みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌大輔の発言録|「円安は構造的。止める正攻法は利上げ」為替の見通しを時系列で
立ち位置:構造的円安発言の記録 13件最終更新 2026年10月23日
JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会などを経て、みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミストを務める為替の専門家です。円安は貿易赤字・デジタル赤字・NISAなどを通じた家計の円売りといった「お金の流れ」の構造から来ており、短い円高で「円安は終わった」と考えるべきではないと一貫して述べています。日本は「円安か金利上昇か」のどちらかを受け入れるしかなく、円安を止める正攻法は日銀の利上げだという立場です。
唐鎌氏はみずほ銀行に所属するエコノミストで、本人のnoteでは発信は個人的見解で所属組織とは無関係だとしています。為替の数字は、本人が前提つきで示した見通しで、約束された数字ではありません。
ひとことで言うと
「円安は構造的。短い円高で終わったと思わない方がいい。止める正攻法は利上げ」。2026年9月には、4年続いた円安は一時的ではないとし、米財務長官の発言で進んだ円高だけで「円安は終わった」と言うのはよくないと述べました(TBS CROSS DIG)。
一貫して言っていること
円安は「お金の流れ」の構造から来ている
2025年1月、投資信託を通じた海外証券の購入の急増を「異次元の円売り」と表現しました(PIVOT)。2025年8月には、日本は「人(インバウンド)で稼いでデジタルに払う」構図だとし、インバウンドには人手不足で天井がある一方、デジタルの支払いは増え続けると述べています(文藝春秋PLUS)。2026年9月には、インフレと貿易赤字の通貨を言葉で上げることはできないと述べました(文藝春秋PLUS)。
今は「円安の時代」の中の「円高の局面」
2025年4月、1973〜2012年は円高の時代、それ以降は円安の時代だとし、関税ショック後の円高を「円安時代の円高局面」と捉えるべきだと述べました(楽待)。2025年3月の円高も「投機的」だと警告しています(PIVOT)。2026年8月の日米協調介入の後も、介入だけでは続かないと述べました(楽待)。
日本は「円安か金利上昇か」を選ぶしかない
2025年3月、日本は円安と金利上昇のどちらを我慢するのか決断すべきだと述べました(PIVOT)。2025年12月には自身は「利上げすればいい」という立場だと明言し(日経ビジネス)、2026年9月には、両方嫌だと言えば両方を取らされると述べています(文藝春秋PLUS)。
極端な議論には「数字の意味」から反論する
2026年6月、「円はトルコリラより弱い」という話は指数の読み方を誤ったミスリードだと説明しました(TBS CROSS DIG)。2026年9月には、長期金利3%を受けた「破綻するから円売り」という見方も短絡的で、答えはだいたい真ん中にあると述べています(TBS CROSS DIG)。
ドルは最強だが、長い目では「ドル離れ」と多極化
2026年3月、有事に換金しやすいドルが買われることと、長い目で見たドル離れは両立すると述べました(TBS CROSS DIG)。9月には、米国への資金流入は株式と社債が中心で米国債は減っているとし(TBS CROSS DIG)、ドルは依然最強だが多極化が現実的な答えだと述べています(TBS CROSS DIG)。
見方の変化
| 時期 | 為替・金利の見方 |
|---|---|
| 2025年3月 | 158円台から149円台への円高は「投機的」で危険。FRBは金利を高く保たざるを得ない(PIVOT) |
| 2025年4月 | 「円安時代の円高局面」。関税が緩和される年後半は155〜160円もありうる(楽待) |
| 2025年12月 | 2026年の日銀の利上げは最大2回とみる。ドル円は下より上のリスクが高く、節目は162円付近(日経ビジネス) |
| 2026年3月 | 最大のリスクは欧米の利上げ転換。日銀の利上げの終点は2〜2.5%と考えた方がよい(TBS CROSS DIG) |
