第3章 投資信託とインデックス 3-3・読む時間 約7分・最終更新 2026年10月28日
全世界・米国・日本の指数のちがい|MSCI ACWI・S&P500・TOPIX・日経平均は何の平均か


投資信託を調べると、「全世界株式」「S&P500」「TOPIX」といった名前がずらりと並びます。よく聞く名前ばかりなのに、何がちがうのかと聞かれると答えにくい。そう感じていませんか。
前の回(インデックスとアクティブ)で、インデックス運用は「指数(市場の平均点)」と同じ動きを目指す運用だと学びました。つまり、インデックス運用の投資信託を選ぶことは、どの指数に乗るかを選ぶこと です。この回では、代表的な指数が「どこの国の、どんな会社の平均なのか」を、指数をつくっている会社や取引所の公式資料で確かめながら見ていきます。
この回でわかること
- 指数は「どの会社を入れるか」と「どう平均するか」で性格が決まること
- 全世界(MSCI ACWI)・米国(S&P500)・日本(TOPIX・日経平均)の指数が、それぞれ何の平均か
- 「全世界」でも米国の割合が大きいことと、海外の指数にかかわる為替の影響
結論
- MSCI ACWI(全世界株式)は先進国23と新興国24の国・地域の大型・中型株、S&P500は米国の主要な500社の平均です
- 日本の代表的な指数は、東証の銘柄を広くとるTOPIXと、225銘柄の株価を平均する日経平均株価の2つです
- 「全世界」でも米国が6割余りを占めます。どの指数を選ぶかで、投資する国と会社の割合が決まります
指数の性格は「誰を入れるか」と「どう平均するか」で決まる
指数を見るときのポイントは2つだけです。
- どの会社を入れるか:全世界か、米国だけか、日本だけか。大きな会社だけか、小さな会社まで入れるか
- どう平均するか:会社の規模に応じて重みをつけるか、株価そのものを平均するか
2つめは少し分かりにくいので、たとえで説明します。
- 時価総額(じかそうがく)で重みをつける型:時価総額とは「株価×株の数」で、会社の値段のようなものです。大きな会社ほど、指数への影響が大きくなります。MSCI ACWI、S&P500、TOPIXはこの型です(市場で実際に売り買いされやすい株の数=浮動株をもとに計算します)
- 株価を平均する型:会社の大きさではなく、1株の値段をもとに平均します。日経平均株価はこの型で、株価の水準が高い会社(値がさ株)の影響が大きくなりやすいのが特徴です
同じ「日本の株式の平均」でも、TOPIXと日経平均株価で動き方が少しちがうのは、このためです。
全世界:MSCI ACWI
MSCI ACWI(エム・エス・シー・アイ・エーシーダブリューアイ) は、米国のMSCIという会社がつくっている、全世界の株式の指数です。ACWIは「All Country World Index」の頭文字で、日本では「オール・カントリー」を略した「オルカン」という呼び名もよく使われます。
MSCIの公式資料(2026年9月30日時点)によると、
- 対象:先進国23と新興国24、合わせて47の国・地域の 大型株・中型株
- 構成銘柄数:2,414
- 世界の投資できる株式のおよそ85%をカバー
日本も先進国の1つとして入っています。1本の指数で、世界の主な会社にまとめて投資できるのが特徴です。
国ごとの割合は同じではない
ただし、国ごとの割合は同じではありません。時価総額で重みをつけるので、会社の値段の合計が大きい国ほど割合が大きくなります。
| 国 | 割合(2026年9月30日時点) |
|---|---|
| 米国 | 64.21% |
| 日本 | 5.2% |
| 台湾 | 3.46% |
| 英国 | 3% |
| カナダ | 2.9% |
| その他 | 21.22% |
「全世界」といっても、6割余りは米国の会社 です。全世界の指数を選ぶと、結果として米国の会社に多く投資することになります。この割合は、各国の株価の動きにあわせて変わっていきます。
なお、全世界の株式の指数は、MSCI以外の会社もつくっています。投資信託によって使っている指数がちがうので、どの指数に連動するのかは目論見書(投資信託の説明書)で確かめます。
米国:S&P500
S&P500(エス・アンド・ピー・ごひゃく) は、米国のS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスという会社がつくっている、米国の株式の指数です。
公式の資料によると、米国の主要な500社でつくられ、米国の株式市場で投資できる時価総額のおよそ8割をカバーしています。時価総額で重みをつける型なので、米国の大きな会社ほど影響が大きくなります。
全世界の指数の6割余りが米国であることを考えると、S&P500は「全世界の中で、いちばん大きな部分だけに絞った指数」とも言えます。
- 全世界の指数より、投資する国が米国1か国にまとまる
- 米国の会社が伸びればその分を受け取れるが、米国が不調のときは、ほかの国で補われない
どちらがよいかは決まっていません。「世界全体に広く分ける」か「米国に絞る」かの考え方のちがいです(分けることの意味は長期・積立・分散)。
日本:TOPIXと日経平均株価
日本の株式の代表的な指数は2つあります。
| TOPIX(東証株価指数) | 日経平均株価 | |
|---|---|---|
| つくっているところ | 日本取引所グループ(JPX) | 日本経済新聞社 |
| 対象 | 東証に上場する銘柄のうち、基準を満たすもの。約1,700銘柄(2025年9月末時点) | 東証プライム市場から選んだ225銘柄 |
| 平均のしかた | 浮動株の時価総額で重みをつける | 株価を平均する(株価平均型) |
