投資の教科書

第2章 投資のしくみ 2-1・読む時間 約7分・最終更新 2026年10月28日

投資とは?預金とのちがい|株・債券・投資信託のしくみを1ページで

お札と硬貨と電卓
お札と硬貨と電卓

「投資を始めたいけれど、株と投資信託は何がちがうの?」「債券って、名前は聞くけれど何なのか分からない」「そもそも預金とどうちがうの?」。言葉は知っていても、中身の説明はできない、という人は少なくありません。

第1章では、毎月いくら残るか、生活防衛資金、借金の返済の順番という、お金の土台を固めました(借金の返済・預金・投資は、どの順番で考えるか)。第2章からは、投資そのもののしくみに入ります。この回では、まず預金・株・債券・投資信託は、それぞれ「お金をどうする」ものなのかを、くらべながら見ていきます。

この回でわかること

  • 預金と投資のいちばん大きなちがい
  • 株・債券・投資信託は、それぞれ「お金をどうする」ものなのか
  • 預金と、証券会社に預けた株・投資信託の守られ方のちがい

結論

  • 預金は、元本が守られ、受け取る利息が前もって決まっています。投資は元本の保証がなく、増えるか減るかは前もって決まりません
  • 債券は国や会社にお金を貸すもの、株は会社の持ち主の一人になるもの、投資信託はたくさんの人のお金をまとめて専門家が株や債券などに投資するものです
  • 「安全」「よく増える」「すぐお金にできる」の3つがすべてそろった金融商品はありません。何のためのお金かで選びます

預金と投資のちがい

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の教材では、お金をためたり増やしたりする方法を、大きく「預貯金」と「投資」に分けています。

預貯金 投資
重視すること 確実性(元本保証あり) 増やすこと(元本保証なし)
結果 選んだときに決まっている(例外あり) 選んだときには決まっていない
手数料 原則かからない 買うときなどにかかることがある
主なもの 普通預金、定期預金 債券、株、投資信託

いちばん大きなちがいは、結果が前もって決まっているかどうかです。定期預金なら、預けるときに金利が決まっていて、満期にいくらになるかが分かります。投資は、値上がりすれば増え、値下がりすれば減ります。どのくらい動くかが「リスク」で、これは次の回でくわしく見ます(リスクとは「値動きの幅」のこと)。

預けたお金は、どこへ行くのか

預金も投資も、最後は世の中の会社や国の活動に使われます。ちがうのは、間に入る人がいるかどうかです。

預金は銀行が間に入って会社などに貸し、決まった利息が払われる。株・債券は会社や国に直接お金を出す
図:ちがうのは、間に入る人がいるかどうか。直接お金を出す分、得るものも損も大きくなりうる
  • 預金:あなたは銀行にお金を預け、銀行がそのお金を会社などに貸します。銀行が間に入り、あなたには決まった利息が払われます
  • 株・債券:あなたが(証券会社を通じて)会社や国に直接お金を出します。会社のもうけや、国・会社の約束にもとづいて、利益や利子を受け取ります

直接お金を出す分、うまくいけば得るものが大きく、うまくいかなければ損をすることもあります。

株・債券・投資信託は「お金をどうする」ものか

4つを、「約束した利子・利息を受け取るのか、値動きで増えたり減ったりするのか」と「自分で直接お金を出すのか、間に入る人がいるのか」の2つで分けると、ちがいが見えやすくなります。

約束した利子を受け取るか値動きで増減するか、自分で直接か間に入る人がいるかで、債券・株・預金・投資信託を整理した図
図:債券と預金は約束した利子・利息を受け取り、株と投資信託は値動きで増減する。預金と投資信託は、間に入る人がいる

債券:国や会社にお金を貸す

債券は、国・自治体・会社などが、お金を借りるために出すものです。国が出すものを国債、会社が出すものを社債といいます。

  • 持っている間、利子を受け取れます
  • 満期(返してもらう約束の日)になると、額面の金額が返ってきます(償還)
  • 発行した会社などが倒産すると、返ってこないことがあります
  • 満期の前に売るときは、そのときの値段で売ることになり、額面より高いことも安いこともあります

J-FLECの教材では、債券はリスクが小さくリターンも小さめで、基本的に安全性は高め(ローリスク・ローリターン)とされています。

株:会社の持ち主の一人になる

株(株式)は、会社がお金を集めるために出すものです。株を買うと、その会社の持ち主(株主)の一人になります。

  • 会社の成績や景気などによって、株価が上がったり下がったりします
  • 会社がもうけの一部を株主に分ける配当金を受け取れることがあります
  • 一般にリスクもリターンも大きくなります(ハイリスク・ハイリターン)

株価が何で動くか、どう買うかは、第6章(株とは何か:株価が動くしくみ)でくわしく扱います。

投資信託:お金をまとめて、専門家が分けて投資する

投資信託は、たくさんの人から集めたお金をひとつにまとめ、運用会社という専門家が、国内外の株や債券などに分けて投資するしくみです。J-FLECの教材では、特徴を次の3つにまとめています。

  • 専門家が運用する
  • 少額から投資できる
  • 分散投資でリスクを抑える

投資信託の値動きは、中に何が入っているかで変わります。株が多ければリスクもリターンも大きく、債券が多ければ小さくなる傾向があります。はじめての人が最初に買うことの多い投資信託は、第3章(投資信託のしくみ)でくわしく見ます。

利益は2種類

投資で得られる利益には、大きく2つあります。

  • 値上がり益:買ったときより高く売れたときの差額(キャピタルゲインとも言います)
  • 配当・利子・分配金:持っている間に受け取るお金(インカムゲインとも言います)

株なら値上がり益と配当、債券なら主に利子、投資信託なら値上がり益と分配金です。

3つの物差し:安全性・収益性・換金のしやすさ

金融商品は、次の3つの物差しで整理できます。J-FLECの教材の整理です。

安全性(元本や利子が確実か) 収益性(大きな収益が期待できるか) 流動性(すぐ換金できるか)
預貯金 ◎ △ ◎
株式 △ ◎ ○
債券 ○ ○ △
投資信託 △〜○ ○〜◎ ○

見てのとおり、3つともそろった金融商品はありません。だから、お金の目的で使い分けます。

  • すぐ使うかもしれないお金(生活防衛資金など)→ 安全性と換金のしやすさを重視して預金
  • 当面使う予定のないお金 → 収益性も考えて投資

第1章で生活防衛資金を預金に置き、投資と分けたのは、このためです(生活防衛資金:いくら、どこに置いておくか)。

預金と投資の「守られ方」のちがい

銀行や証券会社が破綻したときの守られ方も、預金と投資ではちがいます。

預金は1金融機関ごとに元本1,000万円までと利息等、証券会社に預けた資産は返せない場合に1人1,000万円まで補償。値下がりの損はどちらも守られない
図:どちらの制度も、値下がりによる損は守らない
  • 預金:預金保険制度で守られます。利息の付く普通預金や定期預金は、1つの金融機関ごと・預金者1人あたり、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が守られます。当座預金や利息の付かない普通預金などの決済用預金は全額です(金融庁)
  • 証券会社に預けた株・投資信託など:証券会社は、客の資産を自分の財産と分けて管理すること(分別管理)が法律で義務付けられています。分別管理がうまくいかず資産を返せない場合に限り、日本投資者保護基金が1人あたり1,000万円を上限に補償します

大事なのは、どちらの制度も値下がりによる損は守らないことです。日本投資者保護基金も、値下がりによる損失を補償するものではないと明記しています。投資の値動きは、自分で受け止めるものです。

なお、投資はギャンブルとはちがいます。J-FLECの教材では、ギャンブルは集めたお金から主催者の運営料を引いた残りを参加者で取り合うしくみ、投資は会社や国の成長を期待してお金を出し、その成長から利益を得ることを目指すしくみ、と説明しています。

よくある質問

投資信託は、銀行で買えば預金と同じように守られますか?

いいえ。投資信託は預金ではなく、元本が保証されていません(金融庁)。銀行の窓口で買っても、値下がりすれば損をします。

はじめての人は、株・債券・投資信託のどれから始めればいいですか?

はじめての人は、少額でたくさんの会社にまとめて投資できる投資信託から始めることが多いです。NISAのつみたて投資枠で買えるのも、主に投資信託です(NISAのしくみ)。個別の株は、第6章で株のしくみを知ってからでも遅くありません。

外貨預金は、預金ですか、投資ですか?

外貨預金は「預金」という名前ですが、為替の動きで円に戻したときの金額が変わり、預金保険の対象外です(金融庁)。値動きがあるという意味では、投資に近いものとして考えます。

預金と投資のちがい、株・債券・投資信託の中身が分かったら、次は、投資の「リスク」とは何かです。リスクは「危ない」ではなく「値動きの幅」のことです(リスクとは「値動きの幅」のこと)。

出典:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「社会人として知っておきたいお金の話(若手層社会人向け)」2026年6月版(預貯金と投資、金融商品の3つの観点、株式・債券・投資信託の特徴、投資とギャンブルのちがい)、日本証券業協会「投資信託のリスクの高低はどう見分ける?」(投資の時間)、日本投資者保護基金「投資者保護とは」、金融庁「預金保険制度」、金融庁「金融サービス利用者相談室 預金・融資等に関する相談事例等」(外貨預金は預金保険の対象外、投資信託は元本が保証されていない。いずれも2026年10月28日確認)

この回のまとめ

  • 預金は元本が守られ、結果が前もって決まっている。投資は元本の保証がなく、増えるか減るかは前もって決まらない
  • 債券は国や会社にお金を貸すもの、株は会社の持ち主の一人になるもの、投資信託はたくさんの人のお金をまとめて専門家が株や債券などに投資するもの
  • 安全性・収益性・換金のしやすさの3つがすべてそろった金融商品はない。目的に合わせて選ぶ

確かめ問題

  1. Q1. 国や会社にお金を貸して、利子を受け取り、満期に額面の金額が戻ってくるのは、株と債券のどちらですか?

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    債券

    債券は、国・自治体・会社などにお金を貸すものです。ただし、発行した会社などが倒産すると返ってこないことがあります。

  2. Q2. 証券会社が破綻したとき、投資者保護基金は、持っている株や投資信託の値下がりによる損も補償してくれる。○か×か

    答えを見る

    ×

    投資者保護基金は、証券会社が客の資産を返せないときに1人1,000万円まで補償するしくみで、値下がりによる損は補償しません。

  3. Q3. 少額から、専門家の運用で、たくさんの株や債券にまとめて投資できるのは何ですか?

    答えを見る

    投資信託

    投資信託は、たくさんの人から集めたお金をまとめ、運用会社が株や債券などに分けて投資するしくみです。

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