| 2026年8〜9月 | 協調介入後も「介入だけでは続かない」。4年続いた円安は構造的(楽待、TBS CROSS DIG) |
| 2026年9月下旬〜10月 | 利上げ後も円安。世論が「利上げをやめて」に変わる時が新しい円安局面の入り口。一方で利上げの副作用や円安の行き過ぎにも言及(文藝春秋PLUS、TBS CROSS DIG) |
円安は構造的で、止める正攻法は利上げという軸は一貫しています。変わったのは見通しの幅で、2026年9月下旬からは、日米の実質金利がほぼ並んだことから、利上げのやりすぎで景気が傷む可能性や円安が行き過ぎている可能性にも触れ、「利上げが絶対の正解とまでは賭けていない」と述べています(文藝春秋PLUS)。
読むときの注意
- 唐鎌氏はみずほ銀行に所属する為替の専門家です。本人は発信を個人的見解としています
- 「日銀は利上げすべき」という考え(べき論)と、「実際にはこうなりそう」という見通しを分けて話すことが多いので、どちらの話かを確かめて読むと誤解しにくくなります
- 利上げのペースや日本の財政の評価は、専門家によって見方が大きく分かれる論点です。ほかのご意見番の見方とあわせて読むと理解が深まります
はじめての人が受け取れること
- 数円の円高・円安のニュースだけで「流れが変わった」と判断せず、貿易収支など土台の数字が変わったかを確かめる習慣が役に立ちます
- 海外株の比率が高い人は、株価の動きと為替の動きの両方の影響を受けます。円高と株安が同時に来ることもありうると知っておくと慌てにくくなります
- 「円で持つのは負け」のような極端な言い方には注意し、資産をいくつかに分けて持つという基本に立ち返ることが大切です
唐鎌大輔の発言の時系列
動画・記事の日付の新しいものから順に並べています。
2026年
2026年10月1日・TBS CROSS DIG with Bloomberg(YouTube)
唐鎌大輔「けん制発言は繰り返すほど効かなくなる」|TBS CROSS DIG(2026年10月)2026年10月1日公開のTBS CROSS DIG with Bloombergの番組で、唐鎌氏は日米の高官による円安けん制の発言が相次いでも円高にならない理由を、市場に「免疫」がついたためだと解説しました。市場の主なシナリオは「金利も上がるが円安も進む」で、世論が利上げをやめてと言い出した時が新しい円安局面の入り口だと述べました。
2026年9月26日・文藝春秋PLUS(YouTube)
唐鎌大輔「金利も円安も嫌と言えば両方を取らされる」|文藝春秋PLUS(2026年9月)2026年9月26日公開の文藝春秋PLUSの番組で、唐鎌氏は9月の日銀の利上げ後に円安が進んだ理由を解説しました。反対票が2人出たことが逆のサプライズになり、貴重な利上げのカードを通貨防衛に生かせなかったとしました。日本は金利上昇か円安かのどちらかを取らなければならず、両方嫌だと言えば両方を取らされると述べました。
2026年9月16日・TBS CROSS DIG with Bloomberg(YouTube)
唐鎌大輔「4年続いた円安は一時的ではない」|TBS CROSS DIG(2026年9月)2026年9月16日公開のTBS CROSS DIG with Bloombergの番組で、唐鎌氏は米財務長官の発言で進んだ「ベッセント円高」に潜む危うさを解説しました。4年続いた円安は構造的なもので、5〜10円の円高で「円安は終わった」と言うのはよくないと述べました。ドルは依然最強だが、通貨は多極化に向かうとの見方も示しました。
2026年9月2日・TBS CROSS DIG with Bloomberg(YouTube)
唐鎌大輔「財政破綻論も楽観論も、答えは真ん中」|TBS CROSS DIG(2026年9月)2026年9月2日公開のTBS CROSS DIG with Bloombergの番組で、唐鎌氏は長期金利が3%を超えたことを受け、「破綻するから円売り」という見方は短絡的で、答えはだいたい真ん中にあると述べました。円安を止めるには結局は利上げしかないとし、米国株の急落から円高と株安が同時に来るリスクシナリオも示しました。
2026年8月7日・楽待 RAKUMACHI(YouTube)
