投資の教科書

ブーケ・ド・フルーレット代表(元日興コーディアル証券国際市場分析部長)

馬渕治好の発言録|「目先は調整、長期は心配しない」データで読む世界の株と景気の見通しを時系列で

立ち位置:目先慎重・長期強気発言の記録 11件最終更新 2026年10月23日

旧日興証券で調査部門を歴任し、2009年から独立して経済・市場分析をしている人です。株価を利益と比べるPERや、お金の量と経済の大きさを比べる指標など、データを並べて「買われすぎ」かどうかを判断するのが持ち味で、2026年は日米の株価が割高で一部の銘柄に偏っているとして、いったん大きな調整があるとの見方を続けています。一方で、調整後は持ち直すとして長期の上昇は疑っていません。

東洋経済オンライン「【日本株は買われすぎ?】上がる日本株をデータで解剖/かつてのバブルとの違い/米国株は日本株以上に割高感/AI・半導体相場に漂う懸念/「アメリカはカネ余り」という誤解/日経平均が年内に調整する可能性は」 → この回の要点を読む

馬渕氏は独立系のストラテジストで、テレビやネット番組、講演で相場の見方を発信しています。「日経平均5万円割れ」などの数字は、PERなどが過去の普通の水準に戻ると仮定した計算で、必ずそうなるという予言ではありません。

ひとことで言うと

「今の株高は買われすぎ。いったん大きく下がるが、長期は心配していない」。2026年6月には、日本株も米国株も割高で、日経平均は30%ほど下がって5万円を割るリスクもあると述べつつ、それは「異常が正常に戻るだけ」だと説明しました(東洋経済オンライン)。2026年9月には「長期的には心配しない」が、その前に一度振り落としがあるとの見方を示しています(WORLD MARKETZ)。

一貫して言っていること

株価は「利益と比べて」割高かどうかを判断する

馬渕氏は、値動きだけでなく、株価が利益の何倍かを示すPERで割高・割安を判断します。2025年6月にはTOPIXのPERがふだんの真ん中に届いておらず日本株は割安だと述べました(日経CNBC)。2026年には、S&P500のPERが通常の15〜18倍を超えて20倍台、TOPIXも17倍台と、どちらも割高になったと繰り返しています(WORLD MARKETZ、東洋経済オンライン)。

「金余りだから株は上がる」は間違い

2026年6月以降、FRBが供給するお金は前年比マイナス、経済全体のお金(M2)の伸びも5%程度で、経済の大きさと比べた指標(マーシャルのk)は下がり続けていると指摘し、「空前の金余り」は誤解だと述べています。お金が足りなくなっているのに株価だけが上がる「ワニの口」のような状態は危ういという主張です(WORLD MARKETZ、WORLD MARKETZ)。

株高は一部のAI・半導体銘柄に偏っている

ナスダックをダウで割った自作の「NN比率」や、値上がり銘柄と値下がり銘柄の数を比べる「ADライン」を使い、S&P500の上昇は一部の大型AI・半導体株に引っ張られているだけだと述べています(WORLD MARKETZ、WORLD MARKETZ)。AIについては株価はバブルではないが、データセンター投資に利益や資金繰りがついてくるかに疑問が出ていると繰り返しています(WORLD MARKETZ、WORLD MARKETZ)。

米国経済の「弱いところ」を先に見る

大型トラックの販売や消費者心理(日経CNBC)、雇用統計の下方修正や派遣社員の減少(WORLD MARKETZ)、ローン延滞率や格付けの低い社債(日経CNBC)など、景気の先行きを示すデータの悪化を早めに指摘します。ただし減税や利下げなど打つ手があるので、リーマンショックのような深刻な事態にはならないとも述べています。

調整の後は持ち直す

2025年2月には「調整したからといって売るところではない」と述べ(日経CNBC)、2026年6月には割高さや偏りが消えれば株価は持ち直し、中間選挙前の法人減税も押し上げ要因になると述べました(WORLD MARKETZ)。下落を予想する理由は「市場の中の行き過ぎ」で、景気の大崩れではないという立場です。