| 基準 | 1968年1月4日を100とする | ― |
| 銘柄の入れ替え | 定期的に見直し | 年2回(4月初めと10月初め)の定期見直し |
TOPIX は、日本取引所グループがつくる指数で、東証に上場する多くの会社を含みます。1968年1月4日の時価総額を100として、いまの時価総額がその何倍かで表します。構成銘柄は、見直しによって以前の約2,200から約1,700に減りました(2025年9月末時点)。2026年10月からは、売り買いの多さ(流動性)の基準で銘柄を選ぶ形に変わっています。
日経平均株価 は、日本経済新聞社がつくる指数で、東証プライム市場の225銘柄の株価をもとにした株価平均型の指数です。1950年から公表されている歴史の長い指数で、ニュースでいちばんよく聞くのはこちらです。銘柄は、市場での売り買いの多さと業種のバランスを見て選ばれます。
ざっくり言うと、日本の会社を広く持つならTOPIX、日本を代表する225社ならば日経平均株価 です。
2026年4月からは、NISAのつみたて投資枠の対象になる日本の指数に、読売株価指数(読売333)とJPXプライム150指数も加わりました(NISAのしくみ)。
海外の指数には、為替の影響もある
MSCI ACWIやS&P500のような海外の株式の指数に連動する投資信託は、為替(円高・円安)の影響 も受けます。金融庁の資料でも、海外の資産で運用する投資信託は、資産そのものの値動きのほかに、外国のお金と円の為替の動きの影響を受けると説明されています。
- 円安になると、円で見た値段は上がる
- 円高になると、円で見た値段は下がる
指数が上がっても、同じ時期に大きく円高になれば、円で見た投資信託の値段はあまり上がらないこともあります。日本の株式の指数(TOPIX・日経平均株価)に連動するものは円建てなので、直接の為替の影響はありません。
また、金融庁の資料では、新興国は先進国にくらべて、資産の値動きも為替の動きも大きくなりやすいとされています。
よくある質問
全世界株式とS&P500は、どちらを選べばいいですか?
どちらが正解とは決まっていません。全世界株式は47の国・地域に広く分け、S&P500は米国の500社に絞ります。ただ、全世界株式でも6割余りが米国なので、中身は思ったほど離れていません。「1本で世界全体」に乗りたいか、「米国に絞りたいか」で決めます。
日経平均株価とTOPIXの動きがちがう日があるのはなぜですか?
入っている会社の数と、平均のしかたがちがうからです。日経平均株価は225銘柄の株価を平均するので、株価の水準が高い会社の動きが大きく出やすくなります。TOPIXは多くの銘柄を時価総額で重みづけするので、規模の大きな会社の動きが大きく出ます。
指数の中身は、ずっと同じですか?
変わります。どの指数も、決まったルールで定期的に銘柄を入れ替えています。国や会社の割合も、株価の動きにあわせて変わります。インデックス運用の投資信託は、その入れ替えにあわせて中身を自動で入れ替えるので、自分で何かをする必要はありません。
次の回では、同じ指数に連動する投資信託がいくつもあるとき、どこを見て選べばよいかを見ていきます(投資信託の見るところ:信託報酬・純資産・ETFとのちがい)。
出典:MSCI「MSCI ACWI Index (USD) Index Factsheet」(2026年9月30日時点)、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス「S&P 500」、日本取引所グループ「TOPIX(東証株価指数)」、日本取引所グループ「指数ハンドブック」、日本経済新聞社「日経平均プロフィル 日経平均株価」、金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(制度説明資料)(いずれも2026年10月確認)
この回のまとめ
- MSCI ACWIは先進国と新興国の47の国・地域の大型・中型株、S&P500は米国の主要な500社の平均
- 日本の指数は、広く東証の銘柄をとるTOPIXと、225銘柄の株価平均型の日経平均株価の2つが代表
- どの指数を選ぶかで投資する国と会社が決まる。中身の割合と為替の影響を知ったうえで選ぶ
確かめ問題
Q1. MSCI ACWI(全世界株式の代表的な指数)で、いちばん割合が大きい国はどこですか?
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米国
2026年9月30日時点で、米国が約64%を占めています。日本は約5%です。
Q2. 日経平均株価は、いくつの銘柄からつくられていますか?
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225銘柄
東証プライム市場の銘柄から選んだ225銘柄の株価をもとにした、株価平均型の指数です。
Q3. 海外の株式の指数に連動する投資信託は、指数の値動きのほかに何の影響を受けますか?
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為替(円高・円安)
海外の資産は外国のお金で値段がつくので、円に直したときの価値が為替で変わります。円高になると、円で見た値段は下がります。
もっとくわしく
- TOPIX(東証株価指数)とは?日経平均株価との違い(基礎アーカイブ・2015年)
- インデックスファンドとは|株式市場に影響を与える仕組み(基礎アーカイブ・2015年)
- GPIFの投資手法を利用して利益をあげる3つの方法(基礎アーカイブ・2015年)
- インデックスとアクティブ
- 投資信託の見るところ