第4章 NISAを使う 4-4・読む時間 約6分・最終更新 2026年10月28日
NISAは毎月いくら積み立てる?|無理のない金額の決め方と、つみたて投資枠・成長投資枠の使い分け


「NISAの口座はできた。でも、毎月いくら積み立てればいいのか分からない」「つみたて投資枠と成長投資枠、どちらで買えばいいの?」。設定の画面まで来て、ここで手が止まる人は多いです。
前の回(口座を開いてから、つみたて設定を終えるまで)で、設定の流れは分かりました。この回では、そこに入れる「金額」と「枠」の決め方をまとめます。むずかしい計算はいりません。家計の数字と、ちょっとした想像だけで決められます。
この回でわかること
- 積立額を「家計の残り」から下へ向かって決める3つの手順
- 決めた額が「下がっても続けられる額」かどうかの確かめ方
- はじめはつみたて投資枠だけでよい理由と、成長投資枠を足すとき
結論
- 積立額は「いくら増やしたいか」からではなく、「毎月いくら残るか」から下へ向かって決めます
- 決めた額で積み立てたお金が3割下がった場面を思い浮かべ、それでも売らずにいられる額にします
- はじめはつみたて投資枠で毎月の自動積立だけで十分です。成長投資枠は、余裕が出てから足します
金額は「家計の残り」から下へ向かって決める
積立額を「老後に〇〇万円ほしいから、毎月〇万円」と、目標から逆算して決める人がいます。目標を持つのはよいことですが、金額をそこから決めると、家計に合わない額になりがちです。無理な額は、どこかで続かなくなります。
おすすめは、家計の数字から下へ向かって決める方法です。手順は3つです。
- 毎月いくら残るかを出す。 手取りから毎月の生活費を引いた額です。出し方は投資の前に、毎月いくら残るかを知るにまとめています
- そこから「投資に回さないお金」を引く。 生活防衛資金(収入が止まっても暮らせるお金)がまだ貯まっていないなら、その積み増し分。5年以内に使う予定のお金(車・教育費・住宅の頭金など)の積み立て分も、ここで除きます
- 残った額のうち「下がっても続けられる額」を積立額にする。 残りを全部回す必要はありません。半分や7割など、余裕を持たせた額で始めます
5年以内に使うお金を入れないのは、使う時期にちょうど値下がりしていると、損を承知で売ることになるからです。投資に回すのは「当分使わないお金」だけにします。生活防衛資金をどこに置くかは生活防衛資金:いくら、どこに置いておくかをご覧ください。
なお、NISAの年間の投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円です。これは「ここまで使える」という上限で、使い切る必要はありません。大事なのは枠を埋めることではなく、決めた額を長く続けることです。
「下がっても続けられるか」を数字で確かめる
手順3の「下がっても続けられる額」は、頭で考えるより、数字で思い浮かべるほうが分かりやすくなります。たとえば、月3万円を3年積み立てると、元本は108万円です。そこで相場が下がり、時価が3割下がったとします。108万円の3割下がりは約76万円で、約32万円減った計算です。
証券会社の画面で、この「約32万円のマイナス」を見たときの自分を想像してみてください。
- 「戻るまで放っておける」と思えるなら、その額で大丈夫です
- 「夜眠れない」「売ってしまいそう」と感じるなら、額を下げます。月3万円を2万円にしても、続けられるほうが結果としてよいことが多いです
これは、3割下がると決まっているという話ではありません。値動きの幅は、買うものと時期によって変わります。ただ、株式の投資信託では、短い期間に大きく下がることは何度もありました。リスクとは「危ない」ではなく「値動きの幅」のことです(リスクとは「値動きの幅」のこと)。その幅を、始める前に一度受け止めておくのが、この確かめの目的です。
下がったときの考え方は、第5章の下がったときにどうするかでくわしく扱います。
2つの枠は、まず「つみたて投資枠だけ」でよい
NISAには、つみたて投資枠(年120万円)と成長投資枠(年240万円)の2つの枠があります。2つは同じ年に両方使えます。どちらで買うか迷ったら、はじめはつみたて投資枠だけで十分です。
理由は3つあります。
- 商品が絞られている。 つみたて投資枠で買えるのは、長期の積立・分散に向くとして国の基準を満たした投資信託などに限られます。はじめての人が選びやすい枠です
- 自動にしやすい。 毎月決まった日に決まった額を買う設定にすれば、あとは触らなくて続きます
- 月10万円まで入る。 年120万円は、毎月同じ額なら月10万円です。はじめての人の積立額なら、たいていこの枠に収まります
成長投資枠を足すのは、こんなとき
| こんなとき | 使う枠 |
|---|---|
| 毎月同じ額をコツコツ積み立てる | つみたて投資枠 |
| 積立を月10万円より多くしたい | 成長投資枠でも積立ができる |
| ボーナスなど、まとまったお金が入った | 成長投資枠 |
| 個別の会社の株を持ってみたい | 成長投資枠 |
成長投資枠は「余裕が出てから足す枠」と考えると迷いません。2つの枠の細かい決まり(生涯の上限1,800万円の数え方、売ったら枠が戻るしくみなど)はNISAのしくみに、枠の分け方の具体例は解説記事「NISAをうまく使うコツ」にまとめています。ここでは二重に書きません。
金額を決めたら、変えるのは年に1回でよい
積立額は、一度決めたら毎月見直す必要はありません。変えるのは、次のようなときだけで十分です。
- 年の初めなど、決まった時期に1回
- 収入が大きく変わったとき(昇給・転職・退職など)
- 大きな出費の予定が決まったとき(家の購入・子どもの進学など)
相場が上がったから増やす、下がったから減らす、という変え方はおすすめしません。値動きを見て額を変えると、結局「高いときに多く買い、安いときに少なく買う」ことになりやすいからです。額は相場ではなく、暮らしの変化に合わせて変えます。見直し方はリバランスと見直しで扱います。
よくある質問
少ない額でも、積み立てる意味はありますか?
あります。少ない額でも、続けるうちに「下がっても放っておく」経験が積めます。家計に余裕が出たら額を増やせばよいので、最初は無理のない額で始めるほうが長続きします。
ボーナスのときだけ多めに買ってもいいですか?
かまいません。毎月の積立はつみたて投資枠で続け、ボーナスで入ったお金は成長投資枠で買う、という分け方があります。ただし、そのお金が近く使う予定のないお金かどうかを先に確かめます。
NISAとiDeCo、どちらに先にお金を回せばいいですか?
いつでも引き出せるNISAと、原則60歳まで引き出せないiDeCoでは、向いているお金が違います。次の回でくわしく扱います。
金額と枠が決まったら、もう1つの国の制度であるiDeCoとのちがいを見ておきましょう。次の回はiDeCoとのちがいです。
出典:金融庁「NISAを知る」(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html 、2026年10月確認)、国税庁 タックスアンサー No.1535 NISA制度(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm 、2026年10月確認)。3割下がる例は、考え方を示すための仮の数字で、将来の値動きを示すものではありません。
この回のまとめ
- 積立額は、毎月の残りから生活防衛資金の積み増しと近く使うお金を除き、その中で「下がっても続けられる額」に決める
- 決めた額で何年か積み立てたあと、3割下がった場面を数字で思い浮かべ、それでも売らずにいられるかを確かめる
- はじめはつみたて投資枠で毎月の自動積立だけにする。月10万円を超えて積み立てたいときや、まとまったお金が入ったときに成長投資枠を足す
確かめ問題
Q1. NISAの年間の投資枠360万円は、毎年使い切ったほうがよい。○か×か
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×
360万円は上限で、使い切る必要はありません。家計から「続けられる額」を決めるのが先です。
Q2. つみたて投資枠だけで積み立てられるのは、1か月あたりいくらまで?
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月10万円(年120万円)
つみたて投資枠の年間の枠は120万円なので、毎月同じ額なら月10万円までです。
Q3. 5年以内に使う予定のあるお金は、積立に回すお金に入れる?入れない?
答えを見る
入れない
使う時期に値下がりしていると、損を承知で売ることになります。近く使うお金は預金に分けておきます。