投資の教科書

モルガン・スタンレー 最高投資責任者(CIO)兼チーフ米国株ストラテジスト

マイク・ウィルソンの発言録|「新しい強気相場と利益のサイクル」米国株の見通しを時系列で

立ち位置:2025年から強気発言の記録 14件最終更新 2026年10月23日

米大手金融機関モルガン・スタンレーで最高投資責任者(CIO)と米国株の責任者を兼ねるストラテジストです。2022〜2023年は弱気の見通しで知られましたが、2025年春から強気に転じ、「2025年4月の急落で弱気相場が終わり、利益の回復がほかの分野へ広がる新しいサイクルに入った」と繰り返しています。判断の物差しは一貫して「利益の上方修正がどれだけ多くの企業に広がっているか」です。

利害について:モルガン・スタンレーは株や債券の引き受け(IPOなど)も手がける大手金融機関で、ウィルソン氏はその調査部門で米国株の見通しを出す立場です

CNBC Television「We're in the 'final innings' of the market correction, says Morgan Stanley's Mike Wilson」 → この回の要点を読む

ウィルソン氏は英語で話しています。このページの要約は日本語に直したもので、「原文から」の引用は英語の字幕で確かめた1文と訳です。S&P500の数字は本人の見通しで、約束された数字ではありません。

ひとことで言うと

「2025年4月で弱気相場は終わった。今は利益の回復が広がる新しい強気相場」。2025年1月には「株は割高」と慎重でしたが(Bloomberg)、関税ショックのさなかの5月に年末6,500の目標を据え置き(CNBC)、8月には「新しい強気相場の始まり」と述べました(CNBC)。2026年10月には、調整は「最終回」とし、2027年5月にS&P500が8,300という見通しを示しています(CNBC)。

一貫して言っていること

判断の物差しは「利益の上方修正の広がり」

強気・弱気を決めるのは株価の水準ではなく、どれだけ多くの企業の利益予想が上方修正されているかだと繰り返しています。2025年1月には、相場が広がるには利益修正の広がりが必要だと述べ(Bloomberg)、2025年12月には、強気に変わった理由を「利益修正の広がりが変わったから」と説明しました(Bloomberg)。2026年6月には、同じ物差しで半導体の修正が「持続できない高さ」だと警告しています(Bloomberg)。

「ローリング・リセッション」の後の「ローリング・リカバリー」

米国では住宅、消費財、運輸など金利に敏感な分野が順番に景気後退を経験しており(ローリング・リセッション)、2025年4月の「解放の日」がその終わりだったという見方です(Bloomberg)。回復も分野ごとに順番に進み(Bloomberg)、2026年夏からは、回復の初期に強い銘柄から、利益が安定した「質の高い」企業へ主役が移ったと述べています(CNBC、Morgan Stanley)。

FRBと流動性が強気の前提

2026年の目標7,800は、FRBが予想以上の利下げか資産の買い入れで流動性を支えることが前提だと、はっきり述べました(Bloomberg)。2026年1月には、FRBが資産の買い入れを再開したことを前向きに評価しています(CNBC)。2026年秋にFRBが利上げに転じた後も、「金利が高いのは成長が強いから」と読み、保有資産の扱い(流動性)のほうが大きなリスクだとしています(CNBC)。

AIは「支える側」から「使う側」へ

AI投資のサイクルはまだ始まったばかりだとし(Bloomberg)、2026年後半には、半導体や電力などAIを支える側から、AIを使って利益を伸ばす企業へ相場の関心が移ると述べています(Morgan Stanley、CNBC)。AI投資の危険信号は、まず社債市場に表れると注意を促しています(CNBC)。

見方の変化

ウィルソン氏は2022〜2023年、弱気の見通しで知られました。2023年1月には、S&P500が3,000まで下がるのは「十分ありうる」と述べ(Bloomberg Television「Morgan Stanley's Wilson Says S&P 500 Slide to 3,000 'Very Achievable'」、2023年1月5日)、2024年5月には、年末の目標を4,500から5,400へ引き上げたことが番組で「見方の転換」として取り上げられました(Bloomberg Television「Morgan Stanley's Wilson flips his view on stocks」、2024年5月21日)。2025年以降の変化は次のとおりです。

時期 S&P500の見通し・相場観
2025年1月 予想利益の22〜23倍で「割高」。前半は政策が成長にマイナスと慎重(Bloomberg)
2025年3月 見通しの下限5,500に到達。回復は分野ごとに進む「ローリング・リカバリー」、新高値は下半期(Bloomberg)
2025年5月 「解放の日」が政策の悪材料の底。年末6,500の目標は据え置き(CNBC)
2025年6月 関税の痛みは底打ち。調整があっても5〜7%程度(Bloomberg)
2025年8月 4月で弱気相場が終わり「新しい強気相場」(CNBC)
2025年11〜12月 2026年末の目標を7,800に。前提は利益の広がりとFRBの支え(Bloomberg、Bloomberg)
2026年1〜2月 利益は2桁増、新しい利益と経済のサイクル。7,800を維持(CNBC、Bloomberg)
2026年6〜7月 半導体の修正は行き過ぎ、「質」への入れ替え。年末8,000に届くと述べる(Bloomberg、CNBC)
2026年9月 原油と金利が目先のリスクだが「強気相場の中にいる」。指数の5〜10%調整は歓迎(Bloomberg、Morgan Stanley)
2026年10月 調整は「最終回」。2027年5月に8,300、来年中ごろに8,500もありうる(CNBC)

2025年春に弱気寄りから強気へ切り替わり、その後は強気が一貫しています。2026年に入ってからは、強気のまま「主役の入れ替わり」と「流動性(FRBの資金供給)」への注意を強めています。

読むときの注意

  • ウィルソン氏は、株や債券の引き受けも手がける大手金融機関モルガン・スタンレーの調査部門で、米国株の見通しを出している立場です
  • 見通しは「利益の上方修正が続く」「FRBが流動性を支える」ことを前提にしています。本人も、FRBの引き締めすぎやAI関連の資金調達の不安を注意点に挙げています
  • 発言は主に米国の機関投資家向けで、分野や銘柄の名前は相場の説明として出たものです。売買の勧めとして読まないでください

はじめての人が受け取れること

  • ストラテジストの見方が変わったときは、「何のデータが変わったから変えたのか」を確かめると、強気・弱気の言葉に振り回されにくくなります
  • 指数が横ばいでも、中身では主役の入れ替わりが起きていることがあります。指数だけでなく、多くの銘柄の動き(相場の広がり)にも目を向けると相場が立体的に見えます
  • 強気の専門家も「年に10%程度の調整はふつう」と述べています。下げがあることを前提に、続けられる投資の形を考えることが大切です

マイク・ウィルソンの発言の時系列

動画・記事の日付の新しいものから順に並べています。

2026年

  1. 2026年10月20日・CNBC Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「調整は最終回。2027年5月に8,300」|CNBC Television(2026年10月)

    2026年10月20日、ウィルソン氏はCNBCの番組で、6月から続いた平均的な銘柄の厳しい調整は「最終回」に入ったとの見方を示しました。あと2〜3週間は乗り越える必要があるとしつつ、年末は力強く終わり、来年にかけても上がると述べています。金利が高いのは成長が強いからだとし、S&P500は2027年5月に8,300、来年の中ごろに8,500もありうるとしています。

    米国株FRB・米金利半導体・AI

  2. 2026年9月28日・Morgan Stanley(YouTube)

    マイク・ウィルソン「上昇を支える銘柄が減っている。最後の調整は歓迎」|Morgan Stanley(2026年9月)

    2026年9月28日の自社ポッドキャスト「Thoughts on the Market」で、ウィルソン氏は、この6週間ほど上昇を支える銘柄が減り、ラッセル3000の半分以上が6月の高値から20%以上下げていると指摘しました。指数の5〜10%程度の調整がありうるが、それは歓迎すべき「最後の調整」になりうるとし、大型の質の高い株を中心にしつつ10月の下げで値動きの大きい株を買い増す考えを示しています。

    米国株FRB・米金利半導体・AI

  3. 2026年9月9日・Bloomberg Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「強気相場は続いている。目先の敵は原油と金利」|Bloomberg(2026年9月)

    原油が1バレル100ドル近くまで上がった2026年9月、ウィルソン氏はブルームバーグの番組で、原油と金利の上昇が目先の株の最大のリスクだとしつつ、「私たちは強気相場の中にいる」と述べました。株を減らすのではなく、質の高い銘柄や米国株へ中身を入れ替えることを勧め、2027年には流動性の引き締まりが課題になりうると指摘しています。

    米国株金・資源暴落・リスク

  4. 2026年7月28日・CNBC Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「7,000を割らずに年末8,000へ。次は“質”の相場」|CNBC Television(2026年7月)

    2026年7月、ウィルソン氏はCNBCの番組で、回復の初期の段階は終わり、利益の質や財務の健全さを重んじる「質への入れ替え」が始まったと述べました。半導体の利益修正の勢いは天井を打ったとしつつ、S&P500は7,000が守られ、仮に先に7,000まで下げても年末8,000に届くとの見方を示しています。FRBの利上げが1回あっても流れは崩れないとしています。

    米国株FRB・米金利半導体・AI

  5. 2026年6月10日・Bloomberg Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「半導体の修正は行き過ぎ。主役は交代へ」|Bloomberg(2026年6月)

    2026年6月、ハイテク株が売られるなか、ウィルソン氏はブルームバーグの番組で、半導体の利益の上方修正の広がりが70%と過去25年で数回しかない水準に達し、持続できない高さだと述べました。今の下げは調整で利益の流れが変わったわけではないとし、株は年末に向けて上がり続けるが、主役は消費や運輸、地方銀行などに移るとの見方を示しています。

    米国株半導体・AI金・資源

  6. 2026年2月18日・Bloomberg Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「新しい利益と経済のサイクルに入った。AIは始まったばかり」|Bloomberg(2026年2月)

