投資の教科書

Oaktree Capital Management 共同創業者・共同会長

ハワード・マークスの発言録|「株価は高いが狂ってはいない」慎重な相場観を時系列で

立ち位置:慎重・リスク管理重視発言の記録 12件最終更新 2026年10月23日

社債や融資などの「クレジット」投資を中心とする米運用会社オークツリーの共同創業者・共同会長で、35年以上にわたり投資家向けの「メモ」を公開してきました。予想に頼らず、投資家心理の振り子と値段の高さからリスクを測るのが特徴です。2025年以降は、米国株は割高だが「狂ってはいない」、AIは本物の変革技術だが投資は「ほどほど」に、という慎重な立場を一貫して示しています。

利害について:オークツリーは社債・融資などのクレジット投資が中心の運用会社で、本人も「自分の商売の話(talking your own book)」と断ってクレジットの魅力を語ることがあります。同社はブルックフィールドの傘下にあります

Bloomberg Television「Howard Marks Flags Uncertainty in AI Investing」 → この回の要点を読む

マークス氏は社債・融資などのクレジット投資を中心とする運用会社の経営者です。クレジットを勧める発言は、その立場を踏まえて読んでください。英語の発言・メモは、このサイトで要約して日本語にしています。

ひとことで言うと

「割高だが狂ってはいない。だから全力も、まったく持たないのも避ける」。2025年10月には米国株を「高いが狂ってはいない」と表現し(CNBC)、同年12月のメモでは、AIがバブルかどうかは後からしか分からないので「ほどほどの持ち方」が最善だと結論づけました(メモ)。2026年9月には、相場は楽観派に支配されており少し慎重になる時期だと述べています(Bloomberg)。

一貫して言っていること

未来は誰にも分からない。予想より「当たる確率」を考える

2025年4月の関税ショックでは、頼れる事実も前例もなく「誰にも分からない」としつつ、何もしないことも一つの行動だと書きました(メモ)。予想をするなら、その予想が当たる確率も見積もる必要があると繰り返し述べています(Bloomberg、Bloomberg)。

「割高」と「すぐ下がる」は別

2025年8月、米国株は割高でバブルの初期段階かもしれないとしつつ「警報を鳴らしているわけではない」と述べ(Bloomberg)、10月には「高いが狂ってはいない」と表現しました(CNBC)。バブルかどうかは値段より、「高すぎる値段はない」と思い込む心理の行き過ぎで判断するという立場です。

AIは本物。でも投資の値段は別問題

AIは社会を元に戻らないほど変える技術だとし(Bloomberg)、2026年2月にはその可能性は「過小評価されている可能性が高い」と述べました(メモ)。それでも、それはAIへの投資が割安だという意味ではないとし、不確かさを認めて「どの形で・どれだけ賭けるか」に反映させるよう求めています(Bloomberg)。

良い時代ほど基準が下がる。下げた時に動けるよう備える

「最悪の融資は最良の時代に行われる」とし、17年間厳しい時期がなかったことで規律が緩んだと指摘しました(Bloomberg、メモ)。暴落は予想しないが、来たら積極的に買えるよう待つという姿勢で、値下がりは「売り出し中」だと述べています(Bloomberg)。

金利は市場に任せるべき

FRBはふだんは控えめにし、深刻な過熱か失業の時だけ動くべきだと述べ(Bloomberg)、2026年9月には財務省の長期金利抑制策を「見た目だけの改善」と批判しました(メモ)。上がってきた金利も、長い歴史で見れば高くないとしています(Brookfield)。

見方の変化

時期 相場観
2025年4月 関税はキャリアで最大級の環境変化。先は分からないが、値下がりは「売り出し中」(Bloomberg、メモ)
2025年8月 米国株は割高で、バブルの「初期段階」かもしれない。少し守りを(Bloomberg)
2025年10月 「高いが狂ってはいない」。バブルという言葉は使わない(CNBC)
2025年12月 AIがバブルかは後からしか分からない。全力も、ゼロも避ける(メモ)
2026年2〜3月 AIの可能性はむしろ過小評価。ただし世界はかつてなく予測しにくく、慎重に待つ(メモ、Bloomberg)
2026年9月 相場は楽観派に支配されている。財政赤字と金利上昇は「見た目」でなく原因に向き合え(Bloomberg、メモ)
2026年10月 金利上昇で不安が出てきた今は、2か月前より買い時に近い(Brookfield)

