じ値幅を箱(ボックス)の中で行ったり来たりしているように見える、方向感がない相場のことです。
相場の基礎を正確に理解しておくことは、FXで成功するための土台となります。相場の基礎の理解があるからこそ、正しいテクニカル分析に基づいたトレードができるようになります。
その中でも、レンジ相場は、チャート上で最も多く目にするものです。そのため、次の3点は、あなたのトレードを左右する重要な要素です。
- レンジ相場とは何か
- レンジ相場からどのようにトレンドが発生するのか(ブレイク)
- ブレイク後の戦略の立て方
上記のことは、このページで全て解説していますので、ぜひマスターしましょう。
執筆者
ぶせな
FXの専業トレーダー。認定テクニカルアナリスト。 本格的にFXを開始してから10年で1億6,500万円の利益を突破。著書に、『最強のFX 1分足スキャルピング』『最強のFX 15分足デイトレード』(共に、日本実業出版社)がある。ツイッターアカウントは、『@busena_fx』、ブログは『億トレーダーぶせなブログ』。
1.レンジ相場とは
レンジ相場とは、同じ値幅を行ったり来たりしていて、方向感がない状態のことです。下のチャートをご覧下さい。

相場は、上下のラインの中で何度か上下動しています。
黄色の線Aをレジスタンスライン、もう一つの黄色の線Bをサポートラインと考えると分かりやすいです。
相場は、両ラインで、二度三度と反転し(白丸のポイント)、どちらも抜けられずに相場が行き詰まっています。このような方向感のない場面を「レンジ相場」といい、上のチャートのようにラインを引くと四角い箱に見えることから、「ボックス相場」とも言われます。
2.レンジ相場で押さえておくべき二つのルール
次に、レンジ相場に関して押さえておくべき次の2つのルールをお伝えします。
- 相場の大半はレンジ相場
- レンジ相場は必ずブレイクする
それぞれ解説します。
2.1.相場の大半はレンジ相場
『トレンドとは|FXで勝つために相場の基本』でもお伝えした通り、相場には3つのパターンしかありません。
相場は、この3つが入れ替わっていきます。上昇トレンドだった相場が落ち着いてレンジ相場になり、そこから売りのスイッチが入って下降トレンドになる、というように目まぐるしく変わっていきます。
そして、レンジ相場は、「トレンドが始まる前には必ず形成される」と言われるぐらい、多く目にします。実際、相場の大半がレンジ相場といっても過言ではないでしょう。
例えば、下のチャートをご覧下さい。黄色い四角で囲んだ部分が横ばい相場、矢印の箇所が急激な下降トレンドです。

このチャートは1時間足なので、ローソク足1本が1時間を表します。つまり、上のチャートでは、レンジ相場が何十時間と続いた後に、わずか数時間の下降トレンドが現れるということを何回か繰り返したということです。
このように、トレンド相場の時間よりも、レンジ相場の時間のほうが長いです。念のため、なぜレンジ相場が長いのかを説明します。
まず、相場では、上昇下降のどちらでも、トレンドが継続するには、かなりの力が必要です。しかし、人間と同じで、相場も常に力を出し続けられるわけではありません。力を出した後は、休憩して力を回復することが必要です。その休憩の期間として、レンジ相場が現れるのです。
ポイント!
相場は、「上昇トレンド」「下降トレンド」「レンジ相場」のうち、レンジ相場の時間が一番長い。レンジ相場の間に、相場は、再度上昇または下降する力を蓄えている。
2.2.レンジ相場は必ずブレイクする
レンジ相場は、再度上昇または下降する力を蓄えた後、必ずブレイクします。下のチャートをご覧下さい。

レジスタンスラインAとサポートラインBの間で上下動を繰り返していた相場が、それまでラインに当たると、反落していたにも関わらず、Cのポイントで上に突き抜けています。このように、ラインを突き抜けることを、「ブレイク」と言います。
トレンド相場が永遠に続かないのと同じように、レンジ相場も永遠に続くことはありません。いずれ必ずブレイクします。このことをしっかり頭に入れておいて下さい。
3.レンジ相場のブレイクで知っておくべき三つの知識
レンジ相場はいずれ必ずブレイクし、新たなトレンドを形成します。そのため、成功している多くのトレーダーは、レンジ相場の時に、次のトレンドに備えています。
ここでお伝えする3つのことは、トレンドに備えるために知っておくべきレンジ相場のブレイクの知識です。
- レンジ相場はブレイク後にトレンド相場に転換する
- レンジ相場の値幅と時間でブレイクの大きさが分かる
- ブレイクしてもダマシのときがある
それぞれ解説します。
3.1.レンジ相場をブレイクするとトレンド相場に転換する
レンジ相場をブレイクした後、相場は新たなトレンドを形成します。もう一度、先ほどと同じチャートを見てみましょう。

Cでブレイクした後に、上昇トレンドを描いていることがお分かりいただけると思います。
相場は、“レンジ→ブレイク→トレンド”というサイクルで動いています。そして、FXで稼いでいるトレーダーのほとんどは、トレンド相場の見極めを重要視しています。常に、いつ、どのようなトレンドが発生するのかを予測し、待ち構えています。
トレンド相場を意識することが、レンジ相場の見極めにもつながり、結果として、どの場面でもトレード戦略を立てることができいるのです。
それでは、成功しているトレーダーたちは、レンジ相場の時、どのように次のトレンドを予測しているのでしょうか?それを、次にお伝えします。
3.2.レンジ相場の値幅と時間でブレイクの大きさが分かる
レンジ相場の傾向から、ブレイク後のトレンドを予想することができます。単純に、以下のようにお考え下さい。
- レンジ相場の値幅が大きいほど、ブレイク後に発生するトレンドも値幅が出る
- レンジ相場の時間が長いほど、ブレイク後に発生するトレンドの時間が長い
下のチャートをご覧下さい。

AとBの色付けされた部分は、“三角持ち合い”というレンジ相場で見られるチャートパターンの1つです。レンジ相場は、上述したボックス相場以外にも、三角のレンジもあります。
ここでは、Aのレンジ相場を上にブレイクして上昇トレンドが発生し、Bのレンジ相場を下にブレイクして下降トレンドが発生していることをご確認下さい。実は、このチャートには、他にもブレイクしている箇所があります。
下のチャートでご確認下さい。

AとBを取り込むほど大きなレンジ相場(三角持ち合い)がありますね。そして、矢印の箇所でブレイクが起きて、その後、大きな上昇トレンドを描いています(右上の白い四角の部分)。
このように、値幅が大きく、時間が長いレンジ相場ほど、それをブレイクした後に発生するトレンド相場も大きく長いものになります。
この考え方を基本として持っておいて下さい。例外として、小さく短いレンジ相場であっても、相場に何らかの大きなニュースがあった時は、ブレイクすると急激な上昇や下落が起きることもあります。
3.3.ブレイクしてもダマシの時がある
ダマシとは、ブレイクしたにも関わらず、トレンドが発生せずに、相場が戻ってしまうことです。下のチャートをご覧下さい。

白丸のポイントでレンジ相場を下にブレイクしましたが、その後、すぐにレンジ内に戻ってしまいました。実は、このようなダマシは頻繁に起こります。たまにしか起きないので、記憶に留めておく程度で良いというものではありません。
もし、ダマシがごくたまにしか起きないとしたら、レンジ相場をブレイクした時にトレードを行えば、皆が勝ててしまいます。しかし、FXはゼロサムゲームですので、それはあり得ません。
そこで、あなたは、ブレイクが起きた時、それがダマシかどうかを判断する必要があります。そのためには、ダマシが起こる要因を知っておくことが必要です。
例えば、次のような要因です。
- ブレイクではなく、一時的な注文の急増による単なるブレだった
- 数億から数千億の資金を持つ機関投資家がふるい落としをかけた
- 中・上級トレーダーが一斉に反対売買をした
それぞれ解説していきますね。初心者の方で、今はよく分からなくても、いずれ必ず分かるようになりますので、定期的に読み返してみて下さい。
3.3.1.ブレイクではなく、一時的な注文の急増による単なるブレだった
レンジ相場がブレイクするということは、その時、大量の注文が入っているということです。これは、何もブレイクした時だけではありません。価格が、レンジ相場の上下の端に近づく度に、売買注文は多少なりとも増加します。この一時的な注文の急増により、まだ相場にブレイクする気がなかったとしても、短期的にラインをはみ出してしまうことがあります。
3.3.2.機関投資家がふるい落としをかけた
相場は、桁外れの資金力を持つ銀行などの機関投資家が引っ張っています。機関投資家が大量に注文を出すからこそ、トレンドが発生します。
例えば、レンジ相場を下にブレイクする時は、ライン付近で機関投資家が一時的に大量の売り注文を出してきます。その時、買いポジションを持っていたトレーダーは、一斉に損切りをします。ここでさらに、機関投資家が追加の売り注文を出せば、下降トレンドが発生します。
しかし、ここで追加の売り注文を出さずに、最初に出した売り注文をすぐに買い戻せば、一度ブレイクして下抜けた相場は、またすぐに上に戻ります。これが、ダマシです。
機関投資家は、利益を稼ぐために、このようなダマシを頻繁に行います。特に、初心者の方は、彼らにとってはカモなので注意しましょう。
3.3.3.中・上級トレーダーが一斉に反対売買をした
中・上級トレーダーになると、当然、ダマシを考慮に入れてトレードをします。彼らは、ブレイクが起きてラインを抜けたとしても、抜けが甘いと判断すると、含み損になる前に、一切に手仕舞いをします。これも、ダマシが起こる要因です。
まとめ
レンジ相場は、相場で最も多いものですが、その間に、他の投資家が何を考えて、どのように攻めぎ合っているのかイメージはできましたか?
レンジをブレイクしたからといって、すぐにエントリーしていると、ダマシに引っかかりやすくなります。最初は、ブレイク後の値動きをよく観察し、トレンドが発生するまでのプロセスを体感して下さい。
「このようなポイントでトレードすると勝てそうだ!」という確信が持てるまで、日々継続していきましょう。それが、あなたがFXで勝つための土台となります。