唐鎌大輔「介入だけでは続かない。日本は宿題を」|楽待(2026年8月)2026年8月7日公開の楽待の番組で、唐鎌氏は欧州経済に詳しい田中理氏と日米の協調介入後の為替を議論しました。唐鎌氏は、介入で円高に振れても構造的な円安は変わっておらず、金融・財政の政策が緩和の方向を向いたままでは続かないとし、米国からは「宿題をやって」と言われている状態だと述べました。
2026年6月4日・TBS CROSS DIG with Bloomberg(YouTube)
唐鎌大輔「『円はトルコリラより弱い』はミスリード」|TBS CROSS DIG(2026年6月)2026年6月4日公開のTBS CROSS DIG with Bloombergの番組で、唐鎌氏は「日本円はトルコリラより弱い」という話は指数の読み方を誤ったミスリードだと解説しました。今の円安は燃料輸入の増加による「2022年型の円安」で正攻法は利上げだとし、個人向け国債に資金が向かえば円安圧力を和らげる可能性があると問題提起しました。
2026年3月26日・TBS CROSS DIG with Bloomberg(YouTube)
唐鎌大輔「金まで売られる時は本当にまずい時」|TBS CROSS DIG(2026年3月)2026年3月26日公開のTBS CROSS DIG with Bloombergの番組で、唐鎌氏は中東情勢の緊迫後に欧米の利上げ観測が急に強まった一方、日銀への見方は変わっていないと解説しました。有事に換金しやすいドルが買われることと、長い目で見た「ドル離れ」は両立するとし、2026年の円相場の最大のリスクは欧米の利上げ転換だと述べました。
2025年
2025年12月5日・日経ビジネス(YouTube)
唐鎌大輔「2026年のドル円は下より上のリスク」|日経ビジネス(2025年12月)2025年12月5日公開の日経ビジネスの番組で、唐鎌氏は2026年の為替を展望しました。日銀の2026年の利上げは最大2回とみられ、米金利もあまり下がらないため、ドル円は下より上のリスクが高いと述べました。節目は160円ではなく、この局面の高値162円付近だとの見方を示しました。
2025年8月26日・文藝春秋PLUS(YouTube)
唐鎌大輔「人で稼いでデジタルに払う日本」|文藝春秋PLUS(2025年8月)2025年8月26日公開の文藝春秋PLUSの番組で、唐鎌氏は円安の本当の理由をサービス収支から解説しました。日本は「人(インバウンド)で稼いでデジタルに払う」構図がはっきりしており、インバウンドは人手不足で天井が見えている一方、デジタルの支払いは増え続けると述べました。
2025年6月17日・TBS CROSS DIG with Bloomberg(YouTube)
唐鎌大輔「日銀は原則どおり『ゼロ回答』でいい」|TBS CROSS DIG(2025年6月)2025年6月17日公開のTBS CROSS DIG with Bloombergの番組で、唐鎌氏は日銀の国債買い入れの減額や米国の為替報告書を解説しました。超長期金利の上昇に日銀が毎回動く必要はなく、原則論として「ゼロ回答」でもよいと述べました。米国から日本への注文として、公的年金の運用見直しが円高要因になりうるとも指摘しました。
2025年4月7日・楽待 RAKUMACHI(YouTube)
唐鎌大輔「今は円安時代の円高局面」|楽待(2025年4月)2025年4月7日公開の楽待の番組で、唐鎌氏はトランプ関税後の為替を解説しました。円安の構造要因は何も変わっておらず、今は「円安時代の円高局面」だとし、年後半は1ドル155〜160円を目指す動きもありうるとの見方を示しました。第2のプラザ合意は国際会議の前後に注意が必要だと述べました。
2025年3月17日・PIVOT(YouTube)
唐鎌大輔「今の円高は投機的。円安か金利上昇か選ぶ時」|PIVOT(2025年3月)2025年3月17日公開のPIVOTの番組で、唐鎌氏は1ドル158円台から149円台への円高を「日銀の利上げ一点買い」による投機的な動きだと警告しました。米国はインフレを招く政策が並ぶためFRBは金利を高く保たざるを得ないとし、日本は円安と金利上昇のどちらを我慢するか決める必要があると述べました。
2025年1月7日・PIVOT(YouTube)
唐鎌大輔「NISA経由の海外投資は異次元の円売り」|PIVOT(2025年1月)2025年1月7日公開のPIVOTの番組で、唐鎌氏は田内学氏と止まらない円安を議論しました。唐鎌氏は、投資信託を通じた海外証券の購入が急増していることを「異次元の円売り」と表現し、デジタル赤字やインバウンドの天井など、円安の構造的な要因を挙げました。