慎重な立場は一貫しています。変わったのは、AIを技術として高く評価するようになった点と、2026年秋に金利上昇で市場に不安が出てきたことで「買い時に近づいた」と見方をやや前向きにした点です。

読むときの注意

  • マークス氏はクレジット(社債・融資)投資が中心の運用会社オークツリーの共同会長で、同社は親会社ブルックフィールドの傘下にあります。クレジットの魅力を語る部分は、本人も自分の商売の話だと断っています
  • 本人は株式市場で直接運用しておらず、AIの専門家でもないと述べたうえで、投資家心理の観察から判断しています
  • 発言はアメリカの市場が中心です。日本の読者は、為替や日本株にそのまま当てはまるとは限らない点に注意してください

はじめての人が受け取れること

  • 「良い会社」と「今の値段が妥当か」は別の問題です。人気の株ほど、値段の高さを一度確かめてみましょう
  • 相場を予想しなくても、「みんなが楽観的すぎないか、悲観的すぎないか」を見るだけで、守りを増やすか攻めるかの手がかりになります
  • 全力で賭けるのも、まったく持たないのも、どちらも大きなリスクです。分からない時ほど「ほどほど」の持ち方を考えましょう

ハワード・マークスの発言の時系列

動画・記事の日付の新しいものから順に並べています。

2026年

  1. 2026年10月1日・Brookfield(YouTube)

    ハワード・マークス「今の金利は高くない。買い時に近づいている」|Brookfield(2026年10月)

    オークツリーの親会社ブルックフィールドの投資家向けイベントで、マークス氏はブルース・フラット氏と対談し、上がってきた金利は歴史的に見れば高くなく、実態を正しく反映していると述べました。投資家の頭の中は「完璧」と「絶望」を行き来するとし、2か月前より今の方がずっと良い買い時に近いとの見方を示しています。

    FRB・米金利半導体・AI暴落・リスク

  2. 2026年9月22日・Oaktree Capital(メモ)

    ハワード・マークス「金利を下げることではなく、上げている原因に向き合え」|オークツリーのメモ(2026年9月)

    メモ「Shall We Repeal the Laws of Economics – Part III」で、マークス氏は米財務省が長期国債の買い戻しを増やして長期金利を抑えようとしていることを「見た目だけの改善」と批判しました。金利上昇の背景にはインフレ、財政規律の欠如、AI投資などによる資金需要があるとし、それでも米国株を売ることが答えではないと書いています。

    FRB・米金利政治・政策為替・円

  3. 2026年9月20日・Bloomberg Television(YouTube)

    ハワード・マークス「楽観派が相場を支配している。少し慎重に」|Bloomberg(2026年9月)

    カタール経済フォーラムの会場でブルームバーグの番組に出演したマークス氏は、2022年10月ごろから相場は楽観派に支配され、悪いニュースが軽く流されていると述べました。AIへの熱狂は明らかだが、それが「根拠のない」ものかは誰にも言えないとし、不確かさを認めたうえで投資の形や金額を決めるべきだと話しています。

    米国株半導体・AIFRB・米金利

  4. 2026年4月9日・Oaktree Capital(メモ)

    ハワード・マークス「良い時代に、人は十分に問いかけなかった」プライベート・クレジット|オークツリーのメモ(2026年4月)

    メモ「What's Going on in Private Credit?」で、マークス氏は1970年代からのクレジット市場の歴史をたどり、金融危機後に急成長した直接融資(ダイレクト・レンディング)が、良い時代に問いかけを怠った結果いま不安にさらされていると書きました。直接融資の行方は、融資先であるプライベート・エクイティ投資先企業の業績と強く結びついているとしています。

    暴落・リスクFRB・米金利

  5. 2026年3月18日・Bloomberg Television(YouTube)

    ハワード・マークス「どんなに良い資産も、高すぎれば命取りになる」|Bloomberg(2026年3月)

    ブルームバーグのイベントでマークス氏は、プライベート・クレジット(銀行以外の融資)への不安について、お金を貸すこと自体は健全だが、良い時代に多くの人が殺到すると基準が下がると述べました。AIで世界はかつてなく予測しにくくなったとし、楽観と信じやすさが優勢な今は、暴落が来たら積極的になれるよう慎重に待つと話しています。

