投資の教科書

第2章 投資のしくみ 2-5・読む時間 約6分・最終更新 2026年10月28日

投資の手数料と税金をわかりやすく|信託報酬・購入時手数料と、利益にかかる20.315%

領収証とペン
領収証とペン

「投資信託を買おうとしたら、手数料、信託報酬、留保額……と、知らない言葉がたくさん出てきた」。「利益が出たら税金がかかるらしいけれど、いくらなのか分からない」。そう感じていませんか。

投資のコストは、預金の利息のように目に見える形で出てくるものばかりではありません。毎日少しずつ差し引かれるものもあり、気づかないうちに増えるはずだった分を減らしています。ただ、しくみを一度知ってしまえば、見るところは多くありません。この回で、手数料と税金を順に整理します。

前の回(長期・積立・分散)では、値動きとうまく付き合う3つの方法を見ました。この回は、値動きとは別に、確実にかかってくるお金の話です。

この回でわかること

  • 投資信託の手数料が、買うとき・持っている間・売るときのどこでかかるか
  • 毎年かかる手数料(信託報酬)の小さな差が、長い目で大きくなる理由
  • 利益にかかる税金20.315%の内訳と、NISAで非課税になるもの

結論

  • 手数料は、買うとき(購入時手数料)・持っている間(信託報酬)・売るとき(信託財産留保額など)にかかる。いちばん見落としやすいのは、持っている間ずっと差し引かれる信託報酬
  • 信託報酬は毎年の差は小さく見えても、複利と同じで長く持つほど差が開く。同じようなものなら、コストの低いほうが手元に残りやすい
  • 利益(値上がり益・配当・分配金)には、ふつう20.315%の税金がかかる。NISAの口座なら、この税金がかからない

投資信託の手数料は、3つの場面でかかる

はじめての人が最初に買うことの多い投資信託(たくさんの人のお金をまとめて、専門家が株や債券などに投資する商品)では、手数料は主に3つの場面でかかります。資産運用業協会(旧 投資信託協会)の説明をもとに整理すると、次のとおりです。

買うときは購入時手数料、持っている間は信託報酬、売るときは信託財産留保額
図:いちばん見落としやすいのは、持っている間ずっと差し引かれる信託報酬
いつ 名前 どう払うか
買うとき 購入時手数料 買うときに、販売会社(証券会社や銀行)に直接払う。申込金額の数%がめやす。かからないもの(ノーロード)もある
持っている間 運用管理費用(信託報酬) 投資信託の財産から、持っている額に応じて日々差し引かれる。年率で示される
売るとき 信託財産留保額 売るときに差し引かれる。かかるものとかからないものがある

このほかに、決算ごとの監査の費用や、投資信託の中で株などを売買するときの手数料も、投資信託の財産から差し引かれます。

それぞれの金額や率は、投資信託ごとに「目論見書(もくろみしょ)」という説明書に書かれています。証券会社のサイトでも、投資信託の詳しいページで見られます。

いちばん見落としやすいのは「信託報酬」

3つのうち、いちばん気づきにくいのが信託報酬です。

購入時手数料は、買うときに一度だけ、金額がはっきり表示されます。ところが信託報酬は、自分で払う手続きがありません。投資信託の財産から毎日少しずつ差し引かれ、その後の値段(基準価額)に反映されます。請求書が来ないので、払っている実感がないまま、持っている間ずっとかかり続けます。

集めた信託報酬は、販売会社・運用会社・信託銀行の3者で分けられます。この3者がそれぞれ何をしているかは、次の回(投資信託のしくみ)で見ます。

小さな差が、長い目で大きくなる

信託報酬は「年0.1%」「年1.0%」のように、小さな数字で書かれています。1年だけなら、100万円に対して1,000円と1万円の差です。ところが、毎年かかるので、複利と時間の回で見たのと同じように、長く持つほど差が開きます。

信託報酬が年0.1%なら20年後に約177万円、年1.0%なら約149万円
図:毎年の差は0.9%でも、20年で約28万円の差になる(仮に、コストを引く前で年3%で増えるとした簡単な試算)

例で見てみます。100万円を、仮に、コストを引く前で毎年年3%で増える投資信託に20年入れておくとします。簡単のために、信託報酬の分をそのまま年3%から引いて計算します。

信託報酬(仮) 実質の増え方(仮) 20年後
年0.1% 年2.9% 約177万円
年1.0% 年2.0% 約149万円

差は約28万円です。もとの100万円の3割近い差が、毎年の「0.9%」の違いから生まれます。

ここで大事なのは、信託報酬は値段が下がった年にも、必ずかかることです。値上がりは約束されませんが、コストは毎年確実にかかります。だから、同じ指数に連動するものなど、中身が同じようなものをくらべるなら、コストの低いほうが手元に残りやすくなります。

同じような投資信託がいくつもあるときに、信託報酬をどう見くらべるかは、第3章の投資信託の見るところでくわしく扱います。

株を自分で売買する場合は、売り買いのたびに証券会社に払う売買手数料がかかります。株の注文と手数料は、株の買い方で説明します。

利益にかかる税金は20.315%

投資で利益が出ると、税金がかかります。株や株式投資信託の値上がり益(売ったときの利益)や、配当・分配金にかかる税率は、ふつうの口座では**20.315%**です。

