投資の教科書

楽天証券経済研究所 所長 兼 チーフエコノミスト(日本銀行出身)

愛宕伸康の発言録|「日本経済のリスクはインフレと長期金利の上振れ」日銀・金利の見通しを時系列で

立ち位置:インフレ・金利上昇を警戒発言の記録 13件最終更新 2026年10月23日

日本銀行で物価統計課長などを務め、岡三証券・いちよし証券のチーフエコノミストを経て、2025年1月から楽天証券経済研究所の所長を務めるエコノミストです。日銀の声明や会見の文言を細かく読み、物価・賃金・GDPの統計から自分で試算を積み上げるのが特徴です。日本経済の最大のリスクは「インフレと長期金利の上振れ」だとくり返し述べ、為替は日米金利差より財政リスクと日本の長期金利に反応しているとの見方を示しています。

利害について:楽天証券(証券会社)の研究所の所長として、同社の投資情報メディア「トウシル」で毎週の動画とレポートを発信しています

トウシル [楽天証券]「日本経済のリスクはインフレと長期金利の上振れ~10年金利2%超へ~(愛宕伸康)【楽天証券 トウシル】」 → この回の要点を読む

愛宕氏は楽天証券の研究所の所長で、発信は同社の投資情報メディア「トウシル」が中心です。利上げの時期などの見立ては、原油や為替など本人が示す前提が変われば変わります。

ひとことで言うと

「日本はもうインフレの国。財政を出せば物価と長期金利は上振れする」。2025年11月には、年初から言ってきた日本経済のリスクは「インフレと長期金利の上振れ」だとし、10年金利は2%を確実に超えると述べました(トウシル)。2026年7月には「3%超えは時間の問題」と見方を進め(トウシル)、9月には物価と賃金が連鎖的に上がるリスクを指摘しています(トウシル)。

一貫して言っていること

名目成長を保つ政策は、インフレの継続が前提になる

2025年10月、高市政権の「成長率の範囲内に債務残高の伸びを抑える」方針について、実質の伸びは潜在成長率に縛られるので、名目の高い伸びを保つにはインフレが続く必要があると説明しました(トウシル)。11月には、ほぼ完全雇用のなかで財政を出す「高圧経済政策」はインフレを助長すると述べています(トウシル)。

日銀は為替を理由にしないが、実態として円安は利上げを後押しする

2025年12月、2026年も半年に1回ペースの緩やかな利上げが続き、円安が進めば時期は前倒しになるとの見方を示しました(トウシル)。円安の背景には「基調的な物価上昇率はまだ2%に届いていない」という日銀の説明そのものがあるとも述べています。2026年9月には、声明文の文言が変わっていないことから、次の利上げは12月だと読みました(トウシル)。

円相場は金利差より、財政リスクと日本の長期金利に反応している

2026年1月、ドル円と米国の金利の相関はほぼゼロに落ち、日本の長期金利が上がると円安になる関係が強まっていると紹介しました(トウシル)。5月には、そのため「日銀が利上げすれば円安が止まる」とは言いづらいと述べています(トウシル)。

日銀が金利水準を理由に国債を買い増すのは「やぶ蛇」

2026年7月、日銀が動くのは金利ショックで市場が機能しなくなったときで、それ以外に金利を抑えにいけば財政に配慮したと受け取られ、円安とインフレを招きかねないと説明しました(トウシル)。有事には、2003年のイラク戦争時のようにまず市場の安定を優先するとしています(トウシル)。

株価は名目GDPや企業の借金の物差しで冷静に見る

2026年6月、日経平均は名目GDPと連動してきたが最近は上に行きすぎていると検証しつつ、1989年のバブルとは違うと述べました(トウシル)。10月には、企業の債務とキャッシュフローの比率から見てAIバブルではなく、米国株の上昇トレンドは来年も続くとの見方を示しています(トウシル)。

見方の変化

時期 見通し・相場観
2025年2月 米インフレは2025年後半が要注意。日本はデフレ脱却宣言が見えてきた(トウシル)
2025年10〜11月 高市政権の政策はインフレリスクを高める。円安が進めば12月利上げの確率は高い。10年金利は2%超へ(トウシル、トウシル)
2025年12月〜2026年1月 2026年も半年に1回ペースで、次は6月か7月。財政リスクで円安、10年金利は2%台後半を想定(トウシル、トウシル)
2026年3〜5月 中東情勢で原油高。即利上げではないが物価の基調は上振れも。4月見送り後、次は6月(トウシル、トウシル)
2026年6〜7月 日経平均は名目GDP比で上振れ。10年金利の3%超えは時間の問題(トウシル、トウシル)
2026年9〜10月 9月利上げ後、次は12月。物価と賃金の連鎖に警戒。欧州の長期金利にも要注意。米国株の上昇トレンドは続く(トウシル、トウシル、トウシル)