    半導体・AI暴落・リスク米国株

  6. 2026年2月26日・Oaktree Capital(メモ)

    ハワード・マークス「AIの力は過大より過小評価されている」|オークツリーのメモ(2026年2月)

    12月のメモの補足として書いた「AI Hurtles Ahead」で、マークス氏はこの3か月でAIの能力が大きく飛躍したと述べ、その可能性は今、誇張されているより過小評価されている可能性が高いとしました。ただし、それはAIへの投資が割安だという意味ではないとし、12月と同じ「ほどほどの持ち方」を勧めています。

    半導体・AI米国株

2025年

  1. 2025年12月11日・Bloomberg Podcasts(YouTube)

    ハワード・マークス「みんなが好きなものは割高かも。気をつけるだけ」|Bloomberg(2025年12月)

    ブルームバーグの番組でマークス氏は、AIは社会を変える技術の進歩に伴うバブルの側に入るとしつつ、投資はできるが慎重であるべきだと述べました。FRBはふだんは控えめにして、深刻な過熱か失業の時だけ動くべきだとし、今は大きな利下げに意味を感じないと話しています。

    半導体・AIFRB・米金利米国株

  2. 2025年12月9日・Oaktree Capital(メモ)

    ハワード・マークス「AIに全力も、まったく持たないのも避ける」|オークツリーのメモ(2025年12月)

    メモ「Is It a Bubble?」で、マークス氏はAIをめぐる熱狂が「根拠なき熱狂」かどうかは誰にも確かには言えず、バブルは後からしか分からないと述べました。そのうえで、全力で賭けるのも、まったく持たないのも避け、選別と慎重さをもって「ほどほどの持ち方」をするのが最善だとの結論を示しています。

    半導体・AI米国株暴落・リスク

  3. 2025年10月13日・CNBC Television(YouTube)

    ハワード・マークス「株価は高いが、狂ってはいない」|CNBC(2025年10月)

    CNBCの番組でマークス氏は、AIへの熱狂と高い株価について「高いが狂ってはいない」との判断を示しました。バブルの一番の要素は「高すぎる値段はない」と思い込む心理の行き過ぎで、今はそこまでの熱狂は感じないとし、バブルという言葉は使っていないと述べています。

    米国株半導体・AI

  4. 2025年8月21日・Bloomberg Podcasts(YouTube)

    ハワード・マークス「米国株は割高。バブルの初期段階かもしれない」|Bloomberg(2025年8月)

    ブルームバーグのインタビューでマークス氏は、米国株は実態に比べて割高で、バブルの「初期段階」にあるかもしれないと述べました。警報を鳴らしているわけではないとしつつ、16年間大きな調整がなかったことで人々が調整を忘れていると指摘し、ポートフォリオに少し守りを入れる時期だとしています。

    米国株暴落・リスク

  5. 2025年4月9日・Oaktree Capital(メモ)

    ハワード・マークス「関税の行方は誰にも分からない。それでも決める」|オークツリーのメモ(2025年4月)

    関税発表後の急落を受けて公開したメモ「Nobody Knows (Yet Again)」で、マークス氏は今回の事態を2008年の金融危機になぞらえ、頼れる事実も前例もないと述べました。確信を行動の条件にすると何もできなくなるとし、「何もしない」ことも一つの行動だとして、急落時こそ割安なものを探すべきだと書いています。

    暴落・リスク政治・政策米国株

  6. 2025年4月4日・Bloomberg Television(YouTube)

    ハワード・マークス「関税ショックの下げはバーゲンセール」|Bloomberg(2025年4月)

    トランプ政権の関税発表で株価が急落した直後、ブルームバーグの番組でマークス氏は、関税を自分のキャリアで「おそらく最大の環境の変化」と表現しました。先のことは誰にも分からないとしつつ、値下がりは「売り出し中」なのだから、逃げるのではなく真剣に検討すべきだと述べています。

    米国株暴落・リスク政治・政策

テーマ別に見る

米国株9件

半導体・AI7件

暴落・リスク7件

ここに載せているのは、著名な専門家が公開の場(YouTubeの公式チャンネル・記事など)で話した内容の記録と要約です。投資の教科書が特定の銘柄や商品をおすすめするものではありません。見通しは話した時点のもので、外れることもあります。

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