投資の教科書

第1章 お金の土台 1-3・読む時間 約6分・最終更新 2026年10月28日

借金があっても投資していい?|返済・預金・投資の順番と、金利で決める考え方

クレジットカード
クレジットカード

「カードのリボ払いが少し残っているけれど、周りがNISAを始めているので自分も早く始めたい」「借金を返すのと投資をするのと、どちらが得なのか分からない」。そんなふうに迷っていませんか。

答えは、借金の金利を見ると、ほとんど決まります。前の回で生活防衛資金の決め方を見ました(生活防衛資金:いくら、どこに置いておくか)。この回では、そこに借金の返済を加えて、どの順番で考えればよいかを整理します。

この回でわかること

  • 金利の高い借金を返すことが、いちばん確実な「運用」になる理由
  • 借金の返済・生活防衛資金・投資を考える順番
  • 急いで返さなくてもよい借金と、先に返したい借金の見分け方

結論

  • 金利の高い借金を返すと、払うはずだった利息が確実に減ります。値上がりを約束できない投資より確実に効く、いちばん手堅い「運用」です
  • 順番は「返済を遅らせない → 金利の高い借金を返す → 生活防衛資金を貯める → 投資」。生活防衛資金は、返済と並行して少しずつ貯めます
  • 判断の目安は借金の金利です。住宅ローンのように金利の低い借金は、返し終わるまで投資を待たなくてもよい場合があります

借金を返すことは、確実に効く「運用」

投資は、値上がりするか値下がりするか、前もって分かりません(くわしくはリスクとは「値動きの幅」のこと)。一方、借金を返すと、その分の利息は確実に払わなくてすみます。

10万円を返すと約1万5,000円の利息を確実に払わずにすみ、10万円を投資に回すと1年後に増えるか減るかは分からない
図:年15%の借金を返すことは、「年15%で確実に増える運用」をしたのと同じ効果がある

ざっくりした計算で比べてみます。年15%の利息がかかる借金が10万円あるとします。

  • 10万円を返す → 1年でかかるはずだった利息、およそ1万5,000円(10万円 × 15%)を払わずにすむ
  • 10万円を投資に回す → 1年後にいくら増えるか、減るかは分からない

つまり、年15%の借金を返すことは、「年15%で確実に増える運用」をしたのと同じ効果があります。そんな運用先は、ふつうは見つかりません。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の教材も、「リスクが低く、リターンが高い」金融商品は存在しないとしています。

さらに、投資で出た利益には税金がかかることがあります(NISAなら非課税)。借金の利息が減る効果には、税金はかかりません。こうした見えにくい差は手数料と税金でまとめます。

借金の金利は、どのくらいになりうるか

お金を借りたときの利息には、法律で上限が決まっています。利息制限法では、元本の額によって、次の利率を超える部分の利息は無効になります。

利息制限法の上限は、元本10万円未満で年20%、10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%
図:利息制限法の上限金利。上限いっぱいの借金を返すことは、この利率で確実に増やすのと同じ効果がある
元本の額 利息の上限
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

これは上限ですが、カードのキャッシングやカードローン、消費者金融などの借り入れでは、この上限に近い金利になっていることがあります。また、クレジットカードの分割払い(一般的に3回払い以上)やリボ払いには、借り入れの金利にあたる手数料がかかります(J-FLEC)。自分の借金の金利は、契約書や毎月の明細で確かめます。

リボ払いは、返すのに時間がかかる

リボ払いは、使った金額や回数にかかわらず、毎月決まった額を返していくしくみです。毎月の返済が少なくてすむ代わりに、残高がなかなか減りません。

30万円を年18%のリボ払いで毎月5,000円返すと、最初の月は元本が500円しか減らず、返済に約13年、総返済額は772,996円
図:J-FLECの教材の例。毎月の返済額が少ないと、元本がなかなか減らない

J-FLECの教材には、次の例が載っています。

  • 30万円をリボ払い(年18%)にして、毎月5,000円ずつ返す
  • 最初の月の利息は、30万円 × 18% ÷ 12か月 = 4,500円
  • 返した5,000円のうち、元本が減るのは500円だけ
  • 返し終わるまで約13年(155回)、総返済額は772,996円

30万円を借りて、およそ77万円を返すことになります。このリボ払いの残高が残ったまま投資を始めるより、先にリボ払いを返すほうが、ずっと確実に家計を楽にします。なお、「フレックス払い」「定額払い」など、リボ払いが別の名前になっていることもあるので、しくみで見分けます。