10万円の利益のうち、税金が20,315円、手元に残るのは79,685円
図:ふつうの口座では、利益の20.315%が税金になる
税金の種類 税率
所得税 15%
復興特別所得税など 0.315%(所得税15%×2.1%)
住民税 5%
合計 20.315%

2つ目の0.315%は、所得税の額に2.1%を上乗せする形でかかる税金です。もとは全部が復興特別所得税でしたが、国税庁によると、2027年1月からは、このうち1%分が新しくできた防衛特別所得税、1.1%分が復興特別所得税に分かれます。合わせた率(2.1%)は変わらないので、20.315%という合計も変わりません。金融庁のNISAの説明では、これをまとめて「約20%」と書いています。

たとえば、ふつうの口座で10万円の利益が出ると、税金は20,315円で、手元に残るのは79,685円です。

税金は利益に対してかかるので、損をしたときにはかかりません。また、同じ年に、ある株や投資信託で損、別の株や投資信託で利益や配当が出たときは、確定申告をすれば損と利益を差し引きできます(損益通算)。差し引ききれなかった損は、毎年続けて確定申告をすれば、翌年から3年間繰り越せます。

証券口座を開くときに「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでおくと、証券会社が利益を計算して税金を差し引いてくれるので、原則として自分で確定申告をしなくてすみます。

NISAなら、利益に税金がかからない

この20.315%の税金がかからないのが、NISAです。金融庁によると、NISAの口座で買ったものの運用益(売却益・配当・分配金)は非課税になります。先ほどの10万円の利益の例なら、20,315円がそのまま手元に残る計算です。

ふつうの口座は利益に20.315%の税金がかかり、NISAの口座は運用益が非課税。NISAの損は損益通算の対象外で、手数料はどちらもかかる
図:NISAで非課税になるのは利益にかかる税金。信託報酬などの手数料はかかる

ただし、国税庁によると、NISAの口座の中で出た損は、損益通算や繰り越しの対象になりません。NISAの枠や細かいルールは、NISAのしくみにまとめています。

コストを小さくするための考え方は、まとめると2つです。

  • 手数料:同じようなものなら、信託報酬などのコストが低いものを選ぶ
  • 税金:NISAの枠を使えるなら、まずNISAで買う

どちらも、一度決めてしまえば、あとは毎年じわじわと効いてきます。

よくある質問

信託報酬はどこで確かめればよいですか?

投資信託ごとの説明書である目論見書に、運用管理費用(信託報酬)の年率が書かれています。証券会社のサイトの、投資信託の詳しいページでも見られます。見くらべ方は投資信託の見るところで取り上げます。

利益が出たら、毎回自分で確定申告が必要ですか?

証券口座で「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいれば、証券会社が税金を差し引くので、原則として確定申告はしなくてすみます。「源泉徴収なし」や一般口座の場合は、自分で確定申告をします。

NISAなら手数料もかからないのですか?

NISAで非課税になるのは、利益にかかる税金です。投資信託の信託報酬などの手数料は、NISAの口座で持っていてもかかります。

手数料が投資信託の「財産から差し引かれる」とは、どういうことなのか。次の回からは第3章に入り、まず投資信託のしくみを見ていきます。

出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」、国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」、国税庁「No.1476 特定口座制度」、国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」、資産運用業協会(旧 投資信託協会)「投資信託の税金」、資産運用業協会「投資信託のコスト」、金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」(いずれも2026年10月確認)。信託報酬の計算例は、仮に年3%で毎年同じように増えるとし、信託報酬をそのまま差し引いた簡単な試算です。税制は変わることがあります。

この回のまとめ

  • 手数料は、買うとき(購入時手数料)・持っている間(信託報酬)・売るとき(信託財産留保額など)にかかる。いちばん見落としやすいのは、持っている間ずっと差し引かれる信託報酬
  • 信託報酬は毎年の差は小さく見えても、複利と同じで長く持つほど差が開く。同じようなものなら、コストの低いほうが手元に残りやすい
  • 利益(値上がり益・配当・分配金)には、ふつう20.315%の税金がかかる。NISAの口座なら、この税金がかからない

確かめ問題

  1. Q1. 投資信託の「信託報酬(運用管理費用)」は、いつかかりますか?

    答えを見る

    持っている間、ずっと(日々)

    信託報酬は、投資信託の財産から保有額に応じて日々差し引かれます。自分で払う手続きがないので気づきにくいコストです。

  2. Q2. ふつうの口座で10万円の利益が出たとき、かかる税金はいくらですか?

    答えを見る

    20,315円

    税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税など0.315%+住民税5%)なので、10万円×20.315%=20,315円です。

  3. Q3. NISAの口座で出た値上がり益や配当には、税金がかかりますか?

    答えを見る

    かからない

    NISAは、売却益や配当・分配金などの運用益が非課税になる国の制度です。

もっとくわしく

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