テーマ別に見る
為替・円13件
- 2026年10月1日唐鎌大輔「けん制発言は繰り返すほど効かなくなる」|TBS CROSS DIG(2026年10月)
- 2026年9月26日唐鎌大輔「金利も円安も嫌と言えば両方を取らされる」|文藝春秋PLUS(2026年9月)
- 2026年9月16日唐鎌大輔「4年続いた円安は一時的ではない」|TBS CROSS DIG(2026年9月)
- 2026年9月2日唐鎌大輔「財政破綻論も楽観論も、答えは真ん中」|TBS CROSS DIG(2026年9月)
- 2026年8月7日唐鎌大輔「介入だけでは続かない。日本は宿題を」|楽待(2026年8月)
- 2026年6月4日唐鎌大輔「『円はトルコリラより弱い』はミスリード」|TBS CROSS DIG(2026年6月)
- 2026年3月26日唐鎌大輔「金まで売られる時は本当にまずい時」|TBS CROSS DIG(2026年3月)
- 2025年12月5日唐鎌大輔「2026年のドル円は下より上のリスク」|日経ビジネス(2025年12月)
- 2025年8月26日唐鎌大輔「人で稼いでデジタルに払う日本」|文藝春秋PLUS(2025年8月)
- 2025年6月17日唐鎌大輔「日銀は原則どおり『ゼロ回答』でいい」|TBS CROSS DIG(2025年6月)
- 2025年4月7日唐鎌大輔「今は円安時代の円高局面」|楽待(2025年4月)
- 2025年3月17日唐鎌大輔「今の円高は投機的。円安か金利上昇か選ぶ時」|PIVOT(2025年3月)
- 2025年1月7日唐鎌大輔「NISA経由の海外投資は異次元の円売り」|PIVOT(2025年1月)
金利・日銀8件
- 2026年10月1日唐鎌大輔「けん制発言は繰り返すほど効かなくなる」|TBS CROSS DIG(2026年10月)
- 2026年9月26日唐鎌大輔「金利も円安も嫌と言えば両方を取らされる」|文藝春秋PLUS(2026年9月)
- 2026年9月2日唐鎌大輔「財政破綻論も楽観論も、答えは真ん中」|TBS CROSS DIG(2026年9月)
- 2026年8月7日唐鎌大輔「介入だけでは続かない。日本は宿題を」|楽待(2026年8月)
- 2026年6月4日唐鎌大輔「『円はトルコリラより弱い』はミスリード」|TBS CROSS DIG(2026年6月)
- 2025年12月5日唐鎌大輔「2026年のドル円は下より上のリスク」|日経ビジネス(2025年12月)
- 2025年6月17日唐鎌大輔「日銀は原則どおり『ゼロ回答』でいい」|TBS CROSS DIG(2025年6月)
- 2025年3月17日唐鎌大輔「今の円高は投機的。円安か金利上昇か選ぶ時」|PIVOT(2025年3月)
政治・政策7件
- 2026年10月1日唐鎌大輔「けん制発言は繰り返すほど効かなくなる」|TBS CROSS DIG(2026年10月)
- 2026年9月26日唐鎌大輔「金利も円安も嫌と言えば両方を取らされる」|文藝春秋PLUS(2026年9月)
- 2026年8月7日唐鎌大輔「介入だけでは続かない。日本は宿題を」|楽待(2026年8月)
- 2025年12月5日唐鎌大輔「2026年のドル円は下より上のリスク」|日経ビジネス(2025年12月)
- 2025年6月17日唐鎌大輔「日銀は原則どおり『ゼロ回答』でいい」|TBS CROSS DIG(2025年6月)
- 2025年4月7日唐鎌大輔「今は円安時代の円高局面」|楽待(2025年4月)
- 2025年1月7日唐鎌大輔「NISA経由の海外投資は異次元の円売り」|PIVOT(2025年1月)
FRB・米金利3件
米国株2件
景気・インフレ1件
- 2025年8月26日唐鎌大輔「人で稼いでデジタルに払う日本」|文藝春秋PLUS(2025年8月)
暴落・リスク1件
- 2025年4月7日唐鎌大輔「今は円安時代の円高局面」|楽待(2025年4月)
ここに載せているのは、著名な専門家が公開の場(YouTubeの公式チャンネル・記事など)で話した内容の記録と要約です。投資の教科書が特定の銘柄や商品をおすすめするものではありません。見通しは話した時点のもので、外れることもあります。