見方の変化

時期 相場観
2025年2月 関税は先に来る悪材料、減税は後から来る希望。年前半は米国株・ドルの調整、年後半は明るい(日経CNBC)
2025年6月 日本株は割安。海外の長期投資家がゆっくり買い始め「いい相場が期待できる」(日経CNBC)
2026年2月 米国経済に黄色信号。トリプル安に警戒(日経CNBC)
2026年6月 日米とも買われすぎ。日経平均は5万円割れのリスクも、夏場が一つの勝負どころ(東洋経済オンライン)
2026年7月 ドル円は上限165円程度、米国株の調整で150円割れのリスク(WORLD MARKETZ)
2026年9〜10月 長期は心配しないが一度振り落とし。景気が悪いのに金利が上がるのは「最悪のシナリオ」(WORLD MARKETZ、WORLD MARKETZ)

判断の物差し(PERなどのデータ)は一貫しており、変わったのは株価の水準です。2025年は日本株を割安とみていましたが、株価が大きく上がった2026年には割高とみて、慎重な見方を強めています。

読むときの注意

  • 馬渕氏は独立系のストラテジストで、番組や講演で発信している立場です
  • 見通しの多くは「PERやNT倍率などは、いずれ過去の普通の範囲に戻る」という考え方を前提にしています。企業の利益が大きく伸び続ければ、株価が下がらなくても割高さが解消されることもあります
  • 「調整がいつ来るか」のタイミングは分からないと本人も繰り返し述べています

はじめての人が受け取れること

  • 株価が高いか安いかは、値動きではなく「利益の何倍か(PER)」で比べるという基本の考え方
  • 指数が上がっていても、上がっている銘柄の数が少ないことがある、という見方(ADラインやNN比率)
  • 「目先の見通し」と「長期の見通し」は別物で、同じ人が両方を分けて話していることがある

馬渕治好の発言の時系列

動画・記事の日付の新しいものから順に並べています。

2026年

  1. 2026年10月6日・WORLD MARKETZ(ストックボイス、YouTube)

    馬渕治好「景気悪化と金利上昇は株に最悪」|WORLD MARKETZ(2026年10月)

    2026年10月5日放送のWORLD MARKETZで、馬渕氏は米国の雇用や消費者心理が弱いのに長期金利が下がらないのは、米国の財政への不安が理由だと分析しました。景気が悪くなるのに金利が上がるのは株価にとって最悪のシナリオで、資金を必要とするAI・半導体企業を締め上げかねないと述べました。

    FRB・米金利景気・インフレ半導体・AI

  2. 2026年9月8日・WORLD MARKETZ(ストックボイス、YouTube)

    馬渕治好「長期は心配ないが一度振り落とし」|WORLD MARKETZ(2026年9月)

    2026年9月7日放送のWORLD MARKETZで、馬渕氏は強めの雇用統計で米国株が下がったのは、景気より金利上昇への心配が勝ったからだと説明しました。原油・軽油高やAI投資への疑問から、今秋は悪い方向の転換点になりうるが、長期的には株価を心配していないと述べました。

    米国株FRB・米金利景気・インフレ

  3. 2026年8月4日・WORLD MARKETZ(ストックボイス、YouTube)

    馬渕治好「AI投資に『お金あるの?』の疑念」|WORLD MARKETZ(2026年8月)

    2026年8月3日放送のWORLD MARKETZで、馬渕氏はハイパースケーラー(巨大IT企業)の決算で、データセンター投資を自社の稼ぎでまかなえるのかという疑念が出てきたと述べました。資金繰りの不安が半導体や製造装置の会社にドミノのように波及する恐れを指摘し、日米協調の為替介入は驚きだったとしました。

    半導体・AI米国株為替・円

  4. 2026年7月26日・日経CNBC(YouTube)

    馬渕治好「米経済の一番弱い輪が傷み始めた」|日経CNBC(2026年7月)

    2026年7月23日放送の日経CNBCで、馬渕氏は米国の家計と企業の「一番弱いところ(ウィーケスト・リンク)」が傷み始めていると述べました。ローンの延滞率の上昇や、格付けの低い社債・融資ファンドへの不安を挙げ、強いAIが息切れしたときに弱い部分が表に出ると株式市場は厳しいとの見方を示しました。

    米国株景気・インフレ暴落・リスク

  5. 2026年7月7日・WORLD MARKETZ(ストックボイス、YouTube)

