投資の教科書

第2章 投資のしくみ 2-2・読む時間 約7分・最終更新 2026年10月28日

投資のリスクとは?|「危ない」ではなく「値動きの幅」。リターンとの関係と、自分が受け止められる幅

チャート(カラフル)
チャート(カラフル)

「投資はリスクがあるから怖い」「リスクの高い商品はやめておいたほうがいい、と聞いた」。リスクという言葉を「危ないこと」だと思って、投資に踏み出せずにいませんか。

実は、投資の世界でいう「リスク」は、ふだん使う「危険」とは少し意味がちがいます。前の回で、預金・株・債券・投資信託のちがいを見ました(投資とは何か)。この回では、その「値動き」をどう受け止めればよいかを考えます。言葉の意味が分かると、投資の怖さは「どのくらい動くかを知って、自分に合った量にする」ことに変わります。

この回でわかること

  • 投資でいう「リスク」が、危険ではなく「値動きの幅」を指すこと
  • リスクとリターンの関係と、預金・債券・投資信託・株の位置づけ
  • 自分が受け止められる値動きの幅を、金額で考える方法

結論

  • 投資でいうリスクは、運用成果の振れ幅のことです。「大きく増えるかもしれないし、大きく減るかもしれない」という意味で、危険という意味ではありません
  • リスクとリターン(運用成果)は比例します。リスクが低くてリターンが高い金融商品はありません
  • 投資の前に、下がっても売らずにいられる額を金額で考えます。受け止められる幅に合わせて、投資に回す額を決めます

投資の「リスク」は、危険ではなく振れ幅

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の教材では、資産運用でいうリスクを「運用成果の振れ幅」と説明しています。「リスクが大きい」とは「とても危険」という意味ではなく、大きくもうかるかもしれないし、大きく損をするかもしれない、つまり結果の振れ幅が大きいという意味です。

保険でいうリスクは起きると損をすること、投資でいうリスクは結果が上にも下にも振れる幅
図:リスクの大きい投資は「必ず損をする投資」ではなく、上にも下にも大きく動く投資

日本証券業協会の説明でも、リスクとは「リターンが不確実である(予測できない)こと」で、振れ幅が大きいことを「リスクが大きい」と言います。

ここで混同しやすいのが、保険で備える「リスク」です。火事や病気のように「起きたら困ること」も日本語ではリスクと言いますが、J-FLECの教材は、資産運用でいうリスクはこれとは意味がちがうと注意しています。

  • 保険でいうリスク:起きると損をすること(危険)
  • 投資でいうリスク:結果が上にも下にも振れる幅

つまり、リスクの大きい投資は「必ず損をする投資」ではありません。上にも下にも大きく動く投資です。

値動きの幅を、例で見る

言葉だけでは分かりにくいので、例で見てみます。100万円を、値動きの幅が小さいもの(A)と、大きいもの(B)に投資したとします。数字は説明のために作った例で、実際の商品の成績ではありません。

値動きの幅が小さいAはゆるやかに動き、幅が大きいBは上下に大きく動く例
図:説明のための例。Bは5年後にAより増えているが、途中で100万円を下回った年もある
はじめ 1年 2年 3年 4年 5年
A(幅が小さい) 100万円 102万円 101万円 104万円 105万円 107万円
B(幅が大きい) 100万円 112万円 95万円 118万円 104万円 125万円

この例では、5年後にはBのほうが多く増えています。けれども、Bは2年目に95万円と、はじめの100万円を下回っています。もしこのときにお金が必要になったり、怖くなったりして売っていたら、損が確定していました。

リスク(値動きの幅)が大きいとは、こういうことです。 うまくいけば大きく増える可能性がある代わりに、途中の上下も大きくなります。そして、例とは逆に、5年後に下がっていることもありえます。

リスクとリターンは比例する

J-FLECの教材は、リスク(運用成果の振れ幅)とリターン(運用成果)は原則として比例する関係にあり、ローリスク・ハイリターンの金融商品はないとしています。

預貯金、債券、投資信託、株式の順にリスクもリターンも大きくなる
図:ローリスク・ハイリターンの金融商品はない。投資信託は中に入っているものでさまざま

一般的なイメージでは、次の順にリスクもリターンも大きくなります。

  1. 預貯金:元本が守られ、結果が前もって決まっている
  2. 債券:満期まで持てば額面の金額を受け取れる。リスクもリターンも小さめ
  3. 投資信託:中に入っているものによって、リスクもリターンもさまざま
  4. 株式:リスクもリターンも大きい

日本証券業協会も、比較的に株式はハイリスク・ハイリターン、債券はローリスク・ローリターン、投資信託はその中間といわれる、と説明しています。投資信託は、中に入る株の割合が大きいほどリスクも大きく、債券の割合が大きいほど小さくなる傾向があり、その割合は目論見書(投資信託の説明書)などで確かめられます。

ここから分かる大事なことがあります。「リスクが低くて、よく増える」とすすめられたら、そのしくみを疑ってかかることです。リスクを抑えたいなら、リターンも控えめになることを受け入れるしかありません。