返済・預金・投資の順番

ここまでをまとめると、考える順番は次のとおりです。

毎月の返済を遅らせない、金利の高い借金を返す、生活防衛資金を貯める、投資を始めるの順番
図:考える順番。金利の高い借金を返している間も、生活防衛資金は少額でも積み立てておく
  1. 毎月の返済を遅らせない:遅れると、信用が下がってローンが組めなくなることがあります
  2. 金利の高い借金を返す:リボ払い、カードのキャッシング、カードローンなど。金利の高いものから先に
  3. 生活防衛資金を目標額まで貯める:前の回で決めた額
  4. 投資を始める:毎月残るお金の中から、続けられる額で

ただし、2の間も、生活防衛資金をまったく持たないのは危険です。急な出費があると、また借りることになってしまうからです。返済を進めながら、少額でも預金を積み立てておきます。

先に借金の一覧を作る

順番を決める前に、借金を一覧にします。

書くこと どこで分かるか
どこから借りているか 契約書・カードの明細
残高 毎月の明細・会員ページ
金利(手数料率) 契約書・明細
毎月の返済額 明細・引き落とし口座

一覧にすると、金利の高いもの、残高の小さいものが見えます。先に返すのは、基本は金利の高いものからです。

金利の低い借金は、並行してよいことも

住宅ローンのように、金利が低く、長い期間をかけて返す借金もあります。こうした借金まですべて返し終わるのを待っていると、投資を始められるのがずっと先になります。金利の低い借金は、決まった返済を続けながら、生活防衛資金を貯め、投資を考える、という進め方もあります。

どちらを優先するかは、借金の金利と、自分が投資の値動きをどこまで受け止められるかで決めます。迷うときは、「この借金を返すと、確実に何%得をするか」と考えると、判断しやすくなります。

返すのが苦しいときは、早めに相談

返済が苦しく、借りて返すことを繰り返しているなら、投資の前に相談するのが先です。金融庁は、財務局や都道府県・市区町村の多重債務の相談窓口を案内しています(多重債務についての相談窓口)。

よくある質問

カードのリボ払いが残っています。NISAを始めるのは、返し終わってからのほうがいいですか?

リボ払いは金利にあたる手数料が高いことが多いので、先に返すほうが確実に得です。返済を進めながら生活防衛資金を少しずつ貯め、リボ払いがなくなってからNISAを始める順番がおすすめです。

住宅ローンを繰り上げ返済するのと、NISAで投資するのは、どちらが先ですか?

住宅ローンの金利と、生活防衛資金があるかで変わります。繰り上げ返済で減る利息は確実ですが、手元のお金も減ります。生活防衛資金を残したうえで、金利が高ければ返済を、低ければ投資も考える、という見方ができます。

借金があることは、投資にどう影響しますか?

借金の返済は毎月決まって出ていくお金なので、毎月残るお金が少なくなります。また、返済が苦しいときに投資が値下がりすると、投資を売って返すことになりかねません。投資は、借金の返済に困らない状態で始めます。

借金の返済・生活防衛資金・投資の順番が決まったら、第1章はここまでです。次の第2章では、投資そのもののしくみに入ります。最初は、預金・株・債券・投資信託がどうちがうかです(投資とは何か:預金・株・債券・投資信託のちがい)。

出典:e-Gov法令検索「利息制限法」第1条、金融庁「貸金業法のキホン」、金融経済教育推進機構(J-FLEC)「社会人として知っておきたいお金の話(若手層社会人向け)」2026年6月版(リボ払いの例、分割払い・リボ払いの手数料、ローリスク・ハイリターンの商品はないこと)、金融庁「多重債務についての相談窓口」(いずれも2026年10月28日確認)

この回のまとめ

  • 借金を返すと、払うはずだった利息が確実に減る。値上がりを約束できない投資より、確実に効く
  • 順番は「返済を遅らせない → 金利の高い借金を返す → 生活防衛資金を貯める → 投資」。生活防衛資金は少しずつ並行して
  • 判断の目安は借金の金利。契約書や明細で、残高・金利・毎月の返済額を一覧にしてから決める

確かめ問題

  1. Q1. 利息制限法で、元本が100万円以上の借金の利息の上限は年何%ですか?

    答えを見る

    年15%

    利息制限法では、元本10万円未満は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%が上限です。

  2. Q2. 30万円をリボ払い(年18%)で、毎月5,000円ずつ返すと、総返済額はおよそいくらになりますか?

    答えを見る

    約77万円(772,996円)

    金融経済教育推進機構の教材の例では、返済に約13年(155回)かかり、総返済額は772,996円になります。

  3. Q3. 借金が少しでも残っていたら、住宅ローンも含めて、すべて返し終わるまで投資してはいけない。○か×か

    答えを見る

    ×

    先に返したいのは金利の高い借金です。住宅ローンのように金利が低く長い借金は、返済を続けながら投資を考えることもできます。

もっとくわしく

コースの目次へ戻る