    馬渕治好「米株高は一部の銘柄だけ。円は150円割れも」|WORLD MARKETZ(2026年7月)

    2026年7月6日放送のWORLD MARKETZで、馬渕氏は値上がり銘柄と値下がり銘柄の数を比べる「ADライン」が横ばいなのにS&P500だけが上がっているとして、米国株の上昇は一部の銘柄だけだと述べました。ドル円は上限165円程度、米国株の調整で150円を割るリスクもあるとの見方を示しました。

    米国株為替・円暴落・リスク

  6. 2026年6月25日・東洋経済オンライン(YouTube)

    馬渕治好「日本株は買われすぎ。日経平均5万円割れのリスクも」|東洋経済オンライン(2026年6月)

    日経平均が7万円台に乗せた2026年6月の東洋経済オンラインの動画で、馬渕氏は日本株を「買われすぎ」と評価しました。TOPIXが15%ほど、日経平均が30%ほど下がって5万円を割るリスクがあるが、それは異常が正常に戻るだけで、バブル崩壊のような暴落ではないとの見方を示しました。

    日本株米国株暴落・リスク

  7. 2026年6月2日・WORLD MARKETZ(ストックボイス、YouTube)

    馬渕治好「米国株は高すぎる。『金余り』は間違い」|WORLD MARKETZ(2026年6月)

    2026年6月1日放送のWORLD MARKETZで、馬渕氏は米国株を「普通に見ると高すぎる」と評価しました。お金の量と経済の大きさを比べると米国はむしろ「金足らず」で、株価は一部のAI・半導体銘柄に引っ張られているだけだとし、いったん大きく下がった後に持ち直すとの見方を示しました。

    米国株半導体・AI暴落・リスク

  8. 2026年4月7日・WORLD MARKETZ(ストックボイス、YouTube)

    馬渕治好「米国の雇用の力はだいぶ衰えている」|WORLD MARKETZ(2026年4月)

    2026年4月6日放送のWORLD MARKETZで、馬渕氏は米国の雇用統計が大幅に下方修正されたことや、求人・派遣社員の減少から、米国の雇用の力は衰えてきていると述べました。中東情勢による原油高で、FRBは難しい舵取りを迫られるとの見方を示しました。

    米国株景気・インフレFRB・米金利

  9. 2026年2月8日・日経CNBC(YouTube)

    馬渕治好「米国経済に黄色信号。トリプル安には警戒を」|日経CNBC(2026年2月)

    2026年1月30日放送の日経CNBCで、馬渕氏は大型トラックの販売や消費者心理のデータから米国経済に「黄色信号」が出ていると述べました。トランプ大統領の発言で起きる株・債券・ドルのトリプル安を、ベッセント財務長官が追い払う「ハエ」にたとえ、急な悪化に警戒するよう呼びかけました。

    米国株景気・インフレ為替・円

2025年

  1. 2025年6月8日・日経CNBC(YouTube)

    馬渕治好「海外の長期投資家が日本株をゆっくり買い始めた」|日経CNBC(2025年6月)

    2025年6月の日経CNBCで、馬渕氏は「米国のトリプル安(株・債券・ドル安)」と「海外投資家の日本株買い」がゆっくり進むのか急に進むのかを論じました。今のところはゆっくりで、海外の年金など長期の投資家が着実に日本株を買う相場になるとの見方を示しました。

    日本株米国株為替・円

  2. 2025年2月9日・日経CNBC(YouTube)

    馬渕治好「関税は先に来る悪材料、減税は後から来る希望」|日経CNBC(2025年2月)

    第2次トランプ政権が始まった直後の2025年2月の日経CNBCで、馬渕氏はトランプ政権の政策を「パンドラの箱」にたとえ、悪い話(関税)が先に出て、良い話(減税)は年の後半に出てくると述べました。目先は米国株・米ドルの調整があり得るが、年後半は明るいとの見方です。

    米国株政治・政策為替・円

テーマ別に見る

米国株10件

ここに載せているのは、著名な専門家が公開の場(YouTubeの公式チャンネル・記事など)で話した内容の記録と要約です。投資の教科書が特定の銘柄や商品をおすすめするものではありません。見通しは話した時点のもので、外れることもあります。

ほかのご意見番