リスクの元になるもの

値動きを生む原因には、いくつかの種類があります。J-FLECの教材の整理です。

名前 中身
価格変動リスク 株や債券などの値段が上がったり下がったりする
信用リスク 投資先の会社の財務や経営の状況(不祥事・倒産など)
為替変動リスク 外貨建てのものを円に換えるときの為替レートの動き
カントリーリスク 国や地域の政治・経済の環境(天災や戦争など)

たとえば、海外の株に投資する投資信託なら、株の値動きに加えて為替の動きも受けます。何に投資しているかで、どのリスクを受けるかが変わります。

自分が受け止められる幅を、金額で考える

リスクの意味が分かったら、次は「自分はどのくらいの値動きまで受け止められるか」です。これをリスク許容度と言うこともあります。

100万円が1割下がると10万円、2割で20万円、3割で30万円減る
図:計算の例。「何%」より「何万円」で考えると、自分が耐えられる幅が分かりやすい

いちばん分かりやすいのは、割合ではなく金額で考えることです。たとえば100万円を投資して、値下がりしたときの金額を思い浮かべてみます(計算の例です)。

下がった割合 減る金額 残る金額
1割 10万円 90万円
2割 20万円 80万円
3割 30万円 70万円

「20万円減っても、生活は困らないし、売らずに待てる」なら、その額は受け止められる範囲です。「10万円減ったら眠れない」なら、投資に回す額を減らします。

受け止められる幅は、気持ちだけでなく、次のことでも変わります。

  • そのお金を使うまでの期間:使うまでの期間が長いほど、下がったときに売らずに待つ時間をとれます。数年以内に使うお金は、投資に向きません
  • 生活防衛資金があるか:あれば、値下がりのときに投資を売らずにすみます(生活防衛資金)
  • 収入の安定:毎月の収入が安定していれば、値下がりのときにも積立を続けやすくなります

幅を受け止めやすくする方法

受け止められる幅が小さいと感じても、投資をあきらめる必要はありません。

  • 投資に回す額を減らす:預金と投資の割合を変えれば、全体の値動きの幅を小さくできます
  • 長期・積立・分散:時間を分け、買う時期を分け、買うものを分けることで、値動きとうまく付き合う方法です。くわしくは長期・積立・分散で扱います

はじめは少額で始め、実際に値動きを見て自分がどう感じるかを確かめ、それから額を決め直すのも、確かなやり方です。

よくある質問

リスクがゼロの投資はありますか?

投資である以上、結果の振れ幅がゼロのものはありません。元本が守られ、結果が前もって決まっているのは預貯金です。増やすことを目指すなら、ある程度の振れ幅を受け入れることになります。

リスクが大きいほど、たくさん増えるのですか?

そうとは限りません。リスクが大きいとは、大きく増える可能性も、大きく減る可能性もある、ということです。リスクを取れば必ずリターンが大きくなる、という意味ではありません。

自分のリスク許容度は、一度決めたら変わりませんか?

年齢、収入、家族、お金を使う時期が変われば、受け止められる幅も変わります。暮らしが変わったときには、投資に回す額や配分を見直します(リバランスと見直し)。

値動きの幅とリターンの関係が分かったら、次は「時間」です。増えた分がまた増える「複利」と、長く続けるほど増え方が大きくなる理由を見ていきます(複利と時間)。

出典:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「社会人として知っておきたいお金の話(若手層社会人向け)」2026年6月版(リスクは運用成果の振れ幅、保険のリスクとのちがい、リスクとリターンの関係、投資の主なリスク)、日本証券業協会「リスクとリターン」(投資の時間)、日本証券業協会「投資信託のリスクの高低はどう見分ける?」(投資の時間)(いずれも2026年10月28日確認)

この回のまとめ

  • 投資のリスクは「運用成果の振れ幅」のこと。大きく増えるかもしれないし、大きく減るかもしれない、という意味
  • リスクとリターンは比例する。リスクが低くてリターンが高い金融商品はない
  • 投資の前に、下がっても売らずにいられる額を金額で考える。受け止められる幅に合わせて、投資に回す額を決める

確かめ問題

  1. Q1. 投資の世界で「リスクが大きい」とは、「損をする可能性が高い」という意味だけである。○か×か

    答えを見る

    ×

    リスクは運用成果の振れ幅のことで、大きく増えるかもしれないし、大きく減るかもしれない、という両方の意味です。

  2. Q2. 「リスクが低くて、リターンが高い」金融商品はありますか?

    答えを見る

    ない

    リスクとリターンは原則として比例します。そう説明された商品は、しくみをよく確かめます。

  3. Q3. 一般に、株式・債券・投資信託のうち、リスクとリターンが中間とされるのはどれですか?

    答えを見る

    投資信託

    株式はハイリスク・ハイリターン、債券はローリスク・ローリターン、投資信託はその中間といわれます。ただし中身によって変わります。

もっとくわしく

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