    2026年2月、ウィルソン氏はブルームバーグの番組で、2025年4月の「解放の日」が3年ほど続いた「ローリング・リセッション(分野ごとの景気後退)」の終わりで、今は新しい利益と経済のサイクルにいると述べました。S&P500は横ばいでも多くの分野が上がっているとし、AIへの不安と新しいFRB議長への「試し」を越えれば下半期は強いとして、年末7,800の目標を維持しています。

    米国株半導体・AIFRB・米金利

  7. 2026年1月8日・CNBC Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「2026年は利益が2桁増。後半は株価の評価が上がる可能性も」|CNBC Television(2026年1月)

    2026年の年初、ウィルソン氏はCNBCの番組で、2026年はS&P500の利益が2桁、場合によっては10%台後半伸びるとの見方を示しました。FRBが資金市場を安定させるために資産の買い入れを再開したことを前向きに評価し、年内に10%程度の調整はありうるが買われるだろうと述べています。後半には株価の評価(倍率)が上がる可能性もあるとしています。

    米国株FRB・米金利半導体・AI

2025年

  1. 2025年12月2日・Bloomberg Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「強気に変わったのは利益の修正が変わったから」|Bloomberg(2025年12月)

    2025年12月、ウィルソン氏はブルームバーグの番組で、2026年末のS&P500の目標7,800を基本シナリオとして据え置きました。「ウォール街で最も強気な一人」になった理由を聞かれ、この1年で変わったのは利益の上方修正の広がりだと答え、見方を柔軟に変えるのは自分たちの分析の結果だと述べています。

    米国株FRB・米金利

  2. 2025年11月24日・Bloomberg Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「2026年末のS&P500は7,800。カギは利益の広がり」|Bloomberg(2025年11月)

    2026年の見通しを出した直後の2025年11月、ウィルソン氏はブルームバーグの番組で、S&P500の目標7,800は利益の回復が出遅れていた分野へ広がることが前提だと述べました。そのためにはFRBが景気を救うためではなく、出遅れ分野への資金の移動を促すために、利下げや資産の買い入れを進める必要があるとの見方を示しています。

    米国株FRB・米金利半導体・AI

  3. 2025年8月19日・CNBC Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「4月で弱気相場は終わり、新しい強気相場に」|CNBC Television(2025年8月)

    2025年8月、ウィルソン氏はCNBCの番組で、2025年4月の急落は2024年夏から続いた弱気相場の「最後の投げ売り」で、そこから新しい強気相場が始まったとの見方を示しました。新しい強気相場では押し目は浅くなりやすく、FRBが利下げを始めれば上昇が小型株などに広がると述べています。

    米国株FRB・米金利

  4. 2025年6月10日・Bloomberg Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「関税の痛みは底を打った。見出しより数字を」|Bloomberg(2025年6月)

    2025年6月、ウィルソン氏はブルームバーグの番組で、関税をめぐる悪材料は「解放の日」の翌週にほぼ織り込まれ、その後のデータは上向いていると述べました。見出し(ニュース)に振り回されず、データを見ることを勧め、起きても5〜7%程度の調整で、10〜15%の大きな下げを待っても来ないだろうとの見方を示しています。

    米国株政治・政策暴落・リスク

  5. 2025年5月12日・CNBC Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「年末6,500の目標は変えていない」|CNBC Television(2025年5月)

    週末の関税交渉の進展を受けた2025年5月12日、ウィルソン氏はCNBCの番組で、4月の「解放の日」(相互関税の発表)が政策のマイナス面の底だったとの見方を示しました。S&P500の年末目標6,500は一度も下げておらず、下半期は予想よりよくなるとの考えを述べています。

    米国株政治・政策FRB・米金利

  6. 2025年3月20日・Bloomberg Television(YouTube)

    マイク・ウィルソン「次は“ローリング・リカバリー”。新高値は後半に」|Bloomberg(2025年3月)

    S&P500が見通しの下限5,500まで下がった2025年3月、ウィルソン氏はブルームバーグの番組で、関税や財政引き締めなど成長にマイナスの材料を相場が消化しているところだと述べました。調整が順番に進んだように、回復も分野ごとに順番に進む「ローリング・リカバリー」になるとの見方を示し、上半期の新高値は難しいが後半はありうると話しています。

    米国株FRB・米金利政治・政策

  7. 2025年1月3日・Bloomberg Podcasts(YouTube)

    マイク・ウィルソン「株は割高。2025年は利益の広がりが必要」|Bloomberg(2025年1月)

    2025年の年初、ウィルソン氏はブルームバーグの番組で、米国株は予想利益の22〜23倍と割高で、2年続いた上昇は利益ではなく株価の評価(倍率)の上昇によるものだったと述べました。相場が広がりを持つには、一部の大型株だけでなく多くの企業の利益の上方修正が必要だという見方です。

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ここに載せているのは、著名な専門家が公開の場(YouTubeの公式チャンネル・記事など)で話した内容の記録と要約です。投資の教科書が特定の銘柄や商品をおすすめするものではありません。見通しは話した時点のもので、外れることもあります。

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