「インフレと長期金利の上振れが最大のリスク」という見方は一貫しています。変わったのは、長期金利の水準の見立てが2%超から3%超へと上がっていったことと、利上げの時期の読みが原油や為替の動きに合わせて調整されてきたことです。

読むときの注意

  • 愛宕氏は楽天証券の研究所の所長で、同社の投資情報メディア「トウシル」で発信しています
  • 日本銀行の出身で、日銀の文書の文言や会見の言葉を手がかりにする分析が多くなります。日銀の説明の仕方そのものを批判的に読む場面もあります
  • 利上げの時期や金利の水準の見立ては、原油相場、為替、政治の発言などの前提つきです。前提が変われば見立ても変わる、という条件とセットで読んでください

はじめての人が受け取れること

  • 物価が上がり続ける環境では、金利も上がりやすくなります。預金や住宅ローンなど、身近なお金への影響を考えるきっかけになります
  • 為替は「日米の金利差」だけでなく、財政への見方でも動きます。ニュースで円安の理由が語られるとき、どの要因の話なのかを分けて聞くと理解しやすくなります
  • 株価が大きく上がったときは、名目GDPなどの物差しと比べてみると冷静になれます。長く持つのか短く持つのか、自分の投資期間に合わせて考えることが大切です

愛宕伸康の発言の時系列

動画・記事の日付の新しいものから順に並べています。

2026年

  1. 2026年10月21日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「AI相場はバブルではない、米株の上昇トレンドは来年も続く」|トウシル(2026年10月)

    AI特化型クラウド企業の財務不安をきっかけにした「コアウィーブ・ショック」で日経平均が過去3番目の下げ幅となった後の回です。愛宕氏は、米国の景気と物価はともに強く、企業全体の債務とキャッシュフローの比率から見てAIバブルとは言いにくいとし、FRBの追加利上げや中間選挙による調整はありうるものの、米国株の上昇トレンドは来年も崩れないとの見方を示しました。

    米国株半導体・AIFRB・米金利

  2. 2026年10月14日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「欧州の長期金利上昇はキナ臭い、仏伊のソブリンリスクに要注意」|トウシル(2026年10月)

    欧州の長期金利が急速に上がり、特にフランスの国債のリスクを示すCDSスプレッドが急拡大していることを取り上げた回です。愛宕氏は、景気は減速局面で長期金利上昇の主因ではなく、政策金利とインフレ、そして政治の混乱と財政への懸念が押し上げているとし、フランスの混乱がイタリアにも飛び火した可能性があると述べました。しばらくは要注意との見方です。

    暴落・リスク景気・インフレ政治・政策

  3. 2026年9月30日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「リフレ論者ではない発言でも、次の利上げは12月」|トウシル(2026年9月)

    片山財務大臣がテレビ番組で、高市首相から「私はリフレ論者ではない」と伝えるよう言われたと述べたことなどを受けた回です。愛宕氏は、利上げを続ける日銀への政府の風当たりが弱まったと感じるとしながらも、9月の声明文と植田総裁の会見からは連続利上げや大幅利上げは読み取れず、次の利上げは12月だとの見方を示しました。

    金利・日銀政治・政策

  4. 2026年9月16日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「景気拡大に実感がないのは実質賃金が置き去りだから」|トウシル(2026年9月)

    FRBと日銀の9月の利上げを前に、景気拡大が「いざなみ景気」を超えたかもしれないのに実感がないのはなぜかを考えた回です。愛宕氏は、物価と名目賃金がそろって上がる一方で実質賃金は横ばいで、それは労働生産性が伸びていないからだと説明しました。高圧経済政策で生産性が上がるには時間がかかり、その間に物価と賃金が連鎖的に上がれば利上げをもっと急がなければならなくなるリスクがあると述べています。

    景気・インフレ政治・政策金利・日銀

  5. 2026年7月8日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「10年金利3%超えは時間の問題、日銀は国債を買い増さない」|トウシル(2026年7月)

    6月末に公表された骨太の方針の原案で「財政規律」の言葉が消え、日銀の利上げをけん制するような文言が加わったことで、10年金利が3%をうかがう展開になった回です。愛宕氏は、3%超えは時間の問題と見ておくべきだとし、金利の水準を理由に日銀が国債買い入れを増やすのは「やぶ蛇」で、市場機能が損なわれる金利ショックが起きない限り静観するとの考えを示しました。

    金利・日銀政治・政策

  6. 2026年6月10日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「日経平均は名目GDPと連動してきたが、最近は上に行きすぎ」|トウシル(2026年6月)

    日経平均が6月3日に6万8402円の高値をつけた後、約4000円調整した局面で、ふだん株の話をしない愛宕氏が株価水準を検証した回です。日経平均は名目GDPとほぼ連動してきたものの最近は大きく上振れしているとし、その理由として米ナスダックの影響と期待成長率の高まりを挙げました。1989年のバブルとは違うとしつつ、調整のリスクは意識しておくべきだと述べています。

    日本株米国株暴落・リスク

  7. 2026年5月13日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「日銀が利上げすれば円安が止まるとは言いづらい、次は6月」|トウシル(2026年5月)

    日銀が4月の利上げを見送った後の回です。愛宕氏は「日銀が利上げしないから円安」という見方をデータで確かめ、ドル円は政策金利の差ではなくインフレと財政リスクを映す長期金利に反応しているとして、利上げで円安が止まるとは言いづらいと述べました。次の利上げは6月、その後は12月ごろまでに1.25%程度と見ています。

    金利・日銀為替・円

  8. 2026年3月4日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「イラン情勢でも日銀は即利上げではない」|トウシル(2026年3月)

    米国とイスラエルによるイラン攻撃と、ホルムズ海峡の封鎖発表でマーケットが荒れた直後の回です。愛宕氏は2003年のイラク戦争時の日銀の対応を参考に、市場が不安定になれば国債買い入れの減額を一時止めることもありうるとしたうえで、原油高にはすぐ利上げで応じるのではなく物価の基調への波及を見極めるだろうと述べました。

    金利・日銀暴落・リスク景気・インフレ

  9. 2026年1月14日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「2026年の円相場、注目テーマは引き続き財政リスク」|トウシル(2026年1月)

    解散総選挙の思惑で円が1ドル159円台まで売られた直後の回です。愛宕氏は、ドル円が日米金利差ではなく日本の長期金利の上昇と連動するようになっており、財政リスクが意識され続ければ円安はしばらく続くとの見方を示しました。一方で、1年を通じて一方向に動き続けることは少ないとして、円高に振れるリスクも挙げています。

    為替・円金利・日銀政治・政策

2025年

  1. 2025年12月22日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「日銀12月利上げ、2026年も半年に1回ペースで為替次第」|トウシル(2025年12月)

    日銀が12月の会合で政策金利を0.75%に引き上げたことを受けた回です。愛宕氏は、運営方針は変わっておらず2026年も半年に1回ペースの緩やかな利上げが続くとし、次は6月か7月が自然だが、円安の進み方でタイミングは前後するとの見方を示しました。円安の根本には「基調的な物価上昇率はまだ2%に届いていない」という日銀の説明があるとも述べています。

    金利・日銀為替・円

  2. 2025年11月26日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「日本経済のリスクはインフレと長期金利の上振れ」|トウシル(2025年11月)

    10月の全国消費者物価と、高市政権の総合経済対策(国費と財政投融資で25.5兆円)を受けた回です。愛宕氏は、年初から言ってきた日本経済のリスクは「インフレと長期金利の上振れ」だとあらためて述べ、10年金利は2%を確実に超えてくるとの見方を示しました。

    景気・インフレ金利・日銀政治・政策

  3. 2025年10月31日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「日銀は10月見送り、円安が進めば12月利上げの確率高い」|トウシル(2025年10月)

    日銀が10月の金融政策決定会合で利上げを見送ったことを受け、愛宕氏は高市新政権の所信表明演説を読み解きました。名目成長で債務の比率を下げる方針はインフレの継続を前提にしており、インフレリスクと長期金利の上昇に注意が必要だと述べ、円安が進めば12月利上げの確率は高いとの見方を示しました。

    金利・日銀政治・政策為替・円

  4. 2025年2月19日・トウシル(楽天証券・YouTube)

    愛宕伸康「米CPIショック、本当に怖いのは今年後半」|トウシル(2025年2月)

    楽天証券の投資情報メディア「トウシル」の動画で、愛宕氏は1月の米消費者物価(CPI)の上振れを受けて「当面は同じようなショックは起きにくいが、本当に怖いのは2025年後半」との見方を示しました。あわせて日本の10〜12月期GDPが強く、政府のデフレ脱却宣言が見えてきたと述べています。

    FRB・米金利景気・インフレ金利・日銀

テーマ別に見る

金利・日銀10件

政治・政策7件

ここに載せているのは、著名な専門家が公開の場(YouTubeの公式チャンネル・記事など)で話した内容の記録と要約です。投資の教科書が特定の銘柄や商品をおすすめするものではありません。見通しは話した時点のもので、外れることもあります。

